梓「はぁ……」

純「どうしたの? 梓」

憂「梓ちゃん、なんだかアンニュイだね」

梓「それがね。最近ムギ先輩に抱きついたり膝枕してもらったりすると……」

純「わかった! 暑いんだ。冬はいいけど、夏はきついよね」

梓「そうじゃないって。ムギ先輩最近ダイエットしたみたいで、以前ほど柔らかくなくなっちゃったんだ」

憂「柔らかいほうがいいんだ?」

梓「うん」

純「でも夏に抱きついて暑苦しくない?」

梓「そんなことないよ。汗で蒸れたムギ先輩の匂い嗅ぐの好きだし」

純(変態だ)

憂(梓ちゃん、変態さんだ)

憂「それなら紬さんにダイエット辞めてもらえば?」

梓「前に頼んだけど、夏は水着着たいから駄目だって」

梓「はぁ……」

憂「う~ん。それなら梓ちゃんが太らせたらどうかな?」

梓「私が?」

憂「うん。お菓子とか作ってあげて太らせるの」

梓「ムギ先輩を太らせる……」

純「そしてまるまる太ったムギ先輩を(性的な意味で)食べるんだ?」

憂・梓「なんで!?」

純「えっ、美味しそうじゃん。ムギ先輩って肌が白くて柔らかそうで」

憂「純ちゃん、カニバリズムは犯罪だよ」

梓「……純をムギ先輩に近づけないようにしよう」

純「カニバリズム?」

梓「ともかく、ムギ先輩を太らせてみることにしようかな。憂、アドバイスありがとう」

憂「うん。梓ちゃん、頑張って!」

純「私も草葉の影から応援してるよ」

梓「うん。頑張る」

◇ムギの家◇

紬(最近梓ちゃんが甘えてきてくれない)

紬(この前までは抱きついたり、膝枕させてくれたり、あんなことやこんなことまでしてくれたのに……)

紬(最近はさっぱり……)

紬(やっぱり夏の間は私なんて暑苦しいだけなのかな?)

紬(澪ちゃんと頑張ってダイエットして15kg痩せたけど、それでも駄目なのかな?)

紬(梓ちゃん……私、ちょっとさみしいです)


梓「ムギせんぱーい」

紬「あら、梓ちゃん。来てくれたんだ」

梓「はい。執事さんに通してもらってきちゃいました」

紬「まぁ、歓迎するわ」

梓「今日はムギ先輩のためにお菓子を作ってきたんです」

紬「この袋?」

梓「はい。開けてみてください」

紬「うん。……あら、バターのいい匂い。これはクイニーアマンかしら」

梓「知ってるんですか?」

紬「ええ、フランスの菓子パンよね。でも作るの難しかったと思うんだけど」

梓「憂に手伝ってもらいましたから」

紬「食べてもいい?」

梓「そのために作ってきました」

紬「いただきます」カリッ

紬「うん。おいしい♪」

梓「よかったです」

紬「ほら、梓ちゃんも一口、あ~ん」

梓「あ~ん//」カリッ

梓「美味しいです♪」

紬「うふふ。梓ちゃんが私にお菓子を作ってくれるなんて嬉しいわ」

梓「あの……実はまだまだあるんです」

紬「えっ」

梓「あと5個ぐらい作ってきたんですが、全部食べてくれますか?」

紬「えっと……」


紬(クイニーアマン。それはバターを若干引いちゃうくらい練りこんだ殺人的お菓子)

紬(これを毎日食べればたちまちフランスのマンマになると言われてるほど)

紬(本来ダイエット中の私が食べていいものじゃないけど……)

紬(バターって高いし、梓ちゃんのお小遣いだと作るの大変だったはずよね……)

紬(うん。残さず食べなきゃ……)

紬「そうね。梓ちゃんが’頑張って作ってきたんだし」

梓「ムギ先輩……ありがとうございます」

紬「うふふ。梓ちゃんのためならなんのそのよ」

◇3時間後◇

紬「もう……無理」

梓「頑張りましたね」

紬「うん。もう当分バターの匂いは嗅ぎたくないかも」

梓「……」ポヨポヨ

紬「……? 私のお腹なんて触ってどうしたの?」

梓「最近スキンシップしてなかったなって思いまして」

紬「でも暑苦しくない?」

梓「それもいいんです」

紬「そうなんだ? でも最近あまり抱きついてくれなかったよね」

梓「それは……ごめんなさい」ムギュッ

紬「あ、梓ちゃん//」

梓「ムギ先輩、とってもいい匂いです」

紬「汗かいちゃうよ?」

梓「いいんです。汗の匂いも好きですから」

紬「もうっ……//」


梓(うん。うん。やっぱりムギ先輩は最高です)

梓(でもこのお腹がもっと膨らんでたら、もっといいのに)

梓(最近は腹筋が割れてきてるし……まぁ、そんなムギ先輩もいいんですが)

梓(やっぱり柔らかいほうが好きかな)

紬「梓ちゃん?」

梓「私、こうやってムギ先輩に抱きつくの好きです」

紬「そっかぁ」

梓「はい」

紬「それじゃあ、好きなだけ抱きついてね♪」

梓「はいっ♪」


紬(うふふ。梓ちゃん暑くても抱きついてくれるんだ)

紬(ダイエットなんて必要なかったのかな)

紬(ぎゅってしがみついてる姿が、子猫ちゃんみたい)

紬(梓ちゃん、かわいいな……)

◇3ヶ月後◇

梓(それから毎日のようにムギ先輩にお菓子を作ってあげた)

梓(ムギ先輩は本当に美味しそうにお菓子を頬張ってくれるので作りがいがある)

梓(財布は空になってしまったけど、ムギ先輩は+20kg。以前と比べても5kg太った)

梓(抱きつくと最高にやわらかい)


澪「なぁ、ムギ」

紬「なぁに、澪ちゃん」

澪「毎朝ランニングしてるのに、なんでムギだけ太っていくんだ?」

澪「最初は順調に痩せてたのに」

紬「それがね、最近毎日梓ちゃんがお菓子を作ってきてくれるの」

澪「梓が?」

紬「うん」

澪「ラブラブでいいな。(私もいつか純ちゃんと……)」

紬「うふふ。いいでしょ」

澪「あぁ、でもそんなに太るほどお菓子を作ってくるなんて」

紬「いいの。梓ちゃんが私のためにお菓子を作ってくれてると思うと、すごく嬉しいし」

澪「そうか……私としてもあんまり余計な口出しはしたくないけど……」

澪「でも、少しだけカロリーを考えたものを作るように言ったらどうだ?」

紬「……」

澪「今はまだいいけどさ。このまま太ったら健康にもよくないし」

紬「そうねぇ……」

◇ムギの家◇

紬「いらっしゃい、梓ちゃん」

梓「今日はザッハトルテを作ってきました」

紬「えーっと……ホールまるごと?」

梓「はい。……もしかして好きじゃなかったですか?」

紬「ううん。そんなことないの。そんなことないけど……」

梓「なら、よかったです♪」

紬「え、ええ」


紬(なんて楽しそうな笑顔)

紬(でも、言わないと……)

紬(このまま太っていったら、いつか嫌われちゃうかもしれないし)

紬「ねぇ、梓ちゃん」

梓「どうしました?」

紬「梓ちゃんがお菓子を作ってきてくれるのは凄く嬉しいんだけど……」

紬「もうちょっとカロリーを考えたお菓子を作ってくれないかなって」

梓「えっと……ムギ先輩は痩せたいんですか?」

紬「ええ。ダイエットもしてるし……」

梓「あの、ムギ先輩は、どうして痩せたいんですか?」

紬「えっ、それは……夏は水着だって着るし」

梓「ムギ先輩、そんなにスタイル悪くないです」

紬「でもこのまま太っていったら……ね。梓ちゃんにも嫌われてしまうかもしれないし……」

梓「そんなことは絶対にないです」

紬「……健康にも、悪いでしょ」

梓「あっ……」


梓(確かにこんなに毎日砂糖系のお菓子ばっかり食べたら身体に悪いよね)

梓(糖尿病になっちゃうかも)

梓(私、ムギ先輩の健康のことなんて考えたこともなかった)

梓(……謝らないと)


紬「梓ちゃん?」

梓「ごめんなさい!」

紬「梓ちゃん?」

梓「実は私……」

◇10分後◇

紬「そっかぁ、梓ちゃんは私のこと太らせたかったんだ」

梓「はい。私はふっくらしたムギ先輩が好きなので」

紬「それで毎日お菓子を?」

梓「はい」

紬「それは残念。そんな下心があったなんて……」

梓「わ、私はムギ先輩のこと、大好きです!!」

紬「ふふ、知ってるわ」チュ

梓「あわわ//」

紬「それにしても贅肉が好きなんて困った猫さんね」

梓「ごめんなさい。でも……」プニプニ

梓「この感触は、絶対に譲れないんです」プニプニ

紬「気持ちいいんだ?」

梓「もちろんです!」

紬「そっかぁ。じゃあ私はもっと太ったほうがいい?」

梓「でもこれ以上太ったら、健康に悪いです」

梓「ふっくらしたムギ先輩は好きですが、先輩が病気になるのは絶対嫌です」

紬「それなら私、現状維持にするね」

梓「いいんですか?」

紬「ええ。これくらいならぎりぎり健康に影響出ないから」

梓「すごく嬉しいですけど、ムギ先輩が痩せたいなら反対はしないです」

紬「ふふ。私はダイエットを続けるから痩せちゃうかも」

梓「……」

紬「だから現状維持できるように、これからも梓ちゃんがお菓子を作ってくれると嬉しいです」

梓「……! はい。これからも毎日作ります」

紬「ふふ、カロリーと糖分抑え目でお願いするね」

梓「はいっ!」

紬「それにしても、これがそんなにいいのかしら」プニプニ

梓「自分のを触っても良さはわからないと思います」

紬「そうなんだ?」

梓「私の二の腕を触ってみてください」

紬「これがねぇ……」プニプニ

梓「どうですか?」

紬「なるほどなるほど……」プニプニ

紬「うん。梓ちゃんの気持ちが少しだけわかったかも」

梓(そんなこんなでムギ先輩を太らせる計画は終わりました)

梓(元の体型+5kgのムギ先輩はとてもやわらかくて、毎日のように抱きついています)

梓(お菓子作りもとても楽しいです。最近はムギ先輩と一緒に作ることもあります)

梓(それに最近はムギ先輩のほうからスキンシップをとってくれるようになってきたんです)

梓(抱きついたり、お腹を触られたり。ちょっと照れくさいけど、とっても嬉しいです)

◇数カ月後

憂「梓ちゃん、最近太ってきたんじゃない?」

梓「そうかな?」

純「そうだよ。前はこんなにお腹膨らんでなかったでしょ」

梓「毎日ムギ先輩がお菓子を作ってきてくれるからかな?」

憂「そうなんだ?」

梓「うん。それに最近はムギ先輩のほうから私にスキンシップとってくれるようになったんだ」

憂「そっか。よかったね」

純「いよいよムギ先輩、梓を(性的な意味で)食べちゃうのかな」

梓「えっ」

憂「純ちゃん、カニバリズムは犯罪だよ」


おしまいっ!