酔っ払いって、何でこんなに面倒くさいんだろ?
りっちゃんとっても不思議です。
普段はあんなに真面目な梓でさえ、酔っ払うと面倒な性格になるんですね。

梓「はい。私、クロールします」

うん。ここは海でもプールでも川でもないよね。
真面目な顔してどうしてそんな事言っちゃうのかな?
ギャグのつもりなら、是非ともやめてほしいな。

憂「梓ちゃん。頑張って」

何を頑張るのかな?
何で応援しちゃうかな?
しっかり者の憂ちゃんだけが頼りだったのに、りっちゃん悲しいな。

澪「…」グビグビ

お前は何か喋れよ。ひたすら無表情で飲んでんじゃねぇよ。
いや、それ以上酒飲むなよ。

紬「りっちゃんぎゅ~っ!」

ムギは酔っ払うと引っ付き魔になるのか。そうかそうか。
まだかわいい方だ。
ただ、私のコンプレックスが刺激されて虚しくなるから、あんまりくっ付かないで欲しい。
くそぅ…柔らかい…。

唯「世界一ご~はん~憂が作ったごは~ん♪」

典型的な酔っ払いだけど、唯が一番無害か。良かった良かった。
こうなった原因が唯じゃなかったらもっと良かったんだけど…。

唯「んもー!コーラスが入ってないよ、りっちゃん!もう一回最初からね!」プンプン

訂正しよう。お前も割と面倒くさい。


ああ、どうしてこうなったんだっけ?
唯のせいだった気がするな。
唯がジュースのお代わりで、うっかりお酒ついじゃいました☆のお陰でこうなったんだよね。
普通ちょっと飲んだら分かるよね。
素面だった憂ちゃんも「お姉ちゃん…。私もすぐそっちに行くから心配しないで…」なんて、後追い自殺みたいなセリフ吐いてこうなったんだよね。あはは。


    誰か助けて!


澪「…」じーっ

紬「うふふ。りっちゃんかわいい」

澪「…」じーっ

律「み、澪さん?見てないでたす…」

澪「律、こっち」

ぐいっ

お、澪は無口になるだけで割とまともか?
いやー助かったぁ。

澪「私の」ぎゅっ

澪ちゃーん?
私りっちゃんだよー?うさちゃんでもクマちゃんでもないよー?あれぇー?

澪「…」グビグビ

律「だから飲むなっつーに!」

澪「…。怒った…」

わー。嫌な予感。

澪「律、怒った…」

澪「律が…」

律「あー!怒ってない怒ってない。大丈夫だから」

澪「怒ってた…」

律「怒ってないって」

澪「本当?」

律「うんうん」

澪「よし」グビグビ

律「うぉい!」

紬「りっちゃん。私の方があったかいよ」

澪「私の」

紬「…」

澪「…」

バチバチバチ

律「助けて!」

憂「あははは。梓ちゃんがクロールしてる。あははははは」

梓「よいしょよいしょ」

唯「いつも君の側にいるよ~だからもう1人じゃない♪」

憂「あはははは。お姉ちゃん、うた、あははははは。歌うまいよ~」

わー…。憂ちゃん笑い上戸なんだー。へー。
今私の側にいるのは唯じゃなくて、澪とムギだし。確かに1人じゃないけど誰も助けてくれてねーし。

紬「ねぇ、りっちゃん」

律「わかったって。今行くよ」

紬「やったぁ!」ぎゅっ

澪「む…」

律「もう澪は抱きついたろ?」

澪「やだ」

律「やだじゃなくて…」

紬「無理強いは駄目だと思うの~」

澪「…」ジロッ

紬「…」ニコッ

律「もうやだ…」

何だこれ?私のHPがサイズ的な意味でも、精神的な意味でも順調に削られていくぞ。

梓「…飽きた」

そりゃ飽きるよ!むしろ何で今まで陸上でクロールしてたのか不思議だよ!

憂「ふふふふっ。飽きただって!梓ちゃん面白すぎるよ~」

憂ちゃん…。日頃からストレス溜まってるのかな…。

唯「も~りっちゃんドラムはしってるよ~」

ドラム叩いてないし。私が今叩きたいのはお前らだ。

梓「…」

何だ?梓寝るのか?是非とも寝てくれ。これ以上かわいい後輩の変な姿は見たくない。

梓「練習しましゅう!」

噛んでるぞー。あと練習もしないぞー。

梓「練習しましょう」

言い直さんでいい。
誰かまともな奴はいないのか…。
…ん?まともな奴…?

唯「じゃあ、泳げたい焼きくんからね」

澪「…律」ぎゅむっ

律「何だよその選曲は!澪もさり気なくひっつくな!」

紬「ほら、りっちゃんは私が今くっついてるから『澪ちゃんは』離れた方がいいんじゃないかな?」

澪「…」ピキッ

紬「ふふ」ゴゴゴゴ

うん。分かった。こいつらには今後酒を飲ませちゃ駄目だ。
っと、それよりもだ。
そうだよ!もうすぐ我らが生徒会長、真鍋和となんだかんだ面倒見のいい鈴木純ちゃんが来て来れるはず!
私とした事が忘れてたぜ………………





和「それにしても、こうして2人で話すのも久しぶりじゃない?」

純「そうですねー。いつ以来でしたっけ?」

和「確か…。憂と純ちゃんに受験勉強を教えてる時以来ね」

純「いやぁ~。あの時はお世話になりました」

和「あら?勉強ならまたいつでも教えてあげるわよ?」

純「そ、それは~…」

和「ふふ。たまには、あてにして頂戴」

純「頑張ります…」

和「それにしても、随分盛り上がってるみたいね」

純「軽音部は仲いいですからね…っと」

ピンポーン

和「…」

純「ん?」

ピンポーン

和「聞こえないのかしら?」

純「え~?!そんな~」

和「鍵は…開いてるみたいね。憂らしくない…」

純「入っちゃいましょうか?」

和「この際仕方ないわ」

ガチャッ

純「あ…」

梓「う?」

純「ちょ…ちょっと!どうしたの梓?フラフラしてるよ?!」

梓「おそいよ純!もう純の分のクロールないからね!」

純「え?くろ…?」

梓「ほら!早く!」

純「和さん…」

和「ええ…」

純「なんか…嫌な予感がするんですけど…」

和「そうね。じゃあ、私生徒会に…」

純「和さん?」

和「…………冗談よ」

純「…」

和「…」

純「お邪魔しょうか…」

和「そうね…。気が重いわ。お邪魔します」

純「お邪魔しま~す」

律「和ぁ!鈴木さん!助けて!」

紬「りっちゃん抱くのクセになりそう…」うっとり

澪「…律、私の…」ぎゅっ

梓「ほら!純も!クロールして!私はバタフライだからね」

憂「純ちゃんと和ちゃん…ぷっ…あは、あははははははは」

唯「馬なみなのね~あなたとっても~♪」

和「そう言えば、私生徒会が…」

純「家に忘れものが…」

律「待て」

唯「あ~!和ちゃ~ん」だきっ

和「わかったから、ちょっと離れて」

憂「お姉ちゃんずる~い」だきっ

和「あんた達…。お酒の匂い?!」

純「和さん。そして律先輩…」クルッ

純「グットラック!」ぐっ

和「純ちゃん?」がしっ

純「やだなぁ。冗談ですよ冗談」

律「冗談に見えないぞー」

澪「律…こっち向け」クイッ

律「いで!」ぐきっ

澪「…する」

律「待て待て待て!顔!顔ちかっ…」

紬「りっちゃん」クイッ

律「あだっ!」ぐきっ

律「ムギも近い近い!」

澪「…ムギ」ピキピキ

紬「なぁに?澪ちゃん?」にっこり

和「ムギも澪も離れなさい。あと、唯と憂も」

唯「ぶー」

憂「え~…」

澪「ちっ…」

ムギ「ふふふ」

律「助かったぁ~」

純「梓もだよ」

梓「泳がないの?」

純「ここじゃ泳げないよ!?」

梓「じゃあ、クロール教えてあげるね」

純「……はいはい。梓も寝よっか」

和「私、布団出してくるわ」

純「お願いします」

律「…」

そう、私はこの時、魔が差したのだ。
やっと酔っ払いから解放される…!
そんな魔が差してしまった…。

律「私帰る!」

私は一直線に駆け出した。今まで酔っ払い(主に澪とムギ)に絡まれ、思考がちょーっとあれだったんだよね。
悪気はないんだよ?
でもさ、この流れだと絶対にまた絡まれるじゃん?

逃げるが勝ちなんだよ!
澪「だめ」

律「どぉう!」

ビターン!

くそぉ…この酔っ払いめ!いきなり足を掴む奴があるか!

紬「りっちゃん一緒に寝ましょう?」

澪「律…」

こいつらめんどくせぇ!

和「へえ…」

純「律先輩…」

律「違う!今のはギャグだ!冗談だよ。あは、あは…は…」

和「布団用意したわよ。 3 人 で寝れるように」

純「さー。梓行こっか」

梓「たい焼きくんはクロールで泳ぐのかな?」

純「さ、さあ…?」

和「憂と唯も行きましょう。立てる?」

唯「和ちゃんも歌ってよ~」

憂「和ちゃんも一緒に寝ようよ~」

和「はいはい。わかったから」

律「私も…」

紬「りっちゃんはこっちよ」

澪「一緒」

がしっ

律「」




この夜、2人がかりで色んな…まあ…その…あれな感じの事を色々……。
とにかく私は思った。

お酒、ダメ絶対!



END



最終更新:2013年09月05日 22:36