「カアサンとイモウト」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

カアサンとイモウト」(2010/09/28 (火) 00:43:13) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

注:夏妃脅迫、耳レイプものです。 朱志香も少し陵辱されます。 ---- 大広間の柱時計は夜の11時を指していました。 ガランとした広間にチクチクと鳴り響く時計の針は、自然と私を足早にさせていきます。 あたりに照明は付いていませんが、それが今の私には好都合でした。 夫には頭痛がするので部屋で休むと伝えてあります。 誤魔化せたとは思いますが、あまり長い時間は席を外してはいられないでしょう。 せいぜい三十分かそこらか……。 なにしろあの人達は悪魔です。 夫から金を貪ろうと野心する欲の塊のような俗物達なのです。 夫の傍には私がついていなければならない。 親族会議は一応は小休止ということになりましたが、一時間もすればふたたび再開されるでしょう。 足音を立たせないよう廊下を駆けていきます。 待っていろと命ぜられた部屋は、この廊下の一番奥にありました。 そうして息を切らせながらようやく部屋の前へと辿り着くと、念のためあたりを見回します。 夜遅い時間ですが、今夜は誰に見られてもおかしくありません。 特にあの絵羽さんなどに見つかろうものなら、どんな言いがかりを付けられるかわかったものではありません……。 そうして廊下に誰もいないことを確認すると、私はその客間の中へゆっくりと身を隠していきました。 ゲストハウスが出来て以来、この客間が使われることは滅多にありません。 中に足を踏み入れると埃っぽい匂いがツンと鼻を付きました。 ……手入れがなっていませんね。 今度使用人たちに厳しく掃除させることにしましょう。 けれど今はそれどころではありません。 私は部屋の内鍵をガチャリとかけていくと、念のためチェーンをかけるのも怠りません。 そしてこの部屋が完全な密室になったのを確認すると、ようやくベッド脇の棚――黒光りする電話の元へと駆け寄ったのです。 今この島には台風がやって来ています。 外とは断絶されてしまっているので、この電話は今や完全な内線専用となっています。 その内線専用という言葉――それが私にとっては、底知れない恐怖となって襲いかかっていました。 『あの男』は言いました。 この時間、この部屋に、この電話にかけてくる、と。 それはつまり、今この島にいる誰かが『あの男』という事実に他ならないのでは……。 前に電話で話した時は、たしか聞き覚えのない若い男の声だったように思えます。 もっとも機械を通したようなおかしな声色だったので、本人の声ではないのかもしれませんが……。 おそらく喋り方もわざと変えたのでしょう。 あんな囁くように語り掛けてくる人間は、私の友人、親族を通しても誰一人として存在してはいませんでした。 ――けれども私は今日、気づいたことがありました。 その男の正体と呼べるものに。 それはあくまで私の想像です。 けれども考えれば考えるほど、その男が『彼』である可能性しか考えられなくなったのです。 ひさしぶりに彼の声を聞き、それはより確信のようなものにも変わりました。 ちょうど年齢も同じくらいです……。 もちろん、ただの勘違いかもしれません。 何より私は『彼』のことを疑いたくない。 ――落ち着きましょう。 どのみち誰であろうとそれを確かめる術はありません。 今ここで動揺してしまったら、それこそあの男の思う壺なのですから……。 それに今日はとても重要な日。 年に一度、親族が一同に会す大事な一日なのです。 この後親族会議も再開されるでしょう。 今私がするべきことはあの男との会話を一刻も早く終わらせ、夫の元であの不敬な兄弟達と戦うことなのですから……。 ジリリリリリリリリリリリッッッ!!! 「……………ッ!」 そう、私が決意の意思を固めていった時。 まるで指し合わせたかのように、目の前の黒電話が受話器を揺らしだしました。 カタカタと音が鳴るそれは、早く私に取らせたいかのように妖しく蠢いています。 ああ、このまま取らずに済めばどれほどこの頭痛が和らぐでしょう……。 けれども私は逃げません。 私には愛する夫と娘が待っているのです。 自分の中の決意をより強固なものへと変えていくと、私はその受話器をゆっくりと手に取っていきました……。 ……ガチャンッ。 「も、もしもし……夏妃です」 今まで電話を取るたびしてきた当たり前の対応。 けれどもこれほどこれを言いたくない相手は過去にも例がありませんでした。 できるだけこの不快が伝わらないよう心がけたつもりですが、それでも声色を抑えられたかどうか……。 案の定相手が何も返答してこなかったので、私は少し慌ててしまいました。 「も、もしもし……? 聞こえているんですか? もしもし?もしもしッ!?」 「聞こえてるよ、カアサン」 「…………ッ!?」 ――ゾクリッ。 その声を聞いた瞬間、私の身体じゅうの肌が悪寒のようなものに包まれます。 何度聞いても慣れることはないのでしょう。 それは男か女かわからない声色もそうですが、何よりも得体の知れない者から『母さん』と呼ばれる嫌悪感が何よりでした。 私は今すぐ受話器を叩き置きたい衝動に駆られます。 けれどもそんなことをしてしまったら、この男にあの過去を夫や娘にバラされてしまうかもしれません。 さきほどの決意が早くもグラリと揺らいでいくのを感じながら、私は必死になって声を絞り出していきました。 「じ、時間通りのはずです。 それで、よ、用件は何ですか……」 「そんな事務的な対応しないでよ。 俺とカアサンの仲だろう? もっと仲良く話そうよ、親子みたいにさ……」 「う……うぅぅぅぅぅ……」 背筋がゾクゾクします。 ――身の毛がよだつ、というのはこういうことを言うのでしょうか。 言われた内容もさることながら、この男が何か音を発するたび、私の心が黒い針でチクチク虐られていくのがわかります。 ああ、どうしてこんなにもきもちが悪いのでしょう……。 まだ電話を取って数秒しか経っていないというのに、私は早くもこの場を逃げ出したくなっていました。 さきほどの決意はどこへやら……。 この男相手には、私の家族への決意など微塵も役に立ちそうにありませんでした。 自分の瞳が潤いの涙で満たされていくのがわかります……。 「うぅぅぅぅ………」 「ああ、そんな悲しそうな声出さないで、カアサン。 わかった、わかったよ。 じゃあ俺からのお願いを伝えようか……」 「は……い。 そ、そうしてくれると……助かります……」 「くっくっく。 可愛いなぁカアサンは……」 よほど私は追い詰められた声をあげていたのでしょうか。 男はそれを察して用件を伝えてくれるようでした。 けれどもその気遣いすらも私にとっては不快なのです。 見知らぬ男の得体の知れぬ優しさなど、素直に受け取れるわけがありません。 おまけにこの年で可愛いと褒められても、不敬と感じるのが当然でした……。 「じゃあ、言うよ。 ちゃんと聞いててねカアサン」 「は、はい。 どうぞ……」 私は目頭をハンカチで拭いながら、男の話にしっかりと耳を傾けていきます。 それさえ聞けば私とこの男の話は終わるのですから、真摯になって聞いていくのは当然でした。 ――大丈夫。 この男の用件とやらの目星はついています。 おそらく過去の私のあの過ちを強請りのネタにでも使ってくるつもりなのでしょう。 そして要求してくるものは、おそらくお金。 それ以外に考えられません。 夫の仕事状況はあまり芳しくありませんが、それでも右代宮家にはそれなりの蓄えはあります。 どれほどの金額を要求されるかはわかりませんが、一人の男を満足させる程度の額は用意できるでしょう。 それさえ支払えばもうこの男との関わりを絶つことができるのですから、どうにかして工面するのは当然のことでした……。 「ど、どうしたのですか。 言いたいことはわかっています、は、早く金額を……」 気づくと私は安堵していました。 今後の展開を想像していくと、私の中でむしろ男の用件は一刻も早く聞きたい言葉へと変貌していたからです。 100か200か……? 私の頭にはそれくらいの金額が浮かんでいました。 どのみちそれが私の心を解放してくれるのならば安いものです。 けれども男はスゥっと電話先で息を吸っていくと、この世のものとは思えない恐ろしい一言を告げてきたのです……。 「じゃあ、カアサン。 まずはスカートを上げていこうか……」 「………………え……?」 その言葉が耳を通して、身体に染み渡ります。 けれどもそれは少したりとも私の脳へは辿り着いていませんでした。 私はおもわず放心してしまいました。 ――まるで子供のように無垢に、純真に。 男の言っていることが理解できなかったのです。 意味がではなく、言葉が、です。 「な、何を……言っているのですか」 私はもちろん男にすぐさま聞き返します。 声のトーンが不機嫌なものに変わっているのが自分でもわかりました。 そんな性質の悪い冗談を聞いている暇はないのです。 けれども男の要求は変わりませんでした。 「聞こえなかった? スカートをめくってみてって言ったんだよ。 ほら、早く」 「な……何を、言って……」 私は困惑してしまいます。 こんな要求は露ほども予想していなかったからです。 いえ、その前に私にはこの男が言っている意味が二重にわからなかったのです。 要求の内容の不埒さもさることながら、そんなことをさせる意味がどこに?と思ったからです。 私は一旦受話器を置くと、慌てて部屋の中を見回していきました。  あまり広い部屋で無いのですぐに部屋の全貌が見渡せます。 普段は使われない客間なので、人が隠れられそうな洋服棚やスペースもどこにもありませんでした。 念のためシャワールームも覗きましたが誰もいません。 間違いなくこの部屋には私一人だけが存在していたのです。 ベッド脇にまで戻っていくと、私はふたたび受話器を取っていきます。 男を待たせてしまった侘びなどしません。 代わりに沸々と湧き出た怒りが口をついて出ていました。 「な、何を言っているのですかあなたは。 私にスカートをめくれ……? い、一体何の冗談ですかッ!」 「冗談なんかじゃないよ。 ただカアサンのスカートの中身が見たくてさ。 ダメかな 」 「ダ、ダメとかいう問題ではありませんッ! だ、だいたいそんなことをして、あなたに何のメリットがあるというのですかッ!!!」 私はもう声の抑えを止めませんでした。 相手を不快にさせてしまうことなど一切気にしません。 今までこの男へ溜まっていたドロドロとしたストレスが、全て口から吐き出されているようでした。 ――そう、そうなのです。 仮にここで私がスカートをめくることを了承したとしましょう。 けれどもそうしたところで、電話先にいるこの男にそれを確認することはできないのですから――私にはこの男の要求の意味がまったくといっていいほどわからなかったのです。 部屋に誰もいないのはさきほど確認済みです。 天井の明かりは付けていないので部屋は薄暗いですが、それでも人が隠れられそうな場所は全てこの目で確認したのです。 どう考えても理に合わない。 私はやはりこれは性質の悪い冗談だと思いました。 受話器をふたたび握り締めていくと、私は早く要求してくる金額を聞き出そうとしました――が。 「……朱志香、可愛いよね」 こちらが口を開こうとした途端、男の言葉にそれが遮られます。 すると、私の頭の中が一瞬で冷たいもので満たされていくのを感じました。 なぜ――なぜここで朱志香の名前が出てくるのか、と。 「ど、どうして娘の名を出すのですか……」 私は当然の疑問を口にしていきます。 けれどもこの時の私はすでに、男の真意を掴んでいるような気もしました。 けれどもそれだけはあってはならない。 あってほしくないという願いを込めて、男の次の言葉を待つのです……。 「いいよね、朱志香は。 ほんと可愛いよね。 ほら、髪もこんなに綺麗で……」 「な、何を……言って……」 「見る目のない男共はこいつのこと、男勝りでガサツな女と思ってる奴もいるみたいだけどさ。 俺はそんなこと思ってないよ? こんな胸も尻もでかくてたまらないよね」 「だ、だから……何を言っているのですかッ!」 「褒めてるんだよ、妹をさ。 ああ、むしろこういう女こそ一度セックスさせた男にはすごく『女』になるんだよね。 従順で無垢で淫乱な、最高の女にさ」 「む、娘を侮辱することは許しませんよッ!!!」 「侮辱だなんてそんな……ただ俺はたまらないって言ってるだけだよ。 この朱志香は兄である俺から見てもいい女だねって褒めてるんだよ。 ねぇ、もうわかるよねカアサン?」 「う、ううぅぅぅぅぅぅぅぅ…………!!!」 私は自分の喉が涙声に包まれていくのを感じます。 それは今までで一番の絶望感を表していました。 ――間違いない。 私は理解しました。 この男の言いたいことが――全て。 私はもう涙を隠してはいませんでした。 頬をポロポロと流れていくそれらは、まさに今の私の勇気や覚悟といったものを全て零れさせていたのです。 もはや私はこの男の言うことには一語たりとも逆らえない。 機嫌を損ねることすら危ういと理解していきました。 けれど聞きたい。 せめて一言だけでもいいから愛する娘の声が聞きたかった私は、男に涙ながらに懇願していきます……。 「う、う……あ、あの……」 「わかってるよカアサン。 今変わるから、ちょっと待っててね……」 「はい、はい。 ありがとうございます、ありがとうございます……」 私は気づくと男にお礼を言っていました。 自分の愛する娘を攫った男に、ありがとうです。 けれどもそれほどまでに娘の声を聞きたかったのです。 朱志香の無事を確認したかったのです。 そしてそれは意外にもすぐに聞こえてきました。 私の愛する娘の声が。 「ん……も、もしもし。 母さん、き、聞こえる?」 「ああ……ああ朱志香、朱志香ですか? 聞こえますか朱志香……」 「う、うん、私。 へ、へへ、ごめん。 捕まっちまった……」 「あぁ…………」 私は一筋の残されていた希望が砕け散る音を聞いていきます。 できればこの男の虚言ではないかと、心のどこかでその希望にほんのりすがっていたからです。 けれどもこの声は間違いなく私の愛する娘――朱志香のものでした。 母として娘の声など間違えるはずがありません……。 「へ、平気なのですか。 か、身体の方は……?」 「う、うん。 縄で縛られて動けなくされちまってるけど……なんとか平気、安心して」 「そうですか……ああ、良かった」 朱志香のその言葉に私はひとまず安堵します。 声にもおかしなところはありませんでした。 とりあえず危害は加えられていないようなので、それがなによりです。 さきほどの男の言い方だと、すでに手を出されているのでは…と疑っていたからです。 けれどもそれも今だけかもしれません。 私がもしあの男の機嫌を少しでも損ねたらと思うと……気が気ではありませんでした。 「ま、待っているのですよ、朱志香。 すぐに助けますからね……」 「………………」 「じぇ、朱志香? 朱志香、朱志香ッ!!!」 「ごめんねカアサン。 残念だけど時間切れだよ。 でも俺の言いたいこと、伝わってくれたよね?」 「あ……あぁぁぁ……」 愛する娘の母さんという言葉が、男のカアサンというきもちの悪い声に変貌していきます。 ああ、できればもう少し聞いていたかった……。 しかし、これで完全に私は理解できました。 私の過去の過ちなどもはやどうでもいいことなのです。 娘を――朱志香を人質に取られているのなら、私の返答は一つしかありえませんでした。 「はい。 わ、わかりましたから、どうか朱志香には手を出さないで……」 「わかってるよ。 俺にとっても大事な妹だしね。 カアサンが言うことを聞いてくれれば何もしない。 いいね?」 「わ、わかりました……」 男の命令――いや、脅迫に私は了承していきます。 了承せざるを得ないではないですか……。 グっと歯を噛み締めていきます。 そして私は自らのスカートへと手を伸ばしていきました。 さきほどまであんなにも嫌だと思っていたことが、娘を助けるためならばとむしろ進んで実行していたのです。 この程度のことで娘が助かるなら……。 紫のロングスカートをギュっと掴んでいきます。 そしてそれをゆっくりと上へ捲りあげていきました……。 「こ、これで……いいのですか」 それでもやはり羞恥心は隠せませんでした。 女としての本能でしょう。 私は顔を真っ赤にさせながら、悶えるようにして自身のスカートをめくるといういやらしい行為を実行していました。 まるで男を誘う淫売のように……。 「あぁ……うぅぅ……」 「そうそう、それでいい。 嬉しいよカアサン、俺の言うこと聞いてくれてさ。 ついでにもうちょっと上にまであげてみようか。 できるよね」 「は、はい……」 男は更にこのスカートを上げろと命令してきます。 この程度では満足できないということでしょう。 私はすでに男の言いなりでした。 今ならば首を括れと言われても、迷わずそうしていたかもしれません。 膝が見える程度まで上げていたスカートを、今度はふとももが見えるほどに淫らに捲り上げていきます。 冷たい空気の感触をヒヤリと肌に感じると、私の下着――白いガーターベルトがあらわになっていきました。 「う、うぅぅ……」 「いいね、すごくいやらしいよカアサン。 でもちょっと意外だな、まさかカアサンが白のガーターだったなんてね」 「…………ッ!?」 真っ赤になっていた顔が、一瞬にして真っ青になります。 ――男の言葉に絶句していました。 ありえない。 なぜこの男が私の下着を言い当てたのか、まったく理解できませんでした。 重ねますが、この部屋には誰もいないのです。 なのにまるで今私の目の前で見ているように、色と種類までをもピタリと当ててきたのです。 私は掴んだスカートをけっして離さないようにしながら、男へ問いかけていきます。 「ど、どうして……わかるのですか」 「見てるからね。 カアサンのムッチリしたふとももとでかいお尻を包んでるガーターベルト、俺にはよく見えてるよ。 ああ、いやらしいねカアサン」 「そ、そんなの……ど、どうやって……」 どういう方法で見ているのか、という困惑。 そして男の淫らな罵倒による羞恥が混ざり合うようにして、私の頭をグチャグチャに掻き混ぜていきます。 スカートを摘んでいる手元はブルブルと震えていました。 おもわず取り落としそうになりますが、どうにかそれだけは我慢しようとギュっと布を握り締めていきます。 いやらしい。 なんて不埒な男でしょう。 よりにもよって私のふとももをむっちりなどと、あ、あまつさえでかい尻などと馬鹿にして……。 男がどういう方法で見ているかなどはわかりません。 けれども淫らな欲を満たそうとしていうのは確実のようでした。 私はせめてそのいやらしい罵倒だけは止めさせようと、口を開いていきます。 「や、やめてください。 あなたがどうやってコレを見ているのか知りませんが、そ、そんな淫らな言葉で罵らないで下さい。 い、言うことは聞きますから……」 「どうして? 褒めてるんだけどなカアサンを。 ほんと、女の曲がり角を過ぎた身体とは思えないよ。 すごくムチムチで魅力的な身体だよ」 「ど、どこまで人を……馬鹿にすれば……」 男の囁いてくるような言葉がもうたまりません。 耳から強姦を受けているようなこの卑猥な感覚は、間違いなく私の心がレイプされているという証拠でした。 こんなセクハラ紛いの不敬を受けるなど、朱志香の命がかかってさえいなければ受話器を叩きつけているところです。 「うぅぅぅ……も、もうやめて……」 「やめないよ。 まだスカートをあげただけだしね。 じゃあ今度はそのまま下着も脱いでくれるかな」 「え……? そ、そんな……」 「早くしてよ。 もう俺カアサンのまんこが見たくて見たくてたまらないんだ。 もし見せてくれないなら、じゃあ朱志香のを見せてもらおうかな」 「……!? や、やめて!やめなさいッッッ!!!」 朱志香の名を出された途端、私はヒステリックに叫んでいました。 そしてすぐさま自分の下着に手をかけていったのです。 選択の余地などありませんでした。 そして迷う猶予すら無い様に思えたのです。 「ぬ、脱ぎます。 今すぐ脱ぎますから、じぇ、朱志香には……」 そうして受話器に懇願するようにしながら、私は下半身の白い布を取り去っていきます。 両方の紐にクイっと指をかけていき、さきほど男が大きいと罵ったお尻を滑らすようにしながらそれを脱ぎ捨てていくのです。 そしてもう一度受話器を取ると、自分が脱いだということを示すように――スカートの前を開きました。 「こ、これで、いいのでしょう……」 「ああ……すごい、すごいよカアサンよく見える。 ああ、これがカアサンのまんこなんだね」 「う……そ、そうです。 み、見えていますよね?」 「うん、見えてるよ。 カアサンのいやらしい割れ目も恥ずかしい毛も、全部見えてる。 ああ、俺はここから生まれてきたんだね」 「う…………」 私はおもわず口元を抑え付けます。 ――激しい吐き気をもよおしたからです。 よくもそこまで女を不快にできるものです。 前半の卑猥な罵りはともかく、後半の生まれ出でてきたという言葉は世の母の全員が不快に感じることでしょう。 もちろんそれでもスカートは捲り上げたままです。 慌ててしたことだったので気づきもしませんでしたが、たしかに男の言うとおり、私の下半身はその恥ずかしい部分の全てを露出させていました。 もはや女として幾度となく夫に捧げてきた膣の入り口。 そしてその上の恥丘を隠すように生えそろえられた恥毛が、棚に置かれたランプの灯りでオレンジ色に照らされていました。 「はぁ、はぁ、はぁ……」 「…………?」 私は耳を澄ましていきます。 ――受話器の向こうから息遣いのようなものが聞こえてきたからです。 合わせて何かゴソゴソと布が擦れるような音も聞こえていました。 私の脳裏に嫌な予感がよぎります。 「な、なにをしているのです……」 「うん。 ちょっとカアサンのまんこがあまりにいやらしいからさ。 オナニーをしてたんだ。 ああ、ごめんねカアサン」 ――オナニー。 自慰行為のことだとすぐにわかりました。 男は受話器の向こうで息を荒くしています。 私のこの女性器を見ながら自慰に耽っているようでした。 嫌な予感が見事に的中してしまったのです……。 「あ、あなたという人は……恥ずかしくないのですか……」 「ごめんねカアサン。 俺もカアサンでこんなこと、しちゃいけないと思ったんだよ。 けどどうしても我慢できなくてさ。 ねえ、続けてもいい?」 「う……す、好きに、してくだ、さ、い」 「うん、ありがとうカアサン。 やっぱりカアサンは優しいね。 あぁきもちいい、最高だよカアサンカアサンカアサン……」 私の男への感情もう不快を通り越し、脱帽の域にまで達していました。 彼には何を言っても無駄なようです……。 いえ、それどころか私の声すらもきっと自慰の興奮剤に使用しているのでしょう。 私が何か喋るたび彼は呻き声をあげていき、それが吐き気と頭痛を助長させていきました。 ですから私はもう何も言葉を発しません。 男に何か命令をされるまではジっと顔を伏せ、口を貝のように閉じることにしたのです……。 「……………………」 「う……ぇしか、そうそのへんだよ。 ああきもちいい最高だよ。 そう、そこをもっと舐めて……」 「…………………?」 「う、し、舌が絡みつく。 上手いじゃないか、ああおまえはやっぱり可愛いね。 カアサンも喜んでるよ、お、おううう」 ――そうして私は黙っていました。 いえ、黙っていようとしたのです。 けれどもどうも男の様子がおかしい。 あいかわらずきもちのわるい吐息は聞こえていましたが、受話器から聞こえる声が少し遠くなったように感じられたのです。 「……ぴちゃ、ぴちゃ……ピチャ……」 そしておかしなことはそれだけではありませんでした。 さきほどから何か受話器の向こうから、水と水が混ざり合うような音が聞こえてきていたのです。 例えるならそれは、子供が飴か何かを舐めているような――。 私の頭には、今日の昼間、真里亞ちゃんがおいしそうに飴を舐めている光景が浮かび上がっていました。 たしかベアトリーチェからもらったものだと言っていましたが……。 「な、なにをしているのですか。 もう要求は無いのですか?」 私はおもわずそんな問いかけをしてしまいます。 黙っていようと思いましたが、その水音がどうしても気になってしまったからです。 「く……ちょっと待っててねカアサン。 今ちょっとこいつが激しくてさ。 ああ、さすがカアサンの娘だね。 すごくいやらしい舌使いで……うぅっ!」 「え……今なんと? む、娘と言ったんですか? こ、答えなさいッ!」 「うあああ、た、たまらない。 最高だよ朱志香、おまえがこんなに舌を動かすなんて、カアサンもきっと驚くだろうね、くぅぅぅぅぅ!」 「き、聞いてるんですかあなたはッ!!!答えなさいッ!今すぐこの右代宮夏妃の問いに答えなさいお願い答えてえぇぇぇぇぇッッッ!!!」 私は喉が痛くなるほどに吼えていました。 もう何度この男に感情を上げ下げされているかわかりません。 あいかわらず男は気味の悪いうめき声をあげています。 そして私の問いかけにはどこか上の空で――何か他の快感を必死になって耐えているかのようでした。 「くそ……っざけんなよてめぇ…………らぁ…」 ――そして私は聞いてしまいました。 受話器の向こうから薄っすらと聞こえてくる、朱志香の声を。 ひょっとしたら男が受話器を落としたのかもしれません。 ガタンッと小さく音がすると、衝撃的な言葉が私の耳に飛び込んできたのです。    「ん……こ、これでいいんだろ。 母さんにはこれ以上何もすんなよ、てめぇ……んん……」   けっして女の子が口にしてはいけない言葉遣いです。 普段の私なら電話越しに叱り付けていたことでしょう。 けれども、ああ……それが今はなんて……どれほど私の心を絶望の淵に叩き落したことでしょうか。 この男は私にだけではなかったのです。 電話ごしに私への命令を続けながら、向こうでは娘の朱志香にまで卑猥な命令を下していたのです。 何かを咥えているようなくぐもったうめき声。 そしてそれに合わせピチャピチャと肉をしゃぶっているような水音。 なんと恐ろしいことでしょう。 おそらく娘は今、男の下半身の前に跪かされ、そ、そして――。 「ぴちゃ、ぴちゃ……ち、ちきしょう。 ん、んん……」 「ああ……きもちいいぜ、朱志香。 おまえは可愛いな、ほんとに可愛い妹だぜ。 そのままもっと深く咥えろ……」 「ちょ、調子に乗るんじゃねえ、てめぇ。 くそ、んむぅぅッ、ぴちゃ、ぴちゃ、こ、これでいいんだろ……」 朱志香のうめき声――いえ、もう誤魔化すことは止めにしましょう。  朱志香の『ペニスを咥えている音』が耳に絶望と共に流れ込んでいました。 それは云わば、私の心をズタズタに砕いてくる音と同義だったのです。 そして次の瞬間、私は叫んでいました。 相手は受話器が離れているので、よほどの大声を出さなければ向こうには聞こえないでしょう。 そのずっと胸に溜まっていた憤り――本音とも言える言葉が、朱志香への不敬によりついに解放されていったのです。 「あ、あなたは一体誰なのですッ! 譲治くん……そ、それともまさか、戦人くんなのですかッ!!!」 &counter(today) &counter() ---- #comment_num2 ----

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: