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鏡よ鏡 - (2016/08/08 (月) 02:11:17) の編集履歴(バックアップ)


3人が振り向いた先には、屋敷から出てきたと思しき男が目を押さえてうずくまっていた。
どうやら鏡の反射光がダイレクトに眼球を直撃したらしい。

「ただの篝火の反射のはずなのに……」
「……どうやら光を反射するときにその照度を異様に高める仕組みみたいね」

そんな馬鹿なと思われるかもしれないが、レプリカとはいえ神器なのでそういうこともあるのだ。神器には人智を超えた力が宿るものである。
だが、鏡の本当の力は別にあった。

「 I play baseball.Do you study English?(くそっ、なんだこれは。お前らは一体なんなんだ?)」
「何か言ってるわ」

と、男───佐伯航一郎の伯父が低く唸った。

「……あなたは結束する。と言ってます」
「え?」

口を開いたのはつばきだった。名門秀央高校生、多少の英語は聞き取れる。
ただし───

「He is my friend!She is not from America!(言葉が通じないのかジャップめ!くそっ、邪魔だ、どけ!)」
「同じ言語またはJAPPU私!KUSOは邪魔で、置く!と言ってます…!」
「……ちょっ、どういうことなの?」

───この時、神器である鏡の光を浴びたものは、その言葉が自然にエキサイト翻訳に20回ほどかけられるという呪いが発動していたのである。
これこそが鏡の本当の力であった。

「あたしにも何が何だか……!」
「I went to school yesterday!I can swim well!(俺はただそこの女といい思いをしようと思っただけなのに!どうなってるんだ!)」
「い、今のは?」
「そこの予想女性 自由に !なんとは起こるか!と言ってます!」

意味のわからない能力であるが、神器は人智を超えた力が宿るものであるので仕方ない。あとレプリカだし。

「とりあえず味方ではなさそうね……」
「……この男、狂人か?身体の表面だけ黒いしな、怪しいやつだ」

奴利が鋭く目を細め、一歩前に進み出る。それに対し、怯えた佐伯の伯父は手近にあった石やらを投げつけた。

「I do not like soccer!(近寄るな化け物め!)」
「おいお前、なんだか知らないが落ち着け。俺は───」

その時、悲劇は起こった。

「待って、奴利さ……!」

……奴利は殺人を犯したとはいえ、根からの悪人ではない。むしろ温厚な男であった。
佐伯の伯父に対しても、困惑しつつも錯乱する彼を止めようとしたのだ。

……ただ、その寛容な心とは裏腹に、彼の生まれ持った身体───巨大な壁、もしくは鉄板にも似たそのボディは、そこまで柔軟な動きができるわけではなかった。

だから、たまたまそこに転がっていた首狩り武者の鎧兜につまずいた時。

……彼は、傾いだ身体を立て直すことができなかった。


「あ」


グシャリ。


倒れ、地面にめり込んだ奴利の下で、次の瞬間───なんとも言えない音がした。




【佐伯航一郎の伯父@秘宝島殺人事件 死亡】

【一日目/黎明/巽家の屋敷前@飛騨からくり屋敷殺人事件】


【幽月来夢@露西亜人形殺人事件】
[状態]健康
[装備]大広間に並べられていた猟銃@秘宝島
[所持品]基本支給品一式、
[思考・行動]
基本:生き残りあわよくばお金を手に入れたい。
1:奴利とつばきを味方につけ生存確率を上げる。
2:他に協力的な人物を見つけたら仲間に引き入れたいが、敵対するものは射殺も止むなし。
[備考]
※参戦時期は想子さんに首絞められ意識を失ったとき
※高遠を匿うくらいの人なので大抵のことでは動揺しなさそう。

【奴利壁@金田一少年の怪奇事件簿】
[状態]健康、地面にめり込んでいる
[装備]妖刀毒蜂の脇差
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:生き残り脱出する。
1:脱出後幽月に匿ってもらうことを条件に協力。
[備考]
※参戦時期は話後逮捕されクレーンで連行される最中
※どうやら五里押重蔵を殺したのは「愛する女性」のためらしい。

【藤枝つばき@高遠少年の事件簿】
[状態]健康
[装備]魔神具レプリカ(矛欠品)@魔神遺跡
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:生き残り脱出したい。
1:なんかもうよくわからないけどとりあえず幽月たちと協力して生き残る道を探す。
2:霧島に出会ったらなぜ自分を殺そうとしたのか聞きたい。
[備考]
※参戦時期は霧島に首絞められた直後
※佐伯航一郎の伯父に狙われている。→事故、もしくは奴利のファインプレーにて回避。
※魔神具の鏡レプリカには反射光を異常に強める、かつ反射光の当たった者はその言葉が自然にエキサイト翻訳に20回ほどかけられるという呪いがかかるという力があるようです。
意思疎通ができなくなるので、使いようによっては有用かも。

さて、その頃───
鏡によって悩まされている人物が、もうひとりいた。

「……痛い……」

いや、鏡だけではない。彼は全身の痛みにも悩まされていた。
というのも、彼は現在急激な成長の真っ最中であったからだ。

(殺し合い……だって……?)

巌窟王、もとい狩谷純。
12年、大人の事情でアニメでは18年も、暗い洞窟の中に閉じ込められ、少年の身体のまま大人になってしまった男。
そんな彼の身体も、復讐劇の果てに高遠に負わされた傷の癒える頃、止まっていた時を刻み始めた。

(人の気配はしない……今のところは安全なのか?どちらにしろこの身体じゃ長くは移動できない……)

ただし、それはあまりにも急激であった。
その歪みは全身の痛み───成長痛となって、彼を苛んでいたのだ。

筆者は幸いにして経験がないが、少年期に急に背の伸びた男性読者諸賢はもしかしたらその痛みをご存知かも知れない。
その中にもしもめちゃくちゃ辛い思いをされた方がいたら申し訳ないが、通常の成長痛というのは主に夜間のみに発現する一過性のもので、そこまで重大な症状ではないらしい。

ただ、なんといっても彼はそれが12年ぶんであった。
チリも積もれば何とやら。今の狩谷はなんとか動けはするものの、その度に激痛を覚えるという、バトロワには不利すぎる状態だ。

(でも、ここに3日?……あの洞窟よりはマシだとしても……)

さらに不運は重なり───彼が足のつかない外国人に連れられてきたのは、見渡す限り鏡、鏡、鏡の鏡迷宮。
アトラクションとしてはともかく、3日間こもるには辛すぎる場所だ。

「……出口を探すしかないか……」

ただひとつ幸いなのは、あまりにイレギュラーな人生を送ってきた彼は、この不可解なバトロワという状況にあってもそれなりの冷静さを保っていた。
同じく急激な声変わりのため、かすれにかすれた声でつぶやき、新たなサバイバルを生き抜くために彼はよろよろと歩き始めた。


【一日目/黎明/鏡迷宮@鏡迷宮の殺人】

【狩谷純@金田一少年の決死行】
[状態]全身の成長痛、大声が出ない。思考は比較的冷静
[装備]ランダム支給品0~2
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:生き残り脱出したい。
1:とりあえず鏡迷宮から出たい。
[備考]
※参戦時期は事件後