No.4
紬「焼きそば」



とある休日

憂「(わ!このぬいぐるみもかわいいなー)」

憂「(お姉ちゃんにプレゼントしたら喜ぶかな…)」ジー

スタスタ…

憂「(ん?あれ?)」

憂「(今紬さんがいたような…)」タタタッ

憂「あれ?いない…見間違いだったのかな…?」クルッ

紬「わっ!」

憂「きゃ!」

憂「て、紬さん!」

紬「うふふ、憂ちゃんを見かけたからお話しようと思ってたの」

憂「はぁ…(紬さんはおしとやかだけど子供っぽい部分もあってかわいいな///…)」

憂「でも紬さんとこんなところで会うなんて意外です。今日はお一人なんですか?」

紬「ええ、たまには一人でお出かけするのもいいかと思って、いろいろなお店を回ってきたの」

憂「…で、その両手いっぱいの荷物ですか…」

紬「実物を見るとついついいろいろ買いたくなっちゃって♪」ドッチャリ

憂「あはは…」

憂「!そうだ!紬さん、私これからスーパーに行くんですけど一緒に行きませんか?」

紬「もちろん、ご一緒させてもらうわ」

紬「私スーパーとかあまり行ったことがないから凄く楽しみ!」

憂「じゃあ、行きましょうか」

紬「うん!」

紬「わぁー…ここがスーパーなのね!果物にお魚にお菓子に調味料に日用品に…何でも揃っているわ!!」キラキラ

憂「はい」

紬「まぁ!2リットルのお水が88円ですって!こっちではティッシュペーパーが5箱で195円!さらにポ

イントまでついてくるの!?なんてお買い得なの…!」

憂(紬さん、楽しそうだな…)

紬「憂ちゃんは今日何を作る予定なの?」

憂「はい、肉じゃがを作ろうと思うのでジャガイモとか牛肉とか玉ねぎを買おうと思ってます」

紬「毎日献立を考えてるの?」

憂「はい。栄養バランスを考えて献立を組むのが楽しいんです」

紬「いいわね、そういうのなんだか憧れちゃう…」

憂「紬さんはお料理とかはしないんですか?」

紬「時々はするのだけど…普段はうち専属のシェフの方が作ってくださるから…」

憂「そうなんですか…(やっぱりお嬢様だなぁ…)」

紬「あ!」

好物の文字が目に入り紬は思わず声を上げた

憂「どうしたんですか?」

憂は不思議そうな顔で紬の方を向く

紬「見てみて!焼きそばって書いてあるわ!」キラキラ

『焼きそば』の文字を確認し 紬は目を輝かせた

憂「あぁこのカップ焼きそばのことですか」ヒョイ

紬「…?屋台で売っている焼きそばとは違うわね…」

首をかしげる紬にちょっとおかしさを覚えつつ 憂は説明を加える

憂「これはカップ焼きそばですから。インスタントラーメンみたいなものですね」

紬「!てことはいつでもどこでも食べられるの!?」

驚きのあまり 紬は身を乗り出して憂に質問した

憂「まぁお湯さえあれば…」

憂は少し驚きながらも 答える

紬「まぁ…!」キラキラ

感心のあまり 紬は無意識に叫んでいた

紬「すいませーん!ここにあるカップ焼きそば、全部ください!!!」

店員「え!?」

憂「ちょっ!?紬さん!?」

・・・・・・・

憂「たくさん買いましたねー?」

紬「うん。十個くらい買っちゃった」

こうしてみると 紬は本当に焼きそばが好きなようだった


世間話を膨らませていると いつの間にか商店街の終わりにまで来てしまっていた

紬「じゃあ憂ちゃん、ここでお別れね 今日は楽しかったわ」

憂「私も紬さんと一緒に買い物できて楽しかったです!」

そういった後 二人は顔を見合わせて微笑んだ

紬「じゃあまたね!唯ちゃんによろしくね」

憂「紬さん、さようなら!」

・・・・・・・・・

家に帰ると紬は 早速買ってきた焼きそばの調理に取り掛かった

紬「あぁ…ついにこの時が来たのね!」

紬「まさか焼きそばが食べられるなんて…!」

感動のあまり 思わず声が漏れてしまう

斉藤「紬お嬢様。お湯の準備ができました」

執事の斉藤も 張り切ってお湯を沸かしてくれた

紬「ご苦労さま。そこにお湯を置いて頂戴」

斉藤「かしこまりました」

調理を前に 気合いを入れなおす

紬「これで準備は万端ね…頑張って作りましょう!」ベリリッ

フタを開けると 様々な袋が入っていることに気づいた

紬「あら!かやくは別の袋に入っているのね!」

箱の側面の注意書きもよく確認する

紬「…ふむふむ、お湯を入れる前に入れてくださいと書いてあるわ、早速入れましょう!」

紬「しゃらんらしゃらんら~」バララッ

鼻歌を歌いながら紬はかやくを入れていった

紬「!ソースも別なのね!」

再び注意書きを確認する

紬「えーとソースは…お召し上がりの直前にかけるのね!わかったわ!」

紬「じゃあお湯を入れて3分待ちましょう」コポポ

最後の仕上げとばかりに紬は丁寧にお湯を注いだ

三分が経過した

再び注意書きを確認する

紬「…えーと、三分たったらお湯を捨てるのね!」

完成を間近にし 紬の頭にはできたての焼きそばが浮かんでいた

しかし、そこには油断も生まれていた

紬「しゃらんらしゃら…」ドバッ

ボトッ

紬「あ」

紬「」

翌日

紬「…ていうことがあったの」ズーン

紬は昨日の出来事をかすれるような声で話した

澪「あぁ…湯切りの時麺をシンクに落としちゃったのか…」

澪はうんうん、とうなずき共感のそぶりを見せる

律「まぁ、そう落ち込むなって。誰もが一度は通る道だよ」

律も紬を励まそうとする

澪「律なんかコンビニで買ったカップ焼きそばを外で湯切りして地面に麺を落としてたからな」

律「う、うっせーし///」

紬「うふふ…」

澪と律のやりとりを見て 紬も少し元気を取り戻した

唯「そういえば昨日は憂と一諸に買い物したんだって、ムギちゃん?いいなー、私も行きたかったよ」

唯は昨日 憂から聞いたことをうらやましそうに話した

紬「うふふ…今度は一緒に行きましょ?唯ちゃん」

昨日のことを思い出し さらに紬には元気が湧いてきた


律「!そうだ!そういえば近所に新しいやきそば屋さんがオープンしたんだった!ムギ!みんな!行ってみないか!?」

突然、律が提案をする

紬「!?本当!?いいの!?是非!!行きましょう!!」

律のはからいは 紬が元気を完全に取り戻すには十分すぎるものだった

唯「ムギちゃんノリノリだね~」

澪「ほんと…楽しそうだよな」

律「よーし!そうと決まればしゅっぱ~つ!」

紬「おー!」

拳を高く上げ 紬は叫んだ

紬が叫んだ後 少し遅れて扉が開く音がした

梓が小走りで部室に入ってくる

梓「申し訳ありません!遅くなりました!」

梓の入室もおかまいなしに 律は扉に向かって歩き始める

律「よーし梓も行くぞー、焼きそば屋さん」

梓「えっ!?ちょっ…練習は!?」

梓の素っ頓狂な声が部室に響いた







最終更新:2013年06月10日 21:45