●4F West Yard ツリービレッジ

梓「見失った……全部の階見てきたのに」

梓「あの男は私の見間違いだったのかな? でも唯先輩は確かにいたし……」

梓(……ていうかいつの間に彼氏出来たんだろう。そんな話聞いてないし最近テストとかレポートで忙しいって言ってたのに)

梓(まさか彼氏と会ってて忙しいとか?)

梓(……そうだよね、ただの後輩よりも普通はそっちを選ぶよね)

梓(けど一言言ってくれてもいいのに。こうやって先輩達と離れていっちゃうのかな……)

梓「う……うう……」

梓(唯先輩のばかぁ……)

梓「はぁ……あれ?」

梓「これって……唯先輩のクッションだ」

梓「こっちは律先輩の人形に澪先輩のTシャツ……ムギ先輩とスカイツリーのキーホルダー……」

梓「……」

菖「わーこれ唯ちゃんのランチセットだ」

幸「かわいー」

晶「そうか?」

梓「あっ! あの後ろ姿は唯先輩の彼氏……え!?」

梓「なんで別の女の人と一緒にいるの!?」

菖「私達もいつかここに並ぶといいねー」

梓「あ、あのっ!」

晶「あ?」

梓「……あれ」

梓(この人女だった……よく見たら足元とかパンプスだし)

梓「あ、えっと……」

梓(それに雰囲気怖い……でも唯先輩の事も気になるし……)

菖「あれ? この子……黒髪を二つ結びにしてて……」

幸「かわいくて……」

晶「何だこのチビ」

梓「」イラッ

菖「こらああ!」ゲシッ

晶「ぐえあ!?」

梓「……」

菖「ごめんねこいつ口悪くて!」

梓「あ、いえ……」

幸「もしかして……あずにゃん?」

梓「えっ、どうしてその呼び名を……」

菖「やっぱり! 唯ちゃんの言ってた特徴通りだね」

幸「それにこの辺にいっぱいグッズあるから」

梓「ああ……」

菖「私達放課後ティータイムと友達なんだ」

梓「そうだったんですか」

晶「お前が放課後ティータイムでギターやってたっていう……」

梓「え、はい、そうですけど」

晶「あいつらそんな事今日まで一言も言わなかったからなあ」

梓「え」

梓「そ……そんなはずは……」

晶「学園祭のライブも割と完成されてたし忘れられちゃってるんじゃねーの? なんちゃって」

梓「……」ジワァ

梓「う……ふぇぇ……ぐすっ」

菖「ちょっと晶! あ、ご、ごめんね!」

幸「晶最低……」

晶「えっと、今のはなんちゃってで……」

梓「ばかあああああああっっ!!」ボゴォッ!!!

晶「ゴハアッ!?」

梓「ひっく……うぇ……」

菖「よ、よしよし……あずにゃんちゃんは忘れられてなんかないよ!」

幸「うんうん。ほら晶も」

晶「げえっ……げは……ゆ゛、ゆいがさっき可愛くてギターが上手くて放課後ティータイムの一員だって、い゛ってま゛しだ……ぉげぇ」

梓「ぐすっ……え? ゆいセンパイが……?」

晶「言ってました……ほんとに……げほっ」

梓「あ、あの、唯先輩がどこに行ったかわかりますか?」

菖「唯ちゃんならさっき天望デッキに行くって」

梓「そうですかありがとうございます!」ダッ


●4F 東京スカイツリーチケットカウンター


梓「う……今から整理券貰ったとして上に行けるのは何時間後だろ……」

梓「はぁ……」

純「あっいた!」

梓「あ、純」

純「どこ行ってたのさ梓! こっちはさわ子先生に絡まれて大変だったんだから!」

梓「うん、ごめん……」

純「……梓?」

梓「唯先輩と一緒にいたのは男じゃなかったんだけど先輩は今天望デッキにいるらしくて……」

純「でも今から当日券を買ってたんじゃ間に合わない、と」

梓「うん……」

純(降りてくるの待てばいいのに。先輩のことで頭がいっぱいって感じ)

純「……しょーがないなぁ」なでなで

梓「ちょ、なんで頭撫でるの」

純「これあげる」

梓「これって……さっき拾ったチケットじゃん。いいの?」

純「よくないけど今回は梓に譲ってあげる! 早く行ってきなよ」

梓「純……! ありがとうっ!」

純「……いいなー梓は」

純(私も何かないかなぁ……例えば澪先輩と……)

純(澪先輩どうしてここに、一緒に天望デッキに行きませんかっ、みたいな……)

純(まあ私そういうのじゃないんだけど……そういうのもいいな)

純「澪先輩こないかなー……」

純「……ってあそこにいるの澪先輩じゃん!!」

純(やった! スカイツリーからのプレゼントきた!)

純「ミオセンッ…なっ!?」

純「隣にいるのは律先輩……しかも手繋いでる!?」

純「……二人はそういう関係だったのね」

純「うんまあ、思い返してみるとそうだったかもしれないや」

純「……なんだろう、このフラれてないのにフラれた感は」

純「はあ……」

純「さわ子先生状態……」

純「……」

男1「あっスカイツリーで一番かわいい人発見!」

純「……は?」

男2「どうもー」

男1「スカイツリー登りました? どうでした?」

純(ないわ……)

純「いえ間に合ってますので」

男2「ああー残念です……お姉さん待ち合わせ?」

純「いや、本当に……」

純(クソガキめんどくせえー! さわ子先生帰ってきてー!)

  「その子嫌がってるけど」

純「!」


●4F スカイアリーナ


幸「その子嫌がってるけど」

純「!」

純(わあ……背高くてかっこいい人だな)

男1「え? あ……かわいい」

男2「大学生っすか? ちょっとこれから――」

幸「自分より背の低い人はちょっと」

男1「」グサッ

男2「」グサッ

幸「」グサッ

晶「自分で言ってへこむなよ」

男1(うわっ……この人こわっ)

晶「あぁ?」

男1「あ、し、失礼しました~」

男2「ました~」

菖「ぷふ、晶見て逃げていったね」

晶「何で笑ってるんだよ」

純「あ、あの! ありがとうございました!」

幸「大丈夫?」

純「はっはい!」

純(やばい……この人超素敵)

純「……あ」

幸「?」

純「もしかしてその担いでるのってベースですか?」

幸「そうだよ。よくわかったね」

純「私もベースやってるからネックの長さでわかるんです!」

幸「そうなんだ」

純(きた……スカイツリーからのプレゼントきたーーー!!)


●スカイツリー 天望デッキ(350m)


梓「ここに唯先輩が……」

憂「梓ちゃん!?」

梓「え……憂! 和先輩!」

憂「梓ちゃんも来てたんだ! すごーい!」

梓「そ、そうだ唯先輩は!?」

憂「もしかしてお姉ちゃん追ってきたの? えっと……」

和「唯なら今ト――」

憂「お姉ちゃんならこの先の天望回廊にいるよ!」

梓「天望回廊ってここより上にあるんだよね?」

憂「うん、これがそのチケットだよ。梓ちゃんにあげる」

梓「えっ、でも」

憂「いいからいいから。お姉ちゃんを見つけるまで戻ってきちゃだめだからね」

梓「……ありがと憂。行ってくるね!」

憂「うん、頑張って!」

和「……」

憂「えっと、和ちゃん」

和「わかってるわよ」


●東京スカイツリー 天望デッキ(350m) トイレ


唯「……」

唯(学園祭まで会うのずっと我慢してきたのに)

唯(学園祭が終わってからもあずにゃんに会えてないや)

唯(あぁーあずにゃん分が欲しいなぁ)

唯(それに……あずにゃんの軽音部の事、私の大学の事、それから……)

唯(直接会って話したい事がいっぱいあるよ)

唯(……よし! 明日あずにゃんに会いに行こう!)

唯(待てよ、どうせならみんなも誘ってパーティーするのもいいな)

唯(後でみんなに聞いてみようっと)


●東京スカイツリー 天望デッキ


唯「おまたせー」

和「唯、はいこれ」

唯「おー天望回廊のチケット」

和「行ってらっしゃい」

唯「え? 和ちゃん行かないの?」

憂「実は天望回廊でお姉ちゃんに会いたいっていう人が待ってるんだ」

唯「へ?」

和「そういう訳だから行ってきなさい」

唯「ええー……? わ、わかった……?」

和「……ちょっと無理矢理な気もするけど」

憂「梓ちゃんを見てたらつい」

憂「……」

憂「和ちゃん」

和「何?」

憂「私……この先どうしようか迷ってたの」

和「進路の事?」

憂「うん。でも和ちゃんやお姉ちゃんや梓ちゃんを見てたら私も自分のやりたい事を頑張ってみようって思えたよ」

和「私だって唯を見習っただけよ」

憂「そっかぁ……」

和「応援してるわ、憂」

憂「ありがとう和ちゃん!」

紬「みんなー」

和「ムギ?」

憂「紬さん! それにスミーレちゃんと直ちゃんも!」

紬「あら、唯ちゃんは?」

憂「お姉ちゃんと梓ちゃんは上の天望回廊に行きました」

直「中野先輩も来てたんだ」

紬「そうなんだ……うふ、うふふ……そうなのね」

紬「そういう事なら唯ちゃん達がここに戻ってくるまでみんなでお茶しよっか!」

和「日本で最も高いところに位置するフロア350スカイツリーカフェね」

紬「そう! そこにあるスカイツリーソフトが食べたくて」

憂「お姉ちゃんが好きそう」

菫直「食べたいです」

紬「決まりね。あ、メールしておかないと……」


●東京スカイツリー 天望回廊(450m)

唯「おおーさっきよりも高い!」

唯「でも私に会いたい人って誰だろ?」

唯「んー……んんー……?」

梓「唯先輩!」

唯「え? あずにゃん!?」

梓「はい!」

唯「わ……え、うそ、どうしてここに?」

梓「えへへ……色々ありまして」

唯「あ……」

唯「あずにゃーーーーん!!」

梓「わあっ」

唯「会いたかったよあずにゃーん!!」ぎゅーー

梓「先輩苦しいですよ……あと恥ずかしいです」

唯「あずにゃん……あずにゃぁん……!」

梓「あのっ!」

唯「ん、なーに?」

梓「唯先輩……えっと……す……!」

梓(あれっ、私先輩に何を言おうとしてたんだっけ? ……会う事以外何も考えてなかった)

梓「あの、沢山話したい事があったんですけど、ええと……!」

唯「あはは、あずにゃん落ち着いて。とりあえず歩こ? 私もあずにゃんと話したい事がいっぱいあるからゆっくり話そうよ」

梓「あ、はい、そうですね……えへ」




唯「すごい景色だねー」

梓「はい。今日ここに来てよかったです」

唯「本当はもっと早く会いたかったんだけど色々立て込んでおりまして……」

梓「あの……先輩って大学に入ってから、つ、付き合ってる人ができたりしました?」

唯「へっ? いないよ~」

梓「でっですよね! 私もそうだろうなって!」

唯「グサッ……あずにゃん、ひどい」

梓「いやっその、そういう意味ではなくてですね!」

唯「他にどういう意味があるの……?」

梓「えっと……あっ、下の天望デッキで憂と和先輩に会いました!」

唯「ぐす……そういえば憂と和ちゃんこないのかなぁ」

梓「今日は私の後輩もスカイツリーに来てるみたいなんです」

唯「軽音部の?」

梓「はい」

唯「そうなんだ~会いたかったなぁ……あ!」

梓「?」

唯「実は今ムギちゃんとりっちゃんと澪ちゃんも来てるんだよ!」

梓「えっ!? スカイツリーにですか?」

唯「うん! 後でみんなと会えるかな? みんなもあずにゃんに会いたいーって思ってるよ」

梓「そ、そうですか……へへ」

唯「それからね、これが一番言いたかったんだけど」

梓「なんですか?」

唯「あずにゃん部長、よく頑張ったね。けいおん部を残してくれてありがとう」

梓「……」

唯「軽音部OGとしては部活がなくなるのは寂しいからね」

唯「やっぱりあずにゃんはすごいよ! うん!」

梓「っ……あ、いえ、軽音部が続けられたのは憂と純と後輩とさわ子先生のおかげですし」

梓「私なんて全然……周りが見えなくなったりするし、先輩方の方がずっとずっと……」

梓「自分が先輩になって、改めて唯先輩達のいいところやすごいところもわかりましたし」

梓「でも……その、ありがとうございます」

唯「うんっ!」

梓(あと……私も唯先輩みたいな先輩になりたいと思いました。誰にも言いませんけどね)

唯「さてと、あんまり待たせちゃうと悪いしそろそろ憂と和ちゃんの所に戻ろっか?」

梓「そうですねっ」


●1F ソラマチひろば


菖「さっきのモシャっとしてた子さー面白い子だったよね」

幸「うん」

晶「それでムギからのメールって?」

菖「『1階で待ってて』だってさ」

晶「ふーん」

菖「ねえ晶」

晶「ん?」

菖「頑張ろうね」

晶「え? ……ああ」

晶「言われなくたって」

幸「だよね」

菖幸「プロのミュージシャンになるぞー!」
晶「先輩にもう1度告シャンになるぞー!」

菖幸「……」

晶「……な、なんだ? 頑張ろうなバンド!」

菖「……解散かなぁ?」

幸「方向性の違いだね」

晶「い、いやっ、今のはちが――あれ?」

律「今度はプラネタリウム見に来るか」

澪「水族館も悪くないな」

晶菖幸「あ」

律澪「あ」

菖「おーりっちゃん! 澪ちゃんも……お」

幸「あ……仲直りしたんだね」

晶「……」

律「ま、まあな」

澪「うん……」

晶菖幸(手繋いでる!)

紬「みんな~」

律「ん? おおームギ!」

澪「唯達も一緒か……って梓も?」

梓「お久しぶりですっ!」

律「元気そうだな」

梓「はい! ……あっ」

晶「あっ」

唯「?」

純「あっいた! 梓やっと戻ってきた……ってみなさんお揃いですね」

梓「あっ、純……ご、ごめんごめん」

純「あんた私のこと忘れてたんじゃあ……あっ!」

幸「あっ」

紬「これでみんな揃ったわね。あのね、もしよかったらなんだけど、近くのホテルとってあるからみんなも良かったらどうかなって……」

紬「みんなでお話したり遊んだりしたいのっ!」

唯「ムギちゃんが……」

律「予約した……」

澪「ホテル……」

和憂(すごそう)

梓「え、でもそんないきなり」

純「ぜひとも!」

直「私もいいの?」

菫「もちろん!」

菖「私達も行っていいの!? いくいく!」

唯「もちろん行くよ! ね?」

律「だな」

和「お願いするわ」

紬「やったぁ! うふふ、こんなに大人数でお泊り出来るなんて……!」


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最終更新:2013年08月17日 00:29