私には苦手な人が居る それは誰かって?その人は…


姫子「ほらっ、唯また口の周りにパンクズ付けて」


唯「姫ちゃん、ありがとう~」



それはクラスメートの立花姫子さん
何があった訳でも
言われた訳でもないけど 何か怖そうだし苦手な人…


姫子「これでよし」

唯「ありがとう姫ちゃん」


律「姫子って和みたいだな」


紬「唯ちゃんのお母さんみたい」


姫子「まさか、真鍋さんには敵わないよ」


律「憂ちゃん、和、姫子と唯にはお母さんが沢山居るな」


唯「憂は妹で私はお姉ちゃんだよ!」


紬「ふふっ、そうね唯ちゃん」


澪「…」



苦手なだけで 決して嫌いじゃないんだ
寧ろ惹かれてる


律「やっぱり、姫子は大人っぽいよな」

紬「部活にバイトに凄いわ~」


唯「お化粧も上手いよね!」


そう、立花さんは化粧が上手くて大人っぽくて
カッコイイんだ
私に無い物を沢山持ってる


姫子「そんなに褒めても何にも出ないよ?」


唯「姫ちゃん、今度私にもお化粧教えてよ~」


律「私も!」


紬「私にも!」


姫子「いいよ、何時でも言ってよ」


唯「姫ちゃん優しい~」だきっ


姫子「こらこら」なでなで


澪「…」


彼女と仲良くなりたいな…でも、一体どうしたら?



       部室


律「澪ってさ姫子と余り話さないけど、何で?」


澪「えっ?そんな事ないよ…」


唯「澪ちゃん、姫ちゃん嫌い?」


澪「嫌いなんかじゃないんだ」


紬「じゃあ、何故?」


澪「苦手なだけで決して嫌いなんかじゃないんだ」


唯「どうして苦手なの?」


澪「何か怖そうで…」


律「まぁ、見た目があんなんだからな」

唯「姫ちゃん優しいよ」


紬「澪ちゃんは姫子ちゃんと仲良くなりたいの?」


澪「うん、仲良くなりたい」


律「話してみたら良いじゃん」


澪「何を話して良いかわからないんだ…」


梓「遅くなりました」


唯「あ~ずにゃん」だきっ


梓「何時もいきなりですね///」


律「軽音部の儀式みたいなもんだ」


梓「怖い言い方しないで下さいよ…」


梓「ところで、澪先輩は何でそんなに深刻な顔なんですか?」


律「苦手な子と仲良くなりたいらしい」

梓「成る程、思い切って話しかけたりしないんですか?」


澪「何を話して良いかわからない…」


唯「抱きつく!」


律「それが通用するのはお前だけだ」


さわ子「暑い…ムギちゃん、お茶~」


紬「はい、今淹れますね~」


さわ子「何よ?揃いも揃って深刻な顔して」


律「いや、澪の奴がさ」



さわ子「そんなの簡単よ?相手の事を知れば良いのよ」


律「澪にはハードル高くないか?」


さわ子「何を話して良いかわからないんでしょ?だったら相手の事を聞いたら良いのよ」


梓「確かに、そうした方が入りやすいですね」


紬「自分の話を聞いて貰って嫌な人は居ないものね」


唯「どんなお菓子が好き?とか普段はどんな事してるの?とか聞かれたら答えるもんね」


さわ子「澪ちゃんなら相手も警戒しないし、況してやクラスメートなんだから答えてくれるわよ」


澪「そ、そうか!そうだよね」


さわ子「それに立花さんは挨拶もきちんとするし、礼儀正しい子だから大丈夫よ」


澪「明日話しかけてみます!」




     帰り道


梓「澪先輩、上手く行くでしょうか?」

紬「緊張して話せないなんて事になったら…」


唯「大丈夫だと思うよ~」


梓「何でわかるんですか?」


律「澪は仲良くなるのに時間かかるけど、一度仲良くなったら凄く深く付き合うんだ」


紬「その典型がりっちゃんなのね~」


律「まあな~私の場合は一方的に行ったから好きも嫌いもなかったかもな」


唯「それに姫ちゃん落ち着いてるから」

律「見守ってやろうぜ!澪が自分から仲良くなりたいと言うなんて滅多にないしな」


梓「そうですね!」

唯「澪ちゃんが勝負かけるんだもん」


紬「私も祈ってるわ~」




 翌日


律「澪、おはよう」

澪「おはよう律」


律「いよいよだな」

澪「うん、緊張してきた…」


澪「立花さんが部活終わったらお茶に誘ってみるよ」


澪「二人っきりの方が話易いしさ」


律「頑張れよ澪!部活は休みにするからさ」


澪「うん」



 放課後


澪「立花さん、練習してる」


澪「真剣だな…」


澪「終わるまで待ってよう」





姫子「今日の練習はここまで!」


ソフト部員「お疲れ様でした!」


姫子「ふぅー暑い暑い」


澪「た、立花さん」

姫子「あれっ?秋山さんどうしたの?」

澪「うん、もし良かったらお茶でも行かないかなって」


姫子「待っててくれたの?」


澪「うん」


姫子「そっか、いいよ行こう」


澪「じゃあ、待ってる」


姫子「うん、ありがとう」



姫子「お待たせ!行こうか」


澪「うん、この近くにさ静かなカフェがあるんだ」


姫子「よしっ、そこへ行こうよ」



 カフェ


姫子「お洒落なカフェだね」


澪「気に入ってるんだ、この店」


姫子「秋山さんらしい店かな」


澪「そうかな?」


姫子「うん、何となくだけどさ」


ウェイトレス「お待たせしました」


姫子「ありがとうございます」


澪「カフェオーレ好きなの?」


姫子「うん、好きだよ秋山さんはアップルティーなんだ」


澪「うん、美味しいんだ」


姫子「ところで、何で今日は誘ってくれたの?」


澪「う、うん実はさ…」


姫子「秋山さんって私の事苦手でしょ?」


澪「えっ…」


姫子「見てたらわかるよ」くすっ


澪「ごめん…」


姫子「苦手な筈なのに何で誘ってくれたの?」


澪「う、うん…仲良くなりたかったんだ」

姫子「私と?」


澪「うん、立花さんは私に無い物を沢山持っているから」


澪「苦手な気持ちもあったけど、それ以上に立花さんは魅力的だから…だから仲良くなりたかったんだ」


姫子「そんな大したもんじゃないよ私なんかさ」


澪「律も唯もムギも立花さんは良い子だって言ってた」


姫子「軽音部が?照れるって」


澪「立花さんは私の事どう思う?」


姫子「好きだよ歌も上手いし、勉強も出来るからね」


澪「ありがとう///」

姫子「正直、私の事が苦手なんだろうなと気付いた時は悲しかったかな…」


澪「ごめん…」


姫子「いいよ、私からも積極的に話しかける事なかったしさ」


澪「これからは仲良くしたい」


姫子「うん、宜しくね」


澪「ありがとう立花さん」


姫子「うん、こちらこそ」




澪「じゃあ、明日また学校で」


姫子「うん、バイバイ」


澪(私、何やってんだろ…)


澪「仲良くなりたかったんじゃなかったのか…」


唯「みんな、澪ちゃんが帰って来たよ!」


律「澪、どうだった?」


梓「仲良くなれましたか?」


澪「み、みんな…私私」


澪「うわぁん」ガバッ


律「ど、どうしたんだよ?」


唯「喧嘩しちゃったの?澪ちゃん」


梓「と、取り敢えず落ち着きましょう」

紬「落ち着いた?何があったの?澪ちゃん」


澪「うん、実は…」


律「そっか…また明日があるって!」


梓「くよくよしたって仕方ないですよ」

唯「そうだよ!」


紬「澪ちゃん、私は今からでも引き返した方が良いと思うの」


澪「ムギ…」


紬「明日じゃ駄目よ!今やらないと距離が縮まらないの」


澪「ムギ…私!行って来る」


紬「頑張って澪ちゃん!」


澪「うん!」




姫子「私、何やってんだろな…」


姫子「せっかくの仲良くなるチャンスだったのに」


澪「おーい!」


姫子「秋山さん?どうしたの?」


澪「はあはあ…今日から!いや、今から姫子って呼ぶから!」

姫子「…」


澪「姫子も私の事を澪って呼ぶんだぞ!」


姫子「…」


澪「い、嫌かな…」

姫子「ううん、嬉しい…私も澪って呼ぶね」


姫子「ありがとう澪」


澪「うん!」


澪「姫子」


姫子「澪」


澪「…」


姫子「…」


澪「ぷっ…」


姫子「ぷっ…」


澪&姫子「あっはははは」


姫子「これじゃ、まるで恋人同士じゃん///」


澪「あはは本当だ///」


姫子「じゃあ、帰ろう澪」


澪「姫子の家は逆なんじゃなかったのか?」


姫子「少しでも澪と一緒に居たいの」


姫子「それじゃ駄目かな?」


澪「だから恋人同士みたいだって///」


姫子「うーん、それも良いかも?」


澪「姫子、からかうなよ///」


姫子「あはは、澪って可愛い~」


澪「///」


姫子「行こう澪」ギュッ


澪「姫子、手…」


姫子「友達同士は手を繋ぐもんだよ!唯が言ってた」


澪「唯の奴///」


姫子「澪が迷惑なら辞めるけど?」


澪「迷惑なんかじゃ…ないよ///」


姫子「うん、じゃあ行こう澪」ギュッ


澪「うん、行こう姫子」ギュッ



 おしまい



最終更新:2013年08月17日 21:29