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「夢や愛なんて都合のいい幻想」(2021/07/02 (金) 20:03:56) の最新版変更点
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下北沢のとあるマンションの一室。
亜柊雫と羽二重奈々は5階にあるその部屋で共に暮らしていた。
亜柊雫は、羽二重奈々が大好きだ。
少しふっくらとした頬も、柔らかな唇も、自分の体重を気にしているところも、意外と拗ねやすいところも、ベッドで乱れる際の甘い吐息も、彼女のなにもかもが大好きだった。
特筆すべきところは、あの笑顔だろう。
あの可愛らしい笑顔を見るだけで、雫の心は癒されその度に奈々を愛おしく思うのだ。
奈々を抱き寄せ、スルリと肢体に手を回す。
「もう、またなの?」
呆れたような台詞とは裏腹に、奈々は頬を紅潮させ頬を緩めている。
おそらく彼女も自分と同じ気持ちだったのだろう。
「すまない。どうもこの街にいると、無性に君を抱きしめたくなるんだ。勿論、嫌なら止めるよ」
離れようとする腕を、しかし奈々はそっと手を添え引き留める。
「言わなくてもわかるでしょう?」
ニコリ、と微笑みかける奈々に雫の頬が赤くなる。
やっぱり、自分はこの笑顔が大好きだ。
彼女の笑顔を守るためならなんだってできる。
雫は、この街、下北沢をそこそこ気に入っていた。
多少風紀に問題があり性に奔放すぎるきらいはあるものの、この街の恋愛観は酷く自由だ。
異性で愛し合う者もいれば、男同士、女同士で愛し合う者も大勢いる。
近所のソルベとジェラートもまたその中の一組だ。
彼らもまた、厳つい顔をした男同士でありながら恋人繋ぎで街をぶらついているのを何度か見かけたことがある。
同性愛は社会一般的に冷たい目で視られ、嗤われる要因になりやすい。
雫は他者からの好奇の視線などどうとも思わないが、奈々がそういう目で視られるのは快く思わない。
そんな気遣いもこの街では不要。みんながみんな、性別に捉われず好きな人を愛し気持ちに正直になれる。
好奇な視線もあるのとないのでは当然ないのがいい。
突如拘束されて連れてこられ、首輪を嵌められ、妙な機械を渡され、『数日間ここに住んでもらう』とアナウンスされた時は流石に困惑し憤慨したが、住めば都とはこういうことを言うのだろう。
数日間だけならば、大学も少し休んだ程度で済むはずなので、その心配も必要はないはずだ。
ギシリ、と雫と奈々を乗せたベッドが軋む。
奈々はベッドに仰向けになり、雫はその傍らに腰を掛けている。
首筋をそっと撫で上げると、ピクリと反応を示す奈々が可愛くて、ついついそれを繰り返してしまう。
そして次第に雫の指は、服の上から奈々の身体をゆっくりとなぞっていく。
首筋から肩へ、肩から豊満な胸に、胸から少し大きめの腹部へと、じっくりゆっくりと指を奔らせていく。
奈々は奈々で、雫のそれが気持ちいいのと同時にこそばゆくもあるけれど、楽しそうに弄ってくれる雫が愛おしかったので嫌がらず甘んじて受けいれた。
王子様が愛してくれるのなら、それを余さず受け入れるのが姫の役割だから。
程よく身体が火照ってきたところで、雫は一旦指を止め、ゆっくりと奈々に覆いかぶさる。
「んっ...はむっ...」
互いの唇が重なり、舌で口内を蹂躙し合い、身体は熱を帯びていく。
衣擦れとぴちゃぴちゃと小さく鳴る水音が、二人の情欲を更に掻き立てる。
「...っはぁ」
唇が離れると、細い涎の糸が唇から垂れさがり、重力に従い落ちていく。
もう我慢の限界だった。
雫は奈々の服に手をかけた。
しかし、野獣のように服を引き裂くのではなく、お姫様の御召し物を取り替える王子様のような優しさを忘れずに。
そんな凛とした雫の姿を見て、奈々の胸の高鳴りは更に増していった。
「おっ、開いてんじゃ~ん」
突如、二人の空気を壊すかのような陽気な声が響く。
男だ。黒髪、赤髪、青髪の三人の男が部屋へと足を踏み入れてきたのだ。
「なにやってんだぁ?なにやってんだおい、楽しそうだねぇ~」
「おいおい俺らも混ぜろよお前~」
「おい楽しそうじゃねぇかオラァ」
二人を囲んでいく男たちの迫力に、奈々は思わず身を震わせ、雫はそんな彼女を庇うように抱き寄せる。
「兄ちゃんよ~」
「気持ちいいか~?」
「ちょっとアツいんじゃないこんな所でー?ねーお兄ちゃ~ん。混ぜてほしいんだけど~。ワーイ(無邪気)」
男たちは自分を男と勘違いしているようだ。
となれば、襲われるのは奈々。このままでは奈々の貞操が危ない。
そう直感した雫は傍らの端末を手にし掲げた。
端末が光るのに僅かに遅れ、地面から巨大な壁がそびえ立ち男たちを部屋の壁に叩き付ける。
その隙をつき、雫は奈々の手を引き玄関へと逃走する。
(おかしい...鍵はかけていたはずなのに)
玄関を出る瞬間、雫はチラと視線を扉へと移しその奇妙さに目を見張った。
(なんだこの...無理矢理こじ開けたようなドアノブは...こんなこと道具がないと無理じゃ...?)
あの三人が何かを持っていた訳ではない。しかし、現実としてドアノブは壊れている。
いったいどうやって?
「し、雫っ!」
その疑問の答えに辿りつく前に、奈々の声が雫の思案を遮った。
いや、奈々の指し示したその光景を見れば、そんなことを考えている余裕などなかった。
「嫌ァァァァァ!!」
「ガハハハ!気持ちいいぜ!コイツの穴超気持ちイイ!」
それは異様な光景だった。
「スゲェぞ!コイツ超ウメェ!」
「もっとだ。もっと吸えや!」
異様な臭気と熱の中、折り重なり蠢く肉の海。
「三人に勝てるわけないだろ!」
「バカやろうお前俺は勝つぞお前!(天下無双)」
「お前初めてかここは?なあ?力抜けよ。あくしろよ」
「先生がビンビンでいらっしゃるぞ。咥えてさしあげろ」
「あああああああああああああああああああああああああああ!(発狂)」
「一万円くれたらしゃぶってあげるよ?」
「お前を芸術品に仕立てや...仕立て上げてやんだよ」
ところせましと欲望をぶつけあい、蹂躙する欲の塊。
それはまさに地獄絵図だった。
ガクリ、と奈々の膝が地に崩れ落ちる。
「奈々!」
慌てて支える雫だが、この異様な光景に腰が砕けてしまったのか、奈々は動くことすらできない。
(マズイ...さっきの三人もいつまで拘束できるかわからない...)
とにかくこの場から離れ、あの地獄絵図から少しでも早く遠ざからなければ。
雫が奈々を抱き上げたその時だ。
ドサリ、と何かが落ちる音がした。
雫が目を向けると、そこにいたのは二人の男。
否。そこにあったというべきだろう。
なんせ、そのソルベとジェラートだった肉塊は肛門から血を流し、この世のものとは思えぬ苦悶の表情で虚空を見つめていたのだから。
「ヘヘヘ、こりゃあ上玉じぇねえか」
巨大な影が雫へと覆いかぶさる。
見上げれば、そこには禿げあがった頭の、凶悪な面構えの男が雫を見下ろしていた。
屈強なる戦士、ドノバンである。
「なあおい。ここ最近溜まってたんだ。その穴貸してくれよ」
雫は背中に伝う冷や汗よりも早く振り返り駆け出した。
いまこの場に留まるのはヒドくマズイ。
その予感からなる逃走である。
「逃がすかよぉ!」
ドノバンは巨漢とはいえ傭兵だ。
一人を抱えた女に追いすがれないほど愚鈍ではない。
だが、それはなんの介入もなかった場合だ。
奈々は己の端末を握りしめ、雫の顔を見つめる。
すると、雫の身体が淡く光り、駆ける足は人一人を抱えているとは思えぬほど軽く力強い足取りになっていき、たちまちドノバンから距離を離していく。
無論、そのまま逃がすドノバンではない。
距離が離れようとも利があるのはスタミナのある彼であり、このまま追われればいずれは捕まってしまう。
雫は追いかけてくるドノバンに舌打ちをしつつ、奈々にそっと耳打ちする。
「奈々。舌を噛まないように」
それだけで意図は伝わったのか、奈々はコクリと頷き、それを認識すると、雫は廊下から跳び下りた。
ここは五階。普通の人間が落ちればタダでは済まない。それでも無事なものがいるとすれば、それは最早超人か怪物の類だろう。
だが、いまの雫ならそれが出来る。
雫は空中の最中、一旦奈々を上空へと投げ、自らは三階の手すりに掴まり一旦勢いを殺す。
そして、そのまま壁を蹴り一足先に地上へと下り、遅れて落下する奈々をキャッチし抱きしめた。
だいぶ距離をショートカットできた。これならうまく逃げおおせることだろう。
「大丈夫か、奈々」
身体を強化しているとはいえ、自分も無茶な動きで多少なり身体を痛めているだろうに、心底心配してくれる雫に、思わず奈々は頬を綻ばせる。
「大丈夫ですよ。あなたがいてくれますから」
本当は全体的に中々痛かったが、このムードを壊したくはないため我慢してみせた。
ホッと息をつき、再び抱きかかえたまま走りだす雫を見て、奈々は「やっぱり、私の王子様は雫しかいない」とぽんわり思っていた。
―――ズドン
何かが落下する音が響いた。
雫が振り返れば、そこにはもうもうと立ち昇る砂煙。
それを突き破り、ドノバンは雫たちのもとへと駆けだしてきた。
(あそこから跳び下りたのか!?)
ありえない。あんな場所から何の工夫もなく跳び下りて無傷など。
憔悴する雫だが、未だ腕の中で頬を緩めている奈々のためにも足を止めることはできなかった。
☆
雅たちから離れたロックと岡はしばしの探索の後、見つけたホテルを休息場所としていた。
ピンク色の壁だったり回るベッドや巨大な鏡が備え付けてあったりと、まるでAVかなにかでよく見る典型的なラブホテルの内装である。
男2人で入るなんて、受付の人がいれば変な目で見られるだろうなとロックはなんとなく思ったが、ここは下北沢。
そんなことは何の問題もないことを彼が知る由はない。
「俺はスーツが治せんか確かめとる。なんや変なのが来たら教えろや」
ここは三階だ。
窓から覗けば地上を見下ろせるため見張りには最適である。
ロックはうまい棒と缶コーヒーを手に窓際から様子を伺い、岡は部屋の片隅でガンツスーツを弄っている。
そんな、特に目立った会話もないまま数分。
ロックは視界の端に人影を捉える。
どうやら、人を抱えたまま走っているようだ。
その様から何者かから逃げているのは容易に想像できた。
「岡、どうやらアリスが二人迷い込んできたらしい」
ロックの報告を受け、岡はスーツを弄る手を止め地上を見下ろす。
そこには確かに、女性を抱きかかえて逃走する端整な顔立ちの少女とそれを追いかける屈強な禿げ頭の姿があった。
「......」
「助けに行こう。あれじゃあ追いつかれるのは時間の問題だ」
「俺はパスや。そんな余裕はあらへん」
「岡!」
冷たくあしらう岡に、ロックは思わず詰め寄る。
が、岡は全く動じず冷静に鋭いまなざしで睨み返す。
「あいつらを助ける利益はなんや」
「...彼らがいれば脱出の時に力になってくれるはずだ。それに、支給品もなにか便利なものがあるかもしれない」
「両方アカンわ。まず第一にあいつはあそこまでして足手まといを庇っとる。そういう奴はいざという時に彼女を守れる道具をくれだの彼女を帰すことを優先してくれだのとやかましく喚いてチャンスを逃す。
第二に支給品はロクなものはないやろ。あれば使う素振りも見せるのに、あいつはそうせんと逃げるだけ。どう考えてもハズレや。スーツもこんなな以上、リスクは避けられん」
岡は、ひどく現実的な思考をする男だった。
かつてガンツの任務をを7回クリアした彼だが、大阪チームの面子とは違い己の腕を過信するのではなく、相手の力量を見極め退くべき時には退き勝利に必要な条件を整え戦いに赴く。
そんな慎重さと冷静さこそが、彼の強さの秘訣と言えよう。
だからこの場でも同じだ。
リスクを極力排し、確実な勝利への算段を整える。
そのためには余計なものを抱え込む必要は無いのだ。
「やりたかったら勝手にやり。俺は手伝わへん」
ロックは押し黙ることしかできなかった。
ロック自身は拳銃すら使う事のできない男だ。
そんな自分が岡抜きで地上の彼らを救うことができるだろうか。いや不可能だ。
だが、岡の言い分もわかる。
ここは殺し合い。それも脱出の権利は限られている。
ならば、目についた非力な相手にまで手を差し伸べている余裕はないのは当然だ。
見捨てるしかないのか。そんな苦い思いでロックは再び窓の外へと目をやる。
少女たちは足を止めていた。
禿げ頭とは対極の方角、少女たちの逃走経路から黒衣の死神が歩みを進めていたからだ。
☆
雫の背を冷や汗が伝う。
挟まれた。
眼前の黒衣の男が、ドノバンの仲間かどうかはわからないが、その面構えや醸し出す威圧感から堅気の者ではないのは一目でわかる。
おまけに、自分の体力ももう尽きかけている。
今までは奈々の力を借りて逃げていたが、さすがに長時間の使用もあって奈々も疲労困憊だ。
もはや覚悟を決めるしかないだろう。
「奈々。たぶん、これが逃げ切れる最後のチャンスだ。もしも失敗したら、きみだけでも」
言葉は紡がれない。
奈々が人差し指で口を塞いだからだ。
「失敗したら、なんて思っちゃ駄目よ。成功することだけ考えなくちゃ」
この期に及んでも微笑んでくれる奈々に、つられて雫も微笑みを零す。
そうだ。
彼女が自分を信じてくれるなら、自分が後ろ向きな気持ちでどうする。
彼女が、優しく清らかでいてくれるのなら、自分も最期まで前へ進むだけだ。
黒衣の男が駆けだした。
雫も奈々の能力を借りて駆けだす。
彼女の狙いは、最早作戦などというものではない。
ただ、あの男の巨大な獲物を振るうのが早いか自分達の方が早いか。
成功すればそのまま逃げられ、失敗すれば敗北必至。
負けてたまるものか―――そんな意地にも似た決心で駆け抜ける雫。
その横を通り過ぎる、黒衣の男。
雫の口から、思わず「はっ?」と言葉が漏れかける。
黒衣の男は手出しをしなかった。
まるで、自分たちなど視界にすら入っていなかったかのように。
ガァン
交叉するドノバンの斧と黒衣の男の丸太。
鉄と木材、どちらが強いかは言うまでもないだろう。
「なっ!?」
だが、そんな常識を覆し、丸太には傷一つ付かず、男が踏み込む度にドノバンは後退してしまう。
「が、あ、ああああああああ!!」
気合一徹。
男の叫びと共に振り切られる丸太に弾き飛ばされた斧は虚空に円を描きながら落ちていった。
男は攻撃の手を緩めない。
そのまま丸太で胸部を突き、ドノバンを怯ませすかさず頭部を殴りつけた。
「な、なんだテメエは...」
「まさかてめえまで生き返ってやがったとはな...ドノバン」
男は、そうポツリと零すと、丸太でドノバンの横っ面を殴りつけた。
傾く視界。
倒れたドノバンの頭部に、男は無慈悲に丸太を振り下ろした。
「―――ひっ」
奈々は飛び散った鮮血に息を呑んだ。
つい先ほどまでの余裕すら見てとれた態度はどこへやら。
いまにも失禁してしまいそうなほど、彼女の身体には眼前の光景への恐怖が刻まれていた。
男は、血に濡れた丸太を担ぎ上げ、くるりと振り返る。
その視線の先には、当然、雫と奈々。
間違いない。今度こそは、こちらを認識している。
雫は腰を抜かし震える奈々の肩を抱く。
本当は雫も眼前の惨状には恐怖を覚えており、少しでも気を抜けば簡単に腰を抜かしてしまうだろうと自覚している。
それでもこうして奈々を庇えるのは、ここに奈々という存在がいるからだ。奈々がいなければ、雫もまた恐怖に圧し潰されていただろう。
とはいえ、本質的には雫も奈々と同じただの女子大生だ。
歩み寄ってくる男が死神のように見え、その一歩毎に、二人の鼓動は緊張と恐怖で早さを増していく。
這いよる死への恐怖に、雫はとうとう目を瞑ってしまった。
「大丈夫?」
頭上よりかけられた声は、到底男のものとは思えない幼いものだった。
顔をあげると、そこに佇んでいたのは、男の腰ほどの背丈の少女だった。
「ガッツがあんな乱暴に助けるからだよ」
「知るか。助けたつもりなんてねえよ」
「もう。またそうこと言って」
ガッツは、つっけんどんな態度で少女―――野崎祥子をあしらうが、彼女は意にも介さない。
雫の目には、先程までは死神に見えた大男が、いまは拗ねた時の奈々にほんのちょっぴり重なった。
「えっと、助けてくれた...ということでいいのかな」
そう雫に尋ねられた証拠は、数歩下がってガッツのマントの裾を掴み、こくりと頷いた。
雫は、意外に人見知りなのかなとなんとなく思った。
「とにかく礼を言わせて―――うしろっ!」
突然の警告に、ガッツは思わず反応し振り返る。
目に入ったのは、信じられない光景。
ドノバンが、頭部から大量の血を流し、顔面がほとんど陥没しているのにも関わらず立ち上がっていたのだ。
「い...いてえじゃねえかよ、クソ人間」
「ヘッ、どうやらテメェも人間を辞めちまってるようだな」
目が赤く変貌していくドノバンに、ガッツは鼻で笑い悪態をつく。
ドノバンは斧を拾うのも忘れ、激情のままにガッツへと跳びかかる。
振り下ろされる腕を丸太で受け止めるが、押し返すのはおろか、弾くこともできずそのまま硬直。
頭部からの大量の出血や元来より崩れた顔など満身創痍のドノバンに対し疲労が少々程度のガッツ。
だが、そのパワーバランスは容態通りにはならなかった。
(こ、こいつのパワーは...!)
ただ闇雲に振るわれただけのドノバンの腕。
そこには傭兵としての経験から研ぎ澄まされたものはなにひとつない。
あるのは、純粋な暴力のみ。
その技術も何もない力は、歴戦の戦士であるガッツを確かに圧していた。
「ガッツ!」
祥子は思わずドノバンの脚に飛びつき少しでもガッツの力になろうとするも、ドノバンが軽く片足を振るだけであっさりと引きはがされボールのように地を跳ねる。
重心が片足になった隙を突き、ドノバンの手を払いのけようとするが、しかし丸太を掴まれていてはそれも叶わない。
多少揺れた程度で、すぐに力は均衡する。
「オメェ...どっかで見たツラだな。なんだったか」
ドノバンは空いた片手で顎を弄りながら思い返す。
圧されるガッツとは対照的に、ドノバンには余裕が滲んでいた。
「まあ大方、オレに買われた穴の誰かなんだろうが、そんなもんイチイチ覚えてられねえよ」
瞬間、ガッツの脳髄へ灼熱のごとき憎悪が湧きたてる。
覚えていない?覚えていないだと!?
ガンビーノから銀貨三枚で買い、貴様の薄汚ねえ情欲から全てを狂わされた俺をだ。
貴様からしたら俺は玩具のひとつにしかすぎねぇということか、ドノバン!
グリフィスの裏切りにより鷹の団が壊滅し、キャスカが壊され、なにもかもを喪った彼をここまで生かしてきたのは、負の感情だ。
憎悪。呪詛。憤怒。殺意。復讐心。
それら攻撃的な負の感情を狂気に変え、彼は使徒たちと戦ってきた。
それらを募らせるほど、ガッツという男は力を滾らせ、戦士から狂戦士(ベルセルク)へと近づいていく。
狂気を糧に、バケモノどもを殺すことこそが、いまの彼の戦いの本分である。
だが、彼がそれを怨敵ドノバンへとぶつけることはなかった。
怒りと共に踏み込んだ時には、彼の首は宙に舞っていたのだから。
「隙だらけや」
その言葉を告げられ、ドノバンはようやく自分の首が斬られたことを理解した。
グラリ、とドノバンの上体が倒れ込む。
ガッツは彼の身体を受け止めるつもりはサラサラなく、一歩退き怨敵の身体が倒れるのを見届けた。
「なんだテメェはぁ!?俺をこんなにしやがって!ぶち殺してやる!」
「まだ喋れるんかいな」
フェイスヘルメットを無くし、素顔を見せたままのパワードスーツを身にまとった岡は、躊躇いなく拳を握りしめる。
「ひっ、ちょ、ちょっとま」
その先の言葉は紡がれない。
岡の機械仕掛けの巨腕は、無慈悲にドノバンの頭部を叩き潰し粉砕した。
(あの白髪の男と似たような目をしとったから同類かもしれんが...流石にここまでやれば死ぬんやな)
岡のしたことは至って単純だ。
隠れて様子を伺い、ガッツに気を取られている隙を突き、不意をついてスーツ付属のブレードでドノバンの首を斬った。
ただそれだけのことだ。
ドノバンが死に、包む静寂に遅れ、ロックが息を切らしながら現れる。
いくらロックが訴えかけようと関与する気のなかった岡が、ガッツを見た途端、突如スーツを着てホテルを出てしまい、それを慌てて追いかけてきたのだ。
「岡、なんたって急に...」
「おう、ロック。この黒い男は使える。こいつらに話つけろや」
遅れて出てきてイマイチ状況が掴めていないというのにこの理不尽な注文。
制作会社の下請け業者なら文句と共にインターネットで拡散してしまう心境に陥ることだろう。
まあ、そういう類の無理な注文は慣れっこではあるが。
「えーっと...とりあえず、俺たちに戦意はない。俺はロックで、こっちのスーツ着た方は岡八郎。少し話をしたいんだが...」
まだロクに相手の人物像を掴めていないため、至極平凡な誘い文句になってしまった。
さて、こんなテンプレーションで信頼を得ることができるかどうか。
「...チッ」
ガッツは舌打ちと共に丸太を収める。
獲物を横取りされたことへの不満はあるが、戦場でイチイチそんなことを気にしていてはやってられない。
些細なことでも怒り合えるかつての仲間たちならいざ知らず、名前も素性も知らない妙な男ならば尚更だ。
「手短に済ませろ」
ガッツの返事に、ロックはホッと一息つく。
思ったよりも会話が通じる相手でよかった。
これがロアナプラの住人なら下品な悪態と共に銃を突きつけ新たなガンファイトの始まりだった。
はた、と祥子と目が合うと、祥子はすぐにガッツの後ろに隠れてしまう。
特に悪手を選択した覚えはないが、子供は人の本性を見抜くのが得意なのだろうか、とロックは少しナイーブな心境になった。
雫は奈々に肩を貸し、どうにか立ち上がらせる。
(なんだこれは)
雫も奈々も、図らずもその意見は一致していた。
つい先ほどまで平和に暮らしていたのに、いつのまにか血で血を洗う地獄に成り果てていた。
まるで仕組まれていたかのように。この街で過ごしたあの日々が淡い嘘にしかすぎなかったかのように。
雫と奈々は、ソルベとジェラートの死に顔を思い出し、眼前に転がるドノバンだった残骸を見つめ、ようやく自分達がロクでもないことに巻き込まれていることを実感した。
【E-6/下北沢近郊/黎明/一日目】
※吸血鬼化したドノバンの死体が放置されています。
【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:疲労(中)
[装備]:ゴドーの甲冑@ベルセルク、青山龍之介の丸太@彼岸島
[道具]:基本支給品
[思考・行動]
基本方針:使徒共を殺し脱出する。
1:とりあえず目の前の連中と情報交換する。
2:ドラゴン殺しが欲しい
3:己の邪魔をする者には容赦しない。
※参戦時期はロスト・チルドレン終了後です。
※トロールをいつもの悪霊の類だと思っています。
【野崎祥子@ミスミソウ】
[状態]:擦り傷
[装備]:
[道具]:不明支給品1~2
[思考・行動]
基本方針:今度こそお姉ちゃん(春花)を独りぼっちにしない。
0:お姉ちゃんと合流する。
1:ガッツは春花に似てるので放っておけない。
※参戦時期は18話以降です。
【岡八郎@GANTZ】
[状態]:健康
[装備]:ハードスーツ@GANTZ(フェイスマスク損失、レーザー用エネルギーほぼ空、煙幕残り70%、全体的に30%ダメージ蓄積)
[道具]:?
[思考・行動]
基本方針:ミッションのターゲット(赤い首輪もち)を狙う
0:ガッツたちと情報交換。できれば味方に引き入れたいが、交渉はロックに任せる。
1:赤首輪に対抗するためにチームを作る。
【岡島緑郎(ロック)@ブラックラグーン】
[状態]:健康、不安(小)
[装備]:
[道具]:不明支給品1~2
[思考・行動]
基本方針: ゲームから脱出する。
0:ガッツたちと情報交換。できれば味方に引き入れたいが、正直自信はない。
1:とりあえず岡と行動する。
2:レヴィとバラライカと合流できればしたいが...暴れてないといいけど
3:そんなに悪党かな、俺
※参戦時期は原作九巻以降です。
【NPC】
【羽二重奈々@魔法少女育成計画】
[状態]:疲労(大)、不安(大)
[装備]:魔法の端末(シスターナナ)@魔法少女育成計画
[思考・行動]
基本方針:状況を把握する。
【亜柊雫@魔法少女育成計画】
[状態]:疲労(大)、不安(大)
[装備]:魔法の端末(ヴェス・ウィンタープリズン)
[思考・行動]
基本方針:状況を把握する。
【NPC解説】
【下北沢@真夏の夜の淫夢】
E-5、E-6エリアにかけて広がっているこの街では、多くのNPC(ホモ及びレズ達)が住んでいる。
住民に選ばれるのは、同性愛者のみ(拡大解釈、風評被害込み)である。
彼らは殺し合いに関わる知識はないため尋問しても主催のことは聞きだせない。
また、この街でムラムラすると性欲を掻き立てられたり掻き立てられなかったりする。
【KBSトリオ@真夏の夜の淫夢】
K(金)・B(暴力)・S(セックス)をモットーにツルんでいる三人組。
男女のカップルがいれば、躊躇いなく襲いに行く。男を。
下北沢住人。現在は吸血鬼化。
【ソルベとジェラート@ジョジョの奇妙な冒険】
『ジョジョの奇妙な冒険5部 黄金の風』に登場。
ギャング組織パッショーネの暗殺チームの一員である男たち。デキてるんじゃあないか?というくらい仲がよかった。
禁忌である『ボスの秘密』を探ろうとしたためにソルベは輪切りに、ジェラートはソルベの処刑を見てしまいさるぐつわを飲みこみ死亡。
このロワでは下北沢の住人として暮らしていた。
【ドノバン@ベルセルク】
ガッツの元育て親にあたるガンビーノと同じ団にいた傭兵。
武器は鉄の斧を使う。
ガッツの幼少期に、ガンビーノから銀貨三枚で一晩ガッツを買いカマを掘った。
その後、戦乱の中でガッツに不意打ちされて死亡する。
彼は紛れもなくホモでショタコンだが、男が男を抱くのは軍隊ではよくあることらしい。というのも、彼の団には女性がいないので、彼一人が特殊な性癖ではなかったのかもしれない。
つまり穴があればなんでもいい可能性が微レ存。
このロワでは下北沢の住人として暮らしていた。
【羽二重奈々@魔法少女育成計画】
魔法少女育成計画本編に登場する『シスターナナ』の変身前の姿。
ぽっちゃり系で、スキー部の姫としてちやほやされ平和にて暮らしてきたが、雫が入部してきてからは一転。
彼女に嫉妬やらなんやらをしたり、魔法少女の美しさを見せつけて上に立とうとしたりと色々とあったが、なんやかんやで愛し合う関係になった。
ハグやキスは勿論お茶の間では流せないこともしている。
このロワでは下北沢の住人として雫とイチャコラして暮らしている。
魔法少女には変身できないし記憶もないため、現状はただのレズカップル。
支給されている魔法の端末を使うと変身はできないが、奈々の体力と引き換えに指定した誰か一人の力を底上げすることができる。
また、奈々の行動できる範囲は決まっており、E-5から周囲一マスまでしか行動できない。そのマスから出た場合は首輪から警告音が流れ、それを無視して進んだ場合死亡する。
奈々を殺して奪ってもこの魔法の端末は使用できる。
【亜柊雫@魔法少女育成計画】
魔法少女育成計画本編に登場する『ヴェス・ウィンタープリズン』の変身前の姿。
ボーイッシュでありながらも美しい顔立ちで、巨乳ではないもののスタイルの整った非の打ちどころのない美少女。
男女からの人気も当然高く、短い間だが奈々と出会う前には男とも女とも付き合ったことがある。
根っからの奈々大好きっ娘であり、交際を申し込むために指輪を買ったり、第三者(雫観)から「女同士ですよ!?」と引かれても「愛の前では些細なことだ」と真顔で言える。スゲェ。
念願叶って奈々と半同棲している(自分の部屋に帰るのは週一程度らしい)。
このロワでは下北沢の住人として奈々とイチャコラして暮らしている。
魔法少女には変身できないし記憶もないため、現状はただのレズカップル。
支給されている魔法の端末を使うと変身はできないが、雫の体力と引き換えに一度に三枚まで自由に壁を作ることができる。三枚出したら一枚消えるまで壁を新しく作れない。
また、雫の行動できる範囲は決まっており、E-5から周囲一マスまでしか行動できない。そのマスから出た場合は首輪から警告音が流れ、それを無視して進んだ場合死亡する。
雫を殺して奪ってもこの魔法の端末は使用できる。
時系列順で読む
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投下順で読む
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|[[ひとりきり]]|ガッツ|[[戦線は下北沢にあり]]|
|[[ひとりきり]]|野崎祥子|~|
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下北沢のとあるマンションの一室。
亜柊雫と羽二重奈々は5階にあるその部屋で共に暮らしていた。
亜柊雫は、羽二重奈々が大好きだ。
少しふっくらとした頬も、柔らかな唇も、自分の体重を気にしているところも、意外と拗ねやすいところも、ベッドで乱れる際の甘い吐息も、彼女のなにもかもが大好きだった。
特筆すべきところは、あの笑顔だろう。
あの可愛らしい笑顔を見るだけで、雫の心は癒されその度に奈々を愛おしく思うのだ。
奈々を抱き寄せ、スルリと肢体に手を回す。
「もう、またなの?」
呆れたような台詞とは裏腹に、奈々は頬を紅潮させ頬を緩めている。
おそらく彼女も自分と同じ気持ちだったのだろう。
「すまない。どうもこの街にいると、無性に君を抱きしめたくなるんだ。勿論、嫌なら止めるよ」
離れようとする腕を、しかし奈々はそっと手を添え引き留める。
「言わなくてもわかるでしょう?」
ニコリ、と微笑みかける奈々に雫の頬が赤くなる。
やっぱり、自分はこの笑顔が大好きだ。
彼女の笑顔を守るためならなんだってできる。
雫は、この街、下北沢をそこそこ気に入っていた。
多少風紀に問題があり性に奔放すぎるきらいはあるものの、この街の恋愛観は酷く自由だ。
異性で愛し合う者もいれば、男同士、女同士で愛し合う者も大勢いる。
近所のソルベとジェラートもまたその中の一組だ。
彼らもまた、厳つい顔をした男同士でありながら恋人繋ぎで街をぶらついているのを何度か見かけたことがある。
同性愛は社会一般的に冷たい目で視られ、嗤われる要因になりやすい。
雫は他者からの好奇の視線などどうとも思わないが、奈々がそういう目で視られるのは快く思わない。
そんな気遣いもこの街では不要。みんながみんな、性別に捉われず好きな人を愛し気持ちに正直になれる。
好奇な視線もあるのとないのでは当然ないのがいい。
突如拘束されて連れてこられ、首輪を嵌められ、妙な機械を渡され、『数日間ここに住んでもらう』とアナウンスされた時は流石に困惑し憤慨したが、住めば都とはこういうことを言うのだろう。
数日間だけならば、大学も少し休んだ程度で済むはずなので、その心配も必要はないはずだ。
ギシリ、と雫と奈々を乗せたベッドが軋む。
奈々はベッドに仰向けになり、雫はその傍らに腰を掛けている。
首筋をそっと撫で上げると、ピクリと反応を示す奈々が可愛くて、ついついそれを繰り返してしまう。
そして次第に雫の指は、服の上から奈々の身体をゆっくりとなぞっていく。
首筋から肩へ、肩から豊満な胸に、胸から少し大きめの腹部へと、じっくりゆっくりと指を奔らせていく。
奈々は奈々で、雫のそれが気持ちいいのと同時にこそばゆくもあるけれど、楽しそうに弄ってくれる雫が愛おしかったので嫌がらず甘んじて受けいれた。
王子様が愛してくれるのなら、それを余さず受け入れるのが姫の役割だから。
程よく身体が火照ってきたところで、雫は一旦指を止め、ゆっくりと奈々に覆いかぶさる。
「んっ...はむっ...」
互いの唇が重なり、舌で口内を蹂躙し合い、身体は熱を帯びていく。
衣擦れとぴちゃぴちゃと小さく鳴る水音が、二人の情欲を更に掻き立てる。
「...っはぁ」
唇が離れると、細い涎の糸が唇から垂れさがり、重力に従い落ちていく。
もう我慢の限界だった。
雫は奈々の服に手をかけた。
しかし、野獣のように服を引き裂くのではなく、お姫様の御召し物を取り替える王子様のような優しさを忘れずに。
そんな凛とした雫の姿を見て、奈々の胸の高鳴りは更に増していった。
「おっ、開いてんじゃ~ん」
突如、二人の空気を壊すかのような陽気な声が響く。
男だ。黒髪、赤髪、青髪の三人の男が部屋へと足を踏み入れてきたのだ。
「なにやってんだぁ?なにやってんだおい、楽しそうだねぇ~」
「おいおい俺らも混ぜろよお前~」
「おい楽しそうじゃねぇかオラァ」
二人を囲んでいく男たちの迫力に、奈々は思わず身を震わせ、雫はそんな彼女を庇うように抱き寄せる。
「兄ちゃんよ~」
「気持ちいいか~?」
「ちょっとアツいんじゃないこんな所でー?ねーお兄ちゃ~ん。混ぜてほしいんだけど~。ワーイ(無邪気)」
男たちは自分を男と勘違いしているようだ。
となれば、襲われるのは奈々。このままでは奈々の貞操が危ない。
そう直感した雫は傍らの端末を手にし掲げた。
端末が光るのに僅かに遅れ、地面から巨大な壁がそびえ立ち男たちを部屋の壁に叩き付ける。
その隙をつき、雫は奈々の手を引き玄関へと逃走する。
(おかしい...鍵はかけていたはずなのに)
玄関を出る瞬間、雫はチラと視線を扉へと移しその奇妙さに目を見張った。
(なんだこの...無理矢理こじ開けたようなドアノブは...こんなこと道具がないと無理じゃ...?)
あの三人が何かを持っていた訳ではない。しかし、現実としてドアノブは壊れている。
いったいどうやって?
「し、雫っ!」
その疑問の答えに辿りつく前に、奈々の声が雫の思案を遮った。
いや、奈々の指し示したその光景を見れば、そんなことを考えている余裕などなかった。
「嫌ァァァァァ!!」
「ガハハハ!気持ちいいぜ!コイツの穴超気持ちイイ!」
それは異様な光景だった。
「スゲェぞ!コイツ超ウメェ!」
「もっとだ。もっと吸えや!」
異様な臭気と熱の中、折り重なり蠢く肉の海。
「三人に勝てるわけないだろ!」
「バカやろうお前俺は勝つぞお前!(天下無双)」
「お前初めてかここは?なあ?力抜けよ。あくしろよ」
「先生がビンビンでいらっしゃるぞ。咥えてさしあげろ」
「あああああああああああああああああああああああああああ!(発狂)」
「一万円くれたらしゃぶってあげるよ?」
「お前を芸術品に仕立てや...仕立て上げてやんだよ」
ところせましと欲望をぶつけあい、蹂躙する欲の塊。
それはまさに地獄絵図だった。
ガクリ、と奈々の膝が地に崩れ落ちる。
「奈々!」
慌てて支える雫だが、この異様な光景に腰が砕けてしまったのか、奈々は動くことすらできない。
(マズイ...さっきの三人もいつまで拘束できるかわからない...)
とにかくこの場から離れ、あの地獄絵図から少しでも早く遠ざからなければ。
雫が奈々を抱き上げたその時だ。
ドサリ、と何かが落ちる音がした。
雫が目を向けると、そこにいたのは二人の男。
否。そこにあったというべきだろう。
なんせ、そのソルベとジェラートだった肉塊は肛門から血を流し、この世のものとは思えぬ苦悶の表情で虚空を見つめていたのだから。
「ヘヘヘ、こりゃあ上玉じぇねえか」
巨大な影が雫へと覆いかぶさる。
見上げれば、そこには禿げあがった頭の、凶悪な面構えの男が雫を見下ろしていた。
屈強なる戦士、ドノバンである。
「なあおい。ここ最近溜まってたんだ。その穴貸してくれよ」
雫は背中に伝う冷や汗よりも早く振り返り駆け出した。
いまこの場に留まるのはヒドくマズイ。
その予感からなる逃走である。
「逃がすかよぉ!」
ドノバンは巨漢とはいえ傭兵だ。
一人を抱えた女に追いすがれないほど愚鈍ではない。
だが、それはなんの介入もなかった場合だ。
奈々は己の端末を握りしめ、雫の顔を見つめる。
すると、雫の身体が淡く光り、駆ける足は人一人を抱えているとは思えぬほど軽く力強い足取りになっていき、たちまちドノバンから距離を離していく。
無論、そのまま逃がすドノバンではない。
距離が離れようとも利があるのはスタミナのある彼であり、このまま追われればいずれは捕まってしまう。
雫は追いかけてくるドノバンに舌打ちをしつつ、奈々にそっと耳打ちする。
「奈々。舌を噛まないように」
それだけで意図は伝わったのか、奈々はコクリと頷き、それを認識すると、雫は廊下から跳び下りた。
ここは五階。普通の人間が落ちればタダでは済まない。それでも無事なものがいるとすれば、それは最早超人か怪物の類だろう。
だが、いまの雫ならそれが出来る。
雫は空中の最中、一旦奈々を上空へと投げ、自らは三階の手すりに掴まり一旦勢いを殺す。
そして、そのまま壁を蹴り一足先に地上へと下り、遅れて落下する奈々をキャッチし抱きしめた。
だいぶ距離をショートカットできた。これならうまく逃げおおせることだろう。
「大丈夫か、奈々」
身体を強化しているとはいえ、自分も無茶な動きで多少なり身体を痛めているだろうに、心底心配してくれる雫に、思わず奈々は頬を綻ばせる。
「大丈夫ですよ。あなたがいてくれますから」
本当は全体的に中々痛かったが、このムードを壊したくはないため我慢してみせた。
ホッと息をつき、再び抱きかかえたまま走りだす雫を見て、奈々は「やっぱり、私の王子様は雫しかいない」とぽんわり思っていた。
―――ズドン
何かが落下する音が響いた。
雫が振り返れば、そこにはもうもうと立ち昇る砂煙。
それを突き破り、ドノバンは雫たちのもとへと駆けだしてきた。
(あそこから跳び下りたのか!?)
ありえない。あんな場所から何の工夫もなく跳び下りて無傷など。
憔悴する雫だが、未だ腕の中で頬を緩めている奈々のためにも足を止めることはできなかった。
☆
雅たちから離れたロックと岡はしばしの探索の後、見つけたホテルを休息場所としていた。
ピンク色の壁だったり回るベッドや巨大な鏡が備え付けてあったりと、まるでAVかなにかでよく見る典型的なラブホテルの内装である。
男2人で入るなんて、受付の人がいれば変な目で見られるだろうなとロックはなんとなく思ったが、ここは下北沢。
そんなことは何の問題もないことを彼が知る由はない。
「俺はスーツが治せんか確かめとる。なんや変なのが来たら教えろや」
ここは三階だ。
窓から覗けば地上を見下ろせるため見張りには最適である。
ロックはうまい棒と缶コーヒーを手に窓際から様子を伺い、岡は部屋の片隅でガンツスーツを弄っている。
そんな、特に目立った会話もないまま数分。
ロックは視界の端に人影を捉える。
どうやら、人を抱えたまま走っているようだ。
その様から何者かから逃げているのは容易に想像できた。
「岡、どうやらアリスが二人迷い込んできたらしい」
ロックの報告を受け、岡はスーツを弄る手を止め地上を見下ろす。
そこには確かに、女性を抱きかかえて逃走する端整な顔立ちの少女とそれを追いかける屈強な禿げ頭の姿があった。
「......」
「助けに行こう。あれじゃあ追いつかれるのは時間の問題だ」
「俺はパスや。そんな余裕はあらへん」
「岡!」
冷たくあしらう岡に、ロックは思わず詰め寄る。
が、岡は全く動じず冷静に鋭いまなざしで睨み返す。
「あいつらを助ける利益はなんや」
「...彼らがいれば脱出の時に力になってくれるはずだ。それに、支給品もなにか便利なものがあるかもしれない」
「両方アカンわ。まず第一にあいつはあそこまでして足手まといを庇っとる。そういう奴はいざという時に彼女を守れる道具をくれだの彼女を帰すことを優先してくれだのとやかましく喚いてチャンスを逃す。
第二に支給品はロクなものはないやろ。あれば使う素振りも見せるのに、あいつはそうせんと逃げるだけ。どう考えてもハズレや。スーツもこんなな以上、リスクは避けられん」
岡は、ひどく現実的な思考をする男だった。
かつてガンツの任務をを7回クリアした彼だが、大阪チームの面子とは違い己の腕を過信するのではなく、相手の力量を見極め退くべき時には退き勝利に必要な条件を整え戦いに赴く。
そんな慎重さと冷静さこそが、彼の強さの秘訣と言えよう。
だからこの場でも同じだ。
リスクを極力排し、確実な勝利への算段を整える。
そのためには余計なものを抱え込む必要は無いのだ。
「やりたかったら勝手にやり。俺は手伝わへん」
ロックは押し黙ることしかできなかった。
ロック自身は拳銃すら使う事のできない男だ。
そんな自分が岡抜きで地上の彼らを救うことができるだろうか。いや不可能だ。
だが、岡の言い分もわかる。
ここは殺し合い。それも脱出の権利は限られている。
ならば、目についた非力な相手にまで手を差し伸べている余裕はないのは当然だ。
見捨てるしかないのか。そんな苦い思いでロックは再び窓の外へと目をやる。
少女たちは足を止めていた。
禿げ頭とは対極の方角、少女たちの逃走経路から黒衣の死神が歩みを進めていたからだ。
☆
雫の背を冷や汗が伝う。
挟まれた。
眼前の黒衣の男が、ドノバンの仲間かどうかはわからないが、その面構えや醸し出す威圧感から堅気の者ではないのは一目でわかる。
おまけに、自分の体力ももう尽きかけている。
今までは奈々の力を借りて逃げていたが、さすがに長時間の使用もあって奈々も疲労困憊だ。
もはや覚悟を決めるしかないだろう。
「奈々。たぶん、これが逃げ切れる最後のチャンスだ。もしも失敗したら、きみだけでも」
言葉は紡がれない。
奈々が人差し指で口を塞いだからだ。
「失敗したら、なんて思っちゃ駄目よ。成功することだけ考えなくちゃ」
この期に及んでも微笑んでくれる奈々に、つられて雫も微笑みを零す。
そうだ。
彼女が自分を信じてくれるなら、自分が後ろ向きな気持ちでどうする。
彼女が、優しく清らかでいてくれるのなら、自分も最期まで前へ進むだけだ。
黒衣の男が駆けだした。
雫も奈々の能力を借りて駆けだす。
彼女の狙いは、最早作戦などというものではない。
ただ、あの男の巨大な獲物を振るうのが早いか自分達の方が早いか。
成功すればそのまま逃げられ、失敗すれば敗北必至。
負けてたまるものか―――そんな意地にも似た決心で駆け抜ける雫。
その横を通り過ぎる、黒衣の男。
雫の口から、思わず「はっ?」と言葉が漏れかける。
黒衣の男は手出しをしなかった。
まるで、自分たちなど視界にすら入っていなかったかのように。
ガァン
交叉するドノバンの斧と黒衣の男の丸太。
鉄と木材、どちらが強いかは言うまでもないだろう。
「なっ!?」
だが、そんな常識を覆し、丸太には傷一つ付かず、男が踏み込む度にドノバンは後退してしまう。
「が、あ、ああああああああ!!」
気合一徹。
男の叫びと共に振り切られる丸太に弾き飛ばされた斧は虚空に円を描きながら落ちていった。
男は攻撃の手を緩めない。
そのまま丸太で胸部を突き、ドノバンを怯ませすかさず頭部を殴りつけた。
「な、なんだテメエは...」
「まさかてめえまで生き返ってやがったとはな...ドノバン」
男は、そうポツリと零すと、丸太でドノバンの横っ面を殴りつけた。
傾く視界。
倒れたドノバンの頭部に、男は無慈悲に丸太を振り下ろした。
「―――ひっ」
奈々は飛び散った鮮血に息を呑んだ。
つい先ほどまでの余裕すら見てとれた態度はどこへやら。
いまにも失禁してしまいそうなほど、彼女の身体には眼前の光景への恐怖が刻まれていた。
男は、血に濡れた丸太を担ぎ上げ、くるりと振り返る。
その視線の先には、当然、雫と奈々。
間違いない。今度こそは、こちらを認識している。
雫は腰を抜かし震える奈々の肩を抱く。
本当は雫も眼前の惨状には恐怖を覚えており、少しでも気を抜けば簡単に腰を抜かしてしまうだろうと自覚している。
それでもこうして奈々を庇えるのは、ここに奈々という存在がいるからだ。奈々がいなければ、雫もまた恐怖に圧し潰されていただろう。
とはいえ、本質的には雫も奈々と同じただの女子大生だ。
歩み寄ってくる男が死神のように見え、その一歩毎に、二人の鼓動は緊張と恐怖で早さを増していく。
這いよる死への恐怖に、雫はとうとう目を瞑ってしまった。
「大丈夫?」
頭上よりかけられた声は、到底男のものとは思えない幼いものだった。
顔をあげると、そこに佇んでいたのは、男の腰ほどの背丈の少女だった。
「ガッツがあんな乱暴に助けるからだよ」
「知るか。助けたつもりなんてねえよ」
「もう。またそうこと言って」
ガッツは、つっけんどんな態度で少女―――野崎祥子をあしらうが、彼女は意にも介さない。
雫の目には、先程までは死神に見えた大男が、いまは拗ねた時の奈々にほんのちょっぴり重なった。
「えっと、助けてくれた...ということでいいのかな」
そう雫に尋ねられた証拠は、数歩下がってガッツのマントの裾を掴み、こくりと頷いた。
雫は、意外に人見知りなのかなとなんとなく思った。
「とにかく礼を言わせて―――うしろっ!」
突然の警告に、ガッツは思わず反応し振り返る。
目に入ったのは、信じられない光景。
ドノバンが、頭部から大量の血を流し、顔面がほとんど陥没しているのにも関わらず立ち上がっていたのだ。
「い...いてえじゃねえかよ、クソ人間」
「ヘッ、どうやらテメェも人間を辞めちまってるようだな」
目が赤く変貌していくドノバンに、ガッツは鼻で笑い悪態をつく。
ドノバンは斧を拾うのも忘れ、激情のままにガッツへと跳びかかる。
振り下ろされる腕を丸太で受け止めるが、押し返すのはおろか、弾くこともできずそのまま硬直。
頭部からの大量の出血や元来より崩れた顔など満身創痍のドノバンに対し疲労が少々程度のガッツ。
だが、そのパワーバランスは容態通りにはならなかった。
(こ、こいつのパワーは...!)
ただ闇雲に振るわれただけのドノバンの腕。
そこには傭兵としての経験から研ぎ澄まされたものはなにひとつない。
あるのは、純粋な暴力のみ。
その技術も何もない力は、歴戦の戦士であるガッツを確かに圧していた。
「ガッツ!」
祥子は思わずドノバンの脚に飛びつき少しでもガッツの力になろうとするも、ドノバンが軽く片足を振るだけであっさりと引きはがされボールのように地を跳ねる。
重心が片足になった隙を突き、ドノバンの手を払いのけようとするが、しかし丸太を掴まれていてはそれも叶わない。
多少揺れた程度で、すぐに力は均衡する。
「オメェ...どっかで見たツラだな。なんだったか」
ドノバンは空いた片手で顎を弄りながら思い返す。
圧されるガッツとは対照的に、ドノバンには余裕が滲んでいた。
「まあ大方、オレに買われた穴の誰かなんだろうが、そんなもんイチイチ覚えてられねえよ」
瞬間、ガッツの脳髄へ灼熱のごとき憎悪が湧きたてる。
覚えていない?覚えていないだと!?
ガンビーノから銀貨三枚で買い、貴様の薄汚ねえ情欲から全てを狂わされた俺をだ。
貴様からしたら俺は玩具のひとつにしかすぎねぇということか、ドノバン!
グリフィスの裏切りにより鷹の団が壊滅し、キャスカが壊され、なにもかもを喪った彼をここまで生かしてきたのは、負の感情だ。
憎悪。呪詛。憤怒。殺意。復讐心。
それら攻撃的な負の感情を狂気に変え、彼は使徒たちと戦ってきた。
それらを募らせるほど、ガッツという男は力を滾らせ、戦士から狂戦士(ベルセルク)へと近づいていく。
狂気を糧に、バケモノどもを殺すことこそが、いまの彼の戦いの本分である。
だが、彼がそれを怨敵ドノバンへとぶつけることはなかった。
怒りと共に踏み込んだ時には、彼の首は宙に舞っていたのだから。
「隙だらけや」
その言葉を告げられ、ドノバンはようやく自分の首が斬られたことを理解した。
グラリ、とドノバンの上体が倒れ込む。
ガッツは彼の身体を受け止めるつもりはサラサラなく、一歩退き怨敵の身体が倒れるのを見届けた。
「なんだテメェはぁ!?俺をこんなにしやがって!ぶち殺してやる!」
「まだ喋れるんかいな」
フェイスヘルメットを無くし、素顔を見せたままのパワードスーツを身にまとった岡は、躊躇いなく拳を握りしめる。
「ひっ、ちょ、ちょっとま」
その先の言葉は紡がれない。
岡の機械仕掛けの巨腕は、無慈悲にドノバンの頭部を叩き潰し粉砕した。
(あの白髪の男と似たような目をしとったから同類かもしれんが...流石にここまでやれば死ぬんやな)
岡のしたことは至って単純だ。
隠れて様子を伺い、ガッツに気を取られている隙を突き、不意をついてスーツ付属のブレードでドノバンの首を斬った。
ただそれだけのことだ。
ドノバンが死に、包む静寂に遅れ、ロックが息を切らしながら現れる。
いくらロックが訴えかけようと関与する気のなかった岡が、ガッツを見た途端、突如スーツを着てホテルを出てしまい、それを慌てて追いかけてきたのだ。
「岡、なんたって急に...」
「おう、ロック。この黒い男は使える。こいつらに話つけろや」
遅れて出てきてイマイチ状況が掴めていないというのにこの理不尽な注文。
制作会社の下請け業者なら文句と共にインターネットで拡散してしまう心境に陥ることだろう。
まあ、そういう類の無理な注文は慣れっこではあるが。
「えーっと...とりあえず、俺たちに戦意はない。俺はロックで、こっちのスーツ着た方は岡八郎。少し話をしたいんだが...」
まだロクに相手の人物像を掴めていないため、至極平凡な誘い文句になってしまった。
さて、こんなテンプレーションで信頼を得ることができるかどうか。
「...チッ」
ガッツは舌打ちと共に丸太を収める。
獲物を横取りされたことへの不満はあるが、戦場でイチイチそんなことを気にしていてはやってられない。
些細なことでも怒り合えるかつての仲間たちならいざ知らず、名前も素性も知らない妙な男ならば尚更だ。
「手短に済ませろ」
ガッツの返事に、ロックはホッと一息つく。
思ったよりも会話が通じる相手でよかった。
これがロアナプラの住人なら下品な悪態と共に銃を突きつけ新たなガンファイトの始まりだった。
はた、と祥子と目が合うと、祥子はすぐにガッツの後ろに隠れてしまう。
特に悪手を選択した覚えはないが、子供は人の本性を見抜くのが得意なのだろうか、とロックは少しナイーブな心境になった。
雫は奈々に肩を貸し、どうにか立ち上がらせる。
(なんだこれは)
雫も奈々も、図らずもその意見は一致していた。
つい先ほどまで平和に暮らしていたのに、いつのまにか血で血を洗う地獄に成り果てていた。
まるで仕組まれていたかのように。この街で過ごしたあの日々が淡い嘘にしかすぎなかったかのように。
雫と奈々は、ソルベとジェラートの死に顔を思い出し、眼前に転がるドノバンだった残骸を見つめ、ようやく自分達がロクでもないことに巻き込まれていることを実感した。
【E-6/下北沢近郊/黎明/一日目】
※吸血鬼化したドノバンの死体が放置されています。
【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:疲労(中)
[装備]:ゴドーの甲冑@ベルセルク、青山龍之介の丸太@彼岸島
[道具]:基本支給品
[思考・行動]
基本方針:使徒共を殺し脱出する。
1:とりあえず目の前の連中と情報交換する。
2:ドラゴン殺しが欲しい
3:己の邪魔をする者には容赦しない。
※参戦時期はロスト・チルドレン終了後です。
※トロールをいつもの悪霊の類だと思っています。
【野崎祥子@ミスミソウ】
[状態]:擦り傷
[装備]:
[道具]:不明支給品1~2
[思考・行動]
基本方針:今度こそお姉ちゃん(春花)を独りぼっちにしない。
0:お姉ちゃんと合流する。
1:ガッツは春花に似てるので放っておけない。
※参戦時期は18話以降です。
【岡八郎@GANTZ】
[状態]:健康
[装備]:ハードスーツ@GANTZ(フェイスマスク損失、レーザー用エネルギーほぼ空、煙幕残り70%、全体的に30%ダメージ蓄積)
[道具]:?
[思考・行動]
基本方針:ミッションのターゲット(赤い首輪もち)を狙う
0:ガッツたちと情報交換。できれば味方に引き入れたいが、交渉はロックに任せる。
1:赤首輪に対抗するためにチームを作る。
【岡島緑郎(ロック)@ブラックラグーン】
[状態]:健康、不安(小)
[装備]:
[道具]:不明支給品1~2
[思考・行動]
基本方針: ゲームから脱出する。
0:ガッツたちと情報交換。できれば味方に引き入れたいが、正直自信はない。
1:とりあえず岡と行動する。
2:レヴィとバラライカと合流できればしたいが...暴れてないといいけど
3:そんなに悪党かな、俺
※参戦時期は原作九巻以降です。
【NPC】
【羽二重奈々@魔法少女育成計画】
[状態]:疲労(大)、不安(大)
[装備]:魔法の端末(シスターナナ)@魔法少女育成計画
[思考・行動]
基本方針:状況を把握する。
【亜柊雫@魔法少女育成計画】
[状態]:疲労(大)、不安(大)
[装備]:魔法の端末(ヴェス・ウィンタープリズン)
[思考・行動]
基本方針:状況を把握する。
【NPC解説】
【下北沢@真夏の夜の淫夢】
E-5、E-6エリアにかけて広がっているこの街では、多くのNPC(ホモ及びレズ達)が住んでいる。
住民に選ばれるのは、同性愛者のみ(拡大解釈、風評被害込み)である。
彼らは殺し合いに関わる知識はないため尋問しても主催のことは聞きだせない。
また、この街でムラムラすると性欲を掻き立てられたり掻き立てられなかったりする。
【KBSトリオ@真夏の夜の淫夢】
K(金)・B(暴力)・S(セックス)をモットーにツルんでいる三人組。
男女のカップルがいれば、躊躇いなく襲いに行く。男を。
下北沢住人。現在は吸血鬼化。
【ソルベとジェラート@ジョジョの奇妙な冒険】
『ジョジョの奇妙な冒険5部 黄金の風』に登場。
ギャング組織パッショーネの暗殺チームの一員である男たち。デキてるんじゃあないか?というくらい仲がよかった。
禁忌である『ボスの秘密』を探ろうとしたためにソルベは輪切りに、ジェラートはソルベの処刑を見てしまいさるぐつわを飲みこみ死亡。
このロワでは下北沢の住人として暮らしていた。
【ドノバン@ベルセルク】
ガッツの元育て親にあたるガンビーノと同じ団にいた傭兵。
武器は鉄の斧を使う。
ガッツの幼少期に、ガンビーノから銀貨三枚で一晩ガッツを買いカマを掘った。
その後、戦乱の中でガッツに不意打ちされて死亡する。
彼は紛れもなくホモでショタコンだが、男が男を抱くのは軍隊ではよくあることらしい。というのも、彼の団には女性がいないので、彼一人が特殊な性癖ではなかったのかもしれない。
つまり穴があればなんでもいい可能性が微レ存。
このロワでは下北沢の住人として暮らしていた。
【羽二重奈々@魔法少女育成計画】
魔法少女育成計画本編に登場する『シスターナナ』の変身前の姿。
ぽっちゃり系で、スキー部の姫としてちやほやされ平和にて暮らしてきたが、雫が入部してきてからは一転。
彼女に嫉妬やらなんやらをしたり、魔法少女の美しさを見せつけて上に立とうとしたりと色々とあったが、なんやかんやで愛し合う関係になった。
ハグやキスは勿論お茶の間では流せないこともしている。
このロワでは下北沢の住人として雫とイチャコラして暮らしている。
魔法少女には変身できないし記憶もないため、現状はただのレズカップル。
支給されている魔法の端末を使うと変身はできないが、奈々の体力と引き換えに指定した誰か一人の力を底上げすることができる。
また、奈々の行動できる範囲は決まっており、E-5から周囲一マスまでしか行動できない。そのマスから出た場合は首輪から警告音が流れ、それを無視して進んだ場合死亡する。
奈々を殺して奪ってもこの魔法の端末は使用できる。
【亜柊雫@魔法少女育成計画】
魔法少女育成計画本編に登場する『ヴェス・ウィンタープリズン』の変身前の姿。
ボーイッシュでありながらも美しい顔立ちで、巨乳ではないもののスタイルの整った非の打ちどころのない美少女。
男女からの人気も当然高く、短い間だが奈々と出会う前には男とも女とも付き合ったことがある。
根っからの奈々大好きっ娘であり、交際を申し込むために指輪を買ったり、第三者(雫観)から「女同士ですよ!?」と引かれても「愛の前では些細なことだ」と真顔で言える。スゲェ。
念願叶って奈々と半同棲している(自分の部屋に帰るのは週一程度らしい)。
このロワでは下北沢の住人として奈々とイチャコラして暮らしている。
魔法少女には変身できないし記憶もないため、現状はただのレズカップル。
支給されている魔法の端末を使うと変身はできないが、雫の体力と引き換えに一度に三枚まで自由に壁を作ることができる。三枚出したら一枚消えるまで壁を新しく作れない。
また、雫の行動できる範囲は決まっており、E-5から周囲一マスまでしか行動できない。そのマスから出た場合は首輪から警告音が流れ、それを無視して進んだ場合死亡する。
雫を殺して奪ってもこの魔法の端末は使用できる。
時系列順で読む
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投下順で読む
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|[[ひとりきり]]|野崎祥子|~|
|[[朱、交わって]]|岡八郎|~|
|[[朱、交わって]]|岡島緑郎|~|