政治制度の移り変わり

地方分権

国家や社会集団でできるだけ中央から多くの権力を地方に分散する考え。中央集権と対する。

旧ユーゴスラビア

ユーゴスラビアではユーゴスラビア共産主義者同盟の書記長で元帥だったチトーの強力な指導の下に、ソ連とは異なる地方分権の政治が行われていた。

中央集権

国家や社会集団だできるだけ多くの権力を中央に集中する考え。地方分権と対する。

独裁政治、専制政治

国家権力が特定の機関や集団にあるもの。また、それにたいしての責任諮問機関が欠けた状態。個人にあるばあいは特に専制君主制とも言う。

開発独裁

植民地支配から解放された国々で多く見られる独裁。少数派の弾圧などを伴うことがある。
  • 韓国(南朝鮮)
韓国では1948年の成立後から1961年まで、李承晩の財閥主義や、腐敗した政治が特徴の独裁政治が行われており、アジア最貧国、また、朝鮮戦争後の急速な計画経済による北朝鮮の経済成長に抜かされつつあった。李承晩は民衆蜂起、革命で国外退去し、その後に成立した尹政権も上手く回らなかった。そこで、青年将校の朴正煕がクーデターを起こし、日本との関係強化と国交回復の日本からの経済協力金の経済投資や五ヵ年計画の策定など強力な指導力で「漢江の奇跡」とも呼ばれる経済発展を遂げた。彼の暗殺とその後の全斗煥政権成立、全斗煥政権の倒壊に至るまで、非常な経済発展を遂げ、北朝鮮と大きく差をつけたばかりか、アジアの主要な国の一つ、また、G20にもなっている。

  • シンガポール
1959年のイギリス連邦の自治国、1963年のマレーシア連邦参加、1965年の脱退と独立に至ってからは人民行動党のリークワンユー(李光輝)書記長の強烈な個性と指導力に基づいて工業化の推進が特徴の急速な国家建設を進め、1990年の退任までにアジア・世界を代表する先進工業国家へと押し上げた。

軍事独裁

軍隊によるクーデターを通じておこる独裁。日本でもかつて2.26事件時に青年将校がクーデターを画策していた。
  • タイ
タイでは度々クーデターが発生し、今もその状況にある。
  • ミャンマー
ミャンマーでも度々クーデターが発生、民主活動家で国家顧問だったアウンサンスーチーを逮捕し、人々に流血を伴う弾圧を加えている。
  • 韓国
詳しくは開発独裁項目を参照。
  • 北朝鮮
金正日時代に先軍政治が唱えられた。
  • リビア
1970年にカダフィ大佐がクーデター。その後、オイルマネーに基づく国民への福利厚生やかなり独特な思想の基、国家運営されていたが、アラブの春の流れで2011年カダフィが殺害される。
  • ブルキナファソ
クーデターが発生し、大統領が拘束された。

プロレタリアート独裁とその変遷

  • 旧ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)
ソ連ではレーニンの死の直前そして直後より、〝労働者階級〟による共産党一党独裁の傾向が強まった。他党は元より、共産党内でも覇権争いが繰り広げられ、トロツキーをはじめとする多くが政権から放逐された。スターリニズムとしての粗暴な専制支配は大粛清や秘密警察、教会の弾圧へと一直線に繋がる。また、スターリニズムを共産主義の模範、ソ連型社会主義を共産主義の模範と解釈した世界中の共産主義活動家が多く、ソ連の影響下に置かれるようになり、世界中でソ連型社会主義国家が連鎖的に生まれた。スターリン批判で大分変わったとはいえ、官僚主義的、中央集権的な性格はゴルバチョフ政権の登場まで変わらなかった。ソ連型の代表国家として、旧ドイツ民主共和国(東ドイツ)、旧チェコスロバキア、旧ポーランド人民共和国、旧ルーマニア社会主義共和国、キューバ、ベトナム、ラオス、旧モンゴル人民共和国がある。

  • 中国(中華人民共和国)
内戦に勝利したように見えた共産党ではあったが、本土の国民政府残党の排除などに追われ、公約に近かった、公約といっていい「新民主主義」「人民民主主義」の実現に程遠くなってしまった。朝鮮戦争で完全に東西分裂し、曖昧だった中国のたちいちは完全に東側に組み込まれた。そのため、急速にソ連化したものの、フルシチョフ政権の登場により、対立。毛沢東の死後から市場経済を取り入れている。ほとんど資本主義国家だが、共産党の指導性が圧倒的に保証されている。

  • 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)
金日成の抗日英雄伝説とその捏造による建国神話に強固に支えられていた北朝鮮は当初は純然たるスターリニズム国家であったものの、中ソ対立やキューバ危機のソ連のアメリカ妥協から独自の思想、主体思想を打ち出した。主体思想には金日成とその血統を継ぐ者の解釈性が銘記されており、この条件を基に、金日成・金正日・金正恩の共和政においては非常に稀な三代世襲が実現しており、各所の異常な個人崇拝や粛清、朝鮮労働党の憲法明記の圧倒的指導性でもはや共和政とは言い難い専制支配が行われている。

律令制度

律令に依る古代統一国家の統治形態。中国では隋・唐、日本では奈良時代。中央集権的なものであるが、文書主義・罪刑法定・官僚支配が主な特徴。徴税や各種法によって公民支配を敷き、中央集権を完成させた。

公家政権


武家政権


封建的主従関係


民主政

国民(人民)全部が自発的・主体的に参加する政治。

立憲君主制

君主が統治権を持っているものの、運用は憲法に依る制度。君主の絶対権力を制限する過程で生まれた。日本も立憲君主制である。

専制君主制

その統治に責任を問う機関が存在せず、支配者である君主か独裁者が国家を個人で恣意的に運営する状態。現在、国家として公式に専制君主制を採る国は殆どない。

内閣制度

内閣制度を取り入れた国の行政最高機関。代表者は内閣総理大臣(首相)で立法府から選出され、天皇が任命。法務執行、国務総理、外交処理、法案予算案の国会提出などを行うとする。日本では1885年に太政官に変わって設置された。内閣総理大臣は閣議の主催、重要政策の発議権、大臣間の権限疑義の裁定、行政各部の処分命令中止権、内閣総理大臣・国務大臣の代行指名、自衛隊の最高指揮権、緊急事態・災害緊急事態布告、行政処分の執行停止に対する異議の申述。また、内閣は天皇の国事行為に助言と承認を与えることができる。

議院内閣制

上にあるように内閣が議会、特に下院(衆院)の多数決で組織、信任下で活動し、下院に責任を持つもの。英国で18世紀頃に常態化した。現行の形態は日本国憲法で初めて確立化した。

議会制

立法府として議会がおかれている形態。近代国家においては多く、国民(人民)の公選された立法府として主体となっている。

三権分立制度

立法府、司法府、行政府の三権が相互に独立性を保った状態。立法府は行政府の選出権を持ち、行政府は立法府の解散・召集権を持ち、司法府は立法府に違憲立法審査権を持ち、立法府は司法府に弾劾裁判権、行政府は司法府に任命権、司法府は行政府に審査権を持つ。また、その中心には国民が常にある。なお、日本はアメリカ型の三権分立である。

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最終更新:2022年03月24日 15:30