−「本日のゲストは……人気上昇中のガールズバンド・放課後ティータイムから、
  唯さんと梓さんのお二人です!」

「どうも〜」

「よろしくお願いします」

−「まずは自己紹介をお願いします」

「はい、えっと……
 放課後ティータイムのボーカル&ギターの唯です」

「同じく放課後ティータイム、リズムギター担当、梓です」

「二人で……せーの」

「「ゆい☆あず でーす!」」

−「ありがとうございます……って梓さんどうしました?」

「いえ、まだこの名乗りが恥ずかしくって……」

「もぅ、あずにゃんは恥ずかしがり屋だねぇ、よしよし」

「うう〜」

−「ホント、仲が良くって羨ましいです」

「えへへ〜」

−「あ、それはそうとご結婚されたそうで、おめでとうございます!」

「ありがとうございます〜」

「ありがとうございます」

−「法律で同性婚が認められてからまだ一カ月なのに、もうご結婚されたなんてビックリですよ」

「まぁそうですね、でもそのためにずっと準備もしてきましたから」

−「と言いますと?」

「唯とはもう長い付き合いですから、ね?」

「うん、だから法律で同性婚が認められたらすぐにでも結婚しようって
 ずっと決めてたんですよ」

「なのでいつでも結婚できるように式場の手配とかプランとか、ちょくちょく相談し合ってました」

−「もし同性婚が制定されなかった場合、どうしてたんですか?」

「ん〜、変わらないよねぇ? あずにゃんとはずっと一緒にいようって約束してたから」

「そうですね、結婚出来ようが出来まいが、私たちの仲は変わりません」

−「ラブラブですねぇ〜」

「はい、ラブラブです!」

「もぅ、唯ったら」

−「お二人はいつからお付き合いを?」

「高校生の頃からです!」

−「えっ? 高校!?」

「お、お恥ずかしながら……
 えっと、私と唯は同じ高校の軽音部の先輩後輩だったんですよ
 それでその時から付き合いだして今に至るって感じで」

−「大学は?」

「あずにゃんと一緒の大学です」

「他のHTTのメンバーも同じ高校で唯の同級生で、揃って同じ大学へ進学したんですよ
 なら私も当然行くしかないですよね」

「でも嬉しかったよ、あずにゃんもN来るって言ってくれて」

「当たり前でしょ、HTTもあるし、それに、唯が居るんだから」

「あずにゃ〜ん!」

「ちょ、こんなとこで抱き着かないでよ」

−「まさにずっと一緒なんですね、羨ましい限りです」

「えへへ〜、それほどでも〜」

「あ、ありがとうございます」

−「それでですね、こういった事は少々聞きにくいのですが……
  今でこそ法律で認められた同性婚ですけど、それまでは周りの目とか色々あったんじゃないでしょうか?」

「ん〜……私たちの場合、あまりそんな事無かったんじゃないかな?」

「そうですね……周りがすごく理解のある方たちばかりでしたから、私たちはすごく恵まれていたのかもしれませんね」

「女子高育ちっていうのもあったかも」

−「ご本人自身は悩んだりとかは無かったんですか?」

「唯が好きって気づいてから付き合いだして最初の頃まではやはり悩みました
 女の子を好きになってどうしようとか、付き合っても周りから非難されたらどうしようとか……不安でしたね」

「あずにゃんは真面目な娘だからたくさん悩んだんですよ」

「でも、唯の笑顔と優しさがそんな不安を全部取り除いてくれたんです
 だから唯といる時間がホントに楽しくて、この人を好きになって良かったって思えて、
 悩みなんて馬鹿らしく思えるくらい毎日が幸せで……」

−「唯さんはどうでしたか?」

「私は、そうですね……女の子同士って事には特に何も」

−「そうなんですか?」

「はい、好きなものは好きっていうタイプですから、あずにゃんの事が気になって、それが大好きになって……
 いつか想いを伝えたいとは思ってたんですけど、あずにゃんってさっきも言った通り真面目な娘ですから、
 告白したら気持ち悪がられると思って言いだせなかったですね」

「そ、そんな事ないのに……」

「えへへ、だからあずにゃんから告白された時は信じられないくらい嬉しかったです」

「ちょ、ゆ、唯」

−「梓さんから告白したんですか? ちょっと意外ですね」

「うう……もぅ唯ったら、恥ずかしい事いわないでよ」

「ごめんごめん〜」

−「大丈夫です、そのことも後で質問する予定でしたから」

「へっ! そ、そうなんですか……あぅ」

−「ちなみに何て告白したんですか?」

「へっ! いや、その……普通にですよ?」

−「普通とは?」

「その……”好きです、付き合ってください”って」

「あれ? もうちょっとちが」

「いいの! 恥ずかしいんだから!」

−「まぁ、それは別の機会に伺う事として……
  女の子同士で付き合うことに関して、ご両親からの反対とかは無かったんですか?」

「特に無かったです」

「私の方も無かったですね」

−「理解力のあるご両親ですね」

「はい! 私んとこはもともと放任でしたからね
 大学になってあずにゃんと付き合ってるって言ったら、可愛い家族が増えたって喜んでました」

−「それはそれでアバウトな」

「あはは……でも唯のご両親にはホント良くしていただいて、私としても帰る家が増えた感じでした」

「あずにゃんが来ると大歓迎だったよね、うちの親」

「つか、唯の方がはしゃいでたよ?」

「ええ〜、そうだっけ?」

「そうだよ、抱き着きまくりだったじゃん」

「だぁ〜って、あずにゃんが来てくれるんだから我慢なんてできないよ」

「そうだね、唯だもんね、我慢できるわけないよね〜」

「さっすがあずにゃん、よく分かってらっしゃる」

−「では、梓さんのご両親の方は?」

「私の親は同じ業界でして、まぁ同性のそういった方も知り合いにいたりしたので特にお咎め無しでした」

−「なるほど、確かに音楽とか芸術系って意外と多いかもですね」

「はい、なので唯を紹介した時も同性って事よりむしろ、唯のギターに惹かれてましたね」

「不思議とあずにゃんのお父さんに気に入られちゃってました」

「そ、そうなんですよ、だから私唯が家に来るたびに気が気でなくて……」

−「それはどうしてですか?」

「え、言わなくちゃダメですか?」

−「ダメです」

「えっと……唯がお父さんに取られちゃうって思っちゃって……
 そんなはずないのになんか嫉妬しちゃってましたね」

「あの時のあずにゃん必死だったもんね〜」

「だって、しょうがなかったんだもん」

「だいたい私があずにゃん意外に靡くわけないの分かってるでしょ?」

「それはわかってたんだけど、でもどうしようもなくて」

−「梓さんって唯さんにベタ惚れなんですね」

「へっ?」

−「HTTの活動とか見てる分には、唯さんが梓さんに抱きついたり、甘えたりしてる所が目立つので、
  てっきり唯さんが梓さんにベタ惚れだと思ってたんですけど」

「その通りです! 私の方があずにゃんにベタ惚れです!」

「え? そこ張りあうとこ!?」

「だって、なんかあずにゃんへの大好きって気持ちが負けた気がして……」

「そんなことないよ……それに、唯の大好きの気持ちは、私だけが解ってればいいの!」

「あ、あずにゃ〜ん、大好きだよぉぉ」

「もぅ、唯ったら……私も大好きだよ」

−「……あの、私を置いていかないでくれます?」

「はっ、す、すいません!」

−「一応放送コードとかありますので、節度は持ってくださいね?」

「そ、そこまではしません!」

「あずにゃん、そこまでって?」

「唯は知らなくていいの!」

「ええ〜、酷いよ〜」

−「はいはい、婦婦ゲンカは家でおねがいしますね」

「は、はい」

−「では次ですが……プロポーズはどんな感じでしたか?」

「プロポーズですか」

−「そもそもどちらからプロポーズを?」

「私から……だったよね」

「ですね」

−「告白は梓さんからで、プロポーズは唯さんからなんですね」

「は、はい」

「プロポーズと言っても、いたって普通だったと思います
 だよね、あずにゃん、私特に大したことして無いよね?」

「いや、あれを大したことじゃないって……」

「え? どんなだっけ?」

「……まぁプロポーズした方はあまり覚えてないのかもしれませんね
 された私はちゃんと覚えますし、第一忘れようが無いくらい衝撃的でしたから」

−「気になりますね、一体どのような?」

「同性婚が決まったと報道があったときは確か日中で、私はその時大学で講義を受けてたんです
 そしたら講義の無いはずの唯が教室にいきなり飛び込んできてビックリしました」

「あ、ああ〜、あの時がそうだったんだ!」

「ふふっ、そうだよ
 で、私を見つけたと思ったら大声で

 ”あずにゃん、私達結婚出来るよ! だから結婚しよう!!”

 って」

−「わぁ、ストレートに行きましたね」

「あはは、お恥ずかしい」

「教室中軽くパニックでしたよ
 周りのみんなや教授からおめでとうって言われたんですけど、私も突然の出来事で何が何だか分からなかったんですよね」

「あの時のあずにゃん、呆然としてたよね〜」

「仕方ないでしょ、訳分からなかったんだから
 それでゆっくり状況が理解できて来て、同性婚が認められたって、唯と結婚出来るんだって分かって……
 嬉しくって、凄く幸せで……」

「あずにゃん泣いちゃったんだよね」

「唯だって泣いてたじゃん、鼻水まで流しながら」

「そうだったね、でも私だってすっごく嬉しかったんだよ、あずにゃんと結婚出来るって分かって」

−「確かに……心に残るいいプロポーズですね」

「はい! 私一生忘れません」

「私もです!」

「いや、唯はさっきまで忘れてたでしょ?」

「あ、あれぇ?」

−「唯さんは、”あの時がそうだったんだ”って言ってましたね
  という事は、他にも心当たりが?」

「唯、どの時と間違えたの?」

「うえ? え、えーっと…………ベッドの中」

「にゃああああああああああああああああああああああああああっ!!」

−「あ、梓さんどうしたんです?」

「な、何でもありませんから! この話題はここまででお願いします」

−「は、はぁ……よく分かりませんがそう言う事なら」

「ほっ……」

−「では次に、挙式についてですが、どのような式になさったんですか?」

「ライブハウスでの挙式でした」

「馴染みのライブハウス借り切りましたよ! 牧師さんも呼びました!」

−「さすがアーティストといった所ですね!」

「はい、ずっとライブハウスで挙げたいって二人で相談してましたから」

−「って事は、演奏もしたんですか?」

「はい! ウェディングドレス着てギター弾きました!」

−「凄い! でも、ドレスのレースとか邪魔になりませんでしたか?」

「ええ、そうなると思ってちゃんと動きやすいドレスを注文したので大丈夫でした」

「あの時のあずにゃん、すっごく可愛かったんだよ〜」

「ゆ、唯だって凄くかっこよかったし、可愛かったんだからね」

「ありがと、あずにゃん!嬉しいよ!」

「私もですよ」

「でもあずにゃんはいつだってどんな時だって可愛いんだよ、私の天使なんだから!」

「ゆ、唯……嬉しい」

「あずにゃん……」

「ゆい……」

−「こほんっ! あ、あの、ですから! 私を忘れないで頂きたいのですが!」

「あちゃ、忘れてました」

「にゃあっ! す、すすす、すいません」

−「ふぅ……では最後になりましたが、これからどのような家庭を築いていきたいですか?」

「そうですね、あずにゃんとずっと一緒に居られればそれだけでいいです」

「あ、唯ずるい、それ私が言いたかった事だよ」

「えへへ、私達ずっとずーっと一緒だからね、あずにゃん」

「うん、幸せになろうね、唯」

「もう幸せだよ〜」

「じゃあもっともっと幸せにしてあげる」

「あずにゃん、大好きだよ」

「私も大好き、唯……」

「ん……」

−「……えーっと……本日のゲスト、
  放課後ティータイムから、唯さんと梓さんのお二人でした〜……
  来週の”百合ゼクシィ On The Radio”をお楽しみに」




「すぐにいちゃつくとは聞いてたけど、あそこまでとは思わなかったわ……
 でも……凄く幸せそうだったな……」


以上で終了です。
ありがとうございました。



最終更新:2013年07月13日 15:30