恐怖と喪失感と怒りと憎しみとそれをぶつけることのできない不快感から一箇所に集まって泣くゆっくり達。
そんな彼女達を捕らえて離そうとしない柵の一角が、突如解放された。
困惑しつつも奇跡の存在に感謝し、足の速いものか我先にと出口目指して駆け出してゆく。
「まりさがいちばんだよ!」
「やったぁ!これでおうちにかえれるよ!」
「おかーしゃん、おうちにかえったりゃゆっくちちよーね!」
口々に親しいもの達と「ゆっくりしよう!」と約束を交わす。
幸福を信じて疑わないその姿が傍目には狙っているとしか思えないほどのフラグであるとも知らずに。
もっとも、数秒後に先頭を駆けていたまりさが水の張られた穴に落ちることですぐに思い知ることになるのだが。
「ゆっ?・・・ゆぶっ!?どほぢで、みずざんがぁぁああぁぁ!?」
「むきゅー!わなだわ!そっちにいったらゆっくりできないわ!」
「「「「「ゆえーん、どほぢでぇ!?」」」」」
穴の深さは70m程度の水深50cm、幅も70cmほどと決して深いものではないが、それは人間にとっての話。
ゆっくりに決して超えることのかなわない死のクレバス以外の何者でもなかった。
そのことをいち早く察したぱちゅりーの指示に従っておずおずと引き返す一行。
「ゆゆって!あっちのさくしゃんがあいてりゅよ!
「こんどこそゆっくりでられるよ!」
「むきゅ・・・だめよ、それもわなにちがいないわ!」
しかし、希望的観測に流されやすいのがゆっくりという生き物の特徴である。
ましてや、子供とあっては、ずっと過酷な状況に晒され続けてきた直後とあってはぱちゅりーの忠告に耳を貸すはずがない。
後先考えずに跳ねて行く子ありす。
「ゆゆっ!ゆぶぅぶぶぅぅぅ!?」
「あでぃずのおぢびぢゃああああん!?」
「むきゅ・・・だからいったのに・・・」
ぱちゅりーがそう呟いた時には彼女達にとって最も恐ろしい悪魔が帰ってきていた。
気がつけばその悪魔の手によって柵は引っこ抜かれていたが、誰も逃走を試みようとは思わなかった。
今悪魔の手に握られているのは水鉄砲。
「ゆゆっ!ゆぅ・・・みずさん、びっくりさせないでね!ぷんぷ・・・あ、あづいぃぃいいぃ!?」
「ゆぅっ!?どうしたの、れいむぅ!!?」
「あづいぃぃいい!いだいぃぃぃぃい!?」
かなりの飛距離を誇り、至近距離であたれば痛いだろうが、それでも命にかかわるようなものではない。
また、饅頭離れして水に弱いゆっくりでも、流石にあの程度の水量で溶けるようなことはない。
しかし、れいむは凄まじい形相で苦痛を訴えながら悶絶している。
「ゆぐぅぅぅぅぅ!ゆひぃ!?やべでね!ぞのおぼじざんはゆっぐぢでぎないいぃぃいい!?」
「どうしたの、れいむ!?ゆっ、どほぢであんござんがびえでるのおおおおお!?」
「いぢゃ!いぢゃいいいいい!おべべが、おべべがびえだいよおおおおお!?」
すっかり薄くなった皮の向こうに餡子の漆黒を浮かべたまま。
崩れかけた眼球をだらしなくぶら下げたまま。
自慢のおリボンを半分以上失ったまま。
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ、ゆ゛っ・・・」
「ゆわああああああん!でいむうううううううう!?」
「どほぢでええええええ!ゆぴゅ?!」
今度はれいむがずっとゆっくりした傍で泣いていたまりさに液体が浴びせられた。
それは当然水ではなく、液体の名は“鬼胃酸”と呼ばれる何故か都合よくゆっくりだけを溶かしてしまう酸。
これを浴びせられたゆっくりは酸に触れた場所を容赦なく溶解され、少量でも死に至る。
「まりさ!ありすがとかいはなぺーろぺーろ、ゆぐぅ?!」
「むっきゅー・・・そのおみずさんにふれちゃだめよ!」
「ゆっくりできないんだねー、わかるよー」
ありすの舌は瞬く間に酸の影響で溶けて行き、その侵食は口内へと広がってゆく。
そんな姿を見せられて彼女達に近づこうとするものなどいるはずも無かった。
遠巻きからの視線を浴びながらまりさは息絶え、ありすは口が使い物にならないほどの怪我を負った。
「う゛っ・・・あぁ・・・うぁ・・・」
「ゆゆっ、こっちにむけないでね!ゆっくりできないよ!」
「「ゆっくちにげりゅよ!」」
まだ200匹以上ものゆっくりがこの場にいるんだ、あまりもたもたしているわけにも行くまい。
そう思い立つと、ふたたびありすに酸をかけ、それから他のゆっくりを狙う。
ありすが声にならない悲鳴を上げながら死へと向かっているがのんびり観察している暇は無い。
「ゆ゛っ!?わがだだいよー!」
「ゆゆっ!ちぇんはこっちこないでね!」
「おかーしゃん!あっちいっちぇね!」
「どほぢでぞんなごどいうのおおお!わがだだいよ゛ー!?」
酸を浴びせられたものの末路は大体が孤独で惨めなものだ。
家族や仲間から忌避され、「こっちくんな」と罵られる。
その罵声の中で焼かれ、溶かされ、苦痛に呻きながら無に帰る。
「びゃ!?ゆぅ・・・おかーしゃん!れいみゅはいいかりゃ、いもーちょたちをつれてにげちぇね!」
「そんなことできるわけないでしょおおおお!れいむはおちびちゃんをみすてられないよおおお!」
「ゆぐっ!だめだよ、ゆっくぢでぎないよぉ!?」
そして、仲間を真っ先に気遣えるような優秀な個体なると更に悲惨な結末が待っていた。
優秀であるがゆえに信頼が厚く、愛情を注がれる存在。
それゆえに仲間が彼女を見捨てることが出来ず、不用意に近づいては一緒に死んでゆく。
「だべだよぉ・・・おぎゃーぢゃ、ゆぐぅ?!」
「れいむのおぢびぢゃ!いっぢょ、ゆっぐぢぃ・・・」
「「もっと・・・ゆっくりしたかったよ・・・」」
哀れにも日頃の行いが良かったせいで家族や仲間を巻き込む羽目になってしまった。
何とも悲劇的な光景だが、2匹がそんなやり取りをしていた間にも酸を浴びせられるゆっくり達には彼女たちに同情している暇など無い。
「やめてね!」だの「ゆっくりできないよ!」だのと喚き散らしながら右往左往している。
「ゆっくりにげ・・・ゆぐっ!?っどほっで、みずざんがぁ・・・うっぷ!ゆっ・・・!」
「こっちにもみずさんがあるわ!ありすはあっちににげ・・・ゆびゅ!」
「ゆわああああああああああ!ばりざのはに゛ー、おびずがげられぢゃっだあああああああ!」
しかし、遠くに逃げようとすれば落とし穴にはまってしまう。
落とし穴を避けて逃げようにも最終的には追い詰められ、酸を浴びせられてしまう。
そして、このありすのように焼けるような痛みの中で苦しみながら死んでいく。
「ばぢざあああああ!ゆっぐ・・・さいごにあぢずとず~りず~・・・」
「いやだよ!ありずとす~りす~りしたらまりざもゆっくりでぎないでしょ!」
「ゆがーん・・・もっぢ、ゆっぐぢぃ・・・」
ありすとまりさの絆は残念ならが軽薄なものだったようだ。
もっとも、執着しても助けられない以上見捨てるのが最善の判断であることは疑いようも無いのだが。
それでも頬ずりを望んでそれを拒まれたありすはいまわの際に絶望の淵に追いやられたと言っても過言ではない。
「やべでぐだざいいいいい!あが、あがぢゃんだげはああああああ!?」
「「みゃみゃー!」」
「「「ゆっぎゅぢぢぢゃいよぉ!」」」
1匹のれいむが赤ありすと赤れいむの前に立ち、威嚇するでもなく頭を低くして泣きじゃくる。
どうやらこのれいむは絶対に敵わない人間から子どもを守る手段として命乞いを選んだらしい。
極限の場における選択として決して間違ったものではないといえるだろう。
「ぴゃ!?」
「「「「ゆゆっ!おにぇーしゃん!?」」」」
「ゆぐっ!どほぢでぇええええええ!?」
が、れいむの懇願を無視して1匹のありすに鬼胃酸を浴びせた。
途端に彼女の小さな小さな体が溶かされ、目玉が無くなり、皮が破れ、餡子までもが失われてゆく。
あまりの痛みと苦しむに大きな声で泣くがれいむは助けてくれない。
「おにぇー・・・ゆぐっ!」
「だめだよ、おちびちゃん!あねーちゃんにさわったらゆっくりできないよ!」
「で、でみょぉ・・・」
それどころか、彼女のことを「触るとゆっくり出来ない」と言って姉妹から遠ざけようとする。
母の判断は何一つ間違っていないのだが、幼いありすにそれを察する知恵はなく、疎外感だけが膨らんでゆく。
まだかろうじて残っている左目で姉妹のほうを見ると、彼女達もまたありすに怯えた目を向けていた。
「どほぢちぇ・・・ゆ゛っ・・・・・・」
「ぴゃっ!?」
「ゆぅぅぅううう!おぢびぢゃんだち、ぞのこからはなれでね!?」
赤ありすがカスタードを吐き出して息絶えた直後、今度は赤れいむが酸を浴びせられた。
その後は赤ありすの時の再現。
母によって姉妹から遠ざけられ、煙たがられながら朽ち果てる。
「ぴぃっ!?ゆっぐ、おぎゃあああぢゃあああああん!?」
「ゆゆっ!またなのぉ!?」
「「ゆっきゅぢにげりゅよ!」」
またしても酸によって溶かされていく赤れいむ。
今度の赤れいむは見捨てられないように必死に姉妹のほうに跳ねてきた。
このままでは他の赤ゆっくり達にも酸が付着してしまう。
「むーしゃむーしゃ・・・ゆぺっ!」
「ゆきゅ!?ゆ、ゆっぐ・・・どほぢぢぇ・・・!」
「れいむのおちびちゃんをいじめるこはゆっくりしね!」
母れいむはつい先ほどまで守るべき娘だったものめがけて土くれをぶつけた。
石ほど硬いわけでもないのでさほどダメージがあるわけではない。
しかし、死にゆく子れいむの心を破壊し尽くすには十分すぎる一撃だった。
「ゆ、ゆ゛っ・・・ぴゃぴぴゅぺぴょー!?ぴゃぴぴゅぺぴょー!?」
「「ゆえーん、きょわいいいいい!」」
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・・・・・・・」
こうして子れいむが物言わぬ饅頭になった瞬間、子ありすが子れいむに体当たりを仕掛け始めた。
小さな体をぶつけて子れいむを押して行く先はこちらの足元。
驚く母れいむや、怯える子れいむを尻目に子ありすは卑屈な笑顔を浮かべる。
「ありしゅはゆっくちちたいよ!だかりゃ、れーみゅがちんでね!」
「ゆぐっ!ゆぐっ!どほぢで、ぞんなごど、いぢゃ!いぢゃいいいい!?」
「おちびぢゃん!やめてあげでね!いだがってるよ!?」
が、ありすは母の言葉に一切耳を傾けずひたすら子れいむに体当たりを繰り返す。
そうして、子れいむを適当なところまで押して行った時点で彼女に背を向け母の元へ。
安堵の笑みを浮かべるその背中めがけて酸が放たれるとも知らずに。
「ゆぴぃ!?ゆゆっ、どおぢぢぇありぢゅにかけりゅのおおおおお!」
「ゆゆっ!こっちこないでね!ゆっくりできないおちびちゃんはきらいだよ!」
「ゆえーん!ほどぢでぞんなごぢょいうのおおおおお!?」
泣き叫ぶ声だけは威勢の良いありすだが、既にまともに動けないほどにまで体を溶かされ動くこともままならない。
母に、子れいむに助けを求めるがどちらも応じてくれない。
その声は溶解が進むに連れて徐々に「いなかものぉ」などの呪詛の言葉に変わって行き・・・
「ゆっぐぢぢねぇ・・・」
最後にそんな言葉を残して子ありすはずっとゆっくりしてしまった。
そして、母れいむは唯一残された子どもの前に立つと、再びわが子の命乞いを始める。
「ゆっぐ・・・おねがいだよぉ!おぢびぢゃんは、おぢびぢゃんだけはゆっくりさせてあげてね・・・」
彼女の言葉に一切返事をせずに黙って母れいむに酸を浴びせる。
その行為を肯定と解釈したのか、れいむは我がこの方を振り向いて力なく微笑んだ。
自らの死とわが子との別離を悲しみながらも、子れいむの無事を喜ぶ・・・そんな表情だ。
「おちびぢゃん・・・ゆっくりしていってね!」
「おかーしゃん、ゆっぐぢぢて、ゆぴゅ!?」
別れの挨拶を済ませようとした瞬間、無常にも子れいむにも酸が浴びせられた。
母れいむが溶けて行くよりもずっと早く壊れてゆく子れいむ。
やがて、れいむが絶命するよりも一瞬早く子れいむは終わらないゆっくりへと旅立っていった。
「ゆっぐ・・・でいむのおぢびぢゃぁ・・・」
すぐに後を追えたことだけが、せめてもの救いかもしれない。
れいむ一家を片付けた後、無差別放水を再開する。
逃げ惑うゆっくり達をのんびりと追いかけて、距離を詰めたところで酸を浴びせる。
「に゛ゃあ!?わがだだいよー!」
「むぎゅん!やべでぇ、とかさないでー」
「ちんぽっ!?まらぁ・・・」
ちぇんが、子ぱちゅりーが、みょんが酸を浴びて崩壊を始める。
くりっとした大きな目玉が、柔らかそうな頬が、風に揺れる髪が無慈悲にも溶けてゆく。
彼女達を助けるようとするものはおらず、3匹とも誰かの助けを求めながら這いずり回った。
そして、誰の助けも得ることなく孤独に息絶えた。
「こっちこないでね、ゆっくりできないよ!」
「やめてね、まりさのはにーのなかにはおちびちゃんがいるんだよ!ぷくううう!」
口の中に3匹ほど子ゆっくりを隠したまま逃げ惑うれいむを守るように立ちはだかるまりさ。
彼女には一切取り合わず適当に酸を浴びせてれいむの追跡を続ける。
怯えた目でこちらを見つめながら一生懸命距離を取ろうと跳ねるれいむだったが・・・
「ゆゆっ!ごぽっ!やべっ、おびずざっ、ゆっぐぢぃ・・・!?」
「「「ゆぅ!・・・ゆぶぅ!?ゆぴぃ!?」」」
「おぢびぢゃ!まりさ、まりさぁ!?おぢびぢゃがおぼっ・・・」
こちらに気をとられすぎた結果、隠されていた落とし穴を踏んづけてしまい、水の中に落ちてしまった。
溺れるれいむは必死に我が子を助けようと、まりさに助けてもらおうとするが当のまりさは既にドロドロのグチャグチャ。
結局、子ども達が先に水に溶けてしまう様をまざまざと見せ付けられ、失意の中れいむは水底へと消えていった。
「むぎゅうううううう!こっちこないでー!ごっぢ・・・ゆ゛っ、おえぇ・・・うぅ・・・」
「ちぇんはにげるよー、わかってね・・・ゆっ?わがだだいよおおおお!?」
「こにょいなきゃもにょおおおおお、いぴゃ!?」
貧弱な体に鞭打って必死に逃げ惑った果てに中身を吐き出して力尽きる子ぱちゅりー。
俊足と尻尾を生かして加速した結果、うっかり落とし穴を踏んでしまったちぇん。
逃げることを諦めてこちらに突っ込んで来たは良いが、気づかれもせずに踏み潰された赤ありす。
酸とは無関係に自滅してゆくものも少なくない。
「おちびちゃんたち!ままのおくちのなかにかくれてね!」
「ありすのとかいはなはにーはありすがまもるわ!」
「「「「ゆっきゅちー!」」」」
「「ゆっくちかくれるよ!」」
その気持ちは分からないわけではないが、口内に隠すのは複数の意味で失策である。
何度もやられているように踏み潰されれば口内の子ども達もまとめて潰される。
それに、成体ゆっくりの皮や中身に鬼胃酸から口内の子どもを守れるほどの強度は持ち合わせていない。
「ゆぐっ!いだ、いだいいいいいい!でぼ、がんばるわ!」
「ありすのだーりんにひどいことしない・・・ゆびぃ!?」
「「「「「「みゃみゃー!がんばっちぇー!」」」」」」
突っ込んでくるありすと子どもを守っているありすに素早く酸を浴びせると、距離をとって様子を伺う。
どちらも痛みのあまりに顔を歪め、うめき声を漏らしているが、気丈にも痛みに耐えようとする姿勢を見せていた。
突っ込んできたほうはこちらをねめつけ、子どもを守っているほうは何かに付けて子ども達に「だいじょうぶよ」と囁く。
「ゆびぃ!ゆ゛っ・・・ぐっ!ゆひぃっ・・・!?」
「ゆぎぃぃいぃぃぃ!?びぃぃ!?」
「「「「「「ゆゆっ!みゃみゃー!?」」」」」」
しかし、その痛みに耐えられるのも半分近くの皮が剥けて中身が丸見えになるまで。
そんな有様になってなお体を溶かされ続ける状況になってはどんなに強い意思ももはや意味を成さない。
もはやまともに動かすことも敵わない口から奇声を垂れ流しながら、死を待つばかり。
「「ゅ・・・・・・」」
「「「「「み゛ぁみ゛ぁああああああ!?」」」」」
「ゆえーん、ゆぅ?どほぢぢぇみずしゃんはいっぢぇぐるのおおおお!ゆっきゅぢー!?」
子どもを口内に入れたまま親が息絶えると、そこは一瞬にして牢屋と化す。
半ば崩れた体と言えど非力な子ゆっくり達にはそれを押しのけて外に出る力は無い。
そんな中に、触れたゆっくりを容赦なく溶かし尽くす酸が潜り込んでくる。
「ゆびぃ!いぢゃ、いぢゃいよぉ!?」
「ゆっきゅぢー!」
「こっちこにゃいでね!?」
そう言って酸を浴びたものから必死に遠ざかるが、酸は別の箇所からも入り込んでくる。
逃げ回った拍子に酸を踏みつけ、あるいは上から滴ってきた酸を浴びては痛みにのた打ち回る。
そうこうしている間にも小さな体は物凄い勢いで壊れていった。
「「ゆ゛っ・・・ゆびぃ・・・」」
「「こんにゃの・・・ときゃいは゛ぢゃ・・・」」
「「もっちょ・・・ゆっぎゅぢぃ・・・」」
こうしてありす一家を全滅させた後で水鉄砲の中身が空になっていることに気づき、別の虐待道具を取りに行った。
ゆっくり達が全然ゆっくりしていない表情でじっとしているところに固形のゆっくりフードを放り投げる。
散々逃げ回り、ゆっくり出来ない目に遭ってきた彼女達だが所詮はゆっくり、何の疑問も抱くことも無く食べ始めた。
「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」
「まりさはいっぱいたべるよ!」
「ゆゆっ!おちびちゃんのぶんもあつめるよ!」
放り込まれたゆっくりフードは赤ゆっくりなら1食1粒の大きさのものがちょうど100粒。
成体や子ゆっくりにはどう考えても足りない上に、そもそも1匹1粒でも80匹分不足している。
が、今のゆっくり達に周囲の状況を見ている余裕などあるはずも無い。
「「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」」」
「まりさ、とってもゆっくりしてるわ!」
「ゆっへん!まりさがとってきたゆっくりしたごはんさだよ!」
「「「ぴゃぴゃしゅごーい!」」」
優秀なものがより多くの餌を集め、その家族が恩恵を受ける。
自分優先のものはその場で食事を済ませられるためより多くの餌にありつける。
その一方で狩りや探し物、動き回ることが苦手なもは餌を食べられない。
「「ゆぅ・・・おなかすいたよぉ・・・」」
「「「おきゃーしゃん、おなきゃしゅいちゃよー」」」
「ゆゆっ、とってもゆっくりしたごはんさん・・・「ごはんさんみつけたよ!むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
「「「ゆえーん、どうちちぇおきゃーしゃんだけたべりゅにょおおおお!?」」」
家族も親友もお構いなしの万人の万人による戦争。
幸いにもまだ揉め事は起きていなかったが、そんな酷い様相を呈していた。
その中で弱者は蹂躙され、思いやりの心が踏みにじられてゆく。
「ゆふぅ・・・おなかいっぱいでゆっくりできるよ!」
「むきゅう・・・おなかすいたわ。まりさ、まだあるんならゆっくりわけてね」
「だめだよ!これはまりさのごはんさんだよ、ぷくうううううう!」
「むっきゅううううう!こわいいいいいい!?」
しかし、ほんの数分後に彼女達の中における勝者と敗者の構図が逆転する。
「ゆっ?なんだが、ぎぼぢわる・・・ゆっぐぢぃ、ゆっぐぢでぎないぃ!?」
「ゆゆっ!どうしたのかしら、まりさ?」
「ぜんぜんゆっぎゅぢでぎ・・ぅおぇ・・・えれ、げぼっ・・・!」
突然嘔吐したまりさは先ほど撒かれたゆっくりフードを3粒も食べたゆっくりだった。
そう、このゆっくりフードには遅効性の毒が仕込まれており、成体でも1粒で昇天させてしまう代物なのだ。
そんなものを3粒も食べたのだ。顔を真っ青にして餡子を吐く彼女が助かる見込みはもはや無かった。
「ゆ゛っぐ・・・」
「む、むきゅ!?」
「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・・・・」
「で、でいむのおぢびぢゃあああああん!?」
まりさの死を皮切りにフードにありつく事の出来たゆっくりが一斉に中身を吐き始める。
真っ先に症状が現れたのは体の小さな赤ゆっくりと子ゆっくり。
小さな体をぷるぷると震わせ、涙でくしゃくしゃになった顔を真っ青にして苦しみを訴える。
「みぁ、み゛ぁ・・・」「ゆっぐぢぃ・・・」
「ぅぇ・・・ぇれ・・・?!」
「「もっぢょ・・・ゆ゛っ・・・」」
赤まりさが、子ありすが母にすがりつきながら吐瀉物で彼女の頬を汚しながら朽ち果てる。
既に親を潰された天涯孤独の赤れいむが、すがるものもない孤独の中で物言わぬ饅頭と化す。
親が自分の分を我慢して与えた餌を食べてつかの間の安息を得たはずの2匹の子まりさが空に向かって餡子を噴き出す。
「ゆゆっ!どうしたのおぢぶぇぇぇぇえぇ・・・!」
「ゆっぐ・・・ぎぼぢわるぃぃぃいいい!?」
「ごんな゛の、どかいは゛ぢゃ・・・ないわ゛」
それから間もなく、今度は比較的若い成体ゆっくりにも症状が出始めた。
我が子を気遣うれいむは突然の事態に吐き出した餡子を子ゆっくりに浴びせてしまう。
それなりに多くの餌を食べたまりさとありすの夫婦はすさまず浮く通にのた打ち回っていた。
「ゆっぐ・・・おぢ、びぢゃ・・・」
「もっぢゅ、っぐぢ・・・ったよ」
「ゆげぇ・・・・・・・・・」
そうして、早い段階に症状の現れた数匹が息絶える頃には餌を食べた全てのゆっくりに症状が現れ始めた。
苦しみのあまりに転げまわるもの、それすらも出来ずにうずくまるもの、その拍子に赤ゆっくりを踏み潰すもの。
他ゆっくりの赤ちゃんを踏み潰してしまい、親達から暴行を受ける羽目になって更に苦しむもの。
餌を食べなかったが、目の前の事態に恐怖し、餡子を吐き出してしまうもの・・・まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
「れいむのおぢびぢゃん、ゆっぐぢいいいい!?まりざのばがっ!ゆっぐぢでぎないよ!?」
「ゆぶぅ!やべでで、ゆぎぃ・・・ゆっぐぢぃ・・・?!」
「いぢゃいいいい!おきゃあぢゃ・・・ゆぶっ!やべ、やべでね!おみずざぁん、ゆっくぢー!?」
やがて、1匹のぱちゅりーが苦しんでいるものと苦しんでいないものの違いに気づき、その事実を指摘する。
が、既に手付かずの餌など存在せず、今となってはまったくの手遅れ。
せいぜい他のゆっくりから餌を奪ったものや、家族を見捨てたものに自らの愚考を後悔させるだけ。
「ゆびぃ・・・ご、ごべんでぇ、でいむぅ・・・ゆげぇ」
「ゆぐっ・・・でいむが、ごはんさんあげだから・・・ゆっぐ・・・」
「ゆぎぃい!いだいぃいぃい!ゆっぐぢー!?」
そんな後悔や絶望の声を上げたところで事態は好転するはずもない。
小さく、弱いものからどんどん死んで行き、やがて餌にありついた赤ゆっくりは全滅した。
れいむも、まりさも、ありすも、ぱちゅりーも、ちぇんも、みょんも・・・種など関係なく屍の山が築き上げられる。
「ゆ゛・・・っぢぃ・・・」
「ゆげぇ・・・ゆ゛っ・・・」
「「もっぢょ・・・」」
気がつけば餌にありついた子ゆっくりも大半が息絶えて、次は小柄な成体や体の弱いぱちゅりーの番だ。
赤ゆっくりと子ゆっくりの屍がぱちゅりーの吐いた生クリームに覆い隠されてゆく。
まだ年若い成体が中身を吐きながら親や仲間を求めておぼつかない足取りで徘徊する。
「おかーざぁん・・・たぢゅげでぇ・・・」
「むっぎゅぅ・・・」「ゆっぐ、ぢぃ」
「・・・ゆっぎゅぢぃ」
しかし、その叫びは、ゆっくりしたいと言う願いは届かない。
今わの際にわずかばかりの心の安息を得ることさえも叶わずに中身を吐き出して動かなくなる。
「ゆ゛っ・・・でいむ、まりぢゃはさきにゆっぐぢずるよ・・・」
「ゆううううううう!どほぢ、でっ・・・いっぢょにゆっぐぢぃ・・・!?」
「もっどゆっぐぢ、ったよ゛」「ゆ゛げぇ」
次は立派に育った大きめの成体ゆっくり達の番だ。
成熟しているだけあって逃れられない死を前に泣き喚くことは無く、静かに家族に別れを告げては息絶える。
その度に家族や親しいゆっくり達が悲しみに咽び泣くが、彼女達もまたすぐに後を追って逝く。
「でいむぅ・・・いっぢょにゆっぐぢ・・・ね」
「ゆっぐぢぃ・・・」
「ばりざぁ・・・ゆっぐぢぢでいっでね・・・!」
彼女達に天国に思いをはせる想像力があるのかは知らないが、パートナーに微笑むながらあるまりさは死んだ。
そんな彼女の笑顔に涙を浮かべながらもつがいのれいむは力強く頷いてみせる。
そのすぐ傍では自分はフードを食べなかったらしいありすが、最期の「ゆっくりしていってね!」と送っていた。
「もっど、ゆっぐぢ・・・っよ」
「びっぐ、まらぁぺ・・・」
「「ゆっぐりぃ」」「ゆ゛っ・・・」
更に5匹ほどの成体が息絶えるのを見届けたところで、別の虐待道具を取りに戻った。
最終更新:2011年07月27日 23:57