「ああああああああああああああっ! 畜生っ! なんで僕がこんな目にいぃぃぃぃっ!」


フードを深く被った人形――少年ドールこと小森昌はヒステリック気味に喚き散らしながら、雨に打たれる市街地を歩いていた。
折角メビウスという理想郷にて、他者と隔絶された理想の生活を謳歌していたというのに、あの神子柴と名乗る老人のせいで意図せぬ外出を余儀なくされてしまい、彼は憤りを隠せないでいる。

少年ドールは今後の方針を考える。

フィルム越しで覗いた『彼』や『彼女』がその後どうなろうが知ったことではない。
むしろ、ここぞとばかりにイチャコラ見せつけやがって、「リア充共くたばれ」とさえ思っている。

兎にも角にも、まずは『森嶋帆高』を見つけ出そう。
早急に理想郷(メビウス)に戻るためには、不本意ではあるが神子柴の指示に従い、彼をさっさと捕縛さえしてしまえばよい。


「あーもう!!! 面倒くさい! 何で僕がこんな目に遭わなければならないんだぁッ!!!」

一通りの行動方針を定めた少年ドールは再び不満を吐き出して、歩を進めようとする。

その瞬間――。

ヒュンーーという風を切る音とともに、少年ドールは仰向けに倒れた。

「っつぅううう!!!」

雨水に滑って転んだかと思って、上体を起こそうとした矢先――。
ヒュンーー。

再度風を切る音を知覚して、直後に彼の視界はブラックアウトした。




【少年ドール@Caligula -カリギュラ- 死亡】



「死んだか……」

ビルの窓からターゲットが息絶えたのを確認すると、柊ナナはふぅと一息ついて、手にする狙撃銃を降ろし、窓を閉じる。

柊ナナの行動方針は明白である。
ナナは「人類の敵」根絶のための任務に戻らないといけない。
早急な帰還を目指すということであれば、『森嶋帆高』を見つけ出して始末すればよい。

その為には、志を同じくする他の参加者と協力するという選択肢も視野に入れているのだがーー最初に視認したフードを被った参加者は及第点には至らなかった。
元より殺し合いという異常事態の中で、往来であんな堂々と喚き散らすような人間に利用価値があるとは思えない。
むしろ足手纏いにすらなりえる。

ナナにとって、このゲームにおける他参加者は自身の帰還に影響はないので捨て置いても良かったのだが、まずは自身の戦力把握のためにも、彼には支給された狙撃銃の威力を試す的になってもらった。


「わたしは帰るーーそして、任務を全うしてみせる」


決意の言葉を漏らして、ナナはビル内の一室を跡にする。

その表情には一切の迷いはなく、彼女の佇まいは冷酷無比な暗殺者のそれであった、



【柊ナナ@無能なナナ】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品、L96AWS(残弾28)、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本方針:『森嶋帆高』を殺して早急に帰還する
1:『森嶋帆高』を探し出して殺す
2 : 他参加者に能力者が紛れているのであれば殺す
※少年ドールの死体と支給品は市街地に放置されています。
 ※参戦時期は少なくとも学園に転校以降してからとなります。具体的な参戦時期については後続の書き手様にお任せします。
最終更新:2021年01月21日 21:04