とある日曜日

唯の家


唯「うぅー…暑いよー……」パタパタ

憂「最近急に蒸し暑くなってきたからね……エアコンつけよっか?」

唯「エアコンはいいよー……あんまり冷たい風を浴びるのも、私ダメなんだー」

憂「そっか…… あ!じゃあお姉ちゃん、コンビニにアイスでも買いに行かない?」

唯「! 行きます!!」シュタッ

憂「ふふっ。じゃあ行こうか」

コンビニ


唯「わー涼しいねー、憂ー!まるで天国だよ!」

憂「うん!(お姉ちゃん本当にエアコン苦手なのかな…)」

憂「じゃあアイス買おっか!好きなの選んでいいy」

唯「選びました!!」ドッチャリ

憂「はやっ!!てか 多っ!!」

憂「お姉ちゃん…流石にこんなには買えないよ……もう少し減らして」

唯「はーい…」

憂「んー…まぁこれぐらいならいっか。あ、アイスのほかにジュースも買ってこっか!」

唯「え!?ジュースも買っていいの!?今日は憂、大盤振る舞いだねー!」

憂「えへへへ…///」


唯「よし!じゃあこれにしようかな!」

憂「うん!どれどれ…果汁3%!アルコール含有量も3%! ……ってこれチューハイじゃん!お姉ちゃん、これジ
ュースじゃないよ、お酒だよ!」

唯「えー…でも見た目はジュースみたいだよ?だから一本ぐらいなら大丈夫じゃない?」

憂「ダメ!お酒は大人になってからだよ!ほら、ほかのジュース選んで!」

唯「はーい……」


唯の部屋

唯「くそー…憂め…まったく規則に厳しいんだから……」

唯「あぁー、はやく大人になりたいよ。大人になればお酒も堂々と飲めるし、アイスを大人買いもできるからね!」

唯「……とりあえずアイス食べよ」ベリリッ

唯(…あ、そういえば読みかけのマンガがあったや)

唯「……あれ?ここに置いておいたのに…」ガサゴソ

コンコン

唯「はーい」

ガチャ

憂「お姉ちゃんジュース持ってきたよー」

唯「ありがとー!憂ー! ……ちょうどいいや。憂、ここに置いてあった私のマンガ知らない?」

憂「あー…そういえば昨日 純ちゃんが遊びに来たとき、お姉ちゃんの部屋からマンガを借りていったような……」

唯「えー!?純ちゃんが借りていっちゃったの!? まだ全部読んでなかったのに…」ガックリ

憂「お、お姉ちゃんゴメンね?…勝手に貸しちゃって……そうだ!じゃあ代わりに私が面白い本を貸してあげるよ!」

唯「! え!ホント!? ありがとー!憂ー!」ギュー

憂「えへへ/// じゃあちょっと持ってくるね!」ガチャ バタン

憂「持ってきたよ〜」ガチャ

憂「はい、お姉ちゃん」ドサッ

唯「ありがとー、う……って重っ!!…けっこう分厚い本だねー」

憂「うん!私も全部読むのに時間かかっちゃった」

唯「なんだか読み応えがありそうだね!ありがとね、憂!」

憂「どういたしまして。じゃ、またねお姉ちゃん」バタン


唯「ばいばーい。……よし、じゃあ早速読んでみるよ!さぁアイス君!一緒に本読もうねー」ペロペロ

唯「えーと…タイトルは……『六法全書』…?へぇ、なんか変わったタイトルだね…」

唯「じゃあ早速1ページ目を……」ペラッ

唯「……うっ!!!」

唯「じょ、条文がぎっちり…!目がチッカチカする…!」

唯「す、すごい本を貸してくれたもんだね、憂も」ペラペラ

唯「うわ!何この民法っていうの!1000条以上もあるよ!!」ペラペラ

唯「うーん…すごい数……憂もよく全部読んだね…」ペラペラ

唯「ん…?第二章『婚姻』……?へぇ、結婚のことも民法が定めてるんだ」

唯「ふーん……ん…?」ペラ…

唯「……『民法第753条 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす』…?」

唯「……ほう」

翌日 音楽室


梓「こんにちはー」ガチャ

唯「あっ!あずにゃん!お見えになりましたか!待ってました!!」

梓「いや…何も私が来るのを待ってなくたっていいでしょう。一人で練習を始めてくれててもいいんですよ?」

唯「いやー…今日はちょっとあずにゃんにお願いがありましてね…」

梓「? 何ですか?唯先輩がお願いごとをするのは珍しいことではありませんが…まぁともかく言ってみてください」

唯「じゃあ遠慮なく……結婚しよ!あずにゃん!」


梓「…………はい?」

唯「いや、だから結婚して!あずにゃん!」

梓「は、はぁ!?///どうしたんですか?熱でもあるんですか?」

唯「いたって健康です!元気100%だよ! ねぇー、あずにゃーん、いいでしょー?」ギュー

梓「ちょっ!///冗談はやめてくださいよ!他の先輩方が来たら勘違いされちゃいますよ!」

唯「勘違い?何が?」

梓「いや、だから唯先輩が冗談じゃなくて 本気で私に結婚を申し込んでいると勘違いを…」

唯「え、冗談…?何のこと?」

梓「えっ」


梓「……まさか本気で言ってるんですか?」

唯「あったりまえじゃん!嘘の申し込みなんかしてどうなるのさ」

梓「……えっ?……えぇー!?///」

梓(じ、じゃあ唯先輩にプロポーズされたってこと!?)

梓「あ、あのっ…その……(どうすればいいの?私、告白されたことなんて初めてで…)」

唯「あずにゃん……?ダメ……?」

梓(そ、そんなに見つめられたら…!///あぁ今まで全く意識していなかった唯先輩が急にかわいく見えて…!!///)

唯「……?どったのあずにゃん?顔赤いけど…」ズイッ

梓(あぁそんなに顔を近づけられたら…!!///このままここにいたら…頭がどうにかなりそう…///)

梓「す、すみません唯先輩!返事は保留ってことにしておいてください!」ダッ

唯「あっ!あずにゃん!」

ガチャ バタン

唯「すごい勢いで走っていっちゃった……やっぱりダメなのかなぁ…」

一分後

ガチャ

律「うぃーす。あ、なんだ唯だけか」

唯「あ!りっちゃん隊員どうもです!」

律「なんかすごい勢いで走る梓と階段ですれ違ったんだけど なんだー、ケンカでもしたのかー?」ニヤニヤ

唯「うぅん。なんか私が結婚を申し込んだらねー、あずにゃんが走って出ていっちゃって…」

律「ふーん…………って、えっ!?結婚!?な、何言ってるんだ唯…?」

唯「いや、だからね、私があずにゃんに結婚を申し込んだらね…」

律「ちょ、ちょっと待て!……梓に結婚を申し込んだって…ど、どういうことなんだ唯!?」

唯「言った通りの意味だよー。あずにゃんに結婚しよう!って言ったんだー」

律「な、なんでまたそんな突然に……今までそんな素振り全然見せてなかったじゃないか!」

唯「いや実は昨日ね……かくかくしかじかってことがあって…」

律「……うん、それで?」

唯「…? それだけだよ?」


律「……え? じゃあそれだけの理由で梓に結婚を申し込んだってこと?」

唯「うん!」


律「……プッ」

律「アハハハ!な、なんだそれ!そんな理由で結婚を申し込むなんて!アハハ!」

唯「!?り、りっちゃん 笑うなんてひどいよー!」

律「だって早く大人になりたいって理由だけで結婚を申し込むなんて……アハハハ!!まったく唯らしいぜ」

唯「だって大人になって自立したかったんだもん……りっちゃんも大人になりたいと思わない?」

律「いや、確かに早く大人になりたいと思ったことはあるけどさ……」

律「でもだからと言って結婚は申し込まないだろー!梓も呆れて出て行っちゃったんじゃないのかー?」

唯「うーん……たしかにそうかも……」

律「ていうか民法753条には確かに結婚したら成年とみなすとは書いてあるけど、それによってお酒が飲める年齢とかが緩和されるわけじゃないしなー」

唯「えっ!?そうなの?」

唯「なーんだ…じゃあ今 私が結婚しても完全な大人にはなれるわけじゃないんだね……」


律「それにもし結婚するとしても752条にも書いてある通り同居して互いに扶助する義務があるんだぞ?そういうこともちゃんと考えたのか?」

唯「……まったく考えてませんでした、すみません」

律「だと思ったよ。まったく、そんな気軽に結婚を申し込むなんてダメだぜー? ……じゃあ私、部長会議があるからちょっと出かけてくるな?」

律「梓が戻ってきたらちゃんと謝っとけよー?」

バタン

唯「いってらっしゃーい。 …………あずにゃんが戻ってきたらしっかり謝らないと」

10分後

唯(あずにゃん帰ってこないなぁ……)ウトウト

ガチャ

梓「ゆ、唯先輩いますか?」

唯「! あずにゃーん!!おかえりー!」ギュー


梓「……もっと抱き着いてもいいんですよ」

唯「!?」


唯「えっ!? ど、どうしたのあずにゃん……?」

梓「今更 何驚いているんですか。さっきまであんなこと言っておいて///」

梓「……さっきの唯先輩のお願いの返事を言いにきました」

唯「……あー、その話なんだけどs」梓「いいですよ」

唯「…え?」

梓「だから唯先輩と結婚してもいいと言ってるんです///」

唯「え……?えっ!?」

梓「何驚いているんですか、自分でプロポーズしておいて///」

梓「さっきはあまりに突然の告白だったので混乱してしまいましたが、冷静になって自分の気持ちを整理してきました」


梓「でも……今すぐに結婚するんじゃなくて、もう少しお互いのことをよく知ってからにしませんか?」

梓「そして、こういったことをたくさん経験してから……」ズイッ

唯「ちょっ……!あずにゃん……!そんなに顔近づけて、どうしt」

チュッ


梓「///」

唯「///(あ、あずにゃんとキスしちゃった……)」

梓「……これが私の気持ちです。唯先輩、まずはお付き合いから始めましょう。……結婚を前提として」

唯(ど、どうしよう……!何かすごいことになっちゃったよ……)

梓「……ふふっ、唯先輩 顔真っ赤ですよ」

唯「えっ!?///」パシパシ


あれ……? なんで私、顔を真っ赤にしているんだろう……?

私は大人にはやく なりたいがために結婚を申し込んだだけのはずだったのに……

というか その目的だったらプロポーズするのは別にあずにゃんじゃなくてりっちゃんやムギちゃん、澪ちゃんでも良かったはずだよね……

なんで私はあずにゃんを選んだんだろう……?


梓「まったく……あんなに堂々と告白してたくせに、キスしたくらいでそんなに顔 真っ赤にしないでくださいよ///」


梓「……でも唯先輩、私 嬉しかったんですよ、先輩に告白されて…… ……その、私も先輩のこと好きでしたから」

唯「!」


……好き、か。 あずにゃんは私のこと好きだったんだ… いつもは抱きつくとあんなに嫌がっていたけれど、あれはただ素直になれなかっただけだったんだね。

嬉しいなー、私が大好きなあずにゃんが 私のことを好いてくれるなんて……

私の大好なあずにゃんが……

……そっか


……私はあずにゃんが大好きだからあずにゃんを選んだんだ

唯「……あずにゃん」

梓「……はい?」ドキドキ

唯「私もあずにゃんのこと大好きだよー!!」ギュー

梓「ふにゃあ!!/// 急に抱きつかないでくださいよぉ///」

唯「ふふっ、あずにゃんも顔真っ赤だよ?」

梓「もう……!唯先輩のせいですよ///」


梓「じゃあ唯先輩……その…… OKってことでいいんでしょうか……?」

唯「もちろんだよ!お互いが好きなんだから……!」

唯「お付き合いしていっぱい思い出つくろ?そしてゆくゆくは……結婚しよ///」

梓「……!!! ゆ、唯センパーイ!!」ギュー

唯「ふふっ。いいこいいこ」ナデナデ

ガチャ

律「あぁー会議疲れたぁー……相変わらずお前らは仲良しだなぁ、今日も二人で抱き付き合って」

律「で、唯どうだ? 梓にはちゃんと謝れたのかー?」ニヤニヤ

梓「……律先輩」

律「んー?何だー? でも梓もあきれちゃっただr」

梓「私たち、結婚を前提に付き合うことになりました///」

律「…………はい?」

2年後。

梓は唯と同じ大学に進学し、アパートで唯と同棲をはじめていた

そして今日は唯の20歳の誕生日であった


梓「〜♪」ペラペラ

唯「あーずにゃん!何読んでるのー……ってそれ六法全書じゃん! あずにゃん弁護士さんにでもなるの?」

梓「ふふっ、2年前、唯が告白してくれた時のことを思い出していたの」

唯「あー……そんなこともあったねぇ…懐かしい……」

梓「まさかあの告白の理由が はやく大人になりたかったからだったなんてね。あとで律先輩に聞いてびっくりしたよ」

唯「う、うるさいなぁ/// だってあの時は早く大人になりたかったし、民法753条には、結婚すれば成年とみなすって書いてあったし……」

唯「ていうかそんな昔のことほじくり返さないでよ///」

梓「……でも、この六法がなかったら今の私たちはなかったんだよね……」

唯「……そうだね。あの時 六法を貸してくれた憂、マンガを借りていった純ちゃんには感謝しなくちゃね」

梓「ふふっ、本当だね。……あ、そういえば今日はケーキと一緒にチューハイも買ってきたよ」

唯「え!?本当!?ありがとー!あずにゃん!!」ギュー

梓「今日から合法的に飲めるからね。 ……それと、これも唯にあげる」

唯「え、なになにー?」パカッ

唯「…!指輪…!あずにゃん……これって…」

梓「高かったんだよ。おかげで貯金なくなちゃったけど……でも、唯が喜んでくれればそんなことどうでもいいの」

唯「あ、あずにゃんありがとー!!」ギュー

梓「まだ学生の身だから結婚はあれだけど……でも、その時が来たら唯、よろしくね?」ニコッ

唯「もちろんだよ!」ギュー

梓「さ、ケーキ食べよ? このケーキムギ先輩がわざわざ送ってくれたんだよ?」

唯「ほんと!?ありがとー!ムギちゃん!」

梓「ふふっ。 じゃあケーキ食べる前に乾杯しよっか。はい、唯 チューハイ」

唯「ありがとー。 ……あずにゃんは飲んじゃダメだよ?」

梓「分かってるよ。どうせ私は子供なのでオレンジジュースでも飲んでますよーだ」

唯「わー!ふてくされてるあずにゃんも可愛いー!」ギュー

梓「もう……唯ったら/// ……さあ、いつまでも抱き着いてないで!乾杯するよ!」

唯「わかったよ! それじゃあ……」

唯梓「かんぱーい!」カンッ


唯「じゃあ人生初チューハイ!飲んじゃうよ!」

梓「一気飲みしないでよ?」

唯「わかってるよー。 じゃあ……いただきまーす」ゴクッ

唯「……うっ!」

梓「……どうしたの?」

唯「……あんまりおいしくないね、コレ」

梓「えっ」


唯「なーんてね、冗談だよー!」ギュー

梓「ちょっ///急に抱き着かないでよー!/// チューハイこぼれるよ!……まったく」

唯「ふふっ。 ……あーずにゃん!」

梓「んー、何ー?」

唯「これからもよろしくね!」

梓「……うん!」



おわりです



最終更新:2013年07月13日 15:09