ガチャ
梓「こんにちはー」
シ-ン
梓「……ってまだ誰もいないか、さすがに早く来過ぎたかな」
梓「鞄とむったん置いて、んしょっと」ポス
梓「今日もまたあまり練習出来なかったらやだなあ……って悪い考えしちゃダメだよね」
梓「そうだ、だいぶむったんの弦痛んでたから今のうちに取り替えとこっと」
……
ガチャ
澪「よっ梓、おつかれ」
梓「あっ、澪先輩! おつか……」
プツッ
梓「いたっ!」
澪「あ、梓どうした? 大丈夫!?」タタッ
梓「い、いま弦の張り替えしてたんですけど澪先輩が来たので挨拶したら手元が……」ツ-
澪「梓っ、血が」
梓(いけない、血が出てるとこ見せたら澪先輩怖がっちゃう)
梓「大丈夫ですよ、こんなの舐めてればすぐに治り……」サッ
澪「ダメだ!」
梓「!?」ビクッ
澪「ばい菌でも入ったりしたり、何よりきちんと処置しないで傷跡が残ったらどうするんだ?」
梓「み、澪先輩」
澪「とにかくまず水道で傷口を洗おう、おいで梓」
梓「は、はいっ」
……
澪「きちんと傷口を洗ったら、あとは絆創膏をと……」ゴソゴソ
梓「澪先輩、絆創膏持ってるんですね」
澪「私もたまに弦を張り替えてる最中に怪我する時あるから、一応ね」
梓「ベースの弦、ギターより固くて太いから怪我したらギターより痛そうです……」
澪「そうかもな……よし、これでいいぞ」ペタ
梓「ありがとうございます、怪我の処置してくれて」
澪「ううん、元はと言えば私が部室に入ってくるタイミングが悪いのが原因だし……ごめんな、梓」
梓「そんなことないです! あくまで私の不注意が原因ですから澪先輩は何も悪くないです!」
澪「梓……」
梓「あっ、すいません! 大声出して」
澪「いや、そう言ってくれると助かるよ。ありがとうな」
梓「いえっ、そんな……」
梓「そ、それより澪先輩、さっきから私の血を見てても全然怖がらなかったですね」
澪「え? ……そういえばそうかな」
梓「どうしてです?」
澪「んー、なんでだろ? けどあえて言うなら……」
梓「言うなら?」
澪「梓だから、かな」
梓「ど、どういうことですか?」
澪「よく分からないけど、梓の血ならなんだか怖くないっていうか……」
澪「それに梓を助けなきゃっていう思いで頭がいっぱいになってたから、血が怖いってこと自体忘れてたみたいだ」
梓「澪先輩///」ドキッ
澪「梓、顔赤いけどほんとに大丈夫か?」
梓「だ、大丈夫です! 指の怪我とは関係ないです!」
澪「そう? ならいいけどさ」
梓「ところで唯先輩達は?」
澪「ああそうだ、唯と律は週末に出てた宿題やってないってことで居残り」
梓「ええっ、もう唯先輩と律先輩は……ムギ先輩は?」
澪「二人が居残りから逃げださないよう監視も含めて、忘れてきた宿題を終わらせる手伝いしてるよ」
澪「なんでも『私、家ではよく周りから監視されてる感じだから一度自分が監視してみたかったの』とか……」
梓「そ、そうですか……じゃあ少しの間ですけど、二人きりですね」
澪「そういうことになるな……二人しかいないけど、どうしよっか?」
梓「決まってます! 二人でも練習しましょう!」
澪「でも指の怪我、大丈夫か?」
梓「澪先輩に治療していただけましたし、これぐらいギターを弾くにはどうってことないです!」
澪「頼もしいな、けど無理だけはしないでくれよ?」
梓「はいっ」
澪「じゃあやろっか、んしょっ……と」ファサッ
梓(あ……)ジッ
澪「梓どうした? はじめるぞ」
梓「す、すいません!」
梓(澪先輩がベースを肩に掛けて髪をかき上げるしぐさに見とれちゃった……///)
……
ジャ-ン、ボ-ン
澪「ふう、結構練習したかな?」
梓「二人で練習し始めてもう一時間近く経ってますよ」
澪「もうそんなに経ったのか?」
梓「はい、二人でも結構練習出来ますね」
澪「そうだな……梓が頑張ってると私ももっと頑張ろうって思うから、練習に熱が入ってたみたいだよ」
梓「私も澪先輩が頑張ってるともっと頑張ろうってやる気になるので、練習に熱が入ります!」
澪「ふふっ、ありがとうな」ナデナデ
梓「んっ、えへへ……」
梓(やっぱり澪先輩から頭撫でられると嬉しくなっちゃう……ほんと自分でも子供だって思うけど)
梓(せっかく澪先輩と二人きりの今ぐらい、もっと素直に……)
梓「あ、あの澪先輩?」
澪「どうした?」
梓「ちょっとその、澪先輩にお願いというか、私からしたいというか……///」
澪「なに? 私に出来ることであれば聞くよ」
梓「は、はい! えっと」
澪「うん」
梓「ぎゅうって……だ、抱きついてもいいですか?」
澪「……え? 抱きつくって……私に?」
梓「そ、その……一度でいいから澪先輩に思いきり甘えたいっていうか」
梓「こ、こんなこと澪先輩にしか頼まないですけど!」
梓「こうして二人きりの時ぐらい澪先輩に素直に甘えたいって思って……だから、その……///」
澪「梓……」
梓「抱きついても、いいですか?」
澪「…………」
梓「澪先輩?」
澪「……ダメ」
梓「! ……そ、そうですよね、やっぱり迷惑ですよね」シュン
梓「すいません、今言ったことはわす……」
ギュッ
梓「れふぇ……え?」
澪「梓、抱き心地いいな……唯がよく抱きつくの、分かる気がするよ」
梓「み、澪先輩!? 今ダメって」
澪「うん、梓から抱き着くのはダメ」
澪「こういうことは先輩の方からするべきだって思うし、それに何より……」
梓「?」
澪「私の方から梓のこと、ぎゅって抱きしめてあげたいから」
梓「!? 澪先輩っ、キザっぽいです///」
澪「ごめん、ちょっとカッコつけすぎかな」
梓「……いいえ」
澪「?」
梓「すごく、嬉しいです」ギュッ
澪「梓……」
……
ガチャ
律「ふぃー、ようやく居残り終わったぜー」
唯「りっちゃん隊長、私の体力は力尽き果てそうであります……」
紬「待たせてごめんね澪ちゃん、梓ちゃ……あら?」
澪「おつかれ、ムギ。二人の居残りの手伝いはたいへんだった?」
紬「ううん、そんなことはないけどそれより……」
律「ぬ?」
唯「おろ?」
梓「すーすー……」ピタッ
澪「みんながなかなか来ないから梓、眠っちゃったぞ」
紬「まあ、澪ちゃんに寄り添って眠ってるなんて」
唯「澪ちゃんに甘えてるあずにゃんも可愛い!」
澪「ほら梓、みんな来たぞ」ユサユサ
梓「んんー……」ダキッ
澪「ちょ、ちょっと梓」
律「おやおや、これはこれは澪しゃんにずいぶん甘えんぼだなあ梓」
梓「みおせんぱい……すき……」
澪「!」
紬「!!!」キラキラバシュ-ン
律「ね、寝言で愛の告白だと?」
唯「おおっ! やっぱりあずにゃんは澪ちゃんラブだね〜」
梓「……ですからもうちょっと……このまま……」
澪「///」
紬「唯ちゃん、りっちゃん結納はいつにしよっか!? 婚約発表もしなくっちゃ!」
唯「ほえ? 私のがいつって……どゆこと?」
律「唯の、じゃなくて結納だぜ唯」
紬「唯ちゃん、結納っていうのはね!」
ワイワイキャ-
澪「おい、話を飛躍させすぎだよムギ……///」
梓「んー……」ゴロゴロ
澪「……まったく、梓にはかなわないな」ナデナデ
梓「んっ……何がかなわないんです?」パチ
澪「起きた? ふふっ、こっちの話だよ」
梓「??」
おしまい!
最終更新:2013年05月11日 01:18