舞台が幻想郷なのか現代なのかよくわからん。
間接ゆっくりいじめ。
「はーやっと家に着いた疲れた疲れた」
お兄さんの帰宅。
「こんな日はやっぱりアレに限るな」
ある部屋に向かうお兄さん。ドアを開けるとそこは!!
いろいろな高級機器を備えたオーディオルームでした。
「こんな酷い疲れもここで音楽でも聞けばすぐすっきりーだよ」
普通の人なら疲れてるのにわざわざゆっくり虐待なんてすると思いますか?
このお兄さんは虐待お兄さんではなくオーディオお兄さんなのでした。
「ん?」
奇妙な紅白饅頭がお兄さんの視界に入りました。
「ゆっ?おにいさんだれ!?」
「なんでゆっくりがこんな所にいるんだ?まあいいや」
お兄さんは無視して機械のスイッチを入れます。
「お前もたまには音楽でも聴くといいさ」
スピーカーからクラシック音楽が流れ出しました。
「うむ・・・やっぱり良いものだな・・・」
椅子に腰掛け、静かに音楽を鑑賞するお兄さん。
「ゆゆっ!なにかきこえてきたよ!!」
「きれいなおうただね!でもれいむはもっとじょうずだよ!!」
対照的に騒がしいれいむ。
(歌じゃないだろ楽器だよこれは。黙って聞いとけ)
お兄さんはあまり快く思いません。
「いっしょにうたうとたのしいよ!ゆーゆーゆぅー!ゆゆゆゆゅー!」
「ゆーゆーっくりー!してーいってねー!!!」
ついに曲に合わせて歌い出したれいむ。
(やかましいな・・・しかも音程もリズムも滅茶苦茶じゃねえか、関係ない歌歌ってた方がマシだよ・・・音量上げたれ)
カチッと音量調整。
「ゆーゆーゆ・・・・・・・・・・・・」
(よし、聞こえなくなったな)
「・・・・・・・!」(ゆっ!?きゅうにおとがおおきくなったよ!!)
「・・・・・・!!」(これじゃうたえないよ!!ゆっくりすこししずかにしてね!!!)
れいむは不満を訴えますが、お兄さんには聞こえません。しかもお兄さんはれいむには一瞥もくれません。
「・・・・・・・!?」(なんでれいむのいうこときいてくれないの!?きこえてないの!?)
「・・・・・・・・・!!?」(もしかしてなにいってるのかわかってないの?ばかなの!?しぬの!?)
もし聞こえていたら即死級の言葉を吐くれいむ。
「・・・・・・・・・!!!」(どうじでいうごどぎいでぐれないのおおおお!?)
そうこうしているうちに全ての曲の再生が終わりました。
「ゆっ!!やっとれいむのいうことがわかってくれたんだね!!」
れいむは体を膨らませて不満を顕わにしています。
「じゃあ次は・・・これにしよう」
オーディオお兄さんはれいむのことを気にも留めずに次のCDを再生しました。
今度は懐かしのロックンロールです。
「やはりビートルズは素晴らしいな」
「・・・・・・・!」(ゆっ!かっこいいおうただね!でもやっぱりうるさいよ!!)
「・・・・・・・・!!」(ゆっくりしずかにしてね!!これじゃうたえないよ!!!)
「・・・・・・・・!!!」(おうたうたいたいよおおおおおおお!!!)
歌わせないために音量上げてるんだから仕方ない。
「・・・・・・・・!!!」(いうこときいてくれたからゆるしてあげようとおもったのに!わからないおにいさんはゆっくりしね!!!)
お兄さんに飛びかかるれいむ。
「なんだ?この曲は気に入らないのか?でも今いいとこだからこの中でゆっくりしててね!!」
「・・・!!」(むぎゅ!!)
お兄さんはれいむをその辺に置いてあった箱に入れました。
ちなみにこの箱は虐待用ではないもののかなり丈夫で簡単には壊せません。
「・・・・!!」(ゆーっ!!せまいよ!!ゆっくりだしてね!!)
れいむにとってはたまった物ではありません。
「・・・・・・・!?」(どうしてれいむにうだわぜでぐれないのおおおおお!?)
とうとう泣き出してしまいました。
そのうちにこのCDの再生も終わりました。
「さて、次はどうしようか・・・」
「だじでよおおおおおお!!」
「あ!ごめんすっかり忘れてたよ」
お兄さんに箱から取り出されるれいむ。
「もう!!れいむにうたわせずにあんなところにいれるなんてひどいよ!!ぷんぷん!」
再び膨らむれいむ。
「気を取り直して次は・・・速いのがいいかな」
「ゆっ!こんどはれいむにもうたわせてね!!」
しかしお兄さんにはれいむの言うことなど耳に入っていません。
「よし!これだ!!」
CDの再生が始まります。
「ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ!!!」
「!!!!!」
「うん、たまにはメロスピもいいじゃないか」
しかしれいむは唐突に聞こえてきた高速のギターにショックを受けています。
「・・・・・!!」(なにこれ!?ぜんぜんゆっくりしてないよ!!!)
「ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ!!」
「このドラムが堪らないね」
「・・・・・・!!!」(いやああああああ!!ゆっぐりできないいいい!!)
「・・・・・・・・!!」(おにいざあああああああん!!ばやぐどめでえええええええええ!!)
苦しげな表情をするれいむ。しかしお兄さんにはさっぱり伝わりません。
「・・・・・・・・・!!」(ゆぎぎぎぎぎぎ・・・!!こんなのきいていられるなんてにんげんってやっぱりゆっくりできないんだね!!!)
まあ人間でも好みが別れます。
「・・・・・・・・・・!!!」(ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!)
ついにれいむは餡子を口の端からこぼし始めました。
でもまだまだ終わりません。
「・・・!」(ゆ゙っ!ゆ゙っ!)
CDの再生が終わったときれいむは息も絶え絶えな状態でした。
体中から体液を垂れ流し、かなり弱っています。
「もうやだ・・・・おうちかえる・・・!!」
精一杯の力を振り絞ってお兄さんに叫びます。
「よっしゃ!次はグラインドコアだ!!」
やっぱりお兄さんは聞いちゃいませんでした。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」
無情にも機械に飲み込まれてゆくCDを見てれいむは絶望の呻き声を上げました。
「ウヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「ドドドドドドドドドドドドトドドドドドドドドド゙ドドドドド!!!!」
BPM300超えの衝撃がれいむを襲います。
「・・・・・・・・・・・・・・!!!!」(ゆ゙っっぎゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!)
れいむは白目を剥き、口から餡子を吹き出しました。
そのうちれいむには昔の記憶が見えてきました。
自分が蔦にいたころにおかあさんが歌ったあの歌のこと。
姉妹みんなで歌ったこと。
群れのみんなに歌をほめられた事。
仲良くなったまりさと一緒に歌ったあの歌のこと。
まりさの子供を宿し、ゆっくり産まれておいでと歌ったこと。
れみりやに襲われて一人だけ生き残ってしまい、悲しみの中で鎮魂歌を歌ったこと。
「・・・・・・・・・・!」(もっと・・・ゆっくりうたいたかったよ・・・!!!)
「ん?」
「なんだこんなところで勝手に死ぬなよ・・・つくづく勝手な饅頭だな・・・」
ゆっくりの歌姫は人間の音楽には勝てませんでした。
オーディオお兄さんマジ鬼畜。しかも音楽的に雑食。
基本的に一般人にはゆっくりなんて生きてても死んでてもどうでもいいような存在なんでしょうね。
大音量ネタはたまに見るけど高速曲聴かせてゆっくりできないいいいは無かったんじゃないかと。
外傷を与えずに手早く衰弱させたいときにはいいかもね。
餡子クチュクチュの人がお送りしました
最終更新:2008年09月14日 08:27