屋上のゆっくり

●寒さとの戦いの続きですが、特に前作を読む必要はありません。
●現代物です。




お兄さんは悩んでいました。
先日の大型冷蔵庫によるゆっくり軟禁実験は予想外に短期間でゆっくり達が自滅してしまったため、暇が余ってしまったのです。
ゆっくりが自滅する様を見るのは、大変楽しいとはいえ、今少し長く楽しみたい。
与えた環境が過酷過ぎたなら、少々緩和してみようと。
「ゆっくりだすんだぜー!」
「わからないよー。」
「むきゅー。」
やいのやいのと騒ぐゆっくり達。
今回はペットショップで買って来た餌用ゆっくり(三匹セット200円)
小動物用に子ゆっくりサイズで成長が止まる加工がされているものを屋上の高架水槽のフロアに離します。
「さて、君達にはここで暮らしてもらいます。」
周囲はビューという風の音がなり響く、ゆっくり達にとって、過酷な環境です。
強い風はゆっくり出来ない音を出しますし、体を冷やします。
最悪、飾りが飛びかねません。
「むきゅー、かぜさんがつよすぎでゆっくりできないわ。」
ばたばたと三匹の髪飾りが風に揺れています。
「かぜさんはゆっくりできないんだね。わかるよー。」


「じじいははやく、ここからまりさたちをだすんだせ!」
お兄さんは冷笑を浮かべながら、宣言しました。
「断る。お前達は子孫に至るまで、ここで死ぬ。変更はない。」
「「「どぼぢでぞんなごどいうの゛ぉぉ!」」」
嘆き騒ぐゆっくり達を尻目に、お兄さんは雑草だらけとなったプランターをしっかり固定して高架水槽の周りに小さな草原を作ります。
プランターの下の湿った場所にはダンゴムシなどのゆっくりの好物の虫を、高架水槽の隙間には防水加工したゆっくり達の巣箱を三つはめ込みます。
「では、食うものも住み家も用意した。後は達者でくらせ。」
「「ゆべっ!!!」」ゆっくり達はフロアの床に転がされ、プランターにぶつかったところで止まります。
「ゆっゆっゆっ」
「ひどいめにあったんだねー。わかるよー。」
ぴくぴくと痙攣しながら気絶しているゆっくりぱちゅりーを介抱するように、用意された巣箱にちぇんは運んでいきます。
しっかり固定された発泡スチロール製の巣箱はソフトボール程度の大きさしかないこの種のゆっくり達にとってだいぶ大きなおうちでした。
「さむいのぜ;ゆっくりできないんだぜ」

屋上は地上五階部分。普段住んでいる場所と違い、常時強風が吹き荒れます。
「おぼうしさんがとばされないようにしなきゃだぜ」
ソフトボール大のまりさはゆっくりハウスの中で呟きます。
お兄さんが用意した草や虫、ゆっくりフードを一日一定数供給するえさ箱など、食べるには困らない環境です。
しかし、ほぼ観察するのみとはいえ、虐待お兄さんが用意したものです。仕掛けはゆっくりと動いています。
その日の夜
「なんでなのぜー!」
「わからないよぉー!」
寝ているぱちゅりー以外の二匹の叫び声が響きます。
「むきゅ・・・どぼじであがぢゃんできてるのぉぉ」
ちぇんのお腹は二倍程に膨れあがり、中で赤ゆっくりがぴくぴくと動いているのが薄い皮越しに見えます。
お兄さんが残した餌さ箱の餌は低確率でゆっくりをにんしんっさせる効果があるためです。
「ゆっ!うばれるんだねぇ。わがるよぉ!」ぽんぽんぽんっと、ゆっくりちぇんの赤ゆっくりが三匹産まれます。
「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!!」
「ちぇんの赤ちゃんとってもゆっくりしてるよー。わかるよぉぉ。」
「むきゅ、このこたちのえさはどうするの?」
「ゆっ!」

ぱちゅりーの言う通りこの屋上にある餌は三匹のゆっくりが暮らす分には不足ありません。
逆に言えば、増えたゆっくりに回せる余裕はないのです。
しかも、餌さ箱の餌はにんしんっを促進させるもの・・・
記憶力がいいぱちゅりーはお兄さんが言った言葉を思い出しました
「子孫に至るまでここから出れない。」
「むきゅっ!ぱたっ。」
ゆっくり出来ない想像をして、ぱちゅりーは失神しました。
「意外に頭がいいぱちゅりーだな。餌さ用にもたまには当たりがあるのかね?」
次の朝、様子を見にきたお兄さんは、ぱちゅりーとちぇんの会話を聴きながら、そう評します。
「どぼじて、ぞんなごというのぉ!」
「わきゃらにゃぃよぉー!!!」
「むきゅ!これいじょう、あかちゃんがふえたら、みんなゆっくりできなくなるわ!」
「あかちゃんはゆっくりできるでしょー!わからないよー。」
早くもプランターの下の虫は全滅状態のようです。
赤ゆは只でさえ燃費が悪いのに、ゆっくり的には美味しい虫を食べさせ続けた結果がこれです。
餌箱も一週間もしたら餌が尽きます。
「そうしたら、こいつらはどうなるか・・・今から楽しみだ。」

そして一週間後。
お仕事が終わったお兄さんは、ゆっくり達を確認に屋上に上ります。
ここ一週間、納品続きでさっぱり確認できなかったからです。
「「「ゆぎゃー!」」」
「お、やってる。やってる。」
そこには、殆んどの草が食い尽されたプランター。
あちこちがかじられた巣箱、そして、共食いしはじめた赤ゆっくり達。
「やっぱり、うまれたてはさいこうなのぜ。」
自分の赤ゆを食べるまりさ、どうやら初期のゆっくりはこれしか生き残っていないようです。
他は
赤まりさ×20
赤ちぇん×10
赤ぱちゅりー×8
ちぇんやぱちゅりーの姿がないところを見ると、二匹とも巣箱の中でおたべなさいしたらしく、二つに割れたまんじゅうが入っていました。
赤ゆっくり達を生き残らせるために、自らを犠牲にしたのでしょう。
「ここにはぜったいいれにゃいわ!」
「たてきょもりだょー」
雑草の茎で入り口は塞がれています。ゆっくりのやることなので、隙間は空いていますが、外で共食いを始めたまりさが入れない程度の強度はあるようです。
「むーちゃ、むーちゃ、・・・ゆげぇ!!!」
巣箱の発泡スチロールの欠片を食べてあんこを吐いて死ぬもの。

そのあんこを美味しそうに食べる親まりさ。
最早、まとまった餌はぱちゅりー達の巣箱だった中にある親ゆっくり二匹の残骸くらいのものです。
「ゆっ!もう、あんこはたべあきたのぜ。」ぎろりと封鎖された巣箱を見る親まりさ。中には、生クリームの詰まった子パチュリー達と
チョコクリームの詰まった子ちぇんがいます。
「む~しゃ、む~しゃ 、それなりー。」
「ゆが~ん!!まりしゃはゆっくちできないよ!!」
「むきゅ!みんなでたたかえばかてるわ!」「わきゃるよー!とちゅげきにゃんだにぇー」
わらわらと出てくる赤ゆっくり達。普通なら成体ゆっくりと赤ゆっくりでは勝負になりません。
ですが、子ゆっくりサイズまでにしかならない品種改良を受けたまりさには、意外に多数の赤ゆっくりが突っ込んで来るのは効果がありました。
「ゆ!こなまいきなあかちゃんはしんでね!まりさのでぃなーに、ゆべべっ!!」
「ゆ!まじゅいおめめだにぇ!!」
「ゆべっ!わきゃらにゃいよー。ちぇんのあんよがー。」
「むきゃっ!ふまにゃいでー。ゆ゛っゆ゛っゅ゛ゅ゛ゅ゛っっ。」
次々に飛びかかる赤ちぇんや噛みつこうとして

赤ぱちゅりー。体のあちこちをえぐられ、噛み千切られながらも、赤ゆを食い殺し続ける親まりさ。
遂には親まりさの皮がずるりと千切れ、断末魔の悲鳴もあげることが出来ずに一塊のあんことなります。
「あーあ、遂に死んだか。追い詰められた結果は人もゆっくりも変わらんね。」
ぱちゅりー達の巣箱付近では、殆んどの赤ゆが死に絶え、後に残ったのは、赤ぱちゅりーと赤ちぇんが各1匹、赤まりさが三匹だけ。
大量の赤ゆと親まりさが永遠にゆっくりしてしまった結果、破滅的に悪化した食糧事情は回復しました。
「むーちゃ、むーちゃちあわちぇぇ!!!」「こにょあまあまさんはみんかまりさのものだぢぇ!」
「ちらにゃいじぇ、みんなまりしゃがたべるにょじぇ!!」
危機が去ったにも関わらず、醜い言い争いを続ける赤まりさ達。
対照的に仲間の過半を失った赤ぱちゅりー達はゆ~ゆ~と嘆きながら、巣箱に仲間の残骸を運び始めます。
かーかーかー。
「ゆっ!真っ黒さんがやってきたよ!!」
外にいて、あんこを食べ続けた赤まりさ達は飛んできたカラスを見ました。
「ゆっ!ゆっきゅりし、ゆぴっ!!」
「まりしゃのいもうとがー。

赤まりさの目を手早くカラスはえぐり、他の赤まりさの底部をつついて動けなくします。
「ゆっゆ゛っゆ゛っ」「いちゃいよぉ!おうちかえる!!」
「にゃんで、こんにゃ、ゆきゃー!!」
ぶちぶちと音を立てて赤まりさの体は縦に引き裂かれ、カラスはゆっくりと食べていきます。
害鳥扱いされているカラスも、ゆっくりを喰らう時だけは人間に邪魔されません。
動きがとれなくなった赤まりさ達は、時間をかけてついばまれ、生きながらにして原形を失なっていきます。
「もっぢょ・・・ゆっくち・・・」
ぐしゃりと舌を潰され最後に残った赤まりさはクチバシにくわえられ、カラスによってさらわれていきます。
「むきゅっ・・・おそとはゆっくりできないわ。」
「きょわいんだにぇ・・・わきゃったよー」二匹の赤ゆっくりは、小刻に震えながら、巣箱の中で赤まりさがばらばらにされる様を見ていました。
「ゆっくり出来ない環境にさらされ続けたゆっくりは餌があっても成長できないか。試して見るのも楽しそうだな。」
お兄さんはゆっくり屋上を後にします。
食べられ尽くされていたプランターには、ゆっくりと雑草が再び生え始めていました。
~~~~一ヶ月後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ようやく仕事を一段落させたお兄さんは、屋上のゆっくり達を思いだし、貯水タンクの辺りをみてみました。
ゆっくりしていってね!」
「ここはみんなのゆっくりぷれいすだよ。おにいさんもゆっくりしようね!!」
小さな赤ちぇんと赤ぱちゅりー二匹の他に、ねずみに相討ちになった状態で永遠にゆっくりしてしまっているちぇんと、食い殺されたぱちゅりーの残骸がありました。
「お前達はゆっくり出来ているのか?」
「むきゅ!!ゆっくりしているわ。おかあさんたちがえいえんにゆっくりしてもまもってくれたんだもの。」
「そのぶんまでゆっくりするんだよー。」
三世代目に入ったゆっくり達には既にこの小さな屋上以外の知識は消えているのでしょう。
「そんなお前達にあまあまをやろう。」
「むきゅ!おにいさんからものをもらうとゆっくりできないって、おかあさんにいわれたわ。」
「わかるよー。たべちゃいけないんだね。」

多少は教育を受けたのか、賢い個体になっているようです。
「まぁ、いい。食べたければ食べるがいいさ」
そっと、10円チョコを二つ置き、お兄さんはその場を後にしました。
        • その次の週、お菓子の甘味に負けた赤ゆっくり達が飢えて死んだのが、それとも耐えてゆっくりしてるのか・・・
箱の中の猫の生死を確認するように、屋上までやってきたお兄さん。
そこには少し予想と違った光景がありました。
「むきゅ・・・ゆっくりできないわ。」
「わかるよー・・・」げっそりしながら、ソフトボール程度の大きさになったゆっくりが二匹。
「何がそんなにゆっくり出来てないんだ?」足元には、先日おいた10円チョコが二つ。
「むきゅ!いいにおいがするのに、たべられないのはゆっくりできないわ!!」
「でも、いいにおいはゆっくりできるよー。それはわかるよー。」
二匹はゆっくりらしからぬ忍耐で食べるのを我慢している。食べたらゆっくり出来なくなるのが分かるのか、涙を流しながら見ているだけ。
「いいことを教えてやろう。そのあまあまは食べるとしあわせーになる代わり、他の食べ物は二度と食べられなくなるぞ。」
「「ゆ゛っ!!!。」」
ぱたっと二匹のゆっくりは巣箱の中で気絶したようです。
屋上のゆっくり達はようやく、餌が自給出来るようになったのに、今度はパンドラの箱を渡されたようなものでした。
いつまで我慢できるでしょうか?

続く?


後書き

屋上の貯水タンクのあるスペースは6畳くらいのサイズで、屋上の他のスペースとは一段高い位置にあります。
続きを書くとすれば、その後お菓子を巡るゆっくり達の対立物にするような感じですね。
本編は携帯で書いているので変な部分がありますが見逃してください。  orz


著:moltoke

これまで書いたの

ゆっくりいじめ系2263 ゆしるだー

ゆっくりいじめ系2357 寒さとの戦い


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最終更新:2022年05月19日 12:30