律にジーンズをプレゼントしようと思ったのはつい最近の事だ。
律はジーンズにこだわりが強く。
私もよく買い物に付き合わされた。
その度に、澪はジーンズ似合うと思うよ。シルエットも綺麗だしさ。とよく誉められた。
ジーンズを履く事は結構あるが、シルエットとかそんなのを気にして履いてなかったから、それを言われる度に照れくさかった。
澪「さてやるぞ!」
私の目の前にあるジーンズ、カッターナイフと紙ヤスリを見て意気込む。
この世で一つしかないジーンズ作りの始まりだ。
まずは、ジーンズの膝の部分にカッターナイフで縦糸に切り込みを入れる。
流石は元作業着。
日本では作業着として使われていない分、生地も薄くなってると思うけどそれでもデニムは切りにくく中々疲れる作業だ。
あまり、切りすぎてダメにするのも勿体無いので少しずつ少しずつ切っていくと横糸が見えてきた。
丁度、人差し指ぐらいの大きさに切り終え、青いクズを手でかき集めてゴミ箱に捨てる。
紙ヤスリで切った部分を綺麗にし、これで膝のクラッシュは終了だ。
まだやることはあるが、喉が乾いたので休憩を挟む。
そもそも、私が律に世界に一つしかないジーンズをプレゼントしようと思ったきっかけはもうすぐ律の誕生日だからなのは勿論、私が作ったジーンズを律に気に入って貰いたい。
そんな気持ちがあり今こうしてダメージジーンズを作っている。
このジーンズを履き続けて色落ちやダメージがつきいい感じになった所で律に渡す事も計画していた。
だけど、早く律に渡したいと言う気持ちが上回った。
澪「よし!」
次はポケットの縁と裾をカッターで切ろう。
ガリガリガリ。
そんな音が部屋を包む。
気付くと二時間建っていた。
ポケットの縁や裾は生地が厚く刃も思うように通らない。
それでも、何とか頑張るといいヴィンテージ調になりカッコ良く仕上がった。
後は全体的に新しく買ったジーンズっぽさがあるのでゴツゴツした石を持って、やり過ぎないよう。
丁寧に少しずつダメージをつけていく。
澪「おぉ!」
これはかっこいい。
きっと律も喜んでくれるだろう。
澪「あっ」
忘れてた。
最後に白色のペンキでヴィンテージっぽくカッコ良く。
筆をペンキをちょんとつけて、上から適当に振る。
ピッ。
ピッ。
ピッ。
澪「あぁっ!」
しまった。
この事を考えて、ジーンズの下に新聞紙を敷いていたが、勢いがありすぎて床にペンキがついてしまった。
急いで拭き取る。
澪「ふぅ」
トラブルはあったが、これで完成だ。
時間は四時間建っていた。
次の日。
澪「り、律!ほらこれ!」
律「まってましたー!澪の誕生日プレゼント!」
澪「律が好きなジーンズだぞ」
律「おぉっ!かっこいい!いくらしたんだ?」
澪「998円」
律「ええっ!やっす!」
澪「でもほら!ここの膝とかペンキとか私がやった!」
律「このジーンズは澪が作ったってことか?」
澪「うん!かっこいいだろ?」
律「あーうん。かっこいい。すごくかっこいいんだけどー澪?」
澪「ど、どうした?」
律「これ自分のサイズで買っただろ?」
澪「うん!あぁっ!」
律「私こんなに足長くないぞ!」
澪「ごめん律!」
律「でもまぁ大事にするよ。ありがとな澪」
おわり
最終更新:2013年10月10日 07:47