公園に到着


梓「東京ドームって知ってますか?」

唯「うん」

梓「小6の時だったと思うんですけど、東京ドームに行ったんですよ」

唯「あずにゃんって野球好きだったんだ」

梓「いや野球じゃなくてライブなんですけど」

唯「え?東京ドームって野球場じゃないの?」

梓「野球場ですけどライブとかもできるんですよ」

唯「ベースの上で歌うの?」

梓「ベースの上?…ああそういうことですか」

梓「ベースとかマウンドとかは全部外して、ステージ作るんです」

唯「?」

梓「話進まないんで先行っていいですか?」

唯「…うん」

梓「それで、家に帰って調べてみたんですけど」

梓「東京ドームの収容人数って、5万人くらいなんですよ」

梓「日本の人口が1億人くらいですから」

梓「大体2000分の1っていう計算です」

梓「そこではっと気がついたんです。気がついてしまったんです」

梓「あの時東京ドームに集まっていた人たち」

梓「あの人たちでさえ、日本の人口の2000分の1に過ぎないんだって」

梓「それだったら、あの中にいた1人でしかない私なんて、かなりちっぽけな存在でしかないんだって」

唯「…」

梓「ついて来れてますか?」

唯「さっぱりわかりません」

梓「とりあえず、自分はちっぽけな存在だってことに気づいた」

梓「そういうことです」

唯「はーい」

梓「それまで、自分はどこか特別な存在なんだと思ってたんです」

梓「でも実際は違った」

梓「自分なんて、2000分の1の中の、さらにごく一部でしかなかったんです」

梓「だったら、なんとか頑張って特別な存在になろう」

梓「そう考えるようになりました」

梓「それが、私が宇宙人や未来人や異世界人や超能力者を探し始めた理由です」

唯「…」

梓「わからなかったら和さんか澪さんにでも聞いてください」

唯「はーい」


帰宅


憂「お姉ちゃん、どこ行ってたの?」

唯「あずにゃんとお散歩してた」

憂「へー」

唯「憂」

憂「何?お姉ちゃん」

唯「憂は、自分がちっぽけな存在だって思ったことある?」

憂「お姉ちゃんどしたの?知恵熱?」

唯「違うよー」

憂「…私にはお姉ちゃんがいるから」

唯「?」

憂「もし私が日本の中でちっぽけな存在だとしても」

憂「お姉ちゃんにとっては特別な存在だから」

唯「?」

憂「わかんなかったら和さんか澪さんに聞いて」

唯「はーい」


その日の夜

「…さん」

唯「…」

「…唯さん!」

唯「?」

梓「唯さん!起きてください!」

唯「あずにゃん?なんで私の家にいるの?」

梓「学校ですよ」

唯「ああ学校か…学校?」

梓「なんで唯さん学校で寝てたんですか?」

唯「学校でなんか寝ないよー」

唯「確か憂と一緒にご飯食べて、テレビ見て、ギー太弾いて、それから寝たんだよ」

唯「ちゃんと布団で寝たよ?」

唯「あずにゃんは?」

梓「私は1人でご飯食べて、すぐ寝ました」

唯「1人で?」

梓「私一人っ子ですし、親も共働きなんで」

唯「そっかー」

梓「とりあえず学校出ません?」

唯「うん、憂が待ってるしね」

梓「なんで出られないんですか…」

唯「なんでだろうね?」

梓「唯さんは気楽でいいですね…」

唯「ほえ?」

梓「私たちこのまま死んじゃうかもしれないんですよ?」

唯「それは嫌だ」

梓「じゃあ頑張って脱出しましょう」

唯「うん」

梓「…唯さん」

唯「ん?」

梓「なんかすごい音してませんか?」

唯「…してるね」

神人「」

梓「…なんかすごいの出てきたんですけど」

唯「かわいいね」

梓「はい?」

唯「しんじーん」ギューッ

梓「ちょっ、唯さん!?」

神人「」

唯「うわっ」

梓「なんか校舎壊し始めましたよ!」

唯「あずにゃーん!」ギューッ



唯「ほわっ」

唯「ここどこ?」

唯「…私の家だ」

唯「もしかして今のって夢だったの?」

唯「…」

唯「…あずにゃーん」


翌日

澪「唯!」

唯「澪ちゃん?」

澪「無事だったか!」

唯「え?何の話?」

澪「昨日の夜11時頃から2時頃まで、この世界から消えてたんだぞ?」

唯「ほえ?」

律「ああ、なんか禁則事項だったな」

唯「さっぱりわかりません」

紬「閉鎖空間の中にいたのよ」

唯「ふーん…え?閉鎖空間?」

唯「もしかして、夢オチじゃなかったってこと?」

紬「そういうこと」

律「まあとりあえず、無事でよかったな」

澪「そうだな」

紬「唯ちゃんのギューッも見れたことだし」

律「ん?」

唯「見てたの?」

紬「あ…今のは忘れて」

梓「何やってるんですかー?」

唯「あ、あずにゃん」

梓「今日の活動始めますよー」

唯「はーい」


翌土曜日、桜ヶ丘駅前

唯「あずにゃんお待たせー」

梓「あれ?唯さんだけですか?」

唯「うん。みんな来れないって」

梓「そうですか」

唯「そうだ、あずにゃん」

梓「唯さん?」

唯「あずにゃんって、宇宙人と未来人と超能力者を探してるんだよね」

梓「あと異世界人ですね」

唯「実は澪ちゃんが宇宙人で、りっちゃんが未来人で、ムギちゃんが超能力者なんだけど」

梓「ほえ?」






最終更新:2014年01月21日 07:49