ゆっくり入れケース。
それはゆっくり一匹がギリギリ入る魅惑の透明なケース。
それが手元に二つある。
セットで買うと今なら子ゆっくり用ケースで3つついてくるからついつい買ってしまった。
これでかわいいゆっくりを飼ってやれるぜ。
俺はゆっくりを探して外に出た。
「ゆっゆっゆっー」
「ゆっくりちていってね!」
「ゆっくりー」
このうざい鳴き声は、ゆっくりだ!
ゆっくりれいむとゆっくりまりさ、その子供5匹。
二匹余るけどまぁいいな。
早速の出会いに心躍らせずつ、俺は網を握った。
「ゆっくりしてい…」
言葉の途中で網を投げる。
ゆっくりの言葉をあまり聞くとその場で潰してしまうからだ。
「ゆ!? ゆ! ゆっくりできないよ!」
「ゆっくりできないお兄さんはまりさを放してね!」
ゆっくりまりさは相変わらずクズだなぁ。
「ゆ、れいむたちをはなちてね!」
「いますぐにはなちてね!」
「おにいさんとはゆっくりできないよ!」
最初からゆっくりする気はない俺はさっさと家に帰った。
そしてなにもない部屋でゆっくり達を放す。
「ゆ、ここゆっくりできる?」
「ゆっくりー!」
「ゆっくりできるかも!」
「ここはまりさたちのおうちにするからゆっくりできないおにいさんはでていってね!」
「でてけー!」
「でけけ! でけけ!」
無視して魅惑のケースを取り出す。
あぁ、魅惑。いや、まて、これにはゆっくりをいれて初めて真の魅惑のケースになるんじゃないのか。
そういうわけで、早速俺の足に体当たりをしていたゆっくりまりさを持ち上げ、ケースにいれる。
入れる……
…入らない。
そんなバカな、どうなっているんだ…よく見ると、まりさの体はケースより…大きかった。
「馬鹿な…」
魅惑のケースにそんな落とし穴があるなんて…
いや、しかし、まりさは無理すれば入りそうなのでぎゅうぎゅうに押し込んだ。
「ゆ! ゆっくりやめてね! いだい! いだい!」
「おとーざんをだすけでー!」
「いまならゆっくりさせてあげるから!」
しかし、そうなるとこのまりさよりでかいれいむはどうするか…
そんなことを考えているとスポン! と小気味よい音がして、まりさがケースに入った。
「まぁ、よしとするか」
魅惑のケースの蓋を閉めながら頷く。
「よ゙ぐないよ! だじで! まりさだけごんなどごろにいれないで!」
「安心しろって、すぐに皆同じところに入れてやるからな」
「ゆっ!?」
「ゆっくりやめてね!」
「いやぁ、ホントはそんなつもりじゃなかったんだけど、恨むならまりさをね」
「ひどいよまりさ!
「おとーさんなんてしんぢゃえ!」
「びどいよ! なんでぞんなごどいうの!?」
途端に責められるまりさ。
もちろん、最初から入れる気満々だったけど。
「はいはい、しまっちゃうぞー」
子供三匹を適当に魅惑のケースに入れる。残りの子供はとりあえず置いておくとして。
このケースに入らないれいむをどうするか…
「ゆっゆ! れいむはこの箱に入らないよ! だかられいむは箱に入れられないでゆっくりできるね!」
いいや、切って入れよう。
「ゆ、なに、なにするの? ゆ…ぐりぃ!?」
魅惑のケースに入るようにれいむを四角に切る。
よし、入った。
しかし、四角いゆっくりというのもなんだかおかしいな。
「ゆ…ゆ」
でもれいむがもうすでに虫の息だ。
早いなぁ、れいむにはちゃんとご飯をあげよう。
「みんなをゆっくりだちてね!」
「だちてね!」
さて、余った二匹の子ゆっくりだが。
前からやりたいことがあったんだ。
隅の方に置いてあったミキサーという機械を出す。
この日のために河童が作ってくれました。
「さぁ、二匹のゆっくりは死のうね」
「ゆ!? ゆっくりやめてね!」
「やめてね!ゆっくりできないよ!」
まりさと子供が騒ぐ、れいむはそれどころではない。
一度ミキサーにかけてゆっくり削れていくゆっくりってのを見てみたかったんだ。
ミキサーに一匹入れ、レバーをぐるぐる回す(このミキサーは手動だ)
「ぬおぉぉ! フルパワー!」
「ゆぎゅぎゃ!」
…一瞬でバラバラになる子ゆっくり。まりさかれいむかだったかすら忘れたぞ。
やべ、力が強すぎた。やぁ、あの子ゆっくりは幸せだなぁ、さっさと死ねて。
「まりざのあがぢゃんがー!?」
「ゔぁぁ! おねえぢゃんー!?」
ゆっくりが騒ぎ出す、うるさいけど、まぁ、楽しいしこのままで。
「じゃあ、次な」
「ゆ、ゆっくりやめてね! おろちて!」
二匹目を入れる。
「ジャンプし続ければ刃に巻き込まれないですむぞ」
「ゆっ! ゆっ!」
ジャンプする子ゆっくりジャンプしてる間にハンドルを回す。
気分は縄跳びだ。
「ゆっゆっ」
ぐーるぐーる。
「ゆっゆ!」
ぐーるぐーる。
「ゆっゆぐぎゃぁぁ!」
ぐーるぐーる。ざしゅ、という音がして子ゆっくりの下の部分が剥けた。
「ゆ! ゆ゙っぐり゙じだいよぉ!」
徐々に削れる子ゆっくり。
いったんハンドルを動かすのをやめる。
「ゆ…ゆ゙っぐりだずけてぇ!」
ちょっと楽しいな、これ。
一旦魅惑のケースにいれた子ゆっくりを取り出す。
「ゆ、ゆ、ゆ」
怯えてる怯えてる。
「大丈夫、飛び続ければいいだけだから」
「ゆっぐりざぜ!」
「ぎゅぴ!?」
投げ入れる。
先にいた子ゆっくりが軽くつぶれる。
「や゙め゙でぇ…」
あ、そーれ、ぐーるぐーる。
「がぎゃぁぁぁ!」
細切れになる先にいた子ゆっくり。
「ゆ! ゆ!」
慌ててジャンプする子ゆっくり。
「どぉじでごんなごどずるのぉ!」
「ゆっくりやめてね!」
泣き叫ぶ回りのゆっくりども、ちなみにれいむはまだぴくぴくしてる、やばいか?
今度は子ゆっくりがジャンプの着地するタイミングでハンドルを回した。
「ゆぎゃ!?」
そしてそのまま放置、ミキサーはもういいや、餡子でハンドルが回しづらいし。
餡子だけは取っておく。
「だ…ずげ…」
子ゆっくりは放置。
「ゆっぐりじたがっだよ゙ー!」
子ゆっくりは死にやすいなぁ。
さて、そろそろ四角いれいむにご飯でもなんでもあげて英気を養ってもらうか。
ご飯は今とった餡子でいいな。
「ほら、れいむ、ご飯だぞ」
「ゆ…ゆ…むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」
ゆっくりどもを一番つぶしたくなる瞬間である。
しかし今回は食ってるのが自分の子供だし、勘弁してあげよう。
「ゆ、おかあさんそれおねえちゃんだよ!」
魅惑のケースに入ったゆっくりが騒ぐ。
「あぁ、なんてことだ、子供を食べてしまうなんて親失格だな」
「ゆしっかくだね!」
「しっかくだよ! おかあさんなんてもうおかあさんじゃないよ!」
「そうだよ、ただのれいむだよ、ゆっくりしね!」
「ゆっくりしね!」
ちょっと言ってやるとまりさといっしょになって騒ぐ子ゆっくり。
ちなみに残った子ゆっくりはまりさ種とれいむ種だ。
「次はまりさな……ん?」
魅惑のケースに無理矢理入れたせいで食い物入れるスペースがない。
「ゆっくり早く食べ物よこしてね!」
これも餡子なんだけど…自分はいいのか。
「ごめんなまりさ」
「ゆっくりはやくしてね!」
「まりさには餓死してもらうから」
だってあげようにもあげられないんだもん。
ま、別にいいか。
「どぼじでぞんばごどいうぼー!?」
うるさいので蹴る。魅惑のケースはこんなことでは割れないぞ。
「うーん、まりさはたべられないからその子供にもなしな」
「ゆっ!? な゙んで!?」
「まりさのせいだからね」
「ゆ゙ー! おとーさんなんておとーさんじゃないよ!」
「ただのまりさだね!」
「ゆっくりしね!」
自分でも意味のわからない話だが子ゆっくりには通じたみたいだ。
しかもさっきと同じような流れなんだけど…
「ゆ゙!? 酷いよ、そんなこと言うのはまりさの子じゃないよ! ゆっくりしね!」
「れいむの子供でもないよ! ゆっくりしね!」
今度は親と子が喧嘩し始めやがった。
ま、そんな元気があるのは初日だけだしな、放っておこう。
次の日、今日は四匹にもっと仲悪くなってもらおう。
「あ、おにいさんゆっくりはやくごはん持ってきてね!」
やっぱり昨日のことは忘れてしまったんだろうか、媚びた笑いでそう言ってくる。
「いいよ、じゃあ、一匹だけにあげよう」
「ゆ、ゆっくりまりさが貰うよ!」
いや、何があってもまりさには無理だから。まぁ、いちいちそこは指摘しない。
「ゆっ! ずるいよ! れいむがもらうよ!」
親れいむが呼応するようにわめく。
魅惑のケースに張り付いて、すっかり四角いゆっくりになってしまったな。
「もらうのはまりさだよ!」
「ゆ、そんなこというゆっくりはちんでね!」
それに反応する子ゆっくり、まりさは本当に自分が一番だなあ。
「よし、じゃあ、子れいむにあげよう」
最後に反応した子れいむにあげることにする。
もちろん、本当に上げるつもりはないが。
「ゆ、なんで! まりさにあげた方がいいよ!」
「れいむだよ!」
「まりさに!」
「ゆっ! ご飯も食べられないゆっくりはゆっくりちんでね!」
魅惑のケースの中でぴょんと跳ねる。
「そんなに皆子れいむにあげたくないのかあ」
「ゆっ!?」
「じゃあ、多数決で決めよう、子れいむにご飯を食べてほしくないゆっくりー?」
「ゆっゆっ!?」
「たべさせたくないよっ!」
「れいむはゆっくりしんでね!」
「ゆっくりちね!」
「あぁ、残念だね、れいむ、多数決で食べられないよ」
「そんな、みんなひどいよ! ゆっくりちね!」
「れいむがしね!」
「ちね! ちね!」
よしよし、いい感じだ。
俺は一連の行動をほかのゆっくりにも繰り返す。
もちろん三回とも同じ結末である。
「ゆっ! ゆっ!」
「みんなとはゆっくりできないよ!」
これでもう、決定的に仲たがいだ。
よし、もういいや。
「よし、じゃあ、子れいむのどちらかはおうちに帰してあげるよ」
「ゆ!」
「ゆっくりはやくまりさをだちてね!」
魅惑のケースから二匹を出す。
「でも一匹だけしか出さないからね、おっと、ちょっと出かけてくるよ」
「ゆっゆっ!」
「帰ってくるまでに一匹になっていたら、出してあげるよ」
「あ、そうだ、二匹とも死んでたら、でっかいほうのゆっくりを出してあげるね」
部屋を出て行く。
部屋の前で声を聞く。
「ゆっ、ゆっ…ゆっくりちね!」
「ゆっくりちねー!」
どすんどすんという音、ここまであっさり殺しあうとは、仲悪くしたかいがあったというものだ。
「ゆっくりりょうほうしね!」
「ゆっくりはやくしね!」
それに対する応援にも熱が入る。
まあ、どちらの応援もしないで両方の死を求めてるけど。
たがいに死ね死ね言い合うゆっくり達、一応家族だったんだけどな…
「ち…ち…ぎぃう!?」
「ちね! ちね! ちね!」
「どぼじでりょうほうじなないの゙ー!」
「りょうぼうじねー!」
終わったみたいだ、だが称賛はなく、罵倒だけ。
「終わったか、よしよし、じゃあ出してやるぞー」
部屋に戻ると、潰れた子れいむの餡子を美味しそうに子まりさが頬張っていた。
「こんなところじゃゆっくりできないよ! ゆっくりはやくちてね!」
しかし、子まりさも無傷ではない、片目は潰れ、そこらじゅうに傷が入っていた。
「よしよし、その前に手当てをしような」
そう言って子まりさを持ち上げる。
「ありがとーおにーさ…ぷぎぁぁぁぁ!」
無事な片目を抜く、
そのついでに潰れた片目を取り出し、窪んだ目の穴に小麦粉を入れて捏ねて、再生できないようにする。
「見えないよ! 何も見えないよ!」
「これで放しても安心だな」
見た目にただの奇形ゆっくりだし、もうこれがゆっくりできることもないだろう。
「あ、そうだ、逃がしたゆっくりが他の畑荒らしたらまずいから、お口にチャックしましょうねー」
そう言って、口にもホチキスをする。
……外に放す意味あるのかこれ、すぐ死ぬぞ。
まぁ、いいや、放してあげる寛大な俺ごっことでも思おう。
「っ! っ!」
「ざまあみろ!」
「ゆっくりおそとでしんでね!」
それをぽいと外に投げる。しばらくうろうろしてたがやがて見えなくなった。
さて、最後に、二人の親ゆっくりだけど…よし、特別に二匹にも逃げるチャンスをあげよう
「さ、じゃあ、残った方にもチャンスあげるよ」
「ゆっ、ゆっ、まりさをたすけてね!」
今、子まりさに俺がなにしたかは忘れたのかな…本当にばかだなぁ。
「れいむだよ、こんなぎゅうぎゅうのまりさはいきてるかちがないよ!」
「ゆっ! しかくいれいむにだっていきてるかちないよ!」
両方ない。
「じゃあ、お兄さんが戻ってきたときに一匹だけになったらそっちは助けてあげるよ」
そう言って部屋を出て行く。
今回は魅惑のケースから二匹とも出すことはない。
まりさは取れないしね。
そして俺はしばらく、この部屋に入ることもないだろう。
「ゆっゆっ! まりさはやくしんでね!」
「れいむがしんでね!」
二匹の罵倒の声が一週間ほど鳴り響き、最後にはどちらの声も聞こえなくなった。
最終更新:2009年02月11日 01:00