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夢の朱志香」(2009/01/30 (金) 18:22:44) の最新版変更点

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「あ……あれ?」 気が付くと朱志香は暗闇の中にいた。周りを見渡しても闇、闇、闇。 にもかかわらず不思議なことに自分の体だけははっきりと見える。 「……あぁ、そっか」 何かを思い出したように朱志香はそう呟いた。 「そういや私死んじゃったんだっけか……。へへ、そういやなっさけねぇ最後だったけか」 「いえいえ、とても立派な最後でしたよ」 その声は朱志香の背後から飛んできた。慌てて振り向くと、そこにはいつの間にか、先程まで拳をぶつけていた相手、ロノウェが立っていた。 「て、てめぇ……!」 その姿を確認するや否や朱志香は右の拳をロノウェの顔面へと打ち出した。しかし、その拳があたる数センチ手前で青色の障壁に阻まれてしまう。 「お止めなさい。死人となった貴方に魔法を使うことはできない。今度ばかりはいくら繰り返しても無駄ですよ」 「っ……くそッ!」 朱志香も先程との手応えの違いからその行為の無意味さを悟る。 「それで……その死人の私に何の用だよ」 「私は貴方に多少なりとの敬意を払っているのですよ。一介のニンゲンに過ぎぬ貴方がこの72柱の27位の悪魔である私にあそこまで食い下がったのですからね」 「へぇ……じゃ、敬意を払うついでに悪魔様のチカラとやらで甦らせてくれねぇかい?」 「ふふ、いかに私言えど反魂の魔法など夢のまた夢。しかし、このようなものはいかがですかな?」 ロノウェはそう言いながら右手の指をパチン、と鳴らす。すると朱志香の眼前に黄金の蝶が1匹、また1匹と集まり次第に形を成してゆく。 「嘘……そんな」 朱志香は思わず声を漏らす。その現象自体にではない。その蝶達が創り出したものに対してだ。 「お嬢……様?」 蝶の向こうには彼女の最愛の人、嘉音がいた。 「嘉音くん……本当に、嘉音くんなの……?」 「本物ですよ。貴方と同じく、死人ですがね」 ロノウェが小さく笑いながらそう答えると、嘉音はロノウェを睨みつけた。 「一体どういうおつもりですか」 「言ったでしょう。そこのお嬢さんに敬意を払っていると。先程の口調から察するに、お二人ともお互いの愛を確認なさっていないようですのでね」 『なっ……』 二人して同時に同じ反応をし顔を赤らめる朱志香と嘉音。 「ふふ、そろそろ私はお暇させてもらうと致しましょう」 「な……て、てめぇ待ちやがれ!」 朱志香が手を伸ばすとロノウェはあっという間に黄金の蝶にその身を変え四方八方へと散っていった。すると突然暗闇だった空間に光が差し込み、その眩しさに二人とも目を覆う。 「くそ……え?」 朱志香がうっすらと目を開けると、そこは見覚えのある部屋だった。 「ここは……」 「お嬢様のお部屋……のようですね」 辺りを見渡しながら嘉音がそう答えた。そこは紛れも無く、朱志香がその命を散らせた自室であった。 「へぇ……何から何まで同じってか」 その部屋は外見だけでなく、チェストの中や引き出しの中、挙句には小物入れの中まで全く同じだった。しかしどこか閉鎖的な雰囲気が漂う。 「お嬢様。どうやらこの部屋、扉や窓といった出入り口に類するものは全て無いようですね」 「あ、本当だ……」 その後もお互い色々と探索をするが、やはり完全に閉じられた空間であるということだけが分かるのみだった。 「やはり……駄目のようですね」 「そうだね。はぁ、疲れた。嘉音くんも座りなよ」 ベッドに腰掛け、朱志香は言う。 「いえ、お嬢様……」 「もぉー、今は二人っきりなんだからお嬢様とかやめてよー。ならもうこれは命令! 私の隣に座りなさいって」 「……わかりました」 「ん」 嘉音は一礼すると朱志香の隣に腰掛ける。 「それにしても急展開すぎてあれだったけどさぁ、信じられないよね何か」 あはは、と笑いながら朱志香がそう呟いた。 「お嬢様」 「ん?」 「御守りする事が出来ずに……本当に申し訳ございません」 嘉音は拳を握り締めながらそう返す。 「え、えぇ? いや、いいっていいってそんなこと」 「お嬢様が戦っておられたというのに僕は……」 「え? ちょ、ちょっとまってちょっとまって! 戦ってって……なんで知ってるの?」 「え? あ……その」 嘉音はしまったという表情になり言葉に詰まる。 「ま、まさか……?」 「……はい、実は」 その後嘉音はワルギリアにロノウェとの対峙を見せられていたことや、蔵臼の父親としての態度、そして己が最後までを朱志香に語った。 「ぐへぁー……恥ずかしすぎる」 朱志香は大の字にベッドに寝そべり顔を真っ赤に染めながらそう言った。 「まさか皆に見られてたなんて……しかもお父さんにまでかよ」 「しかし、蔵臼様は最後までお嬢様……いえ、朱志香……の為に戦っておられました」 「え……う、うん。分かるよ。そういう人だもん、お父さん」 突然名前で呼ばれた動揺を隠すかのように朱志香は目を瞑り、静かにそう語る。 (…………) その光景を静かに見つめる嘉音。名前で呼んだのは良いが、次にかけるべき言葉が無い自分を唯恥じるかのように下を向いていた。 「はぁ……疲れちゃった。ちょっと嘉音くん、起こすの手伝って」 「あ、はい」 「よっ……と、って、うわ!」 朱志香が手を伸ばし、嘉音がその手を取り起き上がらせる。しかし、起き上がる際に朱志香が足をとられ後ろに倒れこんでしまった。当然嘉音の手を握り締めたまま。 『あ……』 まるで朱志香を嘉音が押し倒すかのように、ベッドに縺れ込む2人。息が触れ合うほどに近づく、2人の唇。まるで時が止まったかのようにお互い見つめあう。やがて、 「朱志……香」 「……ん」 嘉音が静かに、朱志香の唇に自らの唇を重ねた。 「そう、そこ……うん、大丈夫」 「じゃあ、いくよ朱志香」 嘉音が朱志香の秘所に自分のそれを当て、ゆっくりと埋めていく。 「ぁ……うん、これが……嘉音くんなんだね」 「朱志香……朱志香」 徐々に、少しずつ、時には戻しながら、しかし確実に嘉音のそれは朱志香の中へと入り込んでいった。 「っ……!」 半分程入ったであろうかそのとき、朱志香の顔に苦悶の表情が走った。 「あ、だ、大丈夫?」 「へへ……こんなんへっちゃらだよ……嘉音くん、大丈夫、だからもっと」 「分かった……ん」 目尻に涙を浮かべながらも笑顔で返す朱志香。嘉音も朱志香の苦痛が少しでも早く終わるようにと、腰を深く落とす。そしてついに、 「朱志香、これで全部……」 「ん。……これが、嘉音くんのなんだね」 「朱志香……動くけど、大丈夫?」 朱志香は笑みを浮かべながら、小さく頷いた。それを確認すると、嘉音は徐々に腰を動かしだす。 「あ、あ、凄っ……んぅ」 「……っ! ……っ!」 嘉音は一心不乱に腰を朱志香に打ち続けた。それに対し朱志香は嘉音の背中に両手を回し抱きつく状態で、嘉音の腰が打ち付けられるたびにその手の力が強まる。ついには爪を立て、嘉音の背中にはうっすらと血が滲んでいた。 「朱志香……ごめん、もう、射精そう……」 「はぁっ……いいよ、嘉音くん。私の……中に……っ」 「……っ!!」 「~~~~~~っ!!」 最後に強く腰を打ち付けると、朱志香の中へと嘉音の精が解き放たれた。 「あっ、あっ、きてるっ、嘉音くんのが、私の、中にっ」 嘉音の射精はしばらく続き、その間朱志香の体は幾度と無く痙攣を繰り返し続けた。 「はぁ……はぁ……嘉音くん……ん」 朱志香は射精の終わりを確認すると、自ら嘉音の唇を求めた。しかし、次の瞬間朱志香の予想を超えたことが起こる。 「……え? う、嘘。か、嘉音くん、また大きく……んぁ!」 射精を終え萎えていた嘉音のそれは、朱志香の中で再び力を取り戻すと再び腰のピストン運動を再開し始めた。 「あ、嘉音くん、あ、すごいっ、あ、あ、あぁぁ!」 そして再び朱志香の中へと襲い来る射精。やはり朱志香に出来ることはその快楽に身を任せ体を震わせることだけだった。が、しかし。 「……そ、そんな、嘉音くん、私もう、限かぃぃぁ!」 2度の射精にもかかわらず、嘉音のそれは再び力を取り戻す。この瞬間、朱志香の心の中に何か嫌な感覚が芽生え始める。しかし、今はそれを考えることに気をまわすい事など出来ず嘉音の射精までの時間を快楽に貪られる。そして訪れる、3度目の射精。 「はぁ……はぁ……かの、嘉音……くん」 朱志香は快楽の余韻に身を震わせながら、嘉音へキスを求め顔を向ける。しかし。 「グルルゥ……」 「え?」 解けてはならない、魔法が解けた。 山羊。 酷く醜い顔。 山羊。 嘉音くんじゃない。 山羊。 不愉快な体毛。 山羊。 嘉音くんじゃない。 山羊。 禍々しい角。 山羊。 かのんくんじゃない。 山羊。 不愉快な息。 山羊。 かのんくんじゃない。 山羊。 汚らわしい体。 山羊。 カノンクンジャナイ。 山羊。 蠢き回る舌。 山羊。 カノンクンジャナイ。 山羊。 山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。 山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。 山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。 山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。 「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 気づけばそこは、朱志香の自室などではなくなっていた。薄暗く、肌寒く、生臭い、不愉快な部屋。 「やめろおおおおおおおお!! 放せええええええええ!!う、動くな糞があああ!?」 その部屋の一角に、黒く蠢く塊……正確にはあるものに群がる山羊男の大群があり、そのものこそ必死の形相で叫ぶ朱志香だった。 「ひいいいいいぃぃ!? 汚いぃ! 汚いいいい!! あああああああああ!? いやあああああああああ!!!!」 そんな朱志香をあざ笑うかのように朱志香を犯していた山羊男が射精を迎える。それと同時に、朱志香の顔付近にいた山羊男も絶頂を向かえ、その朱志香の顔にまるで腐った卵のような匂いを放つ精液が放たれる。 「!? ぅぅっっぅ……うげぇぇぇぇっ、えぇぁぁっ……うげぇぁっ!!」 その射精に慌てて朱志香は口を閉ざす。しかし、その酷い匂いに耐えられず思わず嘔吐してしまう。それはつまり口を開いてしまうということで、その瞬間口の中に精液が流れ込み、それのせいで更に嘔吐を繰り返す。 「ふふふ、お似合いですよ」 そんな光景を後ろから眺める男、ロノウェはそう言葉をかけた。 「て……てめぇぇぇぇあぁぁ!? こ、殺す!! 殺すうぁぁぁぁぁっ!?」 それを確認するや否や朱志香は呪いの言葉を吐きかける。しかし、山羊男たちはお構い無しに陵辱を続け、既に朱志香は両手は勿論、後ろの穴や髪の毛にいたるまでありとあらゆる場所に山羊男のペニスを擦り付けられていた。 「ふざけんなよ……なんなんだよこれはぁぅ!! あんまりじゃないか……クソ野郎……!」 「お似合いですよ、貴方のような畜生にはね」 「畜生……だと」 「えぇ、そうです。無力で無能でゴミクズのような存在のニンゲン如きがこの72柱27位の悪魔であるこの私に血を流させたのですからね。クククク……ククククク」 ロノウェの顔が醜く歪む。 「その罪はあまりにも重い。例え一生を掛けたところで償うことは出来ません。ならば、永遠を掛けて償っていただくほかありません」 「永遠……だと?」 「貴方は既に死人。これ以上死ぬことはありません。またお嬢様の2つ名は『無限の魔女』。文字通りあなたにはこの地獄を永遠にさまよって頂く事になります」 それを聞いて朱志香は愕然とする。この地獄を、永遠に。死ぬことも許されず、尊厳も何も無い状態でただただ犯され続ける。 「あぁ、安心してください。もし妊娠したらちゃんと生ませて差し上げますよ。ニンゲンと山羊男の醜い醜いハーフ。時間は無限にあることですし、己が体から生まれ出でた化け物に犯されるというのもまた一興ではございませんか?」 ロノウェが淡々と語る地獄の未来を想像し、顔を青ざめガタガタと震えだす朱志香。そして出してはならない言葉を出してしまう。 「……ぃ、ぃゃ」 「? 何ですって?」 決して悪魔に対して口にしてはならないそれを、朱志香は涙を零しながら紡いだ。 「嫌……そんなの嫌。死ぬなら死なせて。そんなの酷いよ……お願いします、助けてください、お願いします……」 「……ククク……フハハハハハ!!」 嗚咽しながら懇願する朱志香を見て、ロノウェは天高く笑い声を上げ、山羊男たちにこう告げた。 「貴方たち。その五月蝿い口も塞いでしまいなさい」 「そ、そんな……!? い、嫌、そ、それ、それだけは、んぐぅ!?」 恐怖で泣き崩れる朱志香の顔を山羊男は掴むと、無理やり口をこじ開けそこに醜いペニスを入れ込んだ。 「無駄な抵抗をされると面倒ですからね。もう少し順応になるまで顎の骨を外しておきますか」 ロノウェが軽く右手を振ると、朱志香の顎の辺りでゴキッという音が響く。いまや朱志香は全身を山羊男に犯されていた。そしてそれは体だけでなく、朱志香という心そのものを犯し始めていた。 (ん……あ……また出た……熱い……んぅ……口の中……臭い……) 徐々に、そして確実に。『朱志香』という心が壊され、その体だけが牢獄に取り残されていった。 (……か……のん……く……ん) もう彼女は、朱志香ではない。 彼女ですらない。 ただの、モノ。 醜い、モノ。 「ククククク……家具の嘉音にモノの朱志香。お似合いですねぇ。あぁ、朱志香というのは貴方の名前ですよ? ……ふふ、もう私の言葉も届きませんか。フフフ……ハハハハハハ!!」 (……か、……の、……ん、……く、……ん) 沈んでいく。  -完- &counter()
「あ……あれ?」 気が付くと朱志香は暗闇の中にいた。周りを見渡しても闇、闇、闇。 にもかかわらず不思議なことに自分の体だけははっきりと見える。 「……あぁ、そっか」 何かを思い出したように朱志香はそう呟いた。 「そういや私死んじゃったんだっけか……。へへ、そういやなっさけねぇ最後だったけか」 「いえいえ、とても立派な最後でしたよ」 その声は朱志香の背後から飛んできた。慌てて振り向くと、そこにはいつの間にか、先程まで拳をぶつけていた相手、ロノウェが立っていた。 「て、てめぇ……!」 その姿を確認するや否や朱志香は右の拳をロノウェの顔面へと打ち出した。しかし、その拳があたる数センチ手前で青色の障壁に阻まれてしまう。 「お止めなさい。死人となった貴方に魔法を使うことはできない。今度ばかりはいくら繰り返しても無駄ですよ」 「っ……くそッ!」 朱志香も先程との手応えの違いからその行為の無意味さを悟る。 「それで……その死人の私に何の用だよ」 「私は貴方に多少なりとの敬意を払っているのですよ。一介のニンゲンに過ぎぬ貴方がこの72柱の27位の悪魔である私にあそこまで食い下がったのですからね」 「へぇ……じゃ、敬意を払うついでに悪魔様のチカラとやらで甦らせてくれねぇかい?」 「ふふ、いかに私言えど反魂の魔法など夢のまた夢。しかし、このようなものはいかがですかな?」 ロノウェはそう言いながら右手の指をパチン、と鳴らす。すると朱志香の眼前に黄金の蝶が1匹、また1匹と集まり次第に形を成してゆく。 「嘘……そんな」 朱志香は思わず声を漏らす。その現象自体にではない。その蝶達が創り出したものに対してだ。 「お嬢……様?」 蝶の向こうには彼女の最愛の人、嘉音がいた。 「嘉音くん……本当に、嘉音くんなの……?」 「本物ですよ。貴方と同じく、死人ですがね」 ロノウェが小さく笑いながらそう答えると、嘉音はロノウェを睨みつけた。 「一体どういうおつもりですか」 「言ったでしょう。そこのお嬢さんに敬意を払っていると。先程の口調から察するに、お二人ともお互いの愛を確認なさっていないようですのでね」 『なっ……』 二人して同時に同じ反応をし顔を赤らめる朱志香と嘉音。 「ふふ、そろそろ私はお暇させてもらうと致しましょう」 「な……て、てめぇ待ちやがれ!」 朱志香が手を伸ばすとロノウェはあっという間に黄金の蝶にその身を変え四方八方へと散っていった。すると突然暗闇だった空間に光が差し込み、その眩しさに二人とも目を覆う。 「くそ……え?」 朱志香がうっすらと目を開けると、そこは見覚えのある部屋だった。 「ここは……」 「お嬢様のお部屋……のようですね」 辺りを見渡しながら嘉音がそう答えた。そこは紛れも無く、朱志香がその命を散らせた自室であった。 「へぇ……何から何まで同じってか」 その部屋は外見だけでなく、チェストの中や引き出しの中、挙句には小物入れの中まで全く同じだった。しかしどこか閉鎖的な雰囲気が漂う。 「お嬢様。どうやらこの部屋、扉や窓といった出入り口に類するものは全て無いようですね」 「あ、本当だ……」 その後もお互い色々と探索をするが、やはり完全に閉じられた空間であるということだけが分かるのみだった。 「やはり……駄目のようですね」 「そうだね。はぁ、疲れた。嘉音くんも座りなよ」 ベッドに腰掛け、朱志香は言う。 「いえ、お嬢様……」 「もぉー、今は二人っきりなんだからお嬢様とかやめてよー。ならもうこれは命令! 私の隣に座りなさいって」 「……わかりました」 「ん」 嘉音は一礼すると朱志香の隣に腰掛ける。 「それにしても急展開すぎてあれだったけどさぁ、信じられないよね何か」 あはは、と笑いながら朱志香がそう呟いた。 「お嬢様」 「ん?」 「御守りする事が出来ずに……本当に申し訳ございません」 嘉音は拳を握り締めながらそう返す。 「え、えぇ? いや、いいっていいってそんなこと」 「お嬢様が戦っておられたというのに僕は……」 「え? ちょ、ちょっとまってちょっとまって! 戦ってって……なんで知ってるの?」 「え? あ……その」 嘉音はしまったという表情になり言葉に詰まる。 「ま、まさか……?」 「……はい、実は」 その後嘉音はワルギリアにロノウェとの対峙を見せられていたことや、蔵臼の父親としての態度、そして己が最後までを朱志香に語った。 「ぐへぁー……恥ずかしすぎる」 朱志香は大の字にベッドに寝そべり顔を真っ赤に染めながらそう言った。 「まさか皆に見られてたなんて……しかもお父さんにまでかよ」 「しかし、蔵臼様は最後までお嬢様……いえ、朱志香……の為に戦っておられました」 「え……う、うん。分かるよ。そういう人だもん、お父さん」 突然名前で呼ばれた動揺を隠すかのように朱志香は目を瞑り、静かにそう語る。 (…………) その光景を静かに見つめる嘉音。名前で呼んだのは良いが、次にかけるべき言葉が無い自分を唯恥じるかのように下を向いていた。 「はぁ……疲れちゃった。ちょっと嘉音くん、起こすの手伝って」 「あ、はい」 「よっ……と、って、うわ!」 朱志香が手を伸ばし、嘉音がその手を取り起き上がらせる。しかし、起き上がる際に朱志香が足をとられ後ろに倒れこんでしまった。当然嘉音の手を握り締めたまま。 『あ……』 まるで朱志香を嘉音が押し倒すかのように、ベッドに縺れ込む2人。息が触れ合うほどに近づく、2人の唇。まるで時が止まったかのようにお互い見つめあう。やがて、 「朱志……香」 「……ん」 嘉音が静かに、朱志香の唇に自らの唇を重ねた。 「そう、そこ……うん、大丈夫」 「じゃあ、いくよ朱志香」 嘉音が朱志香の秘所に自分のそれを当て、ゆっくりと埋めていく。 「ぁ……うん、これが……嘉音くんなんだね」 「朱志香……朱志香」 徐々に、少しずつ、時には戻しながら、しかし確実に嘉音のそれは朱志香の中へと入り込んでいった。 「っ……!」 半分程入ったであろうかそのとき、朱志香の顔に苦悶の表情が走った。 「あ、だ、大丈夫?」 「へへ……こんなんへっちゃらだよ……嘉音くん、大丈夫、だからもっと」 「分かった……ん」 目尻に涙を浮かべながらも笑顔で返す朱志香。嘉音も朱志香の苦痛が少しでも早く終わるようにと、腰を深く落とす。そしてついに、 「朱志香、これで全部……」 「ん。……これが、嘉音くんのなんだね」 「朱志香……動くけど、大丈夫?」 朱志香は笑みを浮かべながら、小さく頷いた。それを確認すると、嘉音は徐々に腰を動かしだす。 「あ、あ、凄っ……んぅ」 「……っ! ……っ!」 嘉音は一心不乱に腰を朱志香に打ち続けた。それに対し朱志香は嘉音の背中に両手を回し抱きつく状態で、嘉音の腰が打ち付けられるたびにその手の力が強まる。ついには爪を立て、嘉音の背中にはうっすらと血が滲んでいた。 「朱志香……ごめん、もう、射精そう……」 「はぁっ……いいよ、嘉音くん。私の……中に……っ」 「……っ!!」 「~~~~~~っ!!」 最後に強く腰を打ち付けると、朱志香の中へと嘉音の精が解き放たれた。 「あっ、あっ、きてるっ、嘉音くんのが、私の、中にっ」 嘉音の射精はしばらく続き、その間朱志香の体は幾度と無く痙攣を繰り返し続けた。 「はぁ……はぁ……嘉音くん……ん」 朱志香は射精の終わりを確認すると、自ら嘉音の唇を求めた。しかし、次の瞬間朱志香の予想を超えたことが起こる。 「……え? う、嘘。か、嘉音くん、また大きく……んぁ!」 射精を終え萎えていた嘉音のそれは、朱志香の中で再び力を取り戻すと再び腰のピストン運動を再開し始めた。 「あ、嘉音くん、あ、すごいっ、あ、あ、あぁぁ!」 そして再び朱志香の中へと襲い来る射精。やはり朱志香に出来ることはその快楽に身を任せ体を震わせることだけだった。が、しかし。 「……そ、そんな、嘉音くん、私もう、限かぃぃぁ!」 2度の射精にもかかわらず、嘉音のそれは再び力を取り戻す。この瞬間、朱志香の心の中に何か嫌な感覚が芽生え始める。しかし、今はそれを考えることに気をまわすい事など出来ず嘉音の射精までの時間を快楽に貪られる。そして訪れる、3度目の射精。 「はぁ……はぁ……かの、嘉音……くん」 朱志香は快楽の余韻に身を震わせながら、嘉音へキスを求め顔を向ける。しかし。 「グルルゥ……」 「え?」 解けてはならない、魔法が解けた。 山羊。 酷く醜い顔。 山羊。 嘉音くんじゃない。 山羊。 不愉快な体毛。 山羊。 嘉音くんじゃない。 山羊。 禍々しい角。 山羊。 かのんくんじゃない。 山羊。 不愉快な息。 山羊。 かのんくんじゃない。 山羊。 汚らわしい体。 山羊。 カノンクンジャナイ。 山羊。 蠢き回る舌。 山羊。 カノンクンジャナイ。 山羊。 山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。 山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。 山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。 山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。山羊。 「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 気づけばそこは、朱志香の自室などではなくなっていた。薄暗く、肌寒く、生臭い、不愉快な部屋。 「やめろおおおおおおおお!! 放せええええええええ!!う、動くな糞があああ!?」 その部屋の一角に、黒く蠢く塊……正確にはあるものに群がる山羊男の大群があり、そのものこそ必死の形相で叫ぶ朱志香だった。 「ひいいいいいぃぃ!? 汚いぃ! 汚いいいい!! あああああああああ!? いやあああああああああ!!!!」 そんな朱志香をあざ笑うかのように朱志香を犯していた山羊男が射精を迎える。それと同時に、朱志香の顔付近にいた山羊男も絶頂を向かえ、その朱志香の顔にまるで腐った卵のような匂いを放つ精液が放たれる。 「!? ぅぅっっぅ……うげぇぇぇぇっ、えぇぁぁっ……うげぇぁっ!!」 その射精に慌てて朱志香は口を閉ざす。しかし、その酷い匂いに耐えられず思わず嘔吐してしまう。それはつまり口を開いてしまうということで、その瞬間口の中に精液が流れ込み、それのせいで更に嘔吐を繰り返す。 「ふふふ、お似合いですよ」 そんな光景を後ろから眺める男、ロノウェはそう言葉をかけた。 「て……てめぇぇぇぇあぁぁ!? こ、殺す!! 殺すうぁぁぁぁぁっ!?」 それを確認するや否や朱志香は呪いの言葉を吐きかける。しかし、山羊男たちはお構い無しに陵辱を続け、既に朱志香は両手は勿論、後ろの穴や髪の毛にいたるまでありとあらゆる場所に山羊男のペニスを擦り付けられていた。 「ふざけんなよ……なんなんだよこれはぁぅ!! あんまりじゃないか……クソ野郎……!」 「お似合いですよ、貴方のような畜生にはね」 「畜生……だと」 「えぇ、そうです。無力で無能でゴミクズのような存在のニンゲン如きがこの72柱27位の悪魔であるこの私に血を流させたのですからね。クククク……ククククク」 ロノウェの顔が醜く歪む。 「その罪はあまりにも重い。例え一生を掛けたところで償うことは出来ません。ならば、永遠を掛けて償っていただくほかありません」 「永遠……だと?」 「貴方は既に死人。これ以上死ぬことはありません。またお嬢様の2つ名は『無限の魔女』。文字通りあなたにはこの地獄を永遠にさまよって頂く事になります」 それを聞いて朱志香は愕然とする。この地獄を、永遠に。死ぬことも許されず、尊厳も何も無い状態でただただ犯され続ける。 「あぁ、安心してください。もし妊娠したらちゃんと生ませて差し上げますよ。ニンゲンと山羊男の醜い醜いハーフ。時間は無限にあることですし、己が体から生まれ出でた化け物に犯されるというのもまた一興ではございませんか?」 ロノウェが淡々と語る地獄の未来を想像し、顔を青ざめガタガタと震えだす朱志香。そして出してはならない言葉を出してしまう。 「……ぃ、ぃゃ」 「? 何ですって?」 決して悪魔に対して口にしてはならないそれを、朱志香は涙を零しながら紡いだ。 「嫌……そんなの嫌。死ぬなら死なせて。そんなの酷いよ……お願いします、助けてください、お願いします……」 「……ククク……フハハハハハ!!」 嗚咽しながら懇願する朱志香を見て、ロノウェは天高く笑い声を上げ、山羊男たちにこう告げた。 「貴方たち。その五月蝿い口も塞いでしまいなさい」 「そ、そんな……!? い、嫌、そ、それ、それだけは、んぐぅ!?」 恐怖で泣き崩れる朱志香の顔を山羊男は掴むと、無理やり口をこじ開けそこに醜いペニスを入れ込んだ。 「無駄な抵抗をされると面倒ですからね。もう少し順応になるまで顎の骨を外しておきますか」 ロノウェが軽く右手を振ると、朱志香の顎の辺りでゴキッという音が響く。いまや朱志香は全身を山羊男に犯されていた。そしてそれは体だけでなく、朱志香という心そのものを犯し始めていた。 (ん……あ……また出た……熱い……んぅ……口の中……臭い……) 徐々に、そして確実に。『朱志香』という心が壊され、その体だけが牢獄に取り残されていった。 (……か……のん……く……ん) もう彼女は、朱志香ではない。 彼女ですらない。 ただの、モノ。 醜い、モノ。 「ククククク……家具の嘉音にモノの朱志香。お似合いですねぇ。あぁ、朱志香というのは貴方の名前ですよ? ……ふふ、もう私の言葉も届きませんか。フフフ……ハハハハハハ!!」 (……か、……の、……ん、……く、……ん) 沈んでいく。  -完- &counter() ---- #comment_num2 ----

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