夜23時頃。某市内繁華街映画館NYANVIX前。


梓「んあ〜、何回観ても面白いなぁ『まどマギ』」

梓「もう5回も観ちゃったよ。なんだかんだ毎週末にはレイトショー見に来ちゃってるな」

梓「さ、夜も遅いしもうすぐ終電だし早く帰ろう…」スタスタ


【水晶占い】


梓(おっ珍しいな…こんな人の少ないところで…)

梓「ん?」ピタリ

梓「あの見覚えのある眉毛は…」

紬「あ!梓ちゃ〜ん!こんばんわ〜」パァァァ

梓「…夜も遅くにこんなところで何してんですか、ムギ先輩」

紬「見ての通り、占い師してるの〜」

梓「…占い、できるんですか?」

紬「ふふ、占いは乙女の必須能力よ♪」

梓「(インチキくさい…)そ、そうですか…にしても人の通りが少ないところでやってるんですね」

紬「そうかしら?」

梓「はい、向こうの大通りのほうが人も多いですし、ときどき手相占いやってるのも見ますし…」

梓「こっちの商店街はお店が閉まっちゃうと人通りが一気に少なくなりますから」

梓「どうせなら、あっちでやったほうが…」

紬「梓ちゃん」キリリ

梓「は、はい…」ビクッ

紬「ここでやらなきゃ意味がないのよ」キッパリ

梓「何か、理由が…?(それも占い?)」

紬「私、『新京極の母』って呼ばれるのが夢だったの〜♪」

梓「はい。わかりました。じゃ、私はこれで」サイナラ

紬「ま、待って梓ちゃん!せっかくだしちょっとだけ占いしていかない!?占うわ!私占うから!」

梓「いえ、もう夜も遅いし、電車もなくなりますし。ムギ先輩もそろそろ帰らないとご家族が心配しますよ」

紬「ねえお願い!一生のお願い!」オガミオガミ

梓「律先輩みたいなこと言わないでくださいよ…」

紬「お願いします!」ドゲザー

梓「やめてください!後輩に土下座なんかしないで下さいッ!」

紬「一回でいいからっ!すぐに終わるからっ!」

梓「わかりました!わかりましたから土下座はやめてください!立ってください!」

紬「ありがとう梓ちゃん…私…もう…死んでもいいわ…」

梓「死なないでください」

紬「では10ゴールドいただきまーす♪」

梓「帰りますね」スクッ

紬「ゴメンなさい!一度言ってみたかっただけなの!タダでいい!タダでいいから!」

紬「はじめます」フンス!

紬「何を占ってほしい??何か悩み事とか…」

梓「悩みですか…そうですねぇ、部活の先輩たちがちっとも練習してくれないことが…」

紬「却下。もっと年頃っぽい悩みはないの?恋とか恋とか恋とか恋とか恋とか恋とか恋とか恋とか恋とか恋とか恋とか…」

梓「(無視)そーですねー卒業後の進路とか、将来なりたい職業につけるかどうかとか…」

紬「進路?職業?、面白くないけど占ってみましょうか」ハァ~ァ

梓「人の人生の一大事を面白くないとか言わないでください」

紬「でたわ」

梓「早ッ」

紬「あなたに生まれもっての才能があり、毎日ちゃんと努力を積み重ねて、そして幸運に恵まれたなら、希望の大学に合格し、なりたい職業にも就けて、夢が叶うでしょう!よかったね!梓ちゃん」

梓「帰ります」スクッ

紬「うそうそ!ゴメン!ちゃんとやる!ちゃんとやるから帰らないで!」

梓「…めちゃくちゃ一般論だったじゃないですか(やっぱインチキか)…本当にできるんですか?占い」

紬「ゴメンなさい…実は恋占い専門なの」

梓「恋ですか…今はとくにしてませんねー」

紬「そ、そんな…乙女が恋をしていないなんて!」ガーン!

梓「女子高生だったら誰でも恋してるなんて偏見ですよ。第一女子校じゃ…」

紬「いいじゃない、女の子同士で」

梓「私、そういうのじゃないんで」キッパリ

紬「え〜ほんとかしらぁ〜〜〜そぉはみえないけどなぁ〜〜ww」ウププ

梓「帰ります」スクッ

紬「すみませんすみませんすみませんお願いだから帰らないでください占わせてください」

梓「全くもう。そうですね…今好きな人はいませんが、いつ結婚できるか?とか、どんな人と結婚するのか?は興味あります」

紬「じゃあいつ結婚できるかを占ってみましょう!」

紬「むぅ…」

紬「…」

紬「……」

紬「…………」

梓(結構本気だな…)

紬「でたわ」

梓「ど、どうですか…」ゴクリ

紬「結論から言うと、梓ちゃんが好きな人と結婚するのは相当難しいわね」

梓「え…」

紬「厳しいことを言うようだけど、これが現実よ。まずは日本の法律を改正して同性こn…」

梓「さっきも言いましたけど、私、そういうのじゃなんで」キッパリ

紬「またまたぁ〜梓ちゃんは唯ちゃんのことが好きなんでしょぉ???」

梓「『けいおん部の先輩として』は好きですよ。そういう意味なら澪先輩も律先輩もムギ先輩も同じように好きです」

紬「ええ!?唯ちゃん以外にも澪ちゃんもりっちゃんもそれに私までそういうえっちな目で見ているってこと!?」

梓「帰ります」スクッ

紬「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

梓「どこがえっちなんですか…意味不明です」

梓「同性愛を否定はしません。ですが、私はそういうのじゃないんです。何度も言ってるでしょう」

紬「ああ、そういう『フリ』ね」

梓「だ〜か〜らぁ!私は男の人が好きなんですっ!ノンケですよっ!」

紬「なるほど。梓ちゃんは男好きっと…」メモメモ

梓「やめてくださいっ!誤解を招くようなことは…!」(メモを奪いぐしゃぐしゃにする)

紬「ああんっ!もう、梓ちゃんったら」

梓「帰ります」スクッ

紬「待って!もう一回チャンスをちょうだい!」

梓「…真面目にやってくださいよ」

紬「見てて!私本気出しちゃうから!」

紬「次は梓ちゃんの運命の人がどんな人か占ってみましょう!」

梓「今度こそちゃんとやってくださいね」イライラ

紬「は〜い♪」

紬「…」

紬「…むむっ!」

紬「でました」

紬「梓ちゃんの運命の人は…」

梓「…」ドキドキ

紬「…年は上の人…ギターが得意みたい…」

梓(楽器が弾ける人なんだ!それは嬉しいかも…)

紬「笑顔がとっても素敵で…普段はちょっと抜けてるところもあるけれど、いざというときには頼りになって…」

紬「…いつでも梓ちゃんのことを見守っていてくれる…心が暖かくてやさしい人…」

梓「ほ、ほんとですか…(やったぁ!すっごく魅力的なひとだ!)」

紬「唯ちゃんです」

梓「却下」

梓「占いじゃなくて、単なるムギ先輩の妄想じゃないですか!」

紬「いつになく梓ちゃんが厳しいわ…」

梓「本当に占いできるんですか…あ!こんなことしてたら終電がなくなっちゃう!」

紬「待って!占ってみる!」

梓「占いで終電の時間がわかるわけ…」

紬「ふふ…占いを甘く見ないで…さっきまでは本気を出してなかっただけ…」

梓「ああ、やっぱりふざけてたんですね」ゴゴゴゴゴ

紬「あ!いや、そのぅ…そうじゃなくて…」オロオロ

梓「帰ります」スクッ

紬「待って!出たわ!!」

紬「えーっと終電は23時56分!。まだもう少し余裕があります!」

梓「…嘘でしょ」

紬「本当です」ドヤァ!

梓「…証拠は?」

紬「これです!」テッテレー! つ時刻表

梓「終電時間を教えてくれてありがとうございました。それでは失礼します」スクッ

紬「待って!まだ時間あるよ!占いを…」

梓「本当に占いできるんですか…?インチキだったじゃないですか…」

紬「で、できるわ!この水晶玉さえあれば!」

梓「(な〜んか、怪しいな…)ちょっとその水晶玉見せてもらえますか?」

紬「え!ダ、ダメよ…大切な商売道具なんだから…!」

梓「帰りますね」スクッ

紬「…はい、どうぞ見てください…」ナクナク

梓(どれどれ…)

梓(きれいな水晶玉だなー…)

梓「…ん?」

梓「こ、これは…!」

梓「タブレット端末じゃないですか…」

紬「そうなの!コトブキ電器の新製品、球体型タブレット端末『MUGI Pad』よ!」テッテレー!!

紬「これがあれば、大抵の相談事はヤホー知恵袋を見て回答できるのよ〜」フンスフンス!!

梓「やっぱりインチキじゃないですか!」

おしまいです。



最終更新:2013年11月17日 08:08