SIDE:BEEF
ギュアアアアアアン!
唯「ほっ! こんな感じかな」
晶「まあそんなとこだな」
唯「やったー晶ちゃんのおかげでこのフレーズ弾けるようになったー! ありがとー」
晶「楽譜読めないってお前今までどうやってギター弾いてきたんだよ」
唯「読めるようにはなったんだよ? でも実際に弾いてるの聞かないとピンとこないっていうか」
晶「ダメだろそれ……って何で私は敵に塩送るような事してんだ……」
唯「敵って?」
晶「学園祭でバンド対決するだろ! 何で忘れてるんだよ!」
唯「え? ……あっ! 忘れてないよ!」
晶「うそつけ」
唯「まあまあいいじゃんいいじゃん」
晶「よくねーよ」
唯「でも本当にありがとね。そだ、お礼もかねてこれから飲みに行かない?」
晶「おっ唯のおごりか。それなら……」
唯「えっワリカンだけど」
晶「お礼じゃなかったのかよ! 話の流れ的におごりだろ!?」
――――
晶「何だかんだで飲みに行くことになっちまった……」
唯「えへー♪」
晶「あんだよ」
唯「何でもないよ~」
晶「割り勘で何がお礼なんだよ」
唯「だって今厳しいんだもん」
晶「余計なもんばっかり買ってるからだろ」
唯「えーそんな事ないよ。あ、だからさー先に何か食べていかない?」
唯「その方が節約できるし」
晶「はあ?」
唯「ね?」
晶「そんなの大して変わらねーよ……あ」
唯「あ?」
晶「……」がさごそ
晶「いち、に、さん、よん枚……まぁ、食べた後で飲むのもいいかもな」
唯「……」フスッ
晶「おい今鼻で笑っただろ」
唯「笑ってないよ」フスッ
晶「こいつ……!」
晶「私はバンドで色々やってるから金がかかるの! しょうがないの! こないだはCDをプレスしたりだなー!」
唯「そうだねー何食べようか?」
晶「くっ……んーそうだな……あ、カレー」
唯「えー目の前のお店選んだだけじゃん」
晶「ちげーよカレーが食べたいんだよ」
唯「めんどくさいだけじゃないの?」
晶「そういうお前は何が食べたいんだよ」
唯「えっ? うーん……ううん……カ、カレー?」
晶「おい」
唯「じゃ、じゃあカレーにしよっか!」
唯「カレー久しぶりだなぁ」
唯「何カレーにしようか」
唯「うーん……カツカレーもいいけど……ハンバーグカレーもいいねえ」
唯「うおっカキフライカレー!? おいしそー」
唯「トッピング! そういうのもあったね」
唯「チョコカレー……はないか。半熟タマゴとか?」
唯「あーんどれにしよう~」
晶「いいからまず店に入れよ!」
晶「ったく……先入ってるからな」
唯「ああん待って」
晶「私はもう注文決まってるから」
唯「何にするの?」
晶「ビーフソースでビーフカツカレー」
唯「あっいいなー」
唯「カツも捨てがたいけどシーフード系もいい……」
唯「海の幸で行くかカツで行くか……」
晶「すいませんビーフカツカレー下さい」
唯「ああっ!? 私まだ決めてないよー!」
晶「選ぶの遅すぎ。待ってられるか」
唯「ええーじゃあえっと、カニクリームコロッケカレー下さい」
唯「……」
晶「……」
唯「うう……」
晶「……」
唯「間を取ってカニコロカレーにしたけどやっぱりカツがよかったかなあ……?」
唯「……ねえ晶ちゃん」
晶「やらねー」
唯「まだ何も言ってないよ!?」
晶「ほらカレー来たぞ」
唯「一切れ交換しよ?」
晶「いただきます」
唯「……いただきます」
晶「もぐもぐ……ん、まあまあだな」
唯「ん! カニクいームコおッケおいひい!」
唯「これにしてよかった~♪」
晶「何でもいいんじゃねーか」
唯「でもカツも一口欲しいなー?」
晶「だーめーだ」
唯「カニコロおいしいよー?」
晶「う……いやだめだ」
唯「ケチー」
晶「ケチじゃない。私がカツカレー食ってるのには意味があるの」
晶「カツカレーを食べてお前に勝つっていう大事な意味が」
唯「あっもしかして早食い勝負だった? しまった出遅れた~」
晶「ちげーよ! バンド対決の話だよ!!」
唯「あ! カツカレーで勝つカレーって事か!」
晶「そうだ。という訳でお前にカツはやらん」
唯「……」
晶「もぐもぐ」
唯「それじゃあ仕方ないか……」
晶「もぐもぐ」
唯「……カツ、カニ、かにくり、ころ……ハッ、ウィンナーカレーにしておけばよかった」
唯「……上手い事言ったね私……ウィンナー、ウィナー……フスッ」
唯「それなら交換出来たのに……ああメニューにウィンナーカレーないや。ソーセージカレーでも大丈夫かな……?」
晶「……」
晶「はぁー……わかったよ」
唯「え?」
晶「一切れだけだからな」
唯「くれるの!? やったぁ! あっでも私もカツカレー食べたら私が勝っちゃうかもよ?」
晶「一切れだけだから私の方がご利益があるの。そもそもカレーじゃなくて実力でお前に勝つからいいの」
唯「わぁい晶ちゃんありがとー♪ お礼にカニコロいっこあげる~」
晶「別にいらね――」
唯「いいからいいから」ベチャ
晶「……」
晶「じゃあ、もぐ」
晶「もぐもぐ……結構美味いな」
唯「でしょー?」
――――
唯「はー美味しかった」
晶「まあまあだな」
唯「晶ちゃん黙々と食べてたくせにー」
晶「……」
唯「カツカレーを食べてまで私達に勝ちたいとは……私に一切れもあげたくないほどに」
晶「ちゃんとあげただろ」
唯「これには何かある……ハッ!?」
唯「そういうことだったんだね晶ちゃん……」
晶「は?」
唯「学園祭のライブで私達に勝ったら晶ちゃんの好きな人に告白するんだね!?」
晶「はあっ!?」
唯「そうなると私達は恋敵になるのか……でも手は抜かないから!」
晶「ならねーよ! そもそも告白はまだしねえよ!」
唯「なーんだ。……ん? 『まだ』しないって事はその内また……?」
晶「ぐああぁ……!」
唯「頑張って晶ちゃん! 私応援してるから!」
晶「うるせーよ!」
晶「くっそぉ……何で私だけ好きな人ばらされて唯にまでいじられなきゃならないんだ……」
晶「私の事ばっかりでお前らそういう話全然しないし……きたねえ」
唯「まあまあ」
晶「よし決めた。今日は朝までお前の好きな人とか全部聞き出してやるから覚悟しとけよ」
唯「え」
晶「ついでに他の奴らのコイバナも聞き出してやる」
唯「ええっと……でも私そういうのあんまりなくて――」
晶「ちょっとあれば十分だ。今までのそういう話全部話してもらうからな」
唯「いやぁ、でもぉ……恥ずかしいよぉ///」
晶「ふざけんな散々人の話ほじくり返しといて。よーし飲み屋行くぞ」
唯「あ、私用事が……」
晶「さっきまでギター教えてやったよなぁ?」
唯「それは……はい」
晶「んで、お礼なのに割り勘でしたっけ? もっとちゃんとしたお礼が欲しいですねえ」
唯「いやあ、ええと、あっレポート書かなきゃ」
晶「お前はいつも溜め込んでるから一日くらいかわんねーよ。ほら行くぞ」
唯「うえあぁぁ……」
晶「腹も満たしたし今夜はたっぷり飲めそうですねえ唯さん?」
唯「……もうカツカレーはしばらく食べなくていいやもう」
晶「カレーのせいじゃなくてお前の失言だからな」
唯「はぁい……」
その後酔ってさらに勢いのついた晶に質問攻めされて唯はあんまり酔えなかったとさ。
おまけに酒の量まで勢いづいてしまい、酔い潰れた晶を介抱しながら寮まで帰る事になってしまった。
うなだれる晶に肩を貸しながら唯はお酒を飲む時にこの話題は出さないようにしようと朝日に誓うのだった。
SIDE:BEEF END
最終更新:2012年10月18日 21:44