――――――――――――――――

街 

梓「ほんとうに助かりました、ありがとうございます。あの、なぜそんな有名な家の執事さんがここに……?」

斉藤「探し物をしておりまして……ところで、そちらはなかなかの腕の渡り鳥とお見受けしましたが」

梓「いえ、とんでもないです……あ、申し送れましたが、梓と申します」

斉藤「では、梓殿。『アークセプター』について、何か噂をお聞きになってはおりませぬかな?」

梓「アーク……あっ!! 知ってます! 確かあの列車で――」

斉藤「――!! これは……詳しくお聞かせください」


……

斉藤「――なるほど。間違いありません。その晶と言う渡り鳥めがコトブキ邸からアークセプターを盗んで行った張本人でございます」

梓「やっぱり……盗んだものだったんだ……」

斉藤「その渡り鳥の行方に心当たりはありますかな?」

梓「いえ、駅で別れて以来ですから……すみません」

斉藤「いえいえ、十分でございます。この地方に来ているとなれば、目的地はおそらく近くの守護獣の神殿……追えば必ずや見つかるでしょう」

斉藤「梓殿の腕を見込んで、ともにアークセプターを取り戻す仕事を依頼したいのですが……よろしいですかな?」

梓(この人は……今までの渡り鳥とは違う。きっと、分かってくれるんじゃないかな)

梓「――はい。絶対にアークセプターを取り戻しましょう」


……

荒野の渡り鳥 

斉藤「では、情報収集もかねて一旦海辺の街へと向かいますかな」

梓「そうですね! ……あの、その武器は『剣』ですよね……?」

斉藤「然様にございます」

梓「初めて見ました……今はもう楽器型ARMが主流で、普通の武器は作る方法すら失われてるって聞いてたんですが」

斉藤「はい、その通りでございます。この剣はコトブキ家のARMの技術を用い、アームスティックを模して作られたものです」

斉藤「ただ、やはりロストテクノロジーには未だ及ばず、性能は低くなっております。それゆえ、剣の形をとって攻撃力を増している次第です」

梓「それもARMみたいなものなんですか……すごいなぁ」

斉藤「ARMはすばらしい技術です。それを正しく使えば人々の暮らしは発展する、というのがコトブキ家の教え。ゆえに、先ほどのようなARMを悪用する輩の存在は誠に残念です」

梓「……! 私も、そう思いますッ!! みんなARMを使って暴れまわるし、それで渡り鳥は嫌われるし……」

斉藤「梓殿はARMを正しく使われているようですな。コトブキ家に仕える者として感謝いたしますぞ」

梓「は、はい、ありがとうございます――」

梓(私自身が、ARMを正しく使えている……よね? うん、人助けもそうだし、悪用する人達を懲らしめたりするし――)


……

海辺の街 酒場『バンドマンズ・ヘヴン』
渡り鳥が集う水辺 

梓「――ひと通り聞き込みをしてみましたが……まとめると、四人組の女渡り鳥のチームがアークセプターを使ってガーディアンの力を手に入れた、ってことですか」

斉藤「なんと……守護獣が悪漢にその力を貸したということでございますか。にわかには信じられませぬな」

梓「でもやっぱり、最初からガーディアンの力が目当てで杖を盗んだってことですね」

斉藤「そのようですな……既に三箇所のガーディアン神殿が押さえられたとのこと。残る地のガーディアン神殿に急ぎましょう」

バタン!

晶「……ん~、ここにもいないか、唯の奴」

菖「神殿にいなかったからきっとここでだべってそうだと思ったんだけどねー。フフ、あの変身女さん、待ちぼうけくらってたね」

幸「もう一つの神殿は海の上だから船がないといけないはずだけど……海の渡り鳥さんに頼んだのかな?」

晶「……まあいい。港に行って聞き込みを――」

梓「――あーッ! あなたは!!」

晶「!? お、お前はあの時の……」

斉藤「!! その顔、忘れはしませんぞ! さあ、アークセプターを返していただきましょう」

晶「ゲッ、あの時の執事!?」

菖「……も~、晶恨まれすぎでしょ」

幸「ええと、アークセプターなら、もう――」

梓「やっぱり、あなたは盗みをはたらく悪い渡り鳥だったんですね! 覚悟してください!!」チャキッ

晶「ちょ、待て! いや、だからだな――」

斉藤「――ご覚悟!!」シャキン!

菖「やっぱこうなっちゃうわけー……? しょうがないなぁ……」


――――――――――――――――

boss;恩那組
クロスファイアシークエンス 

晶「どいつもこいつも話を聞かずに……アークセプターはもう持ってないんだッ!」

◆成敗
斉藤「戯言を……成敗ッ!!」ジャキン! ゴォォォォ Force level up!
晶「うわっ!?」379 GUARD Force level up!

◆ブーステッドシェル
梓「隠さないで返してください!」ズド-ン!! Force level up!
晶「こんの……!」259 GUARD Force level up!

菖「完全に聞いてないね、どうしよ?」

幸「うーん……冷静になるまで待つ?」

晶「お、お前ら、見てないで説得してくれ!」

菖「ププ……晶ちゃん自業自得ですわよ」

○ヒールベリー
幸「はい、がんばって」キュルリン Force level up!
晶「ああ、サンキュ……って、おい!」200


梓           斉藤          
HP755/755     HP1424/1424     
FP25 弦5/6    FP30 MP48/50  


……

◆天誅
斉藤「――せいッ!!」ジャキン!!
晶「ぐっ!!」600 Force level up!
菖「うわ!?」624 Force level up!
幸「きゃ!?」597

菖「いたた……巻き添えくらっちゃったよ」

幸「あの人、強いね」

△フルフラット
晶「……ちょっとあんたは黙っててもらおうか」
◆ボルトファニング
晶「悪いなッ!!」ジャキン! バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!
斉藤「ぬわーーーッ!?」3245 ドサッ

梓「斉藤さんッ!?」

菖「ちょっと~! 倒しちゃ逆効果でしょ!?」

晶「いや、だって――」

◆ブーステッドシェル
梓「よくも……たあッ!」ズド-ン!! 
晶「ぐえっ!?」510 ドサッ

菖「あちゃ~、言わんこっちゃない」

梓「さあ、アークセプターを返してください!」

晶「」キュー

幸「落ち着いて。アークセプターは持ち主に返したよ」

梓「……へ?」

レベルアップ!
梓 level 17 HP801 


――――――――――――――――

渡り鳥が集う水辺 

斉藤「――なんと……既にアークセプターは紬お嬢様に返却済み、でございましたか……それは失礼いたしました」

梓(そういえば、『四人組の女渡り鳥』だった……早とちりしちゃったな)

菖「ご迷惑おかけしました……ほーら、晶も」

晶「うぐ……。わ、悪かったよ……」

梓「……」

斉藤「して、その女渡り鳥のグループとは、お嬢様達の一団であると?」

菖「はい」

梓(お嬢様なのに、渡り鳥の仲間になるなんて……利用されてるんじゃ? それとも、本当にいい渡り鳥なのかな)

斉藤「どこに向かわれたのかご存知でしょうか」

幸「わかりません……私達も探してるんです。アークセプターを狙って、派手な格好の女が付け回しているんで」

梓「それって……あのとき列車を襲ってきた『キャサリン』って人ですか?」

晶「ああ、そうだ。しかも仲間がもう一人いる」

斉藤「……聞かぬ名ですな。アークセプターを狙っている者が他にもいると……これは早急にお嬢様に家にお戻りになってもらい、対策を打たねばなりませぬな」

斉藤「早速ですが、私はこれにて。梓殿、依頼は無事終了いたしました、ありがとうございます。報酬をお納めください」

※10000ギャラ手に入れたッ!

梓「――ええっ!? こ、こんなに受け取れませんッ!!」

斉藤「ご遠慮なさらず。梓殿はARMの正しい使い方をこの荒野に広めてくれると信じておりますゆえ。それでは、私は紬お嬢様をお迎えにあがります」サッ

梓「行っちゃった……」

菖「キミはどうするの?」

梓「……えっと、私は」

晶「まだ正義の味方ごっこか?」

梓「――!! ごっこじゃありません……私は、あなたを許したわけじゃないですからね」

菖「ほら晶、ケンカ売らない!」ゲシッ

晶「いだッ!?」

梓「!?」

幸「……ごめんね、晶は口が悪いから」

梓「は、はあ……」

菖「さあ、あの子たちを探しにいかなきゃ! ごーごー!!」ズルズル

晶「は~な~せ~!」ズルズル

幸「またね」


梓(……あの晶って人以外、いい人なのかな……?)

梓(どうしよう、なんか拍子抜けだな……とりあえずマスターのところに、ってまたいないみたいだ)

梓(それにしても、四人組の女渡り鳥ってどんな人たちなんだろ? アークセプターを取り戻して、ガーディアンの力も得た……なんかすごい人達なのかな)

梓(お嬢様もいるみたいだし……もしかして悪い人達じゃないのかも)

バタン!

律「おーっす! さわちゃんは……またいないじゃん」

ガヤガヤ……

――またあいつら宝をゲットしたみたいだぜ。海の渡り鳥も倒したとかなんとか。おい、お前喧嘩売ってこいよ――

――む、無理だって! また返り討ちにされんぞ――

梓(四人組の女渡り鳥だ! 周りの人達もざわめき始めた……あれが……)

澪「相変わらずここの雰囲気には慣れないな……またみんなこっちを見てる……」

紬「ちょっと休憩していこうと思ったけど……やっぱり船に戻る?」

律「船もなぁ……ついさっきも港でケンカ売られたばっかだし……さわちゃんがいればよかったのにな~」

唯「あ~のど渇いた……ムギちゃんのお茶が飲みたいよー」

梓(――!?)

澪「さっき船でさんざん飲んだだろ……まあいいや、このまま次の神殿に――」

梓「唯さんッ!?」

律澪紬「「え?」」

唯「――!! 梓ちゃんだ! あずさちゃーん!!」ダッ

梓「え、ちょ――」

唯「会いたかったよ~~!!」ギュゥゥゥ

梓「ぐえ!? ちょ、やめてください!!」

――おい、あのチビ、例の『渡り鳥狩り』の女じゃねえか?――

――マジだぜ。ケッ、最近女どもばかりのさばりやがって……さすがに気にくわねえな――

――我慢ならねえ、全員でかかればなんとかなるだろ。おい、やっちまおうぜ――

律「……えーと、感動の再開? してるとこ悪いんだけど……なんか周りの空気がさらに不穏になってきたんで……」

唯「へ?」ギュゥゥゥ

梓「は、離してくださいッ! 唯さん、周りを見て――」

渡り鳥達「「へへへ……」」ゾロゾロ

澪「」ガクガク

紬「やっぱり、船に戻りましょう? 神殿の近くの浜辺に向かえばいいと思うの!」ダッ

律「そうだな、よし唯! ……と唯に抱きつかれてるお嬢さん! 港まで走るぞッ!」ダッ

澪「ひぃぃ!」ダッ

唯「わわ、待って~!! ――ほら、行こうよ、梓ちゃん?」ダッ

梓「は、はいッ!」ダッ


……

コトブキ家の船
荒波を越えて 

梓「はあ、はあ……」

紬「ごめんなさい、巻き込んでしまって……でもここなら安心よ」

梓「いえ、私のせいでもありますし……それより、唯さん、どうしてここに」

唯「え!? どうしてって……えーと」

梓「あなたたちが、最近活躍してる女渡り鳥のグループ、ですよね? どうして唯さんがそこに……」

唯「ひ、ひどいよ梓ちゃん!?」

律「はは……まあ唯は新米だったけど、偶然私たちと出会って仲間になったんだ」

唯「そうだよ、結構私活躍してるよ?」

梓「意外でした……結構やりますね、唯さん」

唯「えへへ、それほどでも~」

澪「梓、ちゃん? は唯と知り合いなのか?」

梓「はい、唯さんと大陸横断鉄道で会いまして……」

唯「ちょうど街で梓ちゃんと別れたあとに澪ちゃんたちが来たんだよ~」

紬「そうだったの……入れ違いね」

梓「あ……もしかして、あなたが紬さんですか?」

紬「え……そうだけど、知ってるの?」

梓「はい。ついさっきまで、執事の斉藤さんと一緒にいました」

紬「斉藤!? もうここまで追って来たのね……」

律「執事ってそんなアクティブな職業か……?」

梓「斉藤さんは紬さんを探してまた旅立ってしまったんですが……また入れ違いですね」

紬「ふふ、見つかったら連れ戻されるかもしれないから、ちょうどいいわ」

唯「ムギちゃん、梓ちゃんと一緒にお茶しようよ~」

紬「ええ♪ 今用意するね!」

澪「って、おい……唯がお茶飲みたいだけだろ! 梓ちゃんもそんな長く引き止めておくわけには……」

梓「……いえ、あの、是非みなさんのお話を聞かせてくれませんか? なんか、珍しい渡り鳥だなって思って……」

律「はは、まあ普通じゃない体験はしてるけどな。よーし、お茶にするぞー!」


……

梓「――世界の危機ですか……にわかには信じられ……あ、これおいしいです、タルト」

紬「ケーキもあるわよ♪」

唯「いや~極楽ですなぁ」グデー

律「同感だ……」グデー

澪「お前らも説明しろッ! さっきから私しか話してないじゃないか……」

梓(世界の危機が訪れる、ほんとなのかな……だとしたら、ますます渡り鳥同士で不毛な争いをしてる場合じゃない……早くみんなが協力し合えるようにしなきゃ)

梓「あの、それじゃあみなさんは世界を救うためにアークセプターを使ってガーディアンを解放する旅をしている、んですよね?」

澪「まあ、そんなところかな。世界を……ってのはまだ実感わかないけど」

梓(この人達は、悪い渡り鳥じゃない……それどころか、世界を救うために動いている。すごいな……きっと、私もこの方々となら――!)

梓「……あのッ!!」

澪「ん? どうしたの、急にあらたまって……」

梓「――私も、みなさんの仲間に入れてもらえませんかッ!!」

澪「!! 本当か!? よかった、実は私もできれば梓ちゃんに――」

律「え? もう仲間に入ってると思ってたんだけど」

紬「私もそのつもりよ~」

澪梓「「ええっ!?」」

律「だって、女の子だしギター持ってるし、唯と知り合いだし、何よりもう既にこの場に馴染んでるからな!」

唯「梓ちゃ~ん! あらためてようこそ!!」ギュウウ

梓「ちょ、ちょっと唯さん!? はは……なんか意外ですけど、よろしくお願いします、先輩方ッ!!」

唯「せ……せんぱいッ!?」

律「え、まだ年言ってないんだけど――」

梓「いいんです、先輩と呼ばせてください」

梓(みなさんは、世界のために戦う渡り鳥としての、先輩です!)


……

梓「これからどこへ向かうんですか?」

紬「次は地のガーディアン神殿に行くわ。あ、そろそろ近くまで来たかな?」

律「よーし、船を下りて歩くぞ!!」


……

地のガーディアン神殿
世界を支える力 

梓「この廃墟が神殿だったんですか。てっきりもう荒らされつくしていると思ったら……」

澪「奥に石版があるんだ。そこにアークセプターをかざせばミーディアムが得られる、かもしれない」

律「なんか地の神殿だけあって岩とか崖とかごつごつしてるな」

紬「足元に気をつけてね?」

梓「はい。あ、そういえば、あのキャサリンっていう派手な格好の人がアークセプターを狙ってるって――」

キャサリン「ええ。その通りよ。まったく、やっと来たわね……待ちくたびれたわ」

梓「! あ、あなたはあの時の!!」

唯「変身するお姉さんだ!!」

律「こ、こいつがあの晶たちを襲ったっていう変身女か……完全に不審者だな」

澪「つ、強そう……」

紬「あなたがアークセプターを……これは渡さないわ」

律「……ムギ、後ろに下がって魔法で援助してくれ」

紬「ええ――」サッ

クリスティーナ「――今だよッ!!」ドゴォォォ!!

律「!? 足場が――」

ガラガラガラ!!!

紬「きゃあーーーー………!!」ヒューーー ドシン!!

唯「ムギちゃん!?」

梓「しまった、確かキャサリンは仲間がいるんでした……!!」

キャサリン「フフフ、こっちもちょっと事情があって体力の限界があるのよ。効率的にアークセプターを奪わせてもらうわ」

律「ムギッ――」ダッ

キャサリン「――させないわ。おとなしくここで見ていることね」サッ


……
崖の下

紬「いたた……あなたは、キャサリンの仲間ですか」

クリスティーナ「そういうこと。さあ、さっそくだけどそのアークセプターを渡してもらうよ」

紬「――させません!!」

クリスティーナ「一人で私に勝てるつもりかい? あきらめるんだね!」



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最終更新:2012年10月24日 22:11