―地球地下70キロメートル。マントル層直上
『流石ティターンの末裔。大した力よ』
『うむ。両者とも
六大聖天を前にして一歩も引かぬ。流石という他あるまい』
『算多きは勝ち、算 少なきは勝たず。而るを況や算なきに於いをや』
『誰の言葉だい、インドラ』
『長卿…つまりは孫子さ』
『それはそれは』
『
ガネーシャは先にいったようだ』
『益荒男よ』』
その言葉を最後に、その空間に立ちこめていた異常な気配は
まるで幻だったかのように消えていた
『我がラストバタリオンの前に敵はおらずよ!逝けィ!人類共!滅び去れ文明!』
そう叫ぶのはビーストハザードの一人、日本ミツバチのビルケナウである
彼の指揮する直属兵団、ラストバタリオンの生みだす蜂球は、人類を、そして文明を包みこみ原子の塵に変えていく
養蜂家にこき使われ、道具として切り捨てられてきた仲間の恨みを晴らすかのように
その行動には一切の迷いがない
『待て!これが地球の!母なる
ガイアの意志だとでもいうのか!』
そんなラストバタリオンの一角を切り裂いて、灰色の巨体が躍り出る
『ほう…君は六大聖天の熊か。こんな所で名高き森林の王、熊に出会えるとはな』
『そんなことはどうでもいい!これが本当に母なるガイアの意志だというのか!』
『
クレイオス殿の宣戦布告を聞いていなかったのかね、君は。君の自然の代弁者ならば我らにつけ』
『…それはできん!』
『おかしな話だ。母なるガイアが最初に生み出した
人類の抑止力である君が、同じ存在である我らに牙を剥くと?』
『確かに人類は邪悪だ。自然を破壊する。同族で殺し合う。だが、それと同じくして
どの生き物よりも、他の生物にかける慈しみや愛情を持っている…!』
熊の脳裏には一人の少女の姿が浮かんでいた。かつて自分の傷を癒してくれた
銀髪の少女。その少女の名は―
『だがそんな温かさを持った人類が、地球さえ破壊する!それをわかるんだよ熊』
ラストバタリオンが熊に襲いかかる。だが熊にとって蜂の巣は好物
そんな蜂が生み出す原子分解など驚異ですらない
『そんな理屈!私の道理でこじ開ける!』
『何、馬鹿な…!』
熊の鋭い爪が、ビルケナウの身体を捉え、切り裂く
勝負は一瞬で決したかに思えた。だが地面に倒れたのは熊の方だった
『ビルケナウは同志。殺させはせぬ。だが案ずるな。我が爪は人類以外その手にかけず』
『ガネーシャ様…』
『今は休め、ビルケナウ。ロイヤルゼリーでも食らって…な』
『…面目次第もございません』
ガネーシャと呼ばれたそれは、一陣の風をまといその場から姿を消す
薄れゆく意識の中で、熊は思う。今の男…まさか…
最終更新:2008年11月23日 22:48