原案=ズワイガニ
編著=Дальний Восток(杏珠)
作=Ageha

電脳鯖民所記


談笑を終えた杏珠とズワイガニはそれぞれ階段を登りだす。暗闇の中吊るされている"MIND YOUR HEAD"の看板に意識をとられつつも、彼らは2階へと上がってくる。
「それじゃあ私はここで。そっちも頑張って。」
「楽勝よ、和紙にかかれば(?)」
杏珠はホールの隅にあるエレベーターへと歩き始める。それをズワイガニはただゆっくりと見守る。そして、自身も010号室へと動き出すのである…。
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「とりあえず人狼が誰か目星をつけないか」
「うちもそれは思った」
「でもヒント少なすぎない」
「現時点でジョイマンは死んでる。だから21は多分白な」
「それで今ここに集まってるわたくし、蕣さん、めすがきさん、japくん、蟹くん、ぬーんくん、昆布くん、あとふからさんも全員白な」
「あとわたしと同じ部屋のみみくちおうさん、死んださいひかりくんと朱雀丸くんも白やからな」
「じゃあ容疑者はそれ以外の部屋の人か」
「その可能性がたかい」
「蕣残りの部屋って誰いる」
「001号室がチルノ、紫猫。002号室が桜音、雨遊。004号室がもか、れぃ。006号室がたまき、マニ。008号室がAEONと森井、子猫。012号室がアカツキ、毒きのこ。014号室が…なんか掠れてて見えへん。ちゃんと書いたんやけど」
「女子多いな」
「それなw」
インターホンが鳴る。
「…どうする?」
「別にわたし達人数多いし人狼きてもいけるやろ、あけましょ」
ドアが開く。そこに立っていたのは、ズワイガニであった。
「え」
「久しぶり、和紙のこと待ちくたびれてオホーツク海まで見にきたやつおるか(?)」
「これ蟹くんか」
「はい和紙がオホーツク海在住のズワイガニですけど」
「俺佐藤さんな」
「てか和紙おらん間に人増えてね」
確かに、ズワイガニが010号室に居た当時は杏珠、蕣、ぬーん、そしてズワイガニ自身の4人であった。ズワイガニからするとこの唐突な人数の増加には困惑するところがあるだろう。
「そういや、でぇどこ行ったん」
「たしかに」
「あぁ、でぇは…」
「空に帰ったよ…」
「真面目に答えて」
「いや和紙はいつでも真面目な」
「え…死んだってこと?」
部屋が凍りつく。その瞬間、話す者は誰も居なかった。
「でーくん死亡まじか」
「いや日産は死んでない」
「なんか上から垂れてるツタ登って脱出していった」
「えぇ」
「どういうことや、でーくんはもうこの空間から脱出したってことか」
「多分そう、これからの展開が見物、スルメイカは干物です(?)」
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時を同じくして。また別の部屋でインターホンが鳴る。
「ちょい見てくる」
その刹那。鏡台の真上にある質感の違うただ一つの天井タイルがズレ動き、中から人が現れた。
部屋に降り立った人間はその部屋の住人を後ろから3回叩くと、たちまちその人間は動かなくなった。インターホンを聞き玄関へ急いだ彼女もまた同じ末路を辿った。
「なんでこのダクト、一方通行なんだ」
天井から降り立った影がそう呟くと、彼は素早くドアを開き012号室方面へ走った。
その影を見た者は"彼女を除き"誰も居なかった。
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ズワイガニに関する話に花を咲かせる一行。しかし数人はその異常なまでの足音に気がつく。
「あれなんか今めっちゃ走ってる音せんかった」
「ぼくも聞こえた」
「そんな音してないだろ」
「俺もちょっと聞こえた」
少しドアを開くのを躊躇しつつ、思い切ってドアを開くが、そこには誰も居ない。ましてや居た痕跡すらない。
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その少し奥に居る1人の少女はエレベーターの前で全速力で013号室に入る男たちの姿を見た。
「私を殺しそびれて焦ってる。」
そう微笑みながら呟く彼女の横髪は、ただ長かった。
彼女は髪をなびかせながら開いているエレベーターに入る。そして、部屋は建物内に響くほど大きな音で閉まった。
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「そう言うことか…」
005号室の1人、つまるところ聖が驚いたように言う。チルノ、紫猫、桜音、雨遊、聖、5人のいる部屋。そのうち4人のカードは白の何の変哲もないカードであった。
しかし1人。チルノだけは違った。彼が持つカードは確かに他の4人と同じく白い光沢を持ちながらも、とある特徴があった。
"騎士"。それがただただ白く光るカードの中央部に明記されていたのである。
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また同じくして、013号室に置かれた2枚の白いカード。片方は中央に「人狼」、そしてもう片方は「ゲームマスター」と書かれた下に「人狼」という文字が刻み込まれていた。
未だに息が切れている2人。そのうち1人はかつて死亡したはずである。しかし、その身現在は何事もなかったかのように動いている。
読者の皆様が散々考察した"21の白"は今宵覆された。彼らは、正真正銘このゲームの"人狼"なのである。

  • 時刻は11時を回る…。-
最終更新:2025年08月01日 23:35