ーー寮ーー
澪「梓大丈夫だったか?」
紬「転んで怪我したって聞いてるけど」
唯「うん、大丈夫だったよ りっちゃんが今面倒見てるんじゃないかな」
澪「律が? 明日授業あるはずなんだけど……」
唯「休むんじゃない? 今はお互い離れたくないよー、ってね」
澪紬「?」
ーー病院ーー
梓「ねぇ、律先輩」
律「なんだ?」
梓「私が高校卒業したら二人で暮らしましょうよ」
律「二人で?」
梓「はい、二人で」
律「いいな、それ」
梓「じゃあ約束ですよ?」
律「あぁ、約束な」
ーー11月11日 中野家ーー
梓「今日は何の日か知ってますか?」
律「ポッキーの日だろ?」
梓「そうです、だからポッキー買ってきたんです」
律「えー、私も買ってきたのに」ドッサリ
梓「ちょ、買いすぎですよ」
律「ポッキーゲームしようと思っry いや、美味いから」
梓「今ポッキーゲームって言いましたよね?」
律「い、言ってないよ!」
梓「はぁ……またそうやって可愛いこと言うんですね」
律「かわいくねーし」
梓「律先輩、今日はあともう1つ記念があるんですよ?」
律「え、えー? なんだっけー?(棒読み)」
梓「もう、そういうのはいいですから素直に祝ってくださいよー」
律「おめでとっ プレゼントはないけどな!」
梓「えー、ないんですか?」
律「プレゼントは私だっ」
梓「お約束ですね」
律「ほら、ポッキーあげるよ」
梓「ありがたくいただきます」
ーー平沢家ーー
唯「今日はあずにゃんの誕生日かー」
唯「なにあげようかなー」
憂「……お姉ちゃん、もう余計なことするのやめなよ」
唯「嫌がらせするほど性格ひねくれてないよ」
唯「さ、あずにゃんへのプレゼントも決まったし、今から準備しよーっと」
憂「……」
ーー中野家ーー
律「ん? 郵便だ。 梓宛て……」
律「梓ー、勉強中悪いんだけど……」
梓「なんですか?」
律「郵便だぞ」
梓「あぁ、ありがとうございます」
梓「ってこれ誰からだろ?」
律「名前書いてないのか?」
梓「はい、まぁとりあえず開けます」
【あずにゃんへ
誕生日おめでとう 元気になって良かったね
去年みたいな楽しい誕生日だったら良かったのにね?
まぁそんなことはどうでもいいや
私からの誕生日プレゼント 受け取ってくれるよね?
誕生日プレゼントは、りっちゃんだよ
大事にしてね
私にはもう大切にできないから
あげるよ
ごめんね
唯】
梓「ど、どういうこと? 律先輩ちょっと出掛けてきますね?」
律「え、あ、うん」
ーー屋上ーー
梓(家にもどこにもいない……この屋上にいつもいたのに……どこにいるんだろう?)
梓(それにしてもなんだったんだろう、あの意味深な手紙……)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
唯「わっ」
梓「!」ビクッ
唯「なにしてるの?」
梓「そ、それはこっちの台詞です! なんですかあの手紙」
唯「あ、読んでくれたんだ?」
梓「読みましたよ……どういう風の吹き回しですか?」
唯「そのままの意味だよ?」
梓「そういうことじゃなくて」
唯「……もうね、疲れちゃったんだよ」
梓「え?」
唯「いや、私が全部悪いんだけどさ。」
梓「ま、待ってください、とりあえず内側に来てもらえますか?」
唯「……あずにゃんは賢いから私がなにしようとしてるかわかるよね?」
唯「ねぇ、あずにゃん お腹のソレ、ごめんね……痛かったよね?」
梓「そ、そんなことないです……だから……」
唯「……りっちゃんと仲良くしてね、私が傷つけた分も幸せにしてあげて」
唯「あずにゃんなら、できるから」
梓「待ってください! 唯先輩……!」
唯「……」
唯「ありがとう、あずにゃん」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
梓「唯先輩!」
梓「……って……夢?」
唯「泣きながら寝てるひと初めて見た」
梓「ゆ、唯先輩……? 本当に唯先輩ですか?」
唯「何言ってるの? 寝ぼけてるの?」
梓「……この手紙」
唯「あぁ、そのままの意味だよ うん」
梓「ここから飛び降りたり……しないですよね?」
唯「してほしい?」
梓「してほしくないです! もう……いきなり変な手紙来るから心配したじゃないですか!」
唯「へぇー、心配してくれたんだ?」
唯「あずにゃんに怪我させた人なのに?」
梓「それとこれとは話が別です。 それじゃあ私帰ります」
唯「ちぇー、もうちょっと盛り上がると思ったのに」
梓「こんな盛り上がりかた嫌ですよ」
唯「……今日はやけに相手してくれるんだね?」
唯「もしかして許してくれるの?」
梓「勘違いしないでください、唯先輩のしたことは許しません」
梓「でもずっとぎくしゃくするのはお互い疲れるじゃないですか」
唯「なるほど、まぁりっちゃんのことはもう諦めるから」
梓「……裏とかあるんじゃないでしょうね?」
唯「ないない、私ももう疲れちゃった」
梓「じゃあこれあげます」
唯「ポッキー? 私とポッキーゲームしたいの?」
梓「違います、律先輩がいっぱい買ってきたんでおすそわけです」
唯「優しいね、まぁありがたくいただきます」
梓「じゃあ帰りますね」
唯「うん、またねー」
ーー翌日ーー
律「梓、おはよう」
梓「おはようございます、今日は早いんですね?」
律「あぁ、今日はちょっとな」
梓「帰りは遅くなるんですか?」
律「ちょっとだけ遅くなるかも」
梓「……そうですか」
律「ごめんな、梓は今日休みなのか?」
梓「いえ、でもちょっと体調が……」
律「悪いのか? 大丈夫か?」
梓「はい、そんな心配するほどじゃないです」
律「そうか……? なにかあったら電話してくれよ?」
梓「はい、わかりました」
律「じゃあ行ってくる」
梓「行ってらっしゃいです」
梓(ちょっとソファーで横になっとこう……)
ーー3時間後ーー
梓(この感じって……)ゴホッ……
ベチャッ…
梓(あぁ……またか……)
ーーーーーーーーーーーーーー
ーー大学ーー
律「あ、梓からメール……」
律(ん? なにも書いてない……)
澪「おーい律、次試験だろ? 早めに行くんだぞ」
律「……」
律「帰る」
澪「え、この試験受けないと留年……って行っちゃった……」
唯「……」
ーー中野家ーー
律「梓! うわっ、なんだよこの血……」
律「あ、梓……? おい、梓……?」ユサユサ
律「ど、どうしよ……とりあえず救急車か! えっと……えっと……」
唯「りっちゃん、揺すっちゃだめだよ」
律「ゆ、唯……?」
唯「救急車は最短2、30分かかるよ」
律「そ、そんなに?」
唯「それだけも待ってられない状況だよね、近くの病院なら車で10分くらいで行けるよね?」
律「車って……ないじゃないか」
唯「実はあるんだよね、私の車だけど使う?」
唯「まぁリスクはかなりあるけどね」
律「……」
唯「下手に動かしたら……ねぇ?」
律「……それにかけるしかないじゃないか……!」
唯「まぁ、そうだよね。 じゃあ手伝って」
ーー12月25日 病院ーー
律「……梓ー?」
律「もうクリスマスなんだぜ」
律「……全く、よく寝る子だな」
律「そんなに寝てももう身長伸びないぞ? …………なんて。」
唯「……」
律「あ、唯……」
唯「あずにゃん起きないね」
律「……」
唯「起きないとりっちゃん取っちゃうぞ……ってね」
律「……はぁ」
唯「ため息なんてりっちゃんらしくないなぁ」
唯「って……泣いてるの?」
律「な、泣いてなんか……」
唯「はぁ……」ガタッ
律「……?」
唯「あずにゃん、私さ、りっちゃんのこと大事にしてって言ったよね?」
唯「ちゃんと大事にしなきゃ本当に取っちゃうよ?」ガシッ
律「お、おいやめろよ!」
梓「…………っ」
律「あ、梓……?」
唯「良かった、やっと起きてくれたね、あずにゃん」パッ
ーー1月10日ーー
唯「いやー、あんなのでほんとに起きるとはあずにゃんも単純だねー」
梓「もう……いい加減にしてくださいよ」
唯「しかし吐血の原因が転んだときにナイフが奥まで刺さってたことが原因だったなんてねー」
唯「びっくりさせないでよ」
梓「それはこっちの台詞です」
ガララッ
律「梓ー」
梓「律先輩ー」
唯「ねぇねぇりっちゃん聞いてよー」
律「なんだ?」
唯「あずにゃんがさっき律先輩のことry むぐっ」
梓「な、何言ってるんですか? あはは」
律「……?」
梓「な、なんでもないですよ!」
唯「ぷはっ、律先輩大好きですって独り言言ってたよ!」
律「な、なんだって!?」
梓「い、言ってませんよ!」
唯「ツンデレですなー」ツンツン
梓「やめてくださいよっ」
律「聞かせて聞かせて」
唯「私ももう一回聞きたいー」
梓「い、嫌ですよ」
律「一回だけ!」
梓「わ、わかりましたよ……」
律「……」
唯「……」
梓「……律先輩……」
律「うん」
梓「……唯先輩」
唯「……ん?」
梓「……いえ。」
ーーーーーーーーみんな大好きですーーー……。
おわり
最終更新:2012年10月16日 20:39