ゆっくりいじめ系643 ゆっくりのいる街4_1

fuku2103の続き。人物オリジナル注意

前回のあらすじ

ゆっくりできなくなっちゃった★

第四話「憎しみの炎(笑)終幕」



少年の家の上空を三匹のうーパックが旋回していた。
中にはまりさが二匹、ぱちゅりーが一匹。
しばらくすると少年が庭に出てきた。
少年は箱の中からゆっくりれいむを取り出し、庭に放つ。
れいむの体は遠目から見てもボロボロだった。
皮は垂れ、リボンはあちこちがちぎれ、頭頂部には無数の釘が刺さり、底部は焼かれ、口には歯がなく、片目を失っていた。
うーパック内のぱちゅりー達はその惨状に涙した。
少年はムチのようなものを取り出し、れいむに叩きつける。
それを受けたれいむは必死に這って動いていた。無理矢理マラソンさせているのである。
その様子を見ていたゆっくり達はこう思った。

(れいむをあのにんげんからたすけよう!!!)
(れいむをゆっくりさせてあげよう!!!)

その決意を胸にうーパック達は森へ帰ろうと進路を向けた。が
ただ一匹ぱちゅりーはもう少しだけ様子を見ようとしていた。


俺は昨日から朝早くにれいむを庭で無理矢理はいずり回らせている。
理由なくやらせているわけではない。でも今は秘密だ。
這うのをやめた瞬間俺はムチをれいむの体に走らせる。

「ゆぴゃっ!!!ひゃへへ!!!はひひはひゅうううううううう!!!」

歯がないのでわかりにくいが「やめて!!!はしりますうううううううう!!!」と言っているのだろう。
これくらいなら歯医者じゃなくともわかる。

「おにーちゃーん!」

隣のあの子の声だ。ラジオ体操の帰りなのだろう。
慌ててれいむを縁側の下に蹴っ飛ばす。

「おにーちゃん、なにしてるの?それなーに?」

やべ!ムチ持ったままだった…

「に…にしおかすみこのモノマネだよ!アーーーーーーーーーーーッ!!!」

「あーそっかあ!おにーちゃんじょうずー!」

我ながらナイスだ。
近所を通りかかった人達の視線が痛いが。


~~~~~~~~さかのぼること二日前~~~~~~~~


まりさはズタボロの体を引きずり、ある場所へ向かっていた。
それは、独り立ちする前日、母まりさから教えられていた場所だった。

「いい!!!まりさ!!!もしもほんとうにゆっくりできないときがきたら、もりのどすまりさにあいにいくんだよ!!!」
「どすまりさ???」

「とってもとってもゆっくりしておおきいまりさだよ!!!どすまりさならどんなゆっくりでもゆっくりさせてくれるよ!!!」
「ゆ?ほんとう???」

「でもほんとうにゆっくりできないとおもったときだからね!!!ゆっくりできるときはたよっちゃだめだよ!!!」
「わかったよ!!!まりさはれいむとゆっくりするよ!!!」

まりさは母親のいいつけを守り、れいむとひたすらゆっくりした。
だがもう一つのいいつけを破り、人里に降りてしまった。
まりさとれいむはその人間をゆっくりさせてあげようとしたが、その人間はゆっくりできなかった。
狭い箱に閉じこめられ、家族は殺されおうちも失い、せっかく出来た子供達は皆殺しにされ、自分自身も酷い目に遭い、れいむはもっと酷い目に遭った上に人間に捕まった。
まりさはゆっくりできなくなった。
今まりさの中にあるのはれいむを助けたいこととあの人間に対する復讐心だけだった。
だからまりさはドスまりさに頼る道を選んだ。
まりさは自分がゆっくりできなくなったことをわかっていた。
だがドスまりさはどんなゆっくりでもゆっくりさせてくれる。その母親の言葉だけを信じ森を駆けるのであった。
しかし痛んだ体についに限界が訪れ、まりさは、森のど真ん中で気を失った。





「ゆ…………」
「ゆっ!!!まりさ!!!きがついたんだね!!!」

まりさが目を覚ますと、そこは見知らぬ洞窟の中だった。
目の前には、心配そうな、だが独特のふてぶてしい表情のれいむがそこにいた。

「れ、れいむっ!!!れいむううううう!!!」
「ゆっ!!!まりさ!!!まだうごいちゃだめだよ!!!ゆっくりおちついてね!!!」

まりさはれいむの姿を見るや飛びつこうとするが制止される。
やがて落ち着きを取り戻し、目の前のれいむが捕まったれいむと別ゆっくりであることに気付く。

「ゆ…れいむ、ここはどこなの…?」
「ここはどすまりさのかくれがだよ!!!まりさはもりのなかでたおれてたかられいむがはこんできたんだよ!!!」
「どすまりさの…」

まりさは倒れた時点で既にドスまりさのテリトリーに入っていたのだ。
そこで食料を集めていたれいむが偶然見つけ、今に至る。

「まりさ、ひどいけがしてるからいまはうごかないでね!!!でもみっかもすればもとどおりうごけるようになるってぱちぇがいってたからね!!!
 いまはゆっくりがまんして、ゆっくりげんきになってね!!!」
「うん…ゆっくりりかいしたよ…」

本音を言えばまりさはすぐにでも行動を起こしたかった。
だが今の痛みきった体のままでは復讐などとてもできたものではない。
まりさは素直にれいむの言う通り、自身の回復を待つことにした。
人間は「れいむは生かしておく」と言っていたし、何よりこのれいむにはあのれいむの面影があったからだ。
…この期に及んで人間の言うことを信じるあたりやはり餡子脳と言ったところか。

「ゆ…ううううぅぅうぅぅう……」
「いだいよぉおおおぉおぉおぉぉ………」
「ぐるじいよおおぉぉぉぉぉおぉお……」
「むぎゅううぅぅううぅぅうぅぅぅ………」
「ごのままじんじゃうんだね、わがるよ………」
「そんなこといっちゃだめだよ!!!きっとたすかるよ!!!ゆっくりがんばってね!!!」

よく周りを見渡してみると、そこには自分と同じ、もしくはそれ以上の大怪我を負ったゆっくりたちが呻き声を上げており、
それを必死に看護する元気なゆっくりたちの姿があった。
さながら戦時病棟のようである。

「むきゅ……も……だ…め…」
「ぱちぇ!!!ゆっくりがんばってね!!!がんばればきっとゆっくりできるよ!!!」
「ま……りさ……ごめ……むきゅー」
「ぱちぇえ゛え゛え゛ええ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇ゛ぇ゛え゛えぇ゛え゛ぇえ゛え!!!」

体の半分近くを失っていたぱちゅりーが今息を引き取った。
ぱちゅりーにしてはよく持った方であろう。それはひとえにゆっくりたちの必死の看護の賜物である。

「ゆ……れいむ……みんなどうしたの?なんだかゆっくりできてないよ……」
「あのみんなはね、にんげんにひどいめにあわされたかわいそうなゆっくりたちだよ!!!ここはそんなゆっくりをゆっくりさせてあげるためのへやなんだよ!!!」

まりさは激怒し、悲しんだ。
自分達と同じ境遇の持ち主がこんなにたくさんいたとは。やはり人間は忌むべき存在だと。

「にんげんはほんとにゆっくりできないいきものだね!!!みんなしねばいいとおもうよ!!!」
「ゆっ!!!まりさ!!!そんなこといっちゃだめだよ!!!」
「どうして!!!みんなにんげんのせいでゆっくりできないんだよ!!!ゆっくりできないにんげんはみんなころせばいいんだよ!!!」
「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛ぉ゛お゛ぉぉ゛ぉ゛お゛おお゛!!!」

まりさとれいむはお互いの言うことが理解できなかった。
何故れいむはそこまで人間をかばうのか。
何故まりさはそこまで人間を殺そうとするのか。
全く理解できなかった。
二匹はお互いの事情を説明した。
まりさは自分たちが人間に受けた酷い仕打ちのこと。
れいむはゆっくりたちが人間に悪さをしたこと、その結果ゆっくりが迫害されたこと。
その他もろもろの事情をお互いに打ち明けた。

「だからしかたがないんだよ!!!これいじょうのひがいをださないためにもにんげんにてをだしちゃだめだよ!!!
 もしにんげんをころしちゃったりしたら、このさとがゆっくりできないってどすがいってたもん!!!」
「なにいってるの!!!にんげんはゆっくりできないやつなんだよ!!!おもいしらせてやらなくちゃだめなんだよ!!!
 しかえしされるのがいやならにんげんをみんなころしちゃえばいいんだよ!!!」

もはや「あの」まりさと同一人物とは思えぬ憎しみに満ちた発言。
平和的解決を望むれいむ達ドスサイドと人間達への制裁を望むまりさ。
まりさの不満が爆発し、れいむにこう言い放った。

「じゃあそのどすまりさにあわせてよ!!!したっぱれいむじゃはなしにならないよ!!!
 どすまりさににんげんがどれほどおそろしいかおしえればきっとわかってくれるよ!!!」
「ゆううぅうぅ……わかったよ!!!じゃあどすまりさにあわせてあげるよ!!!
 でもどすはきっとみんながゆっくりできないことにさんせいなんてしてくれないよ!!!」

簡単に折れたれいむはボロボロのまりさを丁重にドスまりさの間へと案内した。
ドスまりさは基本的にオープンなので、誰でも謁見できるのだ。

『ゆっ!!!まりさ!!!きがついたんだね!!!よかったね!!!これからはまりさのさとでゆっくりしていってね!!!』

「ゆ…ゆ…ゆっ……!!!」

まりさはドスまりさの大きさにただただ驚愕するしかなかった。あの人間より遙かに大きい。これなら人間に勝てるに違いない。
そう餡子が回ったまりさはすぐさまドスまりさに自分の事情を話した。

『ゆううう…!!!それはつらいめにあったんだね…!!!かわいそうに…!!!』

それを聞いたドスまりさは自分のことのように悲しみ、滝のような涙を流した。

「まりさはれいむをとりかえしてにんげんをころしてやりたいんだよ!!!ゆっくりちからをかしてね!!!」

『な゛に゛い゛っでる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛おお゛ぉ゛ぉお゛ぉぉ゛ぉお゛おお゛ぉ゛ぉぉお゛お゛おお゛!!!』

ドスまりさは絶叫した。
このまりさは何を言っているのだ。「人間を殺す」?
そんなことをすれば他の人間によって報復を受け、平和にゆっくりしていたゆっくりは皆殺しにされてしまうだろう。
ゆっくりたちが真にゆっくりできることを望むドスまりさにはそんな考えは理解できなかった。

『にんげんをころしちゃったらゆっくりできないよおおおおお!!!ゆっくりりかいしてね!!!』

「だったらしかえしされないようににんげんをみんなころせばいいんだよ!!!そっちこそゆっくりりかいしてね!!!」

「むきゅー。どす。このまりさはきっとくわしいじじょうをしらないのよ。ゆっくりせつめいしてあげればわかってくれるわ」
ドスまりさの脇からまりさより一回り程大きいぱちゅりーが呟いた。
このぱちゅりーは里の知恵袋としてドスまりさの片腕を担っている。

『そ、そうだね……まりさ、おねがいだからゆっくりきいてね!!!まりさたちがゆっくりできるためのだいじなおはなしだからね!!!』

「ゆ…わかったよ!!!ゆっくりきいてあげるね!!!でもまりさのかんがえはかわらないよ!!!」
「自分達がゆっくりするため」の話なのでまりさは仕方なく聞いてやることにした。

ドスまりさは自分達の事情を話した。
まずは、自身の強さだ。ドスまりさの戦闘力は人間よりも上である。まともにやり合えば人間だろうと簡単に殺してしまえる。
それを聞いたまりさは歓喜した。それならあの人間を殺すことができると。
その後、ドスまりさは何故それほどの力を持ちながら人間に手を出さないのかを説明した。
先程も言ったことだが、人間を殺せば当然その他の人間は黙っていない。
集団でこの一帯のゆっくりを皆殺しにするだろう。
まりさは人間に勝てるなら返り討ちにすればいいと言ったが
集団でかかられればドスと言えど勝ち目がないことを教えた。
以前に集団で襲いかかられ滅ぼされたドスの里があるということも教えた。このドスの里には、その里の生き残りのゆっくりが何匹かいるのだ。
その本人達の話も聞き、まりさは理解したようだった。
一通り話し終え、まりさは言葉を発した。

「ゆっくりりかいしたよ、でもまりさはれいむをたすけたいよ、あのにんげんもころしてやりたいよ。
 それさえできればまりさはゆっくりできるよ」

『ゆううぅぅぅうぅぅうううぅ………』

まりさはドスまりさの話が理解できなかったわけではない。ただれいむを助けたい、あの人間を殺してやりたいだけなのだ。
それだけは絶対に譲れなかった。

「むきゅー。どす。ならばようすをみてみましょう。そのにんげんがほんとうにせいさいすべきかどうかたしかめるの。
 そのあとどうするかきめればいいわ。それにもしかしたらすきをみてれいむをたすけてあげられるかもしれない」
悩むドスに助言を与えるぱちゅりー。この「制裁」とは「殺す」という意味が含まれているが
野蛮な言葉を嫌うぱちゅりーは「殺す」という単語を使いたくなかった。

『ゆ…!!!そうだね!!!
 まりさ!!!よくきいてね!!!いまからそのにんげんのおうちのちかくに「てーさつぶたい」をおくるよ!!!
 そのこたちにようすをみにいってもらうよ!!!そのにんげんをその…ころすかどうかはそのあときめてね!!!
 もしかしたられいむもたすけてあげられるかもしれないよ!!!』

「ゆ……!ほんとう!!!ゆっくりおねがいするよ!!!」

まりさはその意見に賛成した。「様子を見る」ことには不満があったが「れいむが助かるかもしれない」ことを聞き、期待することにした。
まりさはその人間と家の特徴を覚えている限り教えた。
それを聞いたドスとぱちゅりーは偵察部隊…別のぱちゅりーとまりさ二匹を呼び、すぐに発つよう伝えた。
移動には雇われうーパックに報酬を払う必要があったが、まりさに「うーパックが五匹殺された」ことを聞かされ、タダで乗せてくれることになった。

そして現在に至るのである。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(ここででていってもゆっくりところされちゃう!!!)
隙を見てれいむを助けだそうとしたぱちゅりー達だが、常に近くにはあの少年がいる。
隙など見あたらなかった。

「むきゅー。でもだいたいのじじょうははあくできたわ。どすのもとにかえりましょう」
「「「うー!!!うー!!!」」」
「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」

他のゆっくりに帰還する旨を伝え、再び庭を見下ろすぱちゅりー。
その時だった。

「むきゅ!?」

庭で少女と話していた少年と目が合った……気がした。

(ど、どうして!?……いいえ、きっとぐうぜんだわ。むきゅー)

自問自答したぱちゅりーはうーパックに指示し、森へと帰って行った。
気づかれないように距離と高度にはちゃんと気を配っている。気づかれるはずがない…そう思った。


「おにーちゃん、どうしたの?おそらになにかあるの?」
「ううん。なんでもないよ。そろそろおうちに帰んな。姉ちゃんが朝飯用意して待ってるぞ」
「そうだね。じゃあまたね、おにーちゃん」


「……………………」













ドスの隠れ家に帰ったぱちゅりー達は少年の家で見たことを全て話した。
まりさはれいむを助けられなかったことに落胆したものの、れいむがまだ生きていたことに安堵した。
それを聞いたドスまりさは考え事をしながら、こう言った。

『ぱちゅりー、そのにんげんの「にんそうがき」をかいてね!!!そのにんげんがなにものかかくにんしたいよ!!!』

「むきゅー。わかりましたわ、どす」

ドスまりさは偵察ぱちゅりーに「人相書き」を描くように指示した。
事情を聞いて、それほどの酷い仕打ちをした人間が何者なのか確かめたかったからだ。それには理由がある。

「むきゅー。かけましたわ」

『どう?ぱちぇ』
「ぱちぇ」とは片腕のぱちゅりーのことである。「ぱちぇ」は最も親しいぱちゅりーに対する呼称なのだ。

「むきゅううううううん!!!まちがいないわ!!!「ひゆっくリスト」なんばー6!!!「ありすごろし」といっちしてるわ!!!」

「「「な、なんだってー!!!」」」

非ゆっくリスト―
それは呼んで字の如く「ゆっくりできなくなる」人間のいわゆるブラックリストである。
人相書きはどいつもこいつも子供のラクガキ以下で人間には判別不可能だが、ゆっくりにはわかるようだ。
ドスまりさの里ではゆっくりがゆっくりできるために気を付けるべきの存在のリストを作る傾向がある。
非ゆっくリストのナンバーは危険度により序列されており、少年は6番目に危ない人間として認識されている。
「ありす殺し」というのは少年がゆっくりありすを中心に虐殺を行っていることから名付けられた。
ある時は道ばたでれいむとすっきりしていたありすを殺し、ついでにれいむも殺した。
ある時は集団でとかいは(笑)を気取っていたありすを虐待し、見せ物のごとく磔にされた。
ある時はまりさ一家を集団レイプしていたありすを焼き殺し、とばっちりを受けまりさ一家も全滅した。
ある時はぱちゅりーと本気で愛し合っていたありすをぱちゅりーの目の前でむごたらしく殺した。ぱちゅりーはむきゅむきゅうるさいので殺した。
気がついた時にはこの町一帯からありすが消えていた。
故に少年は「ありす殺し」として恐れられている。
もっと恐ろしいのはこの町にはその少年を上回る虐待派がまだ五人もいることである。

『ゆううぅうぅうう…やっぱり……』

ドスまりさは「そんな気がしていた」といった感じで溜息をついた。

「やっぱりあいつはゆっくりできないんだよ!!!ころしてやろうよ!!!」

ドスまりさはこれまで、「非ゆっくリスト」に乗っている危険人物達に自ら「交渉」していた。
「ゆっくりをゆっくりさせてあげてほしい。わるさをしたゆっくりはどうしてもいい。でもゆっくりしてるだけのゆっくりはゆっくりさせてあげてね」
そう言うと人間たちはみな首を縦に振った。目の前の巨大なドスまりさが怖かったからだ。
だが、リストの1番から10番までの人間たちは虐待派としての「格」が違った。
何人かと交渉してみたが全て破られてしまった。だからトップ10の人間には特に関わらないように注意していた。
ちなみにトップ10の中にはドスまりさを恐れている者も少なくはない。だからあちらからドスの里に直接手を出してくることはなかった。
ドスまりさは考えていた。「まりさとれいむをゆっくりさせてあげる方法」を。
そして、長い思考の後、一つの答えを導き出した。

『…わかったよ!!!そのにんげんに「せいさい」をくわえることをきょかするよ!!!
 でもあいてはとっぷ10だからね!!!ゆっくりさくせんをたててからじっこうしようね!!!
 ほかのにんげんにばれないようにきをつけることもかんがえようね!!!』

「ゆっくりりかいしてくれてありがとう!!!そのときにそなえてゆっくりからだをなおすね!!!」

そう言ってまりさは病室へと戻っていった。

「…いいの?どす。にんげんにたたかいをいどむなんて。いままでにきずいてきたすべてがパーになるかもしれないのよ」

『しかたないよ!!!そうでもしないとまりさとれいむがゆっくりできないよ!!!まりさはゆっくりみんなにゆっくりしてほしいだけだよ!!!
 だいじょうぶ!!!ばれないようにころせばやりかえされないよ!!!うまくいけばみんなもっとゆっくりできるよ!!!』

「むきゅー。そうね」

ドスまりさが人間に手を出さないのは「ゆっくりがゆっくりできなくなるから」だ。
その為に人間達と安定した関係を築いてきた。
真にゆっくりしたいゆっくりは人間に近づかず、悪さをするゆっくりは制裁を受けた。悪いゆっくりはドスから見ればゆっくりできていない。殺されても仕方がないのだ。
だがあのまりさは「悪いゆっくり」ではない。真にゆっくりした結果人間に酷い仕打ちを受けた可哀想なゆっくりだった。
ドスまりさはまりさをゆっくりさせてあげたかった。その為に人間を殺すことを選んだ。
反対する者はいなかった。みな同じ気持ちだったから。

(れいむをあのにんげんからたすけよう!!!)
(まりさとれいむをゆっくりさせてあげよう!!!)

ドスの里数千匹のゆっくりの心が今、一つになった。
ゆっくりたちはたった二匹の仲間をゆっくりさせてあげたい一心で、命を賭けて戦う決意をした。






戦いの準備をするために、偵察部隊は三日かけて少年を監視し、調査し続けた。
その甲斐あってか、少年は一日に一回決まった時間に人気の無い草原でれいむを枕にして昼寝をしていることがわかった。
その隙にれいむを取り返そうと考えていたが、たった六匹(うーパック含む)で向かっていってもすぐに察知され全滅させられてしまう恐れがあった。
その話を聞いたドスまりさと片腕ぱちゅりーら首脳陣は次の日の同じ時間に作戦を決行することを告げた。
その時ならば他の人間に見つからないし、何より少年が一番油断している時だと考えたからだ。

決行前夜、片腕ぱちゅりーから当日の作戦をゆっくりしっかり伝えられた。
それを全てゆっくり理解した里のゆっくりたちはいつもより多くの食料を用意し晩餐会を開いた。
明日の活力をつけるためと、あまりにも完璧すぎるぱちゅりーの作戦を聞いて勝利を確信し、気の早い祝勝会といったところだ。







「ねえ、おにーちゃん」
「何だい」

俺は隣の家の縁側で女の子と一緒にこの子の姉の切ったスイカを食べている。
お呼ばれされたから来たまでだ。そうじゃなかったらわざわざ夜に外に出たりしない。

「どうしてゆっくりはわるいことするのかな」
「いきなりどうしたんだよ。そんなこと聞いて」
「おねーちゃんとおかいものにいったときにみたんだよ。おさかなくわえたゆっくりがさかなやさんとおいかけっこしてたの」
「それはひどい」
「それだけじゃないよ。たくさんのゆっくりがやおやさんのおやさいみんなたべちゃったの」
「最低だな」
「まえのちぇんだってそうだよ。おうちにはいってきたゆっくりのせいでおほしさまになっちゃった」
…この子が今飼っているちぇんは二代目なのだ。
前のちぇんは留守中に進入した「ゆっくりずむ」なれいむとまりさに殺された。
その二匹は俺が裏でこれ以上ない程の苦しみを与え殺してやった。
そしてちぇんを失ったこの子の悲しみを紛らわすため当時虐待用として飼っていたちぇんを修理し、譲ってあげた。
ちなみにそのちぇんは中のチョコクリームを少し入れ替えたため、俺のことは忘れてしまっている。
「だからね、いつもおもうの。なんでゆっくりはわるいことするのかなって」
「ちぇんはどうなんだ?」
「ちぇんはいいこだよ」
今のも前のも元々ブリーダーに育てられていたヤツだ。当然だろう。
…だが、そうでないゆっくりはどうだ。
この子の大事なちぇんを殺し、他人の家に上がり込み食い物を要求、店の食べ物は平気で盗む、人間にゆっくりを強要する、騒音を出す、ウザい、キモい、ムカつく。
どう考えても害悪でしかない。世の中にはそれらを愛でる愛護団体などというものも存在する。はっきり言って頭がおかしいとしか思えない。

「それはゆっくりが自分のことしか考えてないからだよ」
「?」
「人間だってそうさ。自分のことしか考えてない奴は嫌われるんだ。他人に好かれたかったら、相手のことを理解してあげなくちゃいけない
 ゆっくりはそんな考えができないから、人間から見て悪いことをするんだよ。しかもそれを悪いこととは思っちゃいないんだ」
「でも、ちぇんみたいないいこもいるよ」
「それは人間が必死に教え込んだからだよ。それでもいい子にならないゆっくりの方がずっと多いんだ」
「そう、なんだ…」
「君はゆっくりが好きなんだね」
「いいこはすきだよ。でもわるいこはきらい。ちぇんをいじめたもん」
「そうだね、みんないい子だったらいいのにね」
本当にそうだよな…性格と、あのツラと、言葉遣いと、デカい声がなけりゃな…


ゆっくりはゆっくりすることを求める饅頭だ。
他人がゆっくりできれば自分もゆっくりできる。そう考えている。
だから他人を「ゆっくりさせてあげる」のだ。
そう、全ては「自分がゆっくりするため」。
ゆっくり同士ならそれで「しあわせ~♪」になるが、人間からすれば煩わしいだけである。
故にゆっくりと人間は決して相容れない存在なのである


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  • 本家の霊夢と霧雨魔理沙の性格を組み込んだらもっとマシになるよ。 -- (名無し) 2016-11-24 22:22:56

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最終更新:2023年12月15日 14:39
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