※死なないゆっくりもいます。
朝日が昇る。
柔らかな太陽の光が、ゆっくり達の住む山の風景を優しく包んでゆく。
とある薄暗い巣穴の中。
ふかふかの干し草を敷き詰めた寝床の上で、ゆっくりの家族みんなが身を寄せ合って眠っている。
お父さんまりさにお母さんぱちゅりー、それにまだ赤ちゃん言葉の抜け切らない子まりさが2体と
子ぱちゅりーが2体のなかよし一家。
野生の体内時計に従って、お父さんまりさが目を覚ます。
右の頬側にはぱちゅりーが、左の頬側には子まりさと子ぱちゅりーが1体ずつぴったりとくっついて
ゆぅゆぅと安らかな寝息をたてている。
みんなを起こさないようにそろーりそろーりと草のベッドから這い出ると、巣穴の入口へ向かう。
このまりさは器用で、巣の入口は巧妙にカモフラージュをされており外部からそれと看破するのは非常に困難だった。
その偽装用の枝やら葉っぱを丁寧にどけると、外からまぶしげな陽光が射し込む。
太陽のまばゆさに目を細めながら、今日の狩りの事を色々と考えていると。
「まりさ、みんなでちゃんとみおくるわよ」
背後からぱちゅりーの声が。
振り向くとぱちゅりーを先頭にして、つい今しがた目を覚ましました感を全開にした子ゆっくり達4匹が勢揃いしていた。
「ちゃんとおとうさんにいってらっしゃいをするのよ」
「おとうしゃんゆっくりいってらっしゃい!」
「たくさんごはんさんをとってきてにぇ」
「ゆゅぅ~~~、まりさもはやくかりについていきたいのだじぇ!」
「むきゅ!ぱちゅはおりこうしゃんでおるすばんしてるからにぇ」
元気一杯に見送ってくれる子供達にそれぞれすーりすーりをして、最後にぱちぇに一番長く頬をすりよせる。
「むきゅ~~、きをつけていってきてねまりさ」
「「「ゆっくりきをつけてにぇ!!」」」
巣穴の入り口で愛する妻と子供達に見送られ、ゆっくりまりさは狩りに出発する。
本当にどこにでもある、ごくごく普通のゆっくり家族の風景。
「ゆっ♪ゆっ♪ゆっ♪
まり~さ~おとう~さ~んは~♪
と~っても~♪か~り~が~♪
じょうず~♪だ~よ~♪」
おうたを歌いながら家族のために毎日通い慣れた狩場に向かうまりさ。
ガサガサと背の低い草をかきわけ、視界の開けた場所に出たその時にそれを発見した。
うつぶせに倒れたゆっくりれいむ。
遠目にそう確認して近づくが、距離が縮まるにつれて高まる甘美なる異臭。
餡子の匂いだ。
異常を察知して跳ね寄るまりさ。
「ゆっくりしてね!れいむ。どうしたの?どこかいたいの?」
そう声を掛けながられいむの体をゆんしょと起こし上げる。
れいむの体はまだ温かく、かすかに動いたのでまりさはとりあえず安心した。
そして何故餡子の香りがしたのか、どこが痛いのかはすぐ分かった。
れいむのおめめがあるべき場所には、なにも無い。
れいむのおめめの変わりに存在した空虚な穴からはトロリと餡子が流れ出し、まるで黒い涙のように
頬を伝い地面に生える草を濡らしていた。
「ゆひぃ!?」
思いもかけない出来事に悲鳴をあげるが、まりさは錯乱することなくすぐに冷静さを取り戻す。
とにかくこんな状態のゆっくりを放っては置けない。
「れいむ、だれがこんなゆっくりできないことを!?
とにかくもうだいじょうぶだからね!
まりさのぱちゅりーはとってもものしりで、やくそうさんもおうちにたくさんあるんだよ
きっとおめめもよくなるから、あんしんしてゆっくりしていってね!」
「……っ、……………っっ!!」
そう必死に励ますと、れいむは体全体をイヤイヤをするようにくねらせながら、何かを叫ぶように口を大きく限界まで開ける。
だが言葉らしい言葉は何も聞こえない。
それもそのはず。
まりさは見てしまったのだ、その口内には歯が一本も無く、舌も無かった。
喋られるはずが無い。
こんなゆっくりできないことを一体誰が!?
怒りにも似た嫌悪感が自らの餡子に噴出するのを感じつつも、一刻も早く巣に戻ろうとまりさは思った。
れいむを支えながら一緒にずりずりと這っておうちに向かおうとするが、ポテンとれいむはまたうつ伏せに倒れてしまう。
目が見えない所為では無かった。
れいむのあんよは黒く炭化してカリカリになっており、跳ねる事は勿論、這うことも起き上がる事も出来なくなっている。
「ごめんねれいむ。おうちまでころころしていくけどゆっくりがまんしてね」
まりさは仕方無く巣まではれいむを押して転がす方法をとる事にした。
まりさがおうちに着いたころには太陽は既に一番高い位置に。
子供達は巣穴の周辺で追いかけっこをして遊んでおり、それを見守っていたぱちゅりーが一番先にまりさとれいむに気がつく。
「むきゅ~?おかえりなさいまりさ。
はやかったのね?そちらのゆっくりは?」
「ぱちゅりー、ゆっくりしてるじかんはないよ。
このれいむをたすけてあげたいんだ」
近づいてみて初めてぱちゅりーは事の深刻さを理解し、表情を険しくして子供達にも号令をかける。
「むっきゅ!おちびちゃんたち、これからこのれいむをてあてするからおてつだいしてね!」
遊びに夢中になっていた4匹の子ゆっくりは、怒ると怖いおかあさんの大声で一瞬ピッと止まってから全力ダッシュで跳ねてやって来る。
「ゆ!まりさおてつだいするにょぜ!」
「まりしゃもまりしゃもー!」
「むきゅっ!ぱちゅりーのちしきがやくにたつときがきたのにぇ」
「おにぇーちゃんにはまけないわ」
子供達はキャイキャイと騒ぎながらも、れいむを転がして巣穴の中まで運ぶのを手伝った。
巣穴の奥に着くなり、母ぱちゅりーは数種の薬草を口に含んでもきゅもきゅと噛んで混ぜ合わせて『おくすり』を作り出すと
吐き出したそれを塗りたくるように、まりさとチビ達にテキパキと指示を出す。
「それはおめめのところにつめるのよ」
「むきゅ?ちがうわ!それはあんよにぬるの」
「おちびちゃんがたべちゃったらだめよぉぉぉ!」
父まりさはふと、戸締りをちゃんとしていなかった事に気がついて入口に向かっていく。
あと少しで入口という所で。
シュゥゥゥゥゥゥゥ。
なにか火がついた丸いモノが傍らを通り過ぎて、奥へと転がっていった。
なんだかゆっくりできない感じがしてそれを追いかけて行くと、もうもうと煙が立ちこめはじめる。
「ゆげほっ、ゆっくりできないけむりさんははやくどこかにいってね!」
文句を言っても煙は増え続ける。
れいむの治療はまだ途中だが、とにかくひとまず煙のない所へ非難しないと。
「ぱちゅりー、おちびたちをよろしくね!れいむはまりさがはこびだすよ」
「ゆっくりりかいしたわ。ちびちゃんたち、おかあさんのおくちにはいっていてね」
煙にむせて涙目になりながらも子供達を口内に非難させて、気丈に外へ向かって這ってゆく妻を見送り出すとまりさはれいむを押し始めた。
「けほっけほっ!ゆっくり!おそとにでれたよれいむ」
もうもうと煙を吐き出し続ける巣穴からの脱出。
先に出ているはずのぱちゅりー達を探す視線の先には、見上げる程に大きな人間の姿が。
陽光を遮り、まりさ達に大きく影を落とすその人間は、片足を大きく上げると邪悪な笑みを浮かべた。
「はい、お役目ゴクローサン♪」
振り下ろされた登山用のクツに包まれた足は、れいむを簡単に踏み抜いてペシャンコにした。
周辺に大量に中身を撒き散らしほとんど皮だけになったれいむを目前に、餡子まみれになったまりさはただ呆然とするしかなかった。
動けないまりさを男は片手で乱暴に掴み上げると、もう片方の手に持っていた布袋に放り込んだ。
「ゆびゃっ!」
落下した先に、探していた家族が無事で揃っているのにまりさは安心したが、直後に絶望した。
みんなつかまってしまった。
れいむをあんなふうにしたにんげんに。
「いやあ!大漁、大漁。一匹だけ残しても可哀想だし、一家まるごとってのが一番だあね!」
その男は、虐待おにいさんだった。
月曜日
「ヒャッハー!ゆっくり虐待の基本っつったらあれだろ足焼き、あ、し、や、き☆
なのでチミ達のあんよを丸焦げにしてみる、みたいなー?
ぱちゅりーちゃん達はお口を縫っておこうね?クリーム吐いてしなれたら困るし。
ではレッツ!バーーーニング!!!げひゃひゃひゃ!
いいねいいね、そこのちびまりさちゃんマジでいい顔してるって!
そんな顔するなんてすごく痛いの?苦しいの?
聞かせて聞かせて!
え、『どぼじでこんなことするのー?』って?
だって
だってだって
おもしろいじゃなーーーーーーーい!!」
◇
「やあチミ達おつかれ。楽しんでもらえたかな?
おにいさんはとーーーーっても楽しかったよ。
じゃあまた明日も苦しい事してあそんであげるから、ゆっくりしていってね!!」
火曜日
「グゥーーッドモォォォォォォォニング!一家の皆さん。
今日は歯医者さんごっこして遊ぼうね。
はい、あーんして歯を見せて。
あ?見せろっていってんだろが!」
「ゴメンゴメン、もう殴らないから泣かないでね。
ほうほう、ふーむ…。
これはひどい!手遅れです全部抜きましょう!
家族の方も見なくても分かります、手術が必要です!!
大丈夫、痛かったら手を挙げてくださいね~」
「ではいきますよ?
麻酔はありませんからね。
メスなんか使いません、ハンマーです
口を閉じてても無駄無駄無駄あああああああ
手術開始ーー!!ヒャッハアアアアアアア!!!!
あれ?ダメじゃないですか途中で餡子吐いて気絶しちゃあ
折れた歯も全部混ぜて戻しておきましょうね~」
◇
「無事終了ですよ!おめでとうございます。
飛び散った歯はそのまま食べておいて下さいね
残してたら承知しねえぞ?
じゃあ明日も一杯痛い事して遊ぼうね♪」
水曜日
「おはようおはよう皆さん。
あらあら?そっちのちびまりさちゃんはちゃんと歯の破片をお掃除できてませんね?
あんよが動かないから無理?
ダメダメダメ、気合でナントカしないと。
ペナルティっ!ペナルティペナルティっっ!!
デスペナルティ~~~~~~~~!!!
何故か最初から用意されてるこの煮えたぎった油でフラ~~イの刑ですよ!
フラ~~イだけにおそらまでトンじゃうかもねえ!?
HAHAHAHAHAHAHA!!
じゃあ早速クシに刺しちゃおうかなあ
中枢餡避けて串打ちするのは難しいんだぜ」
◇
「はい、ちびまりさちゃんの素揚げの出来上がり!
揚げたてをいっただきまーーす
ハフっ!ハフっ!うめっ!これめっちゃうめ!!
もう我慢できないのでもう一匹のちびまりさちゃんもいただいちゃおうかなあ
いいじゃんいいじゃん!赤ちゃんゆっくりは勝手に生えてくるんでしょ?」
◇
「あ~~~うめっ!まじぱねえ!
なんだよそんな目で見るなよ~
あ、わかった欲しいんだよな?
もう半分になっちゃったけどやるよ、さあ遠慮なく食えよ
食え!食えっつってんだ!
手伝ってやるから遠慮せずに食えよ!!」
◇
「そうかそうか、涙が出るほどうまいか!心を込めて料理した甲斐があるってもんだね
お腹が膨れたらやる気が失せちゃったし、まったあっした~」
木曜日
「オッスオッス!今日もお楽しみの時間がやってきましたよ?
今日はほら、すっきりってやつが見たいなあ
こうやってくっつけて置いてあげるから、さっさとおっぱじめなよ
え、そんなことできるわけないでしょおおおおおおお、って?
このちびぱちゅりーちゃん達が握りつぶされる前に始まるといいんだけどね?
ホラホラホラ!すっきりしなよ、す・っき・り!す・っき・り!
ほろほらほら!子供達に見てもらいなよ、す・っき・り!す・っき・り!」
◇
「うっわ、子供の前でマジですっきりーしやがった
ぱちゅりーちゃんに蔓が生えちゃってるじゃん
お兄さんドン引きなんですけどー?
え、俺がやれって言ったからって?
そうかもしれませんし、そうかもしれませんっ!
あ、これ手遅れだけど返しとくわ。
せっかく口縫っといたけど口以外から中身全部出ちゃった、テヘ♪
ごめんねごめんね~~~~
今日はいいもん見せてもらったしこれでオシマイ
また明日遊ぼうね~」
金曜日
「元気にしてたかなご両人っ!?
今日は何して遊ぼうね~…
あれだ、新しく赤ちゃんできて思い残す事もないだろうしぺにぺにいってみようか
いや、今はまむまむだっけ
ええいややこしいな!とりあえずハンダごて用意するか」
◇
「まずはまりさちゃんの方から突っ込んであげようね
悲鳴あげずに我慢できたら、ぱちゅりーちゃんにするのは勘弁してあげよう!
おお!
おおおおお!!
本当に耐えてやがる
お兄さん感動しちゃった!
約束だ!ぱちゅりーちゃんのまむまむは焼くのはヤメだっ!
今日知ったけど野生ぱちゅりーの生クリームってかなりのレアものなんだってな
赤ぱちゅりーたちと延々すっきりして増えてもらわないと!
つまり最初からまむまむ焼くつもりは無かったんだ、うん
まりさちゃんの頑張りに免じて今日はこのくらいで勘弁してやらあ!」
土曜日
「YEAH!とうとう土曜だぜっ!テンション上がっちゃうよね!!
今日はおめめイってみよう、俺は実はおめめエグりに関しては近所でも評判になるほどなんだぜ?
最初に言っとくが、今日は夫婦仲良くやっちゃうから今のうちにお互いの顔を良く覚えておいて下さいねっ
ええとスプーン、スプーンと…」
◇
「んー、我ながら実にいい手際だった
んー…モグモグ、甘っ!だだ甘っ!
4つ同時は流石にお茶が欲しくなるなあ
あ、そうそう、関係ないけど蔓の赤ちゃん達も種類がわかるまで成長してるな
まりさ種が5にぱちゅりー種が1…
まりさイラネー、今のうちに間引いとくか!
遠慮しないでくれ、潰すのもゴミ箱に捨てるのも俺がやっといてやるよ
プチプチっとな!
ギャハハハハ!この感覚大好き!
また明日!じゃあの!!」
日曜日
「こんな早朝にゆっくりおはよう
さて、まりさちゃんは今日でお別れとなります
色々騒がれると困るから舌は引っこ抜いとく
怖いですね~、恐ろしいですね~、それではサヨウナラサヨウナラ!」
◇
まりさは無造作に舌を掴まれる。
抵抗しようにも既に歯が無いので噛み付くことも出来ない。
男は乱暴にブチブチと舌を引き抜くと、まりさをダンボール箱に詰めて車に乗せる。
車は高速道路を快調に走り続け、空が白む頃には山深い所に到着した。
「じゃあまりさちゃん、キミみたいにやさしいやさしいゆっくりに見つけて貰えるとイイネ!
そうなると俺もまた一週間退屈しなくて済むし、しっかり囮を頼むよ」
男はまりさを箱からつかみ出すと、草地の上に放り投げる。
顔面から着地しても、まりさは悲鳴をあげることが出来なかった。
◇
「まりさ、だいじょうぶ!?どこかいたいの?」
日曜の朝、通りがかったゆっくりありすがまりさを見つける。
「なんてひどい、でもとかいはなありすがきたからには、もうあんしんしてゆっくりしていいのよ!」
「……っ!………っっ!!」
まりさの目玉のない空虚な穴からは、餡子が涙のように流れ出て頬を伝い、緑の地面を黒く染める。
歯も舌も無い口は叫び続ける。
声にならない警告を叫び続ける。
あのおとこがみている。
あのおとこがやってくる。
にげて!
まりさはほうっておいてにげて!!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
気がついたらまた善良一家虐待もの書いてますね。
来年こそはゲス制裁ものがんばる。
※これまでに書いたSS
2467 週末の過ごし方
2519 この世の終わり
2584 UFOキャッチャー
2728 おとうさんがんばる
2794 赤ゆが好き過ぎて
小ネタ 2795 赤ゆが好き過ぎて 番外編
2833 れいむがんばる
最終更新:2011年07月30日 01:21