紬「梓ちゃん、梓ちゃん」

梓「なんですか?」

紬「梓ちゃんのことが好きです!」

梓「…知ってました」

紬「ねぇ、ねぇ、それで返事は?」

梓「もう、わかってますよね」

紬「それでも梓ちゃんの口から聞きたいの!」

梓「…そうですね」

紬「…うん」

梓「一度しか言わないのでよ〜く聞いてください」

紬「…うん」

梓「私はムギ先輩のこと−−−−−−−−−−

△▽△

紬「という夢を見たの〜」

梓「はぁ、そうですか」

紬「はい、緑茶をどうぞ」

梓「ありがとうございます」

紬「みかんもどうぞ」

梓「あ、はい。いただきます」

紬「うふふ…」

梓「あの、ムギ先輩?」

紬「うん?」

梓「このお茶とみかん、その夢の話とどう関係するんですか?」

紬「…?」

梓「関係なかったんですか…」

紬「…うん」

梓「…なんだか拍子抜けしちゃいました」

紬「ごめんなさい。けど夢は夢だから」

梓「そうですけど…」

紬「でもね、ちょっと考えちゃった。
  どうしてあんな夢を見たんだろうって」

梓「夢を見た理由ですか?」

紬「ええ、夢にはその人の心理状態が反映されるって聞いたことあるから」

梓「夢診断というやつですね」

紬「うん、それそれ。
  それでね、どうしてあんな夢を見たんだと思う?」

梓「えっと…それは遠回しに『好きだ』と言って欲しいってことですか?」

紬「ううん。それはないと思う」

梓「思う、ですか?」

紬「うん。無意識に思ってる可能性は否定できないから、思う」

梓「なるほど。ではムギ先輩自身はそう思ってないと思っているわけですね」

紬「ええ、私は言葉より行動のほうが大切だって思ってるから」

梓「それは…行動に示せってことですね」

紬「え…」






紬「…もう、梓ちゃんったら」

梓「ムギ先輩がいけないんです。あんな…」

紬「でも許してあげる」

梓「ありがとうございます」

紬「それにしても、結局あの夢はなんだったのかしら」

梓「確かに、なんだったんでしょう」

▽△▽

梓「という夢を見ました」

紬「複雑な夢ね」

梓「そうですね」

紬「途中ちょっと話が飛んでるみたいだけど」

梓「自主規制です」

紬「そっかぁ」

梓「そーです」

紬「それで…あ、はい、麦茶」

梓「あ、温かい麦茶」

紬「ええ、どうかしら」

梓「とっても薫りがいいです」

紬「ちょっと癖があるから、好き嫌いがわかれるんだけど…。
  梓ちゃんは気に入ってくれたみたいでよかったわ」

梓「はい」

紬「それでね、結局何を作ろっか」

梓「そうですね…憂からクリスマスパーティーの料理を2品も任されたわけですが、何を作りましょうか」

紬「やけに説明口長ね」

梓「なんだかそうしないといけない気がしたので」

紬「変な梓ちゃん」

梓「はい。
  なんだか夢でも見てる気がします」

紬「ねぇねぇ、梓ちゃん。今このときも夢だとしたら、どちらが見てる夢なのかしら」

梓「そうですね……不自然なくらいの説明口調しちゃいましたし…」

紬「もしかしたらりっちゃんの見てる夢かもしれないわ!」

梓「え、律先輩!?」

紬「ええ、もしそうだったら素敵だと思わない?」

梓「別に思わないです」

紬「それは残念…」

梓「本気で残念がらないでください!」

紬「話は変わるけど、梓ちゃん。私も夢を見たんだ」

梓「あ、ムギ先輩もですか」

紬「ええ、話してもいいかしら」

梓「聞かせてください」

△▽△

紬「あずさちゃんがいない夢がだったの」

梓「私がいない夢...ですか?」

紬「ええ、その場所には私以外誰もいなくて、とても寒い場所で笑っていた」

梓「...」

紬「それが辛くて私は自分の名前を捨てようとしたんだけど、そのとき梓ちゃんがとめてくれたの」

梓「私がいないのに、私がとめたんですか?」

紬「ええ、不思議なんだけどね。
  声がしたわけでも、直接会ったわけでもないのに、梓ちゃんが助けてくれたの。
  なぜだかそうはっきりわかったの」

梓「そうですか」

紬「ええ、不思議な夢でしょう?」

梓「そうですね。でもよかったです」

紬「どうして?」

梓「ムギ先輩を止めたのが私で」

紬「//」

梓「でも、どうしても私が止めてあげられないその時は、他の誰かでもいいと思います」

紬「ううん、そんなことない」

紬「梓ちゃんがいないなら、私がいないのと同じだもの」

梓「それでも、いて欲しいとおもうんです」

紬「そっか」

▽△▽

梓「という夢を見たんです」

紬「はい、今日は紅茶」

梓「久しぶりですね」

紬「ええ、高校の頃を思い出すわ」

梓「そうですね。あの頃は−−」

紬「楽しかったわ~。
  毎日のように部室に集まって、みんなでお喋りして。
  もちろん今だって楽しいけど」

梓「あの頃は格別でした。
  もちろんスミーレ達と過ごした日々も楽しかったですし、今だって楽しいですけど。
  それでも...あの頃は特別だったと思います」

紬「ええ、ええ、そうよね。
  明日のクリスマス会ではその話も沢山したいわ~。
  あ、でも憂ちゃんや純ちゃんもいるんだから、私達が軽音部にいた頃の話ばっかりするのはよくないかしら」

梓「大丈夫です。
  純は澪先輩の話を聞きたいと思ってますし、憂は唯先輩の話ならなんでも大歓迎ですから」

紬「ふふ、それだとりっちゃんがかわいそう」

梓「私達だってかわいそうです」

紬「そっか、そうだよね」

梓「はい」

紬「でも、それくらいの不幸は我慢しないと爆発しちゃうかも」

梓「爆発…ですか?」

紬「ええ、りあ獣は爆発しろって言われちゃうのよ」

梓「リア充…ムギ先輩がネットスラングを使うなんて珍しいです」

紬「ふふ、この前純ちゃんに教えてもらったの」

梓「純...何してるの」

紬「ふふ、純ちゃんはとっても物知りさんなのよ〜」

梓「ムギ先輩、あんまり純の言うことを真に受けないでくださいね」

紬「…梓ちゃんがそう言うなら」

梓「はい。お願いします」

紬「あ、みかんのおかわりいる?」

梓「じゃあ、お願いします」

紬「皮を剥いてあげるね」

梓「どうせなら食べさせてください」

紬「了解っ!」

梓「そういえばムギ先輩、どうして炬燵を買ったんですか?」

紬「寒かったからだけど…」

梓「それなら電気カーペットとか電気毛布とかもあるじゃないですか」

紬「あ、そういうのでもよかったね。
  でもね、猫は炬燵で丸くなるって昔から言うから」

梓「猫?」

紬「ええ、気まぐれな中野の猫さんを惹きつけるために、炬燵が必要だったのよ。きっと。
  …後付けだけど」

梓「…なるほど。でも失敗だったかもしれません」

紬「どうして?」

梓「寒いほうが暖かいからです」

紬「?」

梓「…わからないならいいです」

紬「あれ?」

梓「どうしました?」

紬「ねぇ、梓ちゃん。私達高校生よね」

梓「はい」

紬「どうして梓ちゃんが菫のことを知っているの?」

梓「それを言うなら、思い出話のように高校生の頃のことを話してたムギ先輩は?」

紬「そもそもここはどこ?」

梓「そういえば…」

紬「…これは夢ね」

梓「どうやらそうみたいです」

紬「でも、なんで夢で未来のことがわかったのかしら」

梓「予知夢じゃないですか」

紬「予知夢…」

梓「ムギ先輩って、まるで未来のことがわかってるように見えることがありますから」

紬「そう?」

梓「はい。たとえばバレンタインの時。
  あの時がきっかけだったんです」

紬「ごめんなさい。覚えてないわ」

梓「仕方ないです。これは夢の中ですから」

紬「…そうだね」

梓「それで、目を覚ましたら、何をしましょう」

紬「う〜んとね。とりあえず、目が覚めてから考えましょう」

梓「そーですね」

紬「うんっ!」

◇◇◇

唯「あれ、ムギちゃんは?」

澪「そういえば梓もいないな」

律「クリスマスの料理もあらかた平らげたし、2人きりになりたかったんじゃないのか?」

唯「付き合い始めたばかりだもんね、ムギちゃんとあずにゃん」

澪「でも、せっかく炬燵があるのに」

律「ちょっと探してみようぜ。キスシーンが拝めるかもしれないし」

憂「キス!?」

唯「憂も見てみたい?」

憂「うん…ちょっとだけ見てみたいかな」

澪「といっても唯の家で行ける場所なんて…あ、隣の部屋に−−」

律「うん、どうしたんだ、澪?」

澪「しーっ」

唯「寝てるね」

律「あぁ、でもこれは」

憂「うん。ぴったりくっついて、ぐっすり眠ってるみたい」

澪「…梓、気持ちよさそうだ」

唯「うんうん」











−−−−好きです」


おしまいっ!