駅前に最近オープンしたという雑貨屋さん。
 部活終わりに唯先輩が寄って行きたいというのでお供することにした。

 ……店内でそのあだ名を連呼しないでください。
 うぅ…店員さんがこっち見て笑ってる気がする…

唯「ほらこれ!むったんだよ!可愛いよ~」

梓「あ…」

 唯先輩が指差したのはシルバー製のペンダント。
 そのペンダントトップは確かにむったん―――私の愛器ムスタングの形をしていた。

唯「可愛いよね~?絶対あずにゃんに似合うよ!」

 唯先輩の言う『可愛い』は偶にちょっと理解できないものもありますが
 このペンダントは私にも素直に可愛いと思えた。
 値段も手頃なのでこれなら今の手持ちでも……あ。

梓「唯先輩。こっちにギー太もありますよ」

唯「えっ?あっホントだー!ギー太も可愛い~♪」

 私が指差したレスポールの形のペンダントを見つめる唯先輩の目はキラキラと輝いていた。

唯「うーん…この値段なら……来週お小遣いだし……」ブツブツ・・・

 なにやらブツブツと呟いていらっしゃる。

唯「よし!買っちゃおう!ギー太ペンダント!」フンス!

 どうやら購入に踏み切った様子の唯先輩。私も…買っちゃおうかな…

唯「あずにゃんは?むったん買わないの?お揃いにしようよー」

 う…お、お揃いとか言わないで下さいよ……
 そこを意識したら買うのを躊躇しちゃうじゃないですか。
 いえ、決して唯先輩とお揃いのペンダントを着けるのが嫌だという事はなく
 むしろ望むところなんですが…まあ唯先輩には私の複雑な乙女心なんて
 わかりませんよね。 

梓「じゃ、じゃあ私も買います……///」

 よし!言えた!
 以前の私ならここで『わ、私はいいです!///』なんて変にツンデレを発揮して
 家に帰ってから後悔するところでしたが……私も成長しました!フンス!

唯「あ!そうだあずにゃん。どうせならプレゼント交換しようよ!」

梓「プレゼント交換…ですか?」

唯「うん。私がむったん買ってあずにゃんにあげるから、あずにゃんはギー太を買って私にちょうだい?」

 むったんペンダントもギー太ペンダントも値段は同じだ。

梓「それって結局自分で買うのと変わらないじゃないですか」

唯「えぇー全然違うよぉー」ブーブー

 はい。ホントは私もわかってます。全然違いますよね。
 自分で買うのと唯先輩に買ってもらうのと…支払う金額、手に入る品物は同じでも
 そのありがたみは天と地ほど違います。

梓「わかりました。プレゼント交換しましょう」

唯「わーい♪やったー!」

 子供のようにはしゃぐ唯先輩。ふふ…可愛い…

唯「よしっ、じゃあレジへゴー!」

梓「あ、あのっ、唯先輩!」


 ―――――――――


 それぞれペンダントを購入した私達は雑貨屋を後にした。

唯「じゃあこれ、あずにゃんにプレゼント!えへへ…大事にしてね?///」

梓「は、はい!じゃあ私からこれを…先輩も大事にしてくださいね?///」

唯「うん!もちろん!」

 お互いにペンダントをプレゼントしあう。うぅ…照れる……///

唯「えへへー♪さっそく明日から着けていこうね?あずにゃん」

梓「ええっ?学校に着けて行くんですか!?」

 校則でアクセサリーの類は禁止されている。
 先生に見つかったら没収されてしまうんじゃないだろうか。

唯「ブラウスの下に着けてたら見つからないよ。体育のある日だけ気をつけてたら大丈夫!」

 確かに。体育の着替えの時でもない限り学校でブラウスを脱ぐことなんてまず無い。
 ブラウスの下に着けている分には誰かに見られる心配はないだろう。
 ないだろうけど……やっぱりちょっと恥ずかしい…

唯「ね?あずにゃん、お願い」

 出ました。上目遣いでのお願い攻撃。
 意識してやっているのかどうかは知りませんがこれをやられると私は逆らうことが出来ない。

梓「わ、わかりました……けど、このことは他の先輩方にも内緒にしておきましょうね?」

唯「そうだね…バレちゃったら私もさすがに恥ずかしいかも…///」

梓「唯先輩はクラスでは特に気をつけてくださいよ?特に律先輩には絶対バレないように!」

 あの人に見つかったらどれだけ冷やかされることか。

唯「そんなに心配しなくても大丈夫だよー……えへへー、二人だけの秘密だね?」

梓「うっ…ソ、ソウデスネ・・・///」


 ―――翌日―――


 放課後、部室には私が一番乗りだった。誰もいない部室で先輩方が来るのを待つ。
 うぅ…なんだかドキドキする…
 約束どおりブラウスの下には昨日唯先輩に貰ったペンダントを着けている。
 放課後までは誰にもバレることなく過ごせたけど
 憂には『梓ちゃん、何かいいことあったの?』と言われ、
 純には『朝からずっとニヤニヤして…ちょっと気持ち悪いよ?』などと言われてしまった。
 私ってそんなに顔に出やすいのかな…?

 ガチャッ

律「おーす梓!早いなー」

澪「待たせちゃったか?ごめんな?」

紬「こんにちは梓ちゃん。すぐにお茶淹れるわねー♪」

唯「あずにゃん、おいーす!」

 先輩方は4人一緒にやってきた。
 皆さんと挨拶を交わしつつも私の意識はやはり一人の先輩に集中してしまう。
 唯先輩は私と目が合うといつものように抱きついて……は来ませんでした。
 右手を自分の胸元に当て、ニコッと微笑む。
 制服に隠され見えませんがその右手の下には私がプレゼントしたペンダントがあるのでしょう。
 顔が熱くなっていくのを堪えながら、私も唯先輩と同じように
 右手を自分の胸元へ、制服越しにペンダントにそっと触れる。

 非常に照れくさいです…///
 唯先輩はそんな私を見て満面の笑みを浮かべ抱きついて…いえ、もうほとんど飛びついてきました。

唯「あずにゃ~~~ん♪」ムギュウ

 いつもどおりの抱きつきプラス頬ずりですが唯先輩のほっぺは
 いつもより少し熱を帯びている気がした。
 そして私の心臓の鼓動はいつもより少しどころではないほどバクバクいっている。
 唯先輩は私に抱きついたまま他の先輩に聞こえないように耳元で囁く。

唯(ちゃんと着けてきてくれたんだね……ありがとう、あずにゃん♪)

梓(や、約束しましたからね…///)

 いつもならすぐに『離してください!』なんて心にもないことを言ってしまう私ですが
 今日ばかりはそんな言葉は出てこなかった。
 むしろ若干唯先輩に身を委ねているような……

律「おーい。いつまで抱き合ってるんだー?お茶にしようぜー」

梓「なっ!?///抱きつかれてるんであって抱き合ってなんかいません!///」

紬「まあまあ、いいじゃない♪唯ちゃん梓ちゃん、ごゆっくり~♪」

澪「あんまりゆっくりしてたらお茶冷めちゃうぞ?」

唯「そうだね!あずにゃんはいつ抱きついても抱き心地は最高だけど、

  お茶はあったかい内に飲む方が美味しいもんね!」

 律先輩の一言からいつもの軽音部のノリになりティータイムが始まった。

 ―――――――

 ガチャッ

さわ子「いぇーい!みんな揃ってる?新しい衣装ができたわよー!」

 部室に入ってきたさわ子先生を見て部員五名の内二名は嬉しそうに顔を輝かせ、
 残りの三名はうんざりした顔をした。当然私はうんざり組の方だ。


さわ子「ふーんだ。あんた達三人には期待してないわよー。どうせまだ一着しか出来てないしね。

    そうねぇ…唯ちゃん、着てみてくれる?」

唯「は~い。おぉ!結構可愛い服だね~」

 唯先輩の言うとおり、今回の衣装はさわ子先生作にしては落ち着いたデザインで
 なかなか可愛らしかった。唯先輩に似合いそうだな……ドキドキ

唯「♪~~♪♪~」

 鼻歌交じりにブレザーを脱いでいく唯先輩。もう少し恥じらいを…と言いたい所ですが
 まあ当然女子しかいない空間ですし、先輩方は皆さん同じクラスなので
 下着姿ぐらいは体育の着替えなどで見慣れたものなのでしょう。
 私だけあまりむきになって注意しても逆に意識してるみたいで恥ずかしいし。
 そんな事を考えているうちに唯先輩はタイをほどき、ブラウスのボタンに手をかけ―――



            あ



 あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああっっっ!!!!!!

梓「ゆ、唯先輩!物置の方へ行って着替えましょう!!」

唯「ほぇ?なんで?」

 ああ…やっぱり唯先輩は気づいていない。
 まあ私も唯先輩の着替えに浮かれて今の今まで忘れていたんですが。
 油断していました。体育の授業以外にも軽音部にいればこんな形で
 ブラウスを脱ぐ可能性もあったんだ……!

律「おいおい、急にどうしたんだよ梓。唯先輩のお着替えに興奮しちゃったんでちゅかー?」ニヤニヤ

 やかましいです。
 今は律先輩の冷やかしに付き合ってる暇はないんです!

紬「あら?唯ちゃんそれ……ペンダント?」

唯「……あっ!」

 あああぁぁぁぁぁぁぁ……見られてしまったぁぁぁぁぁぁあ!!


 既にブラウスの第二ボタンまで外してしまっていた唯先輩の胸元からは
 チラチラとシルバーの輝きが見え隠れしていた。
 ムギ先輩に指摘されたことで唯先輩も漸く気づいたようだ。
 うぅぅ……どうしよう……

さわ子「……唯ちゃん?アクセサリーは校則違反よ?学校に着けてきちゃ駄目じゃない」

唯「ご、ごめんなさいさわちゃ…さわ子先生!その…没収だけは勘弁してください!!」ペコリ

 普段はさわ子先生に対してフランクに話しかける唯先輩が真面目な口調で謝っている。
 私も唯先輩と一緒に頭を下げたい気持ちでしたが、それをするとなぜ梓まで謝るのかと
 追求され、私と唯先輩の秘密がバレてしまう恐れがあるので出来なかった。
 すいません、唯先輩。一人で怒られてしまって……帰りにアイス奢りますから!
 三段重ねまでならいいですから!!

さわ子「しょうがないわねぇ…今回だけは特別よ?他の先生に見つかったら庇いきれないからね?」

唯「あ、ありがとうさわちゃん!」ホッ

 なんとか没収は免れました……一安心、と言いたいところですが
 私のピンチはまだ続いている。

紬「へぇー、ギターの形のペンダントなのね。唯ちゃん、よく似合ってるわ♪」

 よし、まだ大丈夫だ。バレてない。ギターが大好きな唯先輩が
 ギターの形のペンダントを着けていても何もおかしくないはずだ。
 それにちっちゃいペンダントトップだから細かいデザインまでは見えないはず……
 お願いします!誰も気づかないで……!

澪「あれ?唯…そのペンダント……」

 ギクッ!
 ゆ、唯先輩!早く隠してください!!

律「どうした、澪?」

澪「いや…唯の着けてるペンダント…ムスタングじゃないか?」

紬「あっホントだわ。むったんの形してる…!」

唯「え、えへへ……///」

 えへへじゃないですよぉ!!
 唯せんぱあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!

律「ほぉう…唯がギー太じゃなくむったんのペンダントをねぇ…」

 律先輩はニマリと笑い私の方を見る。
 ……なんですか、そのイヤラシイ目つきは。
 こっち見ないで下さい。
 いや、律先輩だけではなかった。今や部室にいる全員の目が私に向いていた。
 正確には私の胸元に―――

さわ子「梓ちゃん…ブラウスを脱ぎなさい」ニヤニヤ

梓「い、嫌です。セクハラです!」

律「いや別に脱がなくてもいいぞ。梓が首にぶら下げてるものを自分で見せてくれたらなー」ニヤニヤ

梓「私の首にはなにもぶら下がってません。だから見せれません」

 私のその言葉を聞いた時、唯先輩が悲しそうな目をした。
 いや違いますよ?唯先輩。
 ちゃんと着けてますからね?
 ただ、今はこう言うしかないじゃないですか!
 このペンダントを皆さんに見られたら私は恥ずかしくて死んでしまいます!

さわ子「梓ちゃん?私にはね、教師として校則違反をしているかもしれない生徒をチェックする義務…

    いえ、権利があるのよ!素直に見せれば没収は勘弁してあげるわ」ニヤニヤ

 そのにやけ顔は校則違反をチェックする教師の顔じゃないですよちくしょう。

紬「梓ちゃん!没収されたら大変!見せて許してもらおう?」ニコニコ

澪「…そ、そうだぞ梓。ここは素直に見せたほうが……///」ドキドキ

 ムギ先輩も澪先輩もどうやら味方にはついてくれないようです。
 というか皆さんもう私の首になにがぶら下がっているのかわかってますよね? 
 今更見せる必要もないでしょう………

唯「……………」

 唯先輩の方をチラリと見ると先ほどから変わらずションボリした顔をしている。
 私がホントにペンダントを着けていないんじゃないかと心配になっているのでしょう。
 ………まったく、あなたという人は………
 他の先輩方や先生は私がペンダントを着けていると確信しているのに
 なんであなたがそんなに不安そうなんですか。
 とは言え、唯先輩を不安にさせてしまったのはさっきの私の発言のせいだ。
 いつまでも唯先輩にそんな顔をさせておくわけにはいかない。

 …………………………………

 覚悟を決め、襟元のタイを外す。
 律先輩、さわ子先生、あなた方に言われたから見せるんじゃないですよ?
 唯先輩を早く安心させる為、唯先輩の為に見せるんです。


 ブラウスの第一ボタンを開け、私は胸元からギー太のペンダントを取り出した。


 ―――――――


さわ子「それにしてもやるわねあなた達。ペアのペンダントとはねぇ…」ニヤニヤ

律「しかもそれぞれ相手の楽器のペンダントだもんなー」ニヤニヤ

澪「……『ペアのペンダント』か…あ、なんか歌詞が出来そう……///」ドキドキ

紬「すごいわ!唯ちゃん梓ちゃん!その、なんて言うか……すごいの!!」キラキラ

 皆さん私と唯先輩をお茶の肴(?)にティータイムを楽しんでいらっしゃる。
 私は机に突っ伏したままの体勢で先輩方の話を聞いていた。
 ……もうなんとでも言ってください。
 言い訳のしようもありません。

唯「ごめんねぇあずにゃん。私のせいでバレちゃって……えへへ///」ニコニコ

 すっごく嬉しそうですね。唯先輩……

澪「そう言えば昨日の帰り二人で雑貨屋に寄るって言ってたよな。そこで買ったのか?」

唯「あ、うん。そうだよ~」

梓「………………」シーン

律「唯はともかく梓はお揃いのペンダントなんか恥ずかしがりそうだけどなー…よく説得できたなー唯」

紬「そうよねそうよね!?しかもお互いの楽器を交換して着けるなんて……!すごいわ!!」キラキラ

唯「あ、それはねー最初は普通に私がギー太を着けるはずだったんだけど……」

梓「!!!!!」ガバッ

 ちょっ!?唯先輩!!?そ、それ言っちゃうんですか!?



 ―――昨日―――



唯「よしっ、じゃあレジへゴー!」

梓「あ、あのっ、唯先輩!」

 唯先輩とペンダントを交換し合うことに浮かれた私はちょっと欲を出して
 それ以上の事を思いついてしまった。

唯「なに?あずにゃん」

梓「やっぱり私がむったんを買ってもいいですか…?」

唯「えぇー……プレゼント交換してくれないの……?」ションボリ

梓「い、いえ、そうじゃなくって…あの、私がむったんを買って唯先輩にプレゼントしますから

  唯先輩はギー太を買って私にくれる、というのはどうでしょう……?///」

唯「………」

 唯先輩はポカンとした顔のまま固まってしまった。
 私の言っていることの意味を理解するのに少々時間がかかっているようだ。

唯「えっと…つまり、私がむったんペンダントを着けて、あずにゃんがギー太ペンダントを

  着けるってことかな…?」

梓「は、はい。駄目ですか…?///」

 唯先輩はギー太に首ったけだからやっぱりギー太ペンダントの方を欲しがるだろうか。

唯「あずにゃんの…エッチ///」

 な、なああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!?

梓「な、なにがエッチなんですか!!///」

唯「だって…あずにゃんがギー太を肌身離さず身に着けて……

  私がむったんをって……なんかエッチくない?///」

 う、うぅ……///唯先輩の発想はちょっと飛躍しすぎですが、確かに私にしてはかなり
 大胆な提案をしてしまった気がする。

梓「あーもう!じゃあいいです!///そ、それぞれ自分のペンダントを買いましょう!!///」

唯「あ…う、うそうそ!私むったん欲しい!うん、あずにゃんの提案いただき!」

梓「うぅ……//////」



 ―――――――



律「ほぉう…じゃあ交換して着けるってのは梓の提案なのか…」ニヤニヤ

紬「すごいわ!梓ちゃん!!すごいすごいすごいすごい!!」フンスフンス!

さわ子「梓ちゃんなかなかやるわねぇ」

澪「…………///」カァァァ

 私は再び机に突っ伏しただただ時間が過ぎ去るのを待っていた。
 今日はもう部活が終わるまで顔をあげれません。

紬「……すごいわぁ……」ハァ・・・



 ―――帰り途―――



 結局今日は練習なんて一切できず。
 散々冷やかされたまま部活は終わり、
 散々冷やかされながらの帰り途も他の先輩方とは別れ
 今は唯先輩と二人で歩いていた。

唯「あずにゃん…怒ってる……?」

 二人っきりになってからしばらくお互い無言で歩いていましたが不意に唯先輩が切り出した。

梓「……なんでそう思うんですか」

唯「…私のせいでペンダントのことバレちゃったし……その後も私ちょっと浮かれちゃって

  色々喋っちゃったから……」シュン

 私が無言で歩いているのを怒っていると思ったのでしょう。
 唯先輩はションボリとうな垂れている。

梓「ハァ……別に怒ってないですよ。ちょっと…いえ、かなり恥ずかしかったですけど。

  それに浮かれてたのは私も同じですし」

唯「ペンダント……明日からも着けてきてくれる?」

梓「…もう軽音部公認みたいになっちゃいましたからね。今更隠すこともないでしょう」

 先輩方にバレてしまった時点でもうこそこそする必要もない。
 さわ子先生に言われたとおり他の先生には気をつけないといけないけど。
 憂と純にも……いや、純にはしばらく黙っておこうかな。なんか面倒くさいことになりそうだし。

唯「みんなの公認っていうのも嬉しいけど、二人だけの秘密が無くなっちゃったね?」

 ちょっと残念かも、なんて言いながら唯先輩は少し寂しそうに笑った。

梓「唯先輩…アイス食べていきましょうか」

唯「ほえ?珍しいね、あずにゃんの方からアイスのお誘いとは……

  あ!…ごめん……昨日ペンダント買っちゃったからお金が……」

梓「今日は私の奢りです」

唯「えぇっ!?いいの?」パァァ

梓「三段重ねまでならオッケーです」

唯「おぉう!あずにゃん太っ腹!!」

梓「他の皆さんには内緒ですからね?……二人だけの秘密です」

 唯先輩はキョトンとした顔で私を見つめていたがしばらくすると満面の笑みになった。

唯「うん!」

梓「さあ、早くいきますよ!」

 唯先輩の手を取って歩き出す。
 私に手を引かれながら唯先輩は『三段か~♪チョコとミントと……えーと、後は…』などと
 嬉しそうに呟いている。


 ―――よし。今日は私も唯先輩とお揃いの三段アイスを食べよう。

 明日からも冷やかされる日々が続くだろうから英気を養わないと。



以上で終わりです。
見てくださった方々ありがとうございます。



最終更新:2013年07月13日 17:08