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律「んー?」

澪「ほら、さっきからポタッ、ポタッ、って。たぶん台所の方」

律「……」

澪「……」

律「あ、本当だ」

澪「洗い物やった時、水道の蛇口ちゃんと閉めたか?」

律「閉めた……はず」

澪「見てきなさい」

律「はいはい」

澪「二回言わなくていい」

律「はいはいはーい」

澪「そういう意味でもない」





律「ただいまー」

澪「お帰り。お風呂沸いてるぞ」

律「気ぃ利くじゃん澪。そだ、今日は何食べたい?」

澪「野菜食べたいかな」

律「だろーと思って色々買ってきました。野菜炒めにしようか」

澪「おお。でも、もし私がお肉食べたいって言ったらどうするつもりだったんだ?」

律「そん時はお肉買って帰ってたね。でも、今日は澪は野菜食べたそーだなって思ってたから」

澪「超能力者かお前は」

律「澪限定のな」

澪「ふふっ」

律「あははっ」

澪「で、シャンプーも買ってきてくれたか? もうストック無いから買ってきてくれって今朝言ったよな」

律「……シャンプー?」

澪「おい」





律「アイス食べたい!」

澪「冷凍庫の二段目」

律「やったー!」

律「雪見大福みっけー、澪は?」

澪「私がダイエット中と知っていて言ってるのか律?」

律「そ、そっか、すまん」

律「……冷たぁ~、甘っ。バニラともちもちな食感がたまりませんわね」

澪「……」

律「雪見大福と言えばさ、食べてる時に『それ一個ちょうだい』て言うヤツなんなのって話あるじゃん」

律「二個しか入ってないんだぞ大福! こんな美味しいものを『はい、どーぞ』なんて簡単にやれる訳ないよな」

澪「じゃあ、私が『雪見大福一個ちょうだい』って言ったら律はどうする?」

律「あげるに決まってんじゃん」

澪「どうして? 簡単にはあげらんないんだろ?」

律「澪は特別なの。美味しいものも、楽しいことも、辛いことも、澪となら全部半分こ出来るの」

澪「律……」

律「でも残念、あげたくても澪ちゃんはダイエット中だから食べられないのでした。ごちそうさま」

澪「……このお腹のお肉が律と半分こ出来たらなぁ」





澪「気持ち悪い……頭ガンガンする」

律「どれ、おでこ出してみ……風邪だなこりゃ。どこで貰ってきた?」

律「着替えてベッドで寝てな。タオル濡らしてくる」

澪「パジャマ……どこ……? ううう……」

律「タンスだタンス。大丈夫か澪?」

澪「大丈夫……」

律「そうは見えないけどな……タオル持ってくるからちょっ」

澪「律……パジャマのボタンつけられない……」

律「マジか。仕方ないな……ほい」

澪「ありがと律……」

律「タオル持ってくるからさ、大人しく寝」

澪「すー……すー……」

律「……てるな。見事に私の膝の上で」

律「こんな所で寝たら風邪ひくぞ澪……もうひいてんのか」

澪「すー……すー……」

律「……いつも澪には無理させちゃってるからな。こーゆー時くらいはゆっくり休んでもらわなきゃ」

律「可愛い……幼い寝顔してんなー」

澪「……うぷ」

律「え?」





律「服買ったの?」

澪「うん。駅の所のちっちゃいブティックが閉店セールをやっててさ、つい」

律「なんだよー私も誘ってくれよー」

澪「ゴメンゴメン。でも律、バイトあるって言ってたし」

律「ぶー」

澪「まあ、その代わりって訳じゃないけど、律にも買ってきたんだ。似合うと思うぞ」

律「ホント? サンキュー澪!」

律「……ずいぶんと女の子女の子した服ですね」

澪「な、可愛いだろ?」

律「可愛いけどさ……私に似合うかな? おかしーし……」

澪「おかしくない、律は可愛い」

律「おう……あ、ありがと……大切にする」

澪「今度のデートはそれ着てきてよ」

律「うー……分かった!」

澪「ふふ、それにしても良い買い物したな、もう少し見てくれば良かったか。いつお店閉めちゃうんだろ?」

律「ちなみにあそこのブティック、二年前から閉店セールやってるらしいぞ」

澪「……何それ」

律「良いお客さんしてるなー澪」





澪「懐かしいな~……」

律「みーおー、本棚の掃除終わったぞ。って、何してんの」

澪「押し入れ整理してたら昔のアルバム出てきてさ」

律「おいおい……そのパターンは掃除が終わらないヤツだぞ? お、澪ちっちゃ」

澪「律もちっちゃいなー。小学校の頃かな」

律「遠足の時のだな。今でも覚えてるぞ? 変な虫捕まえてさ、それ持って澪追っかけまわしたの」

澪「この、馬鹿律!」

律「いっ……たぁーっ!? もう時効だろ!」

澪「あの時の私に代わってお仕置きだ」

律「つつつ……やぶへびでしたわ……ん? そっちのアルバムは?」

澪「中学の時のだ。それでこっちが……」

律「高校の、と。うーん、あの頃は良かった」

澪「なぁ、律。写真見ていて何か気づかない?」

律「……?」

澪「このアルバムも……このアルバムも……このアルバムも……」

澪「ほら、全部私と律が一緒に写ってるんだ」

律「そういえば……あっ」

澪「……こ、これからもずっと一緒に写真撮ろうな」

律「なーなー澪? この澪の肩に乗ってる手っぽいの何?」

澪「」





律「んー……ふわぁ……あ……」

律「……変な時間に目覚めたな」

澪「くー……くー……」

律「……」

律「ほっぺを……つん」

澪「……ううん」

律「……」

律「もいっちょ、つん」

澪「……ん……うん……」

律「……」

律「ほ、ほっぺにちゅー……」

澪「……律? 何し」

律 澪「あだっ!?」

澪「いたい……ぐすっ」

律「急に起きあがるから……てて」

澪「……何しようとしてたんだよ」

律「……うるせー」

律 澪「……」

澪「……変な時間に目覚めちゃったじゃないか」

律「……コンビニでも行くか」





澪「律、髪伸びたな」

律「そう? 自分じゃあんまし分かんないけど」

澪「伸ばすの?」

律「ロングはちょっとなー。でも、イメチェンするのも悪くないかも」

澪「律は元が良いんだから、色々試して見れば良いのに」

律「カチューシャが一番ラクなんだよ。むう……セミロングくらいになら……」

澪「ふーん」

澪「律が伸ばすんなら、私は逆に短くしてみようかな」

律「え。澪、髪切っちゃうの?」

澪「いや、律が伸ばすならさと思って」

律「じゃあ、私髪伸ばさない。切ってくる」

澪「どうして?」

律「どうしてもだ。澪は切っちゃダメ」

澪「理由になってないぞ」

律「澪はそのまんまで良いからだ。そのまんまが一番可愛い」

澪「……そ、そう? ならこのままに……する」

律「よし!」

律「という訳で美容院代貸して下さい」

澪「お前、さては……」





律「ただいまー」

律「……」

律「あり?」

律「澪ー?」

律「……」

律「みーおー?」

律「居ないの?」

律「……」

律「澪ー……」

澪「お帰り」

律「ぎゃあーっ!?」

澪「わぁーっ!?」

律「い、居たのかよ!」

澪「ずっと居たよ! お風呂入ってたんだから! というか、いきなり大声出すな!」

律「お、お風呂……あ、そう……」

澪「……」

澪「ばーか」

律「は、はあ?」

澪「ばーか。くすっ」





澪「ただいま」

澪「……」

澪「あれ?」

澪「律ー? 帰ったぞー?」

澪「……」

澪「りつー?」

澪「……出かけてるのかな?」

澪「……」

澪「こほん」

澪「梓ー、入ってきても大丈夫みたいだぞ。律もいないことだし……久々に、さ……」

律「のおおおおおーっ!?」

澪「お、出てきた出てきた」

律「あーずーさクゥゥゥンッ!? 後輩のくせによくもわたっ、私の澪を……あり? 誰も居ない?」

律「……」

澪「……」

律「……謀ったな」

澪「ばーか」





律「例えばさあ、私が男の子だとすんじゃん?」

澪「うん」

律「で、澪も男の子だとする」

澪「……? うん」

律「仮にそうだったとして、今の私達みたいになってると思う?」

澪「ぶっ!」

律「ちょ、飛ばすなよ」

澪「何を聞くかと思えば……」

律「もしもだよもしも」

澪「……」

澪「なってないと思う」

律「……どーして?」

澪「多分さ、普通の愛し合ってるカップルならこう言うと思うんだ。
  例え生まれ変わっていても僕達は一緒、みたいなさ」

澪「でも、私はそんな言葉は嘘臭いなって感じるんだよ」

澪「今の私が居て、今の律と出会えた。過去のどこかで少しでも道がそれてたらきっとこうはならなかった」

澪「だから私は……こうなった『今』を凄く大切にしたい。一秒でも長く今の律と一緒に居たい」

澪「……みたいな?」

律「……」

律「……?」

澪「おい、そのクエスチョンマークは何だ」


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最終更新:2013年05月17日 03:05