澪「……何、それ」

唯「澪ちゃん、胆練り知らないの!?」

澪「うん、知らない。聞いた事も無い」

律「私も知らないなー」

梓「私もです」

唯「ムギちゃんなら知ってるよね!?」

紬「ご、ごめんなさい…… 私も……」

唯「えぇー? しょーがないなー。じゃあ、私がみんなに教えてあげるよ」フフンス

澪「何だか若干イラッと来たな、今」チッ

梓「わかります」チッ

唯「“胆練り”っていうのはね、薩摩の島津さんが発明した、薩人マッシーンや妖怪首おいてけを
  作り出す為のエキサイティングなティータイムなの!」

律「薩摩? 澪、薩摩ってどこ? 中国?」

澪「お前…… 授業で習ったろ……」

梓「いや、場所の前にもっと突っ込むところがあると思うんですけど」

唯「薩摩っていうのはね、ほぼ外国で、人外魔境で、ものすごいド田舎なんだって。私もよく
  わかんないんだけど」

梓「怒られますよ。マジで」

紬「今で言う九州、鹿児島県の辺りよ」

律「何だ。やっぱド田舎じゃん」

梓「怒られますよ。マジで」

澪「で、具体的にはどういう風にエキサイティングなティータイムなんだよ」

唯「えっとねー、まず火縄銃を天井から吊るすでしょ。んで、火縄銃をクルクルねじってから
  導火線に火をつけて、手を離すの」

澪「……いつ発砲されるかわからない火縄銃がグルグル回る事になるな」

唯「そうそう。それを囲んで、みんなで楽しくティータイム!」

律「いや、死ぬから! 間違い無く誰かが死ぬから!」

梓「何ですか、その全自動ロシアンルーレット」

唯「薩摩の人達はそうやって精神を鍛えたんだよ。だからね、私達もステージ度胸を鍛える為にも、
  肝練りをしなきゃダメだと思うんだ」

律「何でそうなるんだよ!」

澪「やらないし、出来ないし、させない! 以上! はい、練習開始!」

唯「はぁー…… もし、澪ちゃんが小学校の校長先生だったら、子供達はかわいそうだよ。
  縛りつけるだけの息苦しい教育でさぁ……」

澪「微妙に嫌な言い方だな……」

梓「必ず死ぬティータイムを生徒にさせる校長の方が嫌ですけどね」

唯「んもー、私だって本物の火縄銃でやるほど馬鹿じゃないよ。ちょっと待ってて」ゴソゴソ

律「おお、なんか大がかりなものを出してきたぞ」

唯「じゃじゃーん! これでーす!」バッ

紬「バズーカ……?」

律「あー、これアレだろ。ドンキとかに売ってる、バズーカ型のパーティクラッカーだろ」

唯「ピンポーン! りっちゃん正解!」

梓「まあ、これなら安全でしょうし、ゲームとしては面白いかもしれませんね」

澪「えー…… そうかぁ……?」

唯「昨日の帰りに買ったんだよ。ヒモを引っ張っても少し経ってからポンってなるように、
  憂に改造してもらったの」

律「相変わらず憂ちゃんは万能だな」

紬「じゃ、じゃあ、ちょっとやってみる?」ワクワク

梓「実は結構やってみたいです」ワクワク

唯「あと火薬の量は十二倍にしてもらったよ」

澪「ダメー!! 絶対ダメだー!!」クワーッ

唯「大丈夫だよ、澪ちゃん。音が少し大きくなって、勢いが少し強くなるだけだから」

律「まあ、弾が出る訳じゃないしな。普通のクラッカーより、ちょっとビックリするくらいだよ」

澪「やだー!! やらない!! 絶対にやらなーい!!」ブンブンブンブン

唯「……ムギちゃん、りっちゃん」

紬「まあまあ、澪ちゃん。まあまあまあまあ」ガシッ

澪「や、やめろ! 離せー!」ジタバタ

律「大丈夫、大丈夫。危なくないように、ちょっと椅子に固定するだけだから」ビビー

澪「馬鹿律ー! 何だよ、そのガムテープはー!」ジタバタ

律「よし、澪専用特別席の完成だ」

梓「唯先輩、バズーカはこんな感じで吊るしてみましたけど」

唯「おおー、オッケーオッケー。さすが、あずにゃん」ナデナデ

梓「椅子に座ったら、ちょうど顔の高さですよ。我ながら完璧な仕事です」ククク

唯「じゃあ、お茶とお菓子を持って円柱になって座ろう!」

律(円柱……?)

紬(円柱……?)

梓「うわっ。隙間詰めて囲んだら、結構顔の前に来ますね」ビクビク

律「ホントだ。近っ」ビクッ

澪「怖いいいいい! はあああああ! 怖いいいいいいいい!」ガタガタ ガタガタ

和「ちょっと、何やってるの? 外まで声が響いてるわよ」ガラガラ

唯「あっ、和ちゃん」

和「何だか新しい光景ね。椅子に縛られた澪と天井から吊るされたバズーカって」

唯「和ちゃんもやってく? 肝練り」

和「唯ったら、まったくもう。薩摩藩士の真似事なんてしたら危ないわよ」

律「知ってるのかよ」

梓「さすが、和先輩」

紬「ねえ、和ちゃんもしましょう? 人がたくさんいた方が面白いし、バズーカとの距離も
  丁度良く広がるから」

和「うーん、ムギがそう言うのなら……」

唯「やったー! ささ、おいでおいで」

澪「和ー! とめろよー!」

姫子「おーい、唯いるー?」ガラガラ

唯「あれ? 姫子ちゃん、どしたの?」

姫子「いたいた。アンタ、机にケータイ忘れてたわよ。ほらっ」

唯「ありがとう!」

姫子「てゆーか、みんなでバズーカ囲んで何やってんの?」

律「みんなでお茶しながらバズーカでロシアンルーレットするんだよ。姫子もどうだ?」

姫子「アハハハ! 何それ、面白そう! やるやる! じゃあ私、唯の隣!」

澪「縛られてる私を見て、少しは不審に思えー!」

姫子「ホント、軽音部っていつも楽しそうだよねー」

梓「じゃあ、バズーカを回してヨリをかけまーす」クルクル

唯「私の右から、姫子ちゃん、りっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃん、あずにゃん、和ちゃんで
  七人だね。よーし、始めよう!」

梓「充分にヨリがかかったから、ヒモを引いて手を離しますよ。えいっ!」グイッ パッ

唯「あずにゃん、座って! 早く早く!」

姫子「おおー、結構回るねー」

律「これだけ勢いよく回ってたら、二、三人まとめて餌食になりそうだなw」

澪「いやああああああああ!! 誰かとめてええええええええ!!」ガッタン ガッタン

紬「あ、少しずつ勢いが弱まってきたわ」

梓「これ、どれくらいで発射されるんですかね?」

和「す、少しドキドキするわね。少しだけど」ドキドキ

唯「戦場(ステージ)で臆しない肝練りじゃ! よかお茶じゃ!」グビグビ

姫子「唯www テンションおかしいからwww」

律「逃げるなよー! 楽しいティータイムだぞー!」

澪「ごめんって!! ごめんってええええええええ!! もうやだああああああああ!!」ガゴッ ガゴッ

紬「澪ちゃん、謝らなくていいのよ!w 澪ちゃんは何も悪い事をしてないんだから!w」

梓「ムギ先輩がw ムギ先輩が地味に壊れてますw」

和「でも、そろそろ発射されてくれないと緊張感が無くなってくるわね」

唯「おかしいな。まだポンってならないのかな」

姫子「ヒモ引いてから結構経ってるし、回るのもゆっくりになってきてるねー」

律「ゆっくりになってきたっつーか、止まりそうだぞ、これ」

澪「いやあああああ!! とまったあああああ!! 私の前でとまったああああああああ!!」ビクビクッ

一同「……」シーン

唯「あ、あれ……?」

和「何も起こらないわね」

梓「ええええええ、まさかこんなグッダグダな……」

律「唯さーん?」ジトー

唯「ええ? あれ? もしかして失敗?」

紬「うーん、残念だけど……」

姫子「あー、おっかしかったw こんな笑ったの久しぶり。んじゃ私、バイトあるから」

和「私も生徒会行くね」

唯「あ、うん、バイバーイ」

澪「こらー! 終わったんなら早くほどけ! バズーカがこっち向いたままで怖いんだぞ!」ガタン ガタン

唯「あっ、ごめんごめん」ベリベリ

紬「私も手伝うわね」ベリベリ

澪「律ぅううう、これほどけたら覚悟しろよぉおおお……」ガルルル

律「わ、私、トイレに……」ダッ

梓「逃がしません」ガシッ

澪「律だけじゃないぞ! お前ら、みんな懲らしめt

ドォオオオン





おしまい