★前日



●N女子大学 軽音部部室


晶「ハァ……何で休みの日まで起こさなきゃなんねーんだよ」

律「おーごくろうさん」

澪「ごめんな。今日は唯が実家に帰る日だったから」

晶「いやお前らが起こせよ」

菖「あ~そういえば唯ちゃん家族とスカイツリーに行くって言ってたね。いいなー」

律「実は私と澪も明日スカイツリー行くんだぜ!」

菖「えーいいなー!」

澪「いや初耳なんだけど……」

律「いいじゃーんムギも実家帰っちゃったし暇なんだもーん」

律「そうだ菖達も来る?」

菖「行きたいのは山々なんだけどねー」

幸「明日はスタジオの予約取ってるから」

律「あらー残念」

澪「本当に行くのか? 天望デッキの当日チケット買うのって結構並ぶらしいぞ」

菖「スカイツリー以外にも周りに色んな施設があって買い物とか出来るらしいよ」

澪「へえ、それは見てみたいかも」

律「じゃあそっちメインにするか!」

晶「行く事前提で話してるな」

澪「うん……まあいいか」


●桜校 軽音部部室

菫「明日はお昼過ぎくらいに集合でいいかな?」

直「うん」

ガチャ

純「何々なんの話?」

憂「おつかれ~」

菫「あっお疲れ様です。私達明日スカイツリーに行くんです」

純「え! いいなー」

憂「ほんとっ? 私も明日家族でスカイツリー行くんだよ~」

純「憂も!? ……なんかすごく悔しい。さわ子先生も行くって言ってたし」

憂「そうなの?」

純「なんか彼氏が出来たらしくて」

憂菫直「えっ!?」

純「そんな事よりみんなしてずるいー!」

直「そっちの話の方が気になるのですが」

菫「うん……」

ガチャ

梓「おつかれー」

純「梓!」

梓「な、なに?」

純「私明日スカイツリー行くんだよ! うらやましいでしょ?」

梓「ふーんそうなんだ」

純「……えっそれだけ?」

梓「へ? 何が?」

純「……あーーもういい! ほら早く練習しよう!」

梓「何なの……?」


●平沢家 リビング

憂「ただいま~」

唯「ういーおかえりー!」

憂「お姉ちゃん! 久しぶり~!」

唯「家に誰もいないから寂しかったよ~」

憂「あれ? お母さん達まだ帰ってないのかな」

唯「今日出張から帰ってくるんでしょ?」

憂「そのはずなんだけど……」

プルルルル

憂「あっお母さんから電話」

憂「もしもし」

憂「……うん、うん……えーーっ!?」

唯「!?」

憂「うん、はぁい。じゃあねー」ピッ

唯「どしたの?」

憂「帰るの明日の夜になっちゃったからスカイツリー行けないって」

唯「えーーっ!?」

憂「チケットは予約してあるから私達で行ってきてねだって」

唯「そっかー……」

リリリリリリン リリリリリリン

唯「今度は私の携帯だー」

唯「はいはいどちら様かな~……和ちゃんからだ!」




★当日




●中野家


ピンポーン

梓「ふわぁ……はい」ガチャ

純「おはよ! スカイツリーいこ!」

梓「え……は?」

純「だからスカイツリー行こうってば」

梓「…………えっと、いかない」

純「えー!」

梓「昨日はそんな事言ってなかったじゃん」

純「あれは憂もスミーレ達も今日スカイツリー行くらしくて羨ましかったから梓にも味あわせてやろうと思って」

梓「何よそれ……ってみんな行くの!?」

純「みんな一緒じゃないけど行くんだって。憂は家族で行くって言ってたから……あ、唯先輩も一緒って言ってたかも」

梓「えっ」ピクッ

純(お、効果アリ…かな?)

純「他の先輩も来るって言ってたよ」

梓「そ、そうなんだ……」

梓(学園祭が終わってからも先輩達忙しくてろくに会えてないんだよなぁ)

純「だから行こうよ。ね?」

梓「……まあ純がそこまで言うなら」

純「やったっ(ちょろい)」

梓「でも天望デッキに行くのって結構お金かかるんでしょ?」

純「私お金ないからそっちはいいや。東京ソラマチだっけ? そっち見て回ろうよ」

梓「まあいいけど。電車って何線乗ればいいの?」

純「私お金ないから自転車で行こ。私の自転車パンクしてたから梓の自転車で二人乗りね」

梓「……やっぱり行くのやめようかな」


●平沢家


ピンポーン

憂「はーい」

和「ごめんください」

憂「和ちゃん久しぶりー!」

和「元気そうね」

憂「うんっ」

和「それで唯は?」

憂「もうちょっとで準備終わるはずだから上がって待ってて」

和「ええ。でもチケット代本当に払わなくていいの?」

憂「うん。それにもうお金払っちゃってるから行かないともったいないもん」

和「でも当日の発券には決済されたクレジットカードと入場券購入確認メールもしくは購入履歴画面の印刷(携帯電話での画面確認も可能)が必要なんじゃ……」

憂「だいじょうぶ! 今回はだいじょうぶだから!」

和「ならいいんだけど」

唯「わー和ちゃんひさしぶりー!」

唯「昨日帰ってきたんでしょ? 今度みんなで集まろうね! あ、うちでパーティーしよっか!?」

和「いいから先に準備終わらせちゃいなさい」

唯「はーい」

和「まったく……ふふっ」

憂「楽しみだねースカイツリー!」

和「そうね」


●上野駅


菫「直ちゃんおはようー」

直「おはよう……あ」

直「おお……」

菫「あ、えっと、この子が奥田直ちゃん」

直「ど、どうも」

菫「そしてこちらが琴吹紬お嬢様です」

紬「あなたが直ちゃんね。よろしく!」

直「は、ははい。本日はお日柄もよく誘っていただきまして誠にありがとうございます……?」

紬「うふふっそんなにかしこまらなくていいからね。それじゃあ行きましょ」

直(この人が例のお嬢様……)

菫「どうしたの?」

直「てっきりすごい車とかで来るのかと思った」

菫「あるにはあるんだけど……」

紬「ここからスカイツリーのデザインが施されていて天井部分がガラス張りでスカイツリーを見上げる事が出来るスカイツリーシャトルと呼ばれるバスに乗れるのね!」

菫「お嬢様はこういうのが好きなの」

直「へぇ」


●東京駅


菖「予約取れてないとか……」

幸「晶がスタジオ代ケチるから……」

晶「だって金欠だし入会費も年会費もいらない店だっていうから!」

菖「逆に怪しいでしょそんなスタジオ」

晶「大学の方も埋まってたし少しでも練習しておきたかったんだよ」

菖「学園祭以来やたら張り切ってるよね」

幸「うん」

晶「なんだよ、プロになれるかもしれないんだから当然だろ?」

菖「先輩が絡んでるからじゃなくて?」

晶「……か、関係ねーし」

幸「やっぱり」

菖「聞くまでもなかったけどね」

晶「いやだから違うって!」

菖「やっぱりこのまま帰るのやだなー」

幸「だよね」

晶「聞けよ」

菖「そうだ! せっかくだからスカイツリー行こうよ! りっちゃん達に会えるかも」

晶「えーいいよめんどくさ……」

晶(いや待てよ。スカイツリーってデートスポットでもあるよな)

晶(下見したり他の人のファッションを参考にしていつか先輩と……)

菖「東京駅からだと山手線で上野に行ってから銀座線で浅草駅かな」

幸「総武線快速で錦糸町駅に行って半蔵門線から押上(スカイツリー前)駅でも行けるよ」

晶「丸ノ内線で大手町から半蔵門線に乗り換えた方が安く済むだろ」

菖幸「……」

晶「なんだよ」

菖「乗り気じゃん」

晶「い、いいだろ別に」


●N女子大学 学生寮


澪「律ーまだかー?」

律「ごーめんもう少しー」

澪「早くしないと天望デッキ当日券買えなくちゃうぞ!」

律「……私より行く気あんじゃん」

澪「昨日色々調べたんだけどさ、美味しそうなスイーツのお店があるんだ。それからライトアップの色は日によって違うらしいぞ!」

律「わかったわかったって」

澪「あとプラネタリウムもあるんだ」

律「へえー。でもプラネタリウムだったら水族館の方が楽しそうだな」


●スカイツリーへの道


梓「はあはあ……何で私がこがなきゃいけないの……」

純「梓がジャンケン負けたんじゃん。後で交替するって」

梓「はあはあ……」

純「……」ポチポチ

梓「はあ……はあ……」

純「……」ポチポチ

梓「はっ……はっ……ねえ純……何か喋ってよ」

純「……あごめん。携帯いじってた」

梓「」イラッ

純「え、えーっと、自転車こいでると携帯が鳴っても気付かないよね?」

梓「知るか!」


●東武伊勢崎線 北千住駅


唯「うーん……」

唯「やっぱりあずにゃん電話出ないや」

憂「そっかー」

唯「会いたかったなぁ……せっかくテストとかレポート終わったのに」

唯「あーもっと早く連絡しておけばよかったー!」

和「ほら電車来たわよ」

唯憂「はーい」

唯「ところでどこで降りるんだっけ?」

和「とうきょうスカイツリー駅よ」

唯「そんな駅あったっけ?」

和「元は業平橋駅だったんだけどスカイツリーの開業前に改称したの。ちなみに今乗ってる東武伊勢崎線の東武動物公園駅から浅草橋までの区間を東武スカイツリーラインと呼んでるそうよ」

唯「おおーさすが和ちゃん先生」

憂「そういえばさわ子先生もスカイツリーに行くらしいよ」

唯「さわちゃんも?」

和「先生一人で来るの?」

憂「多分付き合ってる人と来るんじゃないかなぁ」

唯和「何それ!?」


●スカイツリーシャトル(バス) 車内


紬「あっ! 今チラッと見えたわ!」

菫「見えましたねお嬢様」

紬「……かたい」

菫「へ?」

紬「せっかくのスカイツリーなんだから普段通りでいいじゃない」

菫「え、あ、うん。なんだか直ちゃんとお嬢様と一緒にいるのが不思議な感じでつい」

紬「やだやだーお姉ちゃんて呼んでくれなきゃヤダー!」

菫「わかった! わかったから静かにしてお姉ちゃん!」

直「……」

直「……あ、見えた」

紬「ところで軽音部はどう?」

菫「すごく楽しいよ。学園祭のライブは緊張したけど」

直「先輩のみなさんも優しいですし」

紬「よかったぁ。さわ子先生も元気?」

菫「元気というか……元気すぎて困るというか」

直「最近付き合い始めたらしくていつも機嫌がいいです」

紬「え!?」


●銀座線 電車内


澪「プラネタリウムいいだろ?」

律「水族館いいじゃん」

澪「すっごく綺麗なんだぞ」

律「座ってるだけなのより水族館の方が面白いって」

澪「いーやプラネタリウムの方が絶対いい」

律「水族館の方が絶対面白いっての」

澪「プラネタリウム!」

律「水族館!」


●東京ソラマチ 押上駅前広場口

菖幸晶「おおー↑」

幸「高い……」

晶「間近で見ると首が痛くなるな」

菖「どこから見て回ろうか?」

晶「そもそもここには何があるんだ?」

菖「えー、東京スカイツリータウンは東京ソラマチ、東京スカイツリー、プラネタリウム、水族館、オフィス等から構成される複合施設です……ってパンフレットに買いてあるよ」

晶(水族館にプラネタリウム……ありだな)

晶「東京ソラマチっていうのは?」

幸「東京ソラマチは商業施設のことでスカイツリーを挟んで東西に広がっているビル……食品、雑貨、カフェなど様々な店舗があります、だって」

菖「私達の今いる所がEast Yardの押上駅前広場口でここから建物に入るとソラマチ商店街っていうのがあるんだって」

晶「全然わかんないんだけど」

幸「マップ見なよ」

晶「要は横長のデパートで同じ階の西側と東側で売ってるものが違ったりするんだろ?」

菖「もうそれでいいよ。とりあえずソラマチ商店街に行ってみよう!」




●東京ソラマチ 1F ソラマチ広場

さわ子「……」

さわ子「……」

さわ子「フラれた……」



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最終更新:2013年05月07日 23:49