唯(今日はみんなでテニスコートで運動してきました)
唯(軽音部みんなと憂と和ちゃんを加えてみんなでわいわい)
唯(みんなあんまり上手くなかったけどとっても楽しかった)
唯(ボレーだけやけに得意だけど、サーブがてんで駄目な澪ちゃん)
唯(指示は出すけど、プレーはからっきしなりっちゃん)
唯(ほとんど空振りだけど、当たると相手を吹っ飛ばすムギちゃん)
唯(どんなボールにも追いつくけど、球がほとんどネットを超えないあずにゃん)
唯(普通に上手かった憂と、何故か青汁を持ってきた和ちゃん)
唯(また行きたいなぁ……あ、そろそろ今日使った体操服を洗濯カゴに入れないと憂に怒られちゃう)
唯(……あれ、これ)
唯(私の体操服じゃない)
唯(むむむ、どうしよう)
唯(誰かのの体操服……)
唯(私のより一回り大きい……)
唯(胸の大きな澪ちゃんかムギちゃんのかな……)
唯(……)
唯(くんくん)
唯(……)
唯(ムギちゃんの匂いがする……)
唯(ちょっと汗くさいけど、それとは別にムギちゃんの芳醇な薫りが)
唯(ムギちゃんってどうしてこんなにいい匂いがするんだろう……)
唯(くんくん)
唯(……どうしよう)
唯(なんか変な気分になってきちゃった)
ガラッ
唯(……っ)
憂「お姉ちゃーん。そろそろ体操服――」
唯「う、ういぃィィイイッッッ!!!」
憂「お、お姉ちゃん? 頭がおかしくなっちゃったの?」
唯(……!)
唯(そ、そうだ、狂ったふりをして上手く誤魔化せば……!)
唯「そ、そうだよ。お姉ちゃんはちょっと頭がおかしくなっちゃったから憂は早く避難して!」
憂「はぁ……お姉ちゃん。遊びは後にして、先に洗濯物を出して」
唯「せ、洗濯物??」
憂「ほら、そこにある体操服のことだよ」
唯「う、憂。これはね……」
憂「あれ、これ」
唯「うぅ……」
憂「紬さんのだ」
唯「え、あ……うん。間違って持って帰ってきちゃったみたい」
憂「そうなんだ?」
唯「でもどうしてムギちゃんのってわかったの」
憂「だって紬さんのにおいがするから」
唯(憂はいつの間にムギちゃんの匂いを覚えたんだろう……)
憂「紬さんに抱きしめられるととっても気持ちいいんだよ。いい匂いがして、暖かくて、柔らかくて」
唯(ムギちゃん! 私の妹に何をしてるのッッ……)
唯(そういえば最近憂とムギちゃんが妙に仲良しさんのような……ひょっとして……!)
唯「ねぇ憂。もしかしてだけど、ムギちゃんと付き合ってる?」
憂「私と紬さんが?」
唯「うん」
憂「心配しなくても大丈夫だよお姉ちゃん」
唯「そ、そう?」
唯(え、心配?)
憂「紬さんはねー。第三のお姉ちゃんみたいな感じなんだ」
唯「第三?」
憂「うん。和ちゃんが第二で、紬さんが第三。だから時々こうやって抱きしめてくれるんだ」
唯「えっと、第一はもちろん」
憂「澪さんだよ」
唯「え」
憂「間違えた。お姉ちゃんだった」
唯(最近憂が意地悪です……お母さん、お父さん)
憂「ふふ、お姉ちゃんが世界で一番お姉ちゃんだよ」ギュッ
唯「う、ういー」ギュッ
憂「でも、その体操服どうしよっか。洗っておいたほうがいいかな?」
唯「う~ん、洗わなくてもいいんじゃないかな。洗うと明日返してあげられなくなるし」
憂「そっかぁ。じゃあお姉ちゃん。ほどほどにね」
唯「え、え、ほどほど?」
憂「私は洗濯を片付けちゃうから」トトトト
唯(……)
唯(行っちゃった……)
唯(残されたのはムギちゃんの体操服と私だけ)
唯(……)
唯(……)
唯(くんくん……うん)
唯(ムギちゃん……優しいムギちゃん)
唯(やっぱりいい匂い)
唯(憂、ムギちゃんに抱きしめてもらったって言ってたな)
唯(……)
唯(ムギちゃんはどうして私のことを抱きしめてくれないんだろう)
唯(あずにゃんや憂のことは抱きしめるのに)
唯(私のことキライなのかな……)
唯(……ううん。ムギちゃんに限ってそんなことないよね)
唯(じゃあ私がかわいくないからかな?)
唯(……ムギちゃん……ちょっぴり寂しいよ)
唯(もっと傍にいて欲しいよ……)
唯(傍にいたいよ……)
唯(……)
唯(…)
………
……
…
唯(あ、寝ちゃったんだ)
唯(体操服は……ある)
唯(うん。学校に持って行こう)
唯(返したほうが……いいよね)
唯(うん……)
唯(……)
………
………
………
唯「おはよー、ムギちゃん」
紬「あ、唯ちゃん、おはよう」
唯「えへへー朝からムギちゃんに会えるなんてついてるよ」
紬「うふふ。そうね、私も朝から唯ちゃんに会えて嬉しいわ―」
紬「あ、そうだ。昨日のことだけど」
唯(……っ。体操服のことかな)
紬「お互い体操服を間違えて持って帰っちゃったよね」
唯(やっぱり……)
紬「それで今日持ってこようと思ってたんだけど、家に忘れちゃって。月曜日でもいいかしら?」
唯(え、それって……)
紬「もしかして困るのかしら? それなら……」
唯「う、ううん。そんなことないよ。私も忘れちゃったし」
紬「そう、よかったわ」
唯「うんうん。よかったよー」
紬「じゃあそろそろ行きましょうか」
唯「あ、ちょっと待って」
紬「……?」
唯「こうやって手を繋いでいこう」ギュッ
紬「唯ちゃん寒いの?」
唯「うん、ちょっとだけ」
紬「……唯ちゃん」
唯「なぁに?」
紬「寒かったら、梓ちゃんや和ちゃんに抱きつくみたいに、私にも抱きついて欲しいかな……なんて」
唯(ムギちゃん、それって……)
紬「あ、別に嫌だったら――」
唯「じゃあ、遠慮なく」ダキッ
紬「……ん♪」
おしまいっ!
最終更新:2013年10月25日 07:45