唯「えっ」
唯「どしたの?」
憂「ある人におこなの」
唯「憂がおこなんてとんだ不届き者がいたようだね」
唯「それで誰におこなの?」
憂「お姉ちゃんにおこだよ」
唯「えっ!?」
唯(わ、私憂に何かしたっけ……)
唯(おこな憂も可愛いけどそれどころじゃないよ)
唯「えっと」
唯(憂がおこるようなこと? そんなことするわけ……)
憂「むー」
唯(でもおこってるしなー)
唯(あっ)
唯(憂の着てる服『□K□』だ……あれ『OKO』って意味だったんだ……どうしよう)
憂「……」
唯「あの……うい? 私……」
憂「お姉ちゃんさっきお買い物に行ったよね」
唯「うん。アイスを買いに」
憂「私の分も買ってきてくれるって言ったよね」
憂「今冷凍庫見たらアイス1つしかなかったよ」
唯「あっ……」
唯(そのことかぁー!)
唯(違うんだよー忘れたわけじゃないんだよ!)
唯(憂とひとつのアイスカップで食べさせっこしたかったの)
唯(アイス2つ買っても出来るけど……何故か最近憂とそういうこと出来なくて)
唯(なんかこう、恥ずかしくて……おかしいなー前は普通にやってたのに)
唯(なのに前よりも憂とそういうことしたくて、でも出来なくて……そこで思いつきました)
唯(アイスがひとつなら『食べさせっこしよう』って言わざるを得ないもんね)
唯(と思ってアイスわざとひとつだけ買ったんだ)
唯(っていうのをワイドショー見てたら忘れちゃってたや)
憂「お姉ちゃん?」
唯「うっ……」
唯(そうだよ! 憂がこう聞いてくるのを待ってたんだよ!)
唯(これなら恥ずかしくても自然に食べさせっこする流れに持っていける!)
唯(よ、よし……言うぞ〜)
唯「憂〜アイスごめんね」
唯「だからね、その……」
唯(今だよ!)
唯「お、お姉ちゃんの分食べていいよ」
唯(っあーーー!! 私のバカーーーー!!)
唯(だめだった……食べさせっこしようの一言がどうしても口から出てくれないよぅ……)
唯「……はぁ」
憂「お姉ちゃんごめんっ! 私おこってないよ」
唯「へっ?」
憂「『おこだよ』って言ってみたかっただけなの」
唯「あ、うん」
唯(憂がおこなの忘れてた……)
憂「アイスは気にしてないからお姉ちゃんが食べなよ。だから元気出して?」
唯(そっちじゃないんだよ憂〜)
唯「ううん、忘れちゃった私が悪いんだし憂が食べてよ」
憂「私は大丈夫だからお姉ちゃんが食べて」
唯「いやいや憂が」
憂「うーん……じゃあ半分こしよっか」
唯「!」
憂「だめかな?」
唯「もちろんいいよ! じゃあ今食べよっか!」
憂「うん。アイス持ってくるね」
唯(よ、よっし! なんかうまくいった!)
憂「おまたせ〜。はいお姉ちゃんのスプーン」
唯「ありがとー」
唯憂「いただきまーす」
唯「はむ……ん〜おいし♪」
憂「おいしいね〜」
唯(はっ! これはこれでいいけど食べさせっこじゃあないや……)
憂「お姉ちゃん」
唯「ん?」
憂「はい、あーん」
唯(ふおっ!?)
唯(ま、まさか憂からしてくれるなんて……! さっすが憂だよ!)
唯「あーーむ、んん〜すっごくおいしいよ!」
憂「えへへ〜」
唯「……じゃ、じゃあ憂にも」
憂「ほんと? わ〜い♪」
唯「は、はい、あ〜ん」
憂「あぁん……」
唯(うっ)
唯(憂の小さくてうるおった唇がおずおずと開いて……)
唯(私が舐めたスプーンを……)
憂「はむ」
唯(可愛いようなえっちぃような……いやいや)
唯(とにかく食べさせっこできた!)
憂「おいしいね〜」
唯「そうだね〜」
憂「それじゃお姉ちゃんにもう一口、はいあーん」
唯「あ〜ん」
唯(しやわせ……)
唯(前は普通にこんな感じのことしてたのに)
唯(けど今の方がなんていうか胸一杯って感じ。なんでだろ?)
憂「お姉ちゃん?」
唯「ふぇ? ああごめんごめん、憂ももっとあーんする?」
憂「うんっ」
唯憂「ごちそうさまー」
憂「おいしかったね」
唯「そだねー」
唯(色々美味しかったなぁ)
憂「あ、お姉ちゃんテレビで新商品のアイス宣伝してるよ」
唯「さっきのワイドショーだね。爽の新しい味出たんだ〜おいしそう」
憂「そういえば明日スーパーでお買い物するんだった」
唯「えっ!」
憂「買ってこようか?」
唯「ぜひ! 憂の分も買って一緒に食べようよ」
憂「いいよ〜」
唯「やったぁ!」
●翌日
憂「ただいま〜」
唯「おかえり〜。うい〜爽の新しい味あった?」
憂「……あっ!」
唯「へ?」
憂「お姉ちゃんごめん。実はうっかりしてひとつしか買ってなくて……」
唯「ええー!? なして……」
憂「だから、えっと、そのぅ」
唯(憂にしてはめずらしいなぁ。昨日の私と一緒……あれ)
唯(心なしか憂の表情に憂いが全くないような? これって……)
唯(………よし)
唯「……うい」
唯「おこだよ」
END
最終更新:2013年09月03日 08:06