梓「暖かくなって、寒くなって」
澪「また暖かくなって、寒くなって」
ムギ「やっと桜が咲いて……」
律「下手すりゃもう散ったところもあるんじゃないか?」
唯「月日が経つのってはやいねー」
梓「『いっかげつご!』なんてのが冗談にならないくらい、あっという間でしたね」
ムギ「気づけばもう四月だもの」
律「そういや、春休みもそろそろ終わり。高校や大学も新学期がもうすぐ始まるな」
澪「週明けから、ってところも多いんじゃないか?
パ……お父さんたち社会人は当たり前のように1日から働いているけどさ」
梓「とはいえ、何かを始めるためには、何かを終わらせなければですよね。
ぐだぐだのままでは良くないですし」
澪「企画開始から1カ月も経ってるしな……」
律「そ、それはもう触れるなって!」
梓「ともかく、これ以上ご迷惑をかけるわけにはいけません!」
唯「うん!やっぱり、そこはちゃんとしないとだよ!」
ムギ「ふふふ。それなら、この企画のタイトルの通り……」
ムギ「みんな、私のお家に来てみない?」
唯「え?!いいの?」
ムギ「もちろん!」
澪「37時間……とかかからないよな?」
梓「それはさすがに……」
ムギ「お話しながらでも、歩けばすぐよ」
律「よし!じゃあ、作品の感想についてでも話しながら行くか!」
律「1番最初の作品だな!」
澪「ああ、千客万来って感じだ。
こんなに参加者が来てくれたのも、◆IxdIiBIF62さんのおかげかもしれないな」
梓「短くて読みやすいし、見た目も、ぞろぞろって感じで面白かったですよね」
律「特に、慶子の後の団子状態。 ありゃビジュアル的にもすごく面白かったな」
唯「こんなに横に長くても入るなんて、ムギちゃんのおうちってすごいんだね!」
澪「いや、そういうことじゃないと思うけど」
ムギ「この登場の順番が、移動中に唯ちゃんたちのパーティーに加わった順なのかしら?
そうだったら、会話とかも想像出来て楽しいかも」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
さわ子「あのね、本っ当にムギちゃんちはすごいのよ?」
律「さわちゃん、その話何度目だよ……」
唯「あずにゃん、本当にムギちゃんの家はどんなんだろうね」わくわく
梓「そうですね……って、このやり取り、一体何回繰り返せばいいんですか……」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ムギ「こんな感じだったのかしら」
澪「いや、先生までは分かるけど、次は恵先輩だぞ?」
律「次が晶たちだから大学つながりなんじゃないか?」
唯「でもその次は堀込先生だよね?」
梓「そして聡くんに、純のお兄さんですから……」
澪「まあ、考えてもしょうがないかもしれないな。
想像してみるのは面白いかもしれないけど」
律「想像、と言えば、ラストのさわちゃんの得意げなドヤ顔は目に浮かぶようだわ……
多分渾身のドヤ顔だな」
ムギ「ふふっ、さわちゃんは、前に一度うちに来たことあるものね」
律「んじゃま、そろそろ私らも行くとしますか」
梓「はい!」
唯「みんなでムギちゃんの家に行こう!」
唯・律・梓・ムギ「おー!」
澪「……お、おー!な、なんか恥ずかしいなこれ」
作品の雰囲気 … 3点
作品の冒頭 … 3点
作品の展開 … 4点
作品の読後感 … 3点
作品の読みやすさ … 4点
ひとこと感想:団子状態の文章表現がすごくよかった!
律「どんとしんく!ふぃーる!(考えるな!感じろ!)」
唯「ふぃーる!」
ムギ「ふぃーる!」
梓「あきらかにバレバレな先輩方悪の組織とやっぱりバレバレな正義の味方の憂たちとの
どこかごっこ的な闘い。
頭からっぽにして、考えずに読んだけど面白かったです!」
澪「すらすらと読めるから、足を止めずに一気に最後まで読めちゃったよ。
ただ、感想を書くにあたって、何度か読み返したら、惜しい部分も結構見える気がするな」
梓「どの辺りですか?」
澪「一番に思いつくのは、三人称の地の文における視点の距離かな。
こういう非日常ものって、日常から始める場合読者の視点を添わせる存在が必要だと思うんだ。
この作品の場合は、間違いなく梓がそれなんだけど、少し地の文が梓の視点から遠い気がするん
だよ」
唯「視点の距離?」
澪「ああ、カメラが撮るもの(地の文)と梓が見ているもの差というか。
一人称が梓の主観で、梓の目とカメラが一致しているとすると、三人称だから梓の目よりはカメラ
の位置が離れるだろ?
それは当たり前なんだけど、ちょっと梓から遠すぎる位置にカメラがある気がするんだ。
例えば、この作品の冒頭はナレーションから始まって、梓の最初の台詞で物語が動き出すだろ?
梓の台詞で場がピーンと緊張して、その緊張が高まって、和の登場で緩む。
それはすごくいいと思う」
澪「これを映像で考えると、梓の台詞のタイミングで、俯瞰から梓の近くにカメラが寄るイメージだ。
このカメラの移動は、読み手の視点とも
リンクしている。
ただ、カメラが梓の最初の台詞で寄った時に距離がどこかまだ梓から遠いんだよ。
もちろん、三人称だから梓の目と一致する訳じゃないんだけど、カメラの位置が梓の頭の後ろとい
った近い距離というより、部室のドアの辺りまで離れている気がするんだ。
ここは、読者の視点を添わせる梓にカメラがもっと近づかなきゃいけないというか、もっと梓に『添
わせるため』の文章がいるんじゃないかな」
ムギ「つぎの>>11の『2』では、梓ちゃんは出てこない場面に移ってしまうから、ここで作品を通じて
読み手の視点が添うであろう梓ちゃんの視点に読み手の視点を添わせられるかは結構大きいものね」
澪「断っておくけれど、これは地の文中心でいくことが前提だからな。
元の作品通りのカメラの距離でも、台詞のやりとりを前面に出せば、全然いけると思うしさ」
律「そんじゃ、ちょっと実際に見てみるかー」
「そういえば、ムギ先輩のお家はどんなことをしているんですか?」
>彼女の素朴で当然の疑問が、柔らかな空気を硬直させてしまう。
>突然のことであったが、梓はその空気を敏感に感じ取った。しかし肝心な対処法が思いつかない。
>他の先輩たちを見回し、助けを求めてみる。
>ところが硬直したのは空気だけではなく、また質問された紬だけでもなく、
>四人ともが全く同様の状態であったのだ。
>梓は疑問に思う。これは一体、どうしたことなのか。
>ムギ先輩の家のことを、三人の先輩は知っている。
>だというのに、私にそれを教えることは出来ないようだ。
澪「この冒頭部分には、いくつか『添わせるため』 のポイントがあると私は思うんだけど、誰か分かる
か?」
唯「はい!わかりません!」
梓「いきなり諦めないでください!」
律「ヒント!ヒントをくれ!」
澪「要は、視点を添わせる梓と同じ(似たような) 感覚、思考を共有出来ればいいんだ。
『梓の感覚』、『梓の思考』を描写できる部分、
つまり『梓が何かを感じた』部分、『梓が何かを考えた』部分だな」
ムギ「えっと……この中だと」
唯「『その空気を敏感に感じ取った』と……」
律「『梓は疑問に思う』か?」
澪「もう1つか2つあると思うぞ」
梓「……あ! 『私にそれを教えることは出来ないようだ』です!」
澪「そう、まあ少ししつこくなるかもしれないけど『しかし肝心な対処法が思いつかない』もそこに
含めてもいいかもしれないな。
この各所に、『梓の感覚』、『梓の思考』を描写すると……」
「そういえば、ムギ先輩のお家はどんなことをしているんですか?」
彼女の素朴で当然の疑問が、柔らかな空気を硬直させてしまう。
ついさっき紅茶をいれたばかりのティーカップ、そこから立ち上る湯気すらも止まってしまったように、梓以外の全ての動きが凍りついた。
突然のことであったが、梓はその空気を敏感に感じ取った。しかし肝心な対処法が思いつかない。
何しろ、いつも陽だまりのように暖かな微笑みを浮かべている紬が、その笑みのまま、発する温度をゼロに変えてしまったのである。それは、暖かみもないが冷たくもないまさにゼロだ。
しかし、梓が次にどうするかによって、身を焼くほどの灼熱か、身を切るほどの極寒に変わる、そんな予感がひしひしと伝わってくるようだった。
こんな雰囲気は入部してから初めての経験だ。
他の先輩たちを見回し、助けを求めてみる。
ところが硬直したのは空気だけではなく、また質問された紬だけでもなく、
四人ともが全く同様の状態であったのだ。
澪は、その綺麗な顔を前に向けたまま、無表情なビスクドールのように固まっている。
律は、手を顔の前で組んだまま、今まで見たことのない真剣な眼差しを机に突き刺している。
唯も、あの唯ですら、珍しく真剣な顔をしている。 が、その視線は宙を泳いでいた。
視線は紬を最初に、澪、律と空中のプールコースを経由し、ゴールの梓にたどりつき……あ、今眼をそらした。
梓は疑問に思う。これは一体、どうしたことなのか。
ムギ先輩の家のことを、三人の先輩は知っている。
だというのに、私にそれを教えることは出来ないようだ。
澪「こんな感じか?」
唯「なんというか……言葉にしにくいんだけど……あんまりうまくな」
律「みなまでいうな!」
澪「ぐっ……そ、そんなことわかってるって!
最後にちょっと唯で緊張をほぐしてみたけど、なんだかシリアスに傾いちゃったしさ……
もうちょっと、思わず笑ってしまえるような馬鹿馬鹿しいような文を真剣に書くことができればまた違うんだろうけど、
そういう地の文って相当に高度な技術だから、私にはまだ無理なんだよ……
とは言え、そうだとしても、やっぱり添わせるべきキャラクターの視点に一定以上読み手を添わせる文章になるんじゃないか?
ひょっとすると、梓じゃなくてナレーターがそうなるのかもだけど」
梓「ま、まあ、澪先輩の言いたいことは分かりました。
ちょっとしつこいですし、そもそも人の文章を勝手に改変するのはどうかと思いますが、
おかげでなんとなく理解できました」
澪「あ、梓まで……」ズズーン
律「あーあ、凹んじゃった」
ムギ「泣かないで、澪ちゃん……」なでなで
梓「あとは、私の役割を二つに分けても良かったかもしれませんね。
『えぇ?!』ってなるであろう、読み手に合わせたツッコミを入れるのを私にやらせて読み手の気持ちに添わせつつ、
純にノリノリに正義の味方をやらせて、物語を進める役割を任せるとか」
唯「そうすれば、私達4人VS正義陣営3人+あずにゃんで一応人数的なつり合いはとれるもんね!」
梓「ツムギュダーのコスチュームに着替える、みたいな場面を入れて、日常からの切り替えを演出してもよかったかもしれませんね」
梓(……まあ、単純に全身黒タイツに着替える唯先輩が見たい、ってだけなんだけど)
律「他のみんなの恰好も、
>服装は制服ではない。それぞれコートやマントやパーカー、全身タイツなどの違いはあるが、
>総じて黒で統一されているようだった
だけじゃなくて、初登場時にそれぞれ描写した方がよかったかもなー」
唯「それにしても、正義の味方と悪の組織、秘密結社ものってロマンだよね」
澪「惹かれる要素ではあるな。
すごく面白い題材だしさ。この作品のような、喜劇(笑劇?)にも挑戦してみたいな」
律「あ、復活した」
梓(それって中学二年的なアレな気が……わかるけど)
ムギ「……ロマン……あるのかなぁ?」
作品の雰囲気 … 4点
作品の冒頭 … 3点
作品の展開 … 4点
作品の読後感 … 3点
作品の読みやすさ … 3点
ひとこと感想:秘密結社ってロマンだと思うのです!
唯「あずにゃんのけいおん部の普段のふいんきが伝わってきたよ〜」
梓「先輩、ふいんきじゃなくて、雰囲気ですって」
ムギ「
ほのぼのしててすごくよかったわ。
わかばガールズのティータイムもすてきね」
澪「さらりと読めたし、『手をつないで』が最初と最後重なっているのも読後感の良さに繋がってたな。
強いて言うなら、入部の時の話だけじゃなく、菫ちゃんから見たムギの高校時代のエピソードの裏話をもっと聞きたかったかな。
学校や部室でのムギしか私たちや読み手の人たちは知らないから、菫ちゃんだからこそ知っている話をさ。
各学年の学園祭のときの裏話とかな」
律「そういや、修学旅行の回で、旅館の部屋に到着したムギが、携帯触っていただろ?
それは実は菫ちゃんにメール打ってて……とか、原作やアニメとも融和性の高い話だから、
アニメとかに絡ませて、おおっ、と思う部分を入れてもよかったかもなぁ」
唯「あと、
>純「おっ、もし会うならどこかのスタジオでやりたいね……スミーレの家ってスタジオとかあるの?」
>純「おっ、じゃあ決まりだねー!」
>純「おおっ! というか、せっかくだから直にもボーカルやってほしいなー。 ……梓だけじゃ不安だし」
って純ちゃんがおっおっおおって連呼しててちょっと笑っちゃった。
でも純ちゃんはかわいいから、何してても許される感があるね!」
梓「純が……かわいい……? ぷぷっ」
作品の雰囲気 … 4点
作品の冒頭 … 3点
作品の展開 … 3点
作品の読後感 … 4点
作品の読みやすさ … 4点
ひとこと感想:お姉ちゃんなムギちゃんと、妹なスミーレ。
漫画やアニメでは見られない二人の関係がうかがえてほっこり。
律「テーマの『ムギ(ちゃん)の家』から、ムギと菫ちゃんのご先祖様の話をもってくる発想のスケールには驚いたな」
澪「オーストラリア、音楽の都ウィーン、サラエボ事件、第一次世界大戦。
作中に散りばめられたキーワードも魅力的だった」
梓「ご先祖様だから当たり前なのかもしれないけれど、ムギ先輩のそっくりさんと菫のそっくりさんが
抱き合ったり、キスしてたのはドキドキしちゃいました」
唯「ちょっと難しい部分だけど、当時のキリスト教圏からすればあり得るだろうなぁってところにも踏み込んでいて、すごかったなぁ」
澪「それだけに、もう少しウィーンの雰囲気を感じることが出来たら、もっと雰囲気の得点が高くなったかもな」
ムギ「当時の何か有名なエピソードを入れてみたり、当時のお菓子について触れたりとか?」
唯「お菓子?!」
梓「唯先輩、そこに反応しないでくださいよ」
ムギ「ウィーンで有名なのは……えーっと……ザッハ・トルテね。
フランツ・ザッハーが作ったチョコレートケーキで、1814年のウィーン会議の時か1832年に、
オーストラリア宰相のメッテルニヒの依頼で作られたと言われているわ。
そのザッハ・トルテを出していたホテル・ザッハーは、当時世界でも最高級ホテルの一つで、
貴族や外交官が宿泊するのに使っていたそうよ。
……私も、昔泊ったことがあるみたい。
きっと、シルキやフィオラも食べたんじゃないかしら?」
唯「……じゅるり」
ムギ「それじゃ、今度のお茶受けはザッハ・トルテにするね」
唯・律「「やったー!」」
梓(……ん? 確か、ホテル・ザッハーのザッハ・トルテは現地でしか買えないから
取り寄せになる、って聞いたことがあるんだけど……)携帯ぽちぽち
梓(12cmの4号サイズが20.5ユーロで、1ユーロ141円だから2,890円で、さらに送料が……
2週間後着で115.49ユーロ?!)
梓(いや、同じく有名なデメルブランドのザッハ・トルテなら日本にも支店があるみたいだから……
って、それでも3,150円?!)
梓(……き、きっと、普通のお店のだよね)
ムギ「?」にこにこ
澪「まあ、話がそれてしまったけれど、そういった細かく小さな部分を話すことで、ラストの伏線になってたと思う」
律「ああ、あのラストも印象的だったな」
唯「あれはどういうことだったの?」
律「あー、よくわかんないけど、彼女たちが二人の中で生きている、みたいな感じゃないか?」
澪「過去部分は全て三人称でムギの語りとして書かれていたけど、段々視点がシルキのものに重なっていったしな」
梓「シルキの心情や染まる頬みたいな描写を伏線にしていたのは上手かったですね!」
澪「聞き手(読み手)の物語の没入と、語り手のムギからシルキへのシフトを結びつけたラストはすごく良いアイデアだったと思う。
あとは、微妙に混じるシルキ(視点人物)以外の心情とかをあえて描写せずに、
シルキの視点から見たものだけを書くようにすれば、もっと効果的だったかな」
唯「当たり前のことかもしれないけど、私やみんなにもご先祖様がいて、
ずっと昔から続いているからこそ今があるんだよね。なんだか不思議」
ムギ「……そうね。本当にそう。
そう思う。
そんな時間の流れを感じさせてくれたからこそ、
読み手の人たちはこの作品の雰囲気を高く評価したのかもね」
作品の雰囲気 … 4点
作品の冒頭 … 3点
作品の展開 … 3点
作品の読後感 … 4点
作品の読みやすさ … 4点
ひとこと感想:まさか前世(?)の話を持ってくるとは思わなかった。
過去の物語への没入をラストに結び付けたのはすごいと思う。
最終更新:2014年04月08日 07:50