「私はあなたとお話したいわ、黄金の瞳さん」
「!?」
ナナエルは自分が指定され一瞬ドキリとする
自分の能力に自信はある。だが相手はあのクリブラを10分足らずで倒した程の化け物だ
正直言ってまともに戦って勝てる相手とは思えなかった
「本当に話すだけってんなら構わないぜ」
その時彼女の緊張を気遣ってかギデオンが割って入る
「本日はどういったご用件かな?お嬢ちゃん」
こう言う時だ
普段だらしなく軽口を叩いているギデオンだが、いざという時になると頼りになる
そんなギデオンに時々ドキッとしてしまう自分がいる事に最近ナナエルは気付いていた
戦いになってもきっとギデオンに助けてもらえる
そう思った時、その安易な気持ちを打ち砕かれる一言が発せられた
「ここじゃゆっくりお話も出来ないわね。場所を移しましょう」
「え―」
その瞬間、ナナエルは
ワンダーワールドと共に世界に溶け込むように消えてしまったのだった
「ナナエル!?くそっ!やられた!」
またしても不覚を取ったギデオンだが
それは彼もワンダーワールドを相手にして冷静で要られなかったためのミスであった
「お前らしくも無い不用意な言動だったな」
以前ワンダーワールドに出会った時感じた不安感
己の多次元を繋ぐ能力でも止める事が出来なかった相手に対する僅かな虚勢が彼に判断を誤らせたのだった
「それにしてもお前が止められぬとは…どうやら単純な時空間移動ではないらしいな」
実の妹が格上の敵に攫われたと言うのにこの落ち着き様
普段ならそのクールさを流石と証したかもしれない所だが今はナナエルの危機である
ギデオンは珍しく余裕を無くしていた
「そんな事言ってないでさっさと千里眼で探さねーか!」
「もう探している。だがどうやら射程外まで飛ばされたようだ」
ギデオンの絶殺視の能力射程はさほど広くは無いが千里眼は別だ
その能力の及ぶ範囲は半径数千kmにも及び監視衛星以上の絶対視力なのだ
その彼が見つけられない所へ一瞬でナナエルごと移動できる相手―ギデオンは冷や汗を流した
「ナナエル…」
「そんな事より今は自分達の心配をした方が良いらしい」
カイザーの指摘にハッと周りを見ると
ガチャーーーン!!
「なっ!?」
ガラスや壁を突き破って進入してきたのは不恰好なロボットの兵団であった
「久しぶりねバカ兄貴」
その兵団の真ん中から現れたのはまだ10歳くらいのガチ幼女であった
「誰だこのお子ちゃまは?」
「レディーに向って失礼ねこのオヤジ!」
「グレイス、お前なんでここに」
「解らないのバカ兄気?あたしは今
十大聖天の9位に属してるのよ」
信じられない、十大聖天にはこんなお子様まで所属しているのか?
「兄妹感動の再開って訳か。妹さんお前と同じで口悪いねー」
「一緒にするなよなオッサン。アイツは性格最低のドSなんだぜ」
「な、ななななんて事言うのよこのバカ兄気ーーー!!」
グレイスが逆上してロボ軍団
『驚嘆すべきグレイスの団(アメイジング・グレイス)』がリーンに襲い掛かってくる
その間隙を付いてカイザーとギデオンはロボ軍団を突破する
「悪いなリーン!ちょっちここは任せるわ!」
「ナナ姉ちゃんをよろしくなオッサーン」
「あー!?突破されたー!!バカ兄貴のせいでーーー!」
襲い来るロボのパンチをリーン特製加速シューズの効果で交わしつつギデオン達にナナエル救出を任せるのだった