Transport is the lifeblood od the city.  ―交通は都市の原動力である―
ロンドン交通博物館入口の言葉



律「んーっ、大体これで行くところは決まったかな」

梓「そうですね」

澪「結構広範囲になったけど、大丈夫か?」

唯「タクシー使えばいいんじゃない?」

紬「そうねー」

梓「いわゆるブラック・キャブですね」



唯「ぶらっくきゃぶ?」

澪「ロンドンのタクシーは黒いからそう呼ばれてるんだよ」

律「ニューヨークのはイエローキャブだっけ?」

梓「うーん、タクシーはちょっと割高ですねぇ」

律「誰か答えてよ!」

澪「5人居るんだし割り勘にすればそんなに掛からないんじゃないかな」

紬「確かブラック・キャブは5人乗れた筈よ」

澪「車椅子にも対応してるんだっけ」

梓「ブラック・キャブは法令で車椅子対応が決められているそうです」

梓「逆に地下鉄駅は車椅子に対応している駅とそうでない駅があります」

梓「話は戻りますが、毎回割り勘というのもちょっと大変かなって」

唯「じゃあバスだねー」

梓「はい、それと地下鉄です」

律「地下鉄ねえ、安全なの?」

澪「ニューヨーク地下鉄は危険って聞いたことある」

梓「調べたんですけど治安は特に悪くないようです」

唯「どんな感じなのかな?」

梓「写真ありますよ」





唯「おぉ!かまぼこの形してる!」

律「なんか形ちょっと違うぞ」

梓「はい、これはトンネルの形状が原因です」

紬「どういうことなの?」

梓「えーっと、まずロンドン地下鉄は世界で最初に作られた地下鉄で」

唯律澪紬「へぇー!」

梓「はい、最初はなんと、蒸気機関車で客車を引っ張っていたんです」

唯「煙だらけになっちゃうよー」

梓「最初は地下鉄と言っても地面に深い溝を掘って所々蓋をしている、という感じだったそうです」

梓「それでもやっぱり煙だらけだったそうですけど」

律「そんな時代じゃなくてよかったー」

梓「そうですね、煤だらけになっちゃいます」

梓「それから少しして電気機関車と客車、そして電車になったそうです」

澪「電気機関車と客車って?」

梓「電気で動く車両が無動力の車両を引っ張る、という形式です」

梓「ちなみに電車はモーターが1編成の中で分散してるものを言います」

律「訳わからん」

梓「そんなに重要なことなのでわからなくても大丈夫です」

律「梓に馬鹿にされたー」

唯「大丈夫だよりっちゃん、私もわからない!」

梓「続けますね。しばらくして蒸気機関車が全廃されると煙の心配がなくなったので完全に地中に線路が敷かれるようになります」

梓「そのトンネルの工事費を節約するために出来るだけトンネルを小さくした結果かまぼこ型の電車になりました」

梓「したがって初期の路線の車両の背は高い目で、それ以外は背の低い、かまぼこのような形の電車を使用しています」

梓「ちなみに今のかまぼこ型の電車のベースになったのは1938型電車あたりです」



紬「ずいぶん丸い電車ね」

梓「最近のはかまぼこ型ですが断面が切り立ってますからね」

梓「左側に白と赤の丸が5つありますがこれはヘッドライトでこの光る点の数、位置で行き先を表示していたそうです」

澪「点字みたいだな」

梓「覚えるの大変そうですけどね…」

梓「それじゃ路線図と行き先 ※PDF を照らし合わせましょうか」

唯「こんな中から駅探し出せないよー」

梓「慣れれば大丈夫ですよ、頑張りましょう」

唯「あずにゃんにそう言われちゃ頑張らなきゃ」

律「私もあずにゃんに言われたから頑張るかー」

梓「いい加減あずにゃんはやめてください」

律「んー?嫌かー、あーずにゃん♪」

梓「うるさい!律」ゴス

律「イテテ…悪かったって」

梓「えっと、ホテルアイビスはWestBrompton駅だから…」

唯「ねえあずにゃん」

梓「はい」

唯「その急に、えっと…」

律「ネイティヴ?」

唯「そう、ネイティヴになるの変!」

梓「…、そうですね。分かりました。」

梓「ホテルの最寄駅はウエストブロンプトン駅でこれはディストリクト線だったはずです」

律「ディストリクト線ってどれだ?」

澪「緑のラインだよ」

紬「どこかしら…」

梓「アールズコートから乗り換えだから…」

澪「あった、これだ」

梓「ありがとうございます。マーカー打っとかないと…」

梓「これは…ウィンブルドン支線ですね」

律「アールズコートからなんでこんなに線路出てるんだよ…」

梓「ウィンブルドン支線、リッチモンド支線、エッジウェアロード支線、ケンジントン支線。四つも支線がありますからね」

律「なんで地下鉄がこんなに分かれてるんだよー」

梓「サークル線なんか殆ど他の路線と重複してますし…よくわかりませんね」

唯「んー…」

梓「唯先輩、どうしたんですか?」

唯「えっとね、気になってたんだけどなんで線路が4本あるのかなって」

律「車輪が4つついてるのか?」

梓「これは世界でもここだけのもので車輪の乗るレールは普通と同じで2本なんですけど残りの2本のレールは電気を流すためのレールなんです」

澪「どういうことだ?」

梓「普通よく見るパンタグラフは直流でも交流でもパンタグラフからとって、レールに電気を流しているのですがこれは片方の送電用レールに+の電気を、もう片方に-の電気を流しているんです」

梓「普通パンタグラフで電気を取らない場合送電用レールは一本で捨てる電気はパンタグラフの場合と同様に車輪から走行用レールに捨てています」

律「さっぱりわからん」

唯「片方に+、片方に-を流してるんだね」

梓「はい。変わってますね」

律「ところでバスも乗ってみたいと思うんだけど」

梓「私もです。ロンドンと言えば2階建てバスですからね」





澪「私が想像する2階建てバスと言えば下の方だな」

紬「私もー、でも古そうねえ」

梓「はい、こっちはルートマスターと言って後乗後降の旧型タイプです」

律「もしかして車掌さん乗ってたり?」

梓「そうです、今でも車掌さんが乗っていて切符も発行してもらえます」

梓「今はトラファルガー広場から出る9系統と15系統でしか走ってないのですがもうすぐ新型ルートマスターも導入されるようです(2012年に導入されました)」

梓「上のバスは今のロンドンで一般的な2階建てバスでこれは基本的に後乗前降です」

唯「ルートマスターとどう違うの?」

梓「あえて言うならば走行中に乗ったり降りたりができるかできないか、です」

梓「ルートマスターは後ろの昇降口にドアがなくて途中で乗り降りが一応出来るのですが現在の一般的な2階建てバスは自動ドアがついていて出来ません」




唯「なんか走ってる途中でピョンッて降りたらカッコイイね!」

梓「絶対にしないでくださいね」

唯「はーい」

律「そういえば料金って毎回現金で払わなきゃダメなの?」

梓「いえ、オイスターカードというICカードがあります」

律「何がオイスターなんだ…?」

梓「私も調べたのですがよくわかりません…」

梓「特に珍しい機能は無いので詳細は省きますが券売機で買えて券売機でチャージできます」

唯「なんか買える自信無い…」

梓「券売機は日本語対応してるから大丈夫ですよ」

唯「それなら安心だね!」

梓「でも入国するときに英語必要ですよ」

唯「うわぁぁーそれがあったー」

律「まあなんとかなるんじゃない」

梓「一日に何人も入国出来てるわけですし」

唯「んー、不安だけど楽しみ!」

律「早く行きたいなあ」

梓「ですね」

澪「待てないなあ」

紬「澪ちゃんが提案したものね」

梓「それじゃ皆さん路線図よく見ておいてくださいね!」

終わり

※写真は全て筆者撮影のものです




最終更新:2013年10月10日 07:44