♢♢♢


律「さて、髪もどうにか乾きましたことよ!!!」パンパカパーン

梓「どうもありがとうございます。そのテンションにはノれませんけど」

律「ちぇ!!つれないやつだな!!」

梓「泊めているのにその言いぐさ」

律「ごめんなさいごめんなさい追い出さないでくださいお外は寒いしもうすでに夜の22時です」

梓「ったく…。でも、時間経つの早かったですね」

律「私が家を出たのが、たしか18時すぎだったから…そのあとに川に行って、傘飛ばされて梓ん家に来て…。なんやかんやしてたらまぁ、それくらいにはなっちゃうのも当たり前か」

梓「これからどうしましょうか…。もう寝ます?」

律「なんだとー!?お泊り会の醍醐味といえば徹夜だろ!!!!寝るなんて選択肢、ノーセンキュー、っだ!!」

梓「テンション高いですね。いつからこれがお泊り会になったのかは言及しないでおきますけど」

律「へへーん!!夜のテンションを侮るなかれ!!!」

梓「まぁ、いいですけど。でも、とりあえずは先に布団でもしいときましょう」

律「布団?なんで?」

梓「律先輩、本当に寝ない気なんですか…」

律「あ、私の分の布団?」

梓「そうですけど…」

律「え?いらないけど。2人で梓のベッドに寝ればよくない?」

梓「え?」

律「え?」

梓「…え?」

律「そんなわざわざ布団出してもらうとか申し訳ないし!面倒だろ?だったら初めから2人でベッドに寝たほうが楽じゃん!!!」

梓「確かに布団を出すのは面倒ですけど…」

律「な?な?」

梓「でも…」

律「ほら、私ってばお客様用の布団とかかしこまられるキャラじゃないし!!!」

梓「いまさら先輩を敬ったりするのはできそうにないですけど」

律「おい!!!」

梓「まぁ、お客様用の布団というか最近はもっぱら純用の布団になっちゃってるんですけどね」

律「え?純ちゃん結構泊りにくるの?」

梓「そう…ですね。2人で勉強したり…という名目で純は漫画ばっかり読んでますけど。私の部屋にある漫画の3分の2は純のものです」

律「そうなのか…!!!ぐぬぬぬぬ…純ちゃんめ!!!いつのまに!!!」

梓「いつの間になのかはどうかはよくわからないですけど」

律「よし!!そんな話聞いたなら余計に布団なんかひかなくてよろしい!!!!」

梓「えぇー・・・」

律「なんだよ、その感嘆の声は」

梓「感嘆というか、驚愕というか慨嘆というか…困惑というか…」

律「困惑!?私と梓の仲だろーがっ!!!」

梓「私と先輩がどんな仲なのかはよくわかりませんけど」

律「なんだよそれー!もう怒った!!!梓―!今日はもう寝るぞ!!!」

梓「えぇーー!?なんですかその理屈は」

律「うっさい!!純ちゃんのばか!!」

♢♢♢

純「はっくしゅん!!!」

純「あ、梓から借りた本に鼻水飛ばしちゃった」ゴシゴシ

♢♢♢


律「というわけで、やってまいりましたは梓の部屋ーーー!!!」

梓「本当に寝るんですか、、、一緒に」ウワァ

律「真っ暗でほとんど何も見えないけど梓の匂いがするーー!!」クンクンクンクン

梓「匂いかがないでくださいよ!?」

律「あ、わずかなろうそくの明かりで『青春バチカン帝国』を発見!!!梓もこんなギャグ漫画読むんだなー!!!これ面白くて私も好きだよ!!!」ヒョイ

梓「それ、純のです」

律「」バサ

梓「ちょっと!?本落とさないでくださいよ!!純のだけど、一応は本なんですから」

律「うっせーうっせーばーかばーか梓のばーか」

梓「なんで私がばかなのかはわかりかねますけど、本は大切に扱わないとダメですよ」

律「けっ!!」

梓「何をふくれてるんですか…」

律「ふくてれなんかないやい!!!」

律「さて!!!ねるぞ!!!正直暖房ついてないから寒いんだよ!!!」

梓「まぁ、確かに。電気もまだ回復してないからやることもないですし…寝ますか」

律「・・・」

梓「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

律「おい、なぜ固まっている」

梓「先輩こそ」

律「わ、私はろうそく持ってるから、先に梓が布団に入るべきだろ」

梓「ヴぇ!? じゃあ、私がろうそく持つので先輩が先に布団に入ってください」シャシャシャ

律「なんでだよ!?てか、危ないからろうそく取ろうとすんな!?」

梓「ぐっ!!!」

律「おとなしく布団に入りたまえ」サアサア

梓(さっきまでなんでもなかったのに急に恥ずかしくなってきた…)

律「サァ、梓サァ!あずサァ!!!」

梓「残念なお知らせですけどそれ面白くないです」

律「い、いいからはよ入れ!!」


♢♢♢

梓「…ちゃんと布団かかってます?」

律「ん、かかってるよ。梓は?」

梓「かかってますよ、大丈夫です」

律「ならよかった」

梓「はい」

律「・・・」

梓「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

律「寝た?」

梓「いや、さすがにまだ寝てません」

律「そうか」

梓「はい」

律「布団の中、あったかいな」

梓「そうですね。やっぱりお風呂入ってから少し寒かったですか?」

律「んー、ちっとだけ」

梓「早くに布団に入っておけばよかった・・・。風邪ひかないでくださいね?」

律「んー、わからん」

梓「そこは『ダイジョブ!!』とか言ってくださいよ…」

律「まぁ、風邪ひいたとしても梓のせいじゃなくて台風のせいだから気に病む必要なんてないよ」

梓「そうは言っても…」

律「・・・」

梓「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

律「・・・」

梓「先輩、寝ちゃいました…?」

律「・・・」

梓「せんぱーい」

律「・・・」

梓「せんぱーーい」

律「・・・」

梓「…もう。今日は徹夜するとか言ってたのにもう寝るとか」

律「・・・」

梓(髪の毛ほんとにさらさらだなぁ~~)サワサワ

律(おおぅ!?)

梓(こんな寝顔なんだ…いつもと印象が違うなぁ)クシャクシャ

律(…寝たふりして脅かそうとしたら髪の毛撫でられてるナウ)ドキドキドキ

梓(黙ってればちゃんといい顔してるのになぁ。しゃべるとなんであんなにアホっぽい顔になるんだろう、この人…)ナデナデ

律(どういうことだこれは!!!)ドキドキドキ

梓(でも、好きだなぁ。やっぱり)ナデナデ

律(なにこのラッキー展開)ヒャー

梓(私、案外犬派なのかも)ナデナデ

律(これは…起きるべきかこのまま寝たふりを貫くべきか…!!!悩むぜりっちゃん!!!)

梓(いやー、でもこの犬はちょっとしつけがなっていないような気もするな)ウーン


♢♢♢

律「はっ!?」

梓「」zzz

律(起きるタイミングで悩んでたら完璧に寝てしまっていた…)

律「田井中一生の不覚だわ、これ」

梓「」zzz

律「梓は…、完全に寝てるな、これは」ガックシ

律(はぁ。せっかく梓とふたりっきりで寝てるのに。なんてすばらしいくらいの健全さ)ガックシ

律(まったく…私は本当にアホですな、こりゃ)ゴロン

梓「」zzz

律「・・・」

梓「」zzz

律(寝顔もかわいいなぁ、こいつ)ジー

梓「」zzz

律「ずっとそばにいたいけど、私じゃ無理かな」

梓「」zzz

律(私じゃ、無理だよな)

律「私本当にアホだしなぁ」ハハハ

律「あずさー、おーい、あずさー」コゴエ

梓「」zzz

律「もしもーし。あずささん、ねてますかー?ちゃんとねてますかー?」コゴエ

梓「」zzz

律「・・・」

律「…寝てるよね?」オソルオソル

梓「」zzz

律「よし。ゆるせ、梓」ンッ

梓「」zzz

律「おやすみ」ゴロン

梓「」zzz

律「…」

梓「」

律「」zzz

梓「…」

律「きゃべつー」zzz


♢♢♢

ちゅんちゅんちゅちゅちゅん

律「あー、誠に今回は台風のためにご迷惑をおかけしました。このご恩はけっしてわすれません。こちらの部屋はけっしてのぞかないでください」

梓「なんですかそれ」

律「鶴の恩返し的な」

梓「よく、わかりませんけど、恩返しとかしなくていいですから」

律「いや、一応はお世話になったからな。お礼は今度ちゃんとするよ」

梓「そうですか?」

律「そうですよ。カップラーメンももらったし」

梓「そこですか…」

律「まぁ、なにか考えといてちょうだいな。私にできることならなんでもするからさ」

梓「なんでもですか?」

律「そうです。なんでもです」

梓「ほんとになんでもいいんですか?」

律「ほんとになんでもいいですよ、田井中りっちゃんにできる範囲であれば!!だがな」

梓「じゃあ…」

律「え、もう決まったの?別にいますぐに答えなくてもいいんだけど」

梓「私と付き合ってください」

律「ああ、どっか行くの?いいよ。どこ行く?今日も暇だから別にいいけど」

梓「いや、そうじゃなくて、付き合ってくださいって言ってるんです」

律「ん?どこに??」

梓「えっと…いきなり主人公的なノリでこられても困るんですけど」

律「…え?どゆこと?」

梓「ああぁ、もういいです。そういう人でしたねあなたは」

律「簡単に人を馬鹿にする、そういう人ですよねあずさは」

梓「はぁ…。もう。つまり、私は犬が好きってことです。言ってる意味、わかります?」

律「…ん?犬?」

梓「私、昨日起きてましたよ?」

律「・・・・え?どっから?」

梓「最初からです」

律「」

律「起きてた」

梓「起きてました」

律「最初から」

梓「最初からです」

律「そうなの」

梓「そうなんです」

律「…まじか」

梓「律先輩にできる範囲のお願いしか、私はしてませんからね」

律「…もし無理だったら?」

梓「昨日のことを世界中にばらします」

律「そんなことするの!?ひどい!!てか、えげつないっ!!!」

梓「意気地なしな律先輩にはそれくらい言っとかないとダメです」

律「い、意気地なしって!!!!てか、世界中にばらすとかなんだよ!!!そんなことできるわけないだろ!!!」

梓「ネットの力をあまりみくびらないほうがいいですよ」

律「ネット…ネット使うのかよ…。肝に銘じとくわ…」

梓「えぇ、銘じといてください」

律「・・・」

梓「・・・」

律「…なんというか、その。な、」

梓「はい、なんでしょう律先輩」

律「好きだよ、梓」

梓「はい、知ってます」

律「…あー。。。なんか、実感ないわ」ポリポリ

律「これから、二人でいろいろ楽しめるのか」

梓「そういうことです」

律「ふたり、かぁ」


♢♢♢

律「きゃべつー」zzz

梓「・・・」

律「」zzz

梓(なんでこっそり人にキスするのかなぁ、この人は…)

律「」zzz

梓(まぁ、寝たふりした私も悪いけどね…)

律「」zzz

梓(この人、意外と自分に自信ないよなぁ)マッタク

律「」zzz

梓(…)ゴソゴソ

ぎゅ

梓(おぉ、あったかい。・・・・この人とふたりなら、きっと楽しい、よね)

律「」zzz

梓(へへ…おやすみ、律先輩。また明日)


おわり



最終更新:2013年04月14日 22:17