※リクエスト
唯とムギちゃんが二人でエロ系繁華街に行く話
二人ともそういう知識がなくて何度か騙されそうになるけど、上手いこと回避して危険な目にあったことすら気づかず終わる話が見たいな
いつものように私の部屋に御飯を食べにきた唯ちゃん。
彼女には最近悩みがあるみたいです。
唯「この堅焼きパスタ美味しいねー」パクッ
唯「ほらほら、ムギちゃんも座って一緒に食べようよ」
紬「うん」パクッ
紬「うんっ! 上手にできてる」
唯「最初は焦がしちゃったもんね」
紬「そうだったね」
唯「ねぇ、ムギちゃん」パクッ
紬「…どうかした?」
唯「…うんう。やっぱりなんでもない」
やっぱり悩みはあるみたい。
でも唯ちゃん言いたくないみたいです。
こうなったら……無理矢理でも聞き出しちゃおうかな。
紬「唯ちゃん。何か悩みあるでしょ?」
唯「えっ…ないない。悩みなんてないよー」
紬「……怪しい。私には話せないことなの?」
唯「そういうわけじゃないけど…」
紬「じゃあ話して!」
唯「いやっ」
紬「そう……」
唯「たいしたことじゃないから、ねっ」
やっぱり言いたくないみたい。
だから今日は切り札を用意みました。
紬「実はデザートを用意してあるの」
唯「デザート!?」
紬「ええ。ロールケーキを作ってみたの」
唯「ロールケーキ!?」ジュルリ
紬「うん。ロールケーキ。それで…話してくれたら唯ちゃんにもあげようかなって…」
唯「……」
紬「唯ちゃん」
唯「ムギちゃん、どうしても聞きたいの?」
紬「……うん」
おせっかいかもしれないけど、唯ちゃんが悩んでるんなら手伝ってあげたい。
私はそう思いました。
唯「じゃあ話すね。実は……」
唯ちゃんの悩みはとても些細なものでした。
紬「お金?」
唯「うん。買いたいものがあるの。……それも言わないと駄目かな?」
紬「それは別にいいわ。はい、ロールケーキ」
唯「やった」
唯「もぐもぐ…うーん、デリシャス」
紬「ロールケーキ作るのは初めてだったけど、上手くできたみたいね」
唯「うん。スポンジのフンワリ感としっとりした生クリームがサイコーだよ」パクッ
紬「それはよかったわ。うふふふ」
唯「ほら、ムギちゃんも食べてみなよー」
紬「ええ」パクッ
紬「うん。おいし~」
唯「そうでしょそうでしょ」
紬「……ねぇ、唯ちゃんってバイトしてたよね」
唯「うん」
紬「あんまりお金に困ってるようには見えなかったんだけど」
唯「あーうん。でもちょっと欲しいものができて…」
紬「ふぅん。それで悩んでたんだ」
唯「うん。それで…ちょっと夜のバイトを初めてみようかなーって」
紬「夜のバイト?」
唯「うん。バイト料も高いみたいだしね」
紬「うーん。危なくないかしら」
唯「私もそう思ってちょっと迷ってたんだー」
紬「それで……結局どうするの?」
唯「うん。実はもう面接に申し込んであって、今夜行ってみようかなーって」
紬「……」
唯「ムギちゃん?」
紬「…決めたっ。私もついてきます!」
唯「えっ」
紬「やっぱり一人だと危ないと思うの。だから二人で行きましょ」
唯「じゃあ、お願いしちゃおうかな」
紬「あっ、面接に同伴者がいても大丈夫なのかな?」
唯「それなら大丈夫だよ。出来れば可愛い友達連れてきてって言われてるし」
紬「……」
唯「ムギちゃん?」
紬「……わ、私……可愛いかな?」
唯「うんっ!」
紬「ふむふむ。これが夜の繁華街なのね」
私たちは夜の街に繰り出しました。
なんでも幾つかのお店に面接を申し込んだそうで、色々まわるらしいです。
唯「ぴかぴかしてるねー」
紬「うん」
唯「人が多いねー」
そう言うと唯ちゃんは手を差し出してくれました。
もちろん私は手を握り返します。
紬「えーっと、方向はこっちで合ってるんだっけ?」
唯「うん。そのはずだよ」
紬「じゃあ行きましょうか」
しばらく歩くと目的のお店に着きました。
紬「…ここ?」
唯「うん」
紬「なんのお店?」
唯「うーんとね。お客さんとお喋りする店だって」
紬「ふぅん。変わったお店ね」
店に入り、スタッフの人にバイトの面接に来た旨を伝えると、店の奥に案内されました。
店長「昨日電話をくれた子だね」
唯「はい。こっちは友だちのムギちゃんです」
店長「ふむふむ。金髪碧眼とは珍しいね。ちょっと眉毛が太いけど、それくらいは後から……」
店長「うん。ふたりとも採用しましょう」
唯「やった!」
紬(勝手に採用されちゃった……)
店長「それでふたりともアフターとか大丈夫?」
唯「あふたー?」
紬「ってなんですか?」
店長「まぁいいか。さっそく明日から働いてくれるかな」
紬「……あの」
店長「どうかした?」
紬「実は両親にここでバイトをすることを話してないんです」
紬「だから……本当に働くかどうかは明日電話で伝える、ということではだめでしょうか」
紬「唯ちゃんも、ね」
唯「えっ」
店長「うーん。まぁ後々問題になっても面倒だしね」
店長「じゃあ連絡待ってるよ」
それから私たちは店を出ました。
紬「唯ちゃん、あのお店は駄目!」
唯「えっ…なんで? 店長さんも良い人そうだったし」
紬「お酒のラベルが偽物だったの」
唯「ラベル?」
紬「うん。家で見たやつと違ったから多分偽物だと思う」
唯「にせもの…」
紬「たぶんあんまり良くないお店だからやめておきましょう」
唯「…うん」
ちょっと後の話になりますが、このお店は外国人の不法労働で検挙されたそうです。
唯「じゃあ気を取り直して次のところへ行ってみよー」
紬「次はなんのお店?」
唯「お店じゃないよ。撮影するんだって。しかも1回10万円!」
紬「1回10万円!? 危なくないの?」
唯「ムギちゃんがついてれば大丈夫だよー」
紬「……そうかな」
また二人で手を繋いで夜の街を歩いていきます。
周りの人がちょっと物珍しそうな顔でこっちを見ています。
唯ちゃんとふたりきりで夜のお散歩。
贅沢を言うなら、もう少し静かなところが良かったな。
唯「ここだよ」
紬「雑居ビル?」
唯「うん。ここの七階だって」
エレベーターを降りてドアをくぐると、オフィスに出ました。
黒服「誰だ?」
黒服「あぁ、あの…平沢さんね。横の子は?」
紬「あっ、付き添いで来た友達です」
黒服「そう。じゃあ撮影同意書を書いてくれる?」
唯「どういしょ?」
黒服「あぁ、最近基準局がうるさくてね」
赤シャツ「はい。これにサインしてね」
唯「あっ、はい」カキカキ
紬「名前を書けばいいのね」カキカキ
赤シャツ「それと烏龍茶どうぞ。最近夜になっても暑いから喉がかわくでしょ」
紬「ありがとうございます」ゴクゴク
唯「どうも」ゴクゴク
紬「あれっ、なんだか眠く」
唯「私も……」
紬「」zzz
唯「」zzz
赤シャツ「ちょろいもんですね」
赤シャツ「えーっとこっちの子は平沢唯。金髪の子は琴吹紬か」
黒服「琴吹!?」
赤シャツ「どうしやした、旦那?」
黒服「琴吹…しかも天然の金髪…間違いねぇ。琴吹家の令嬢様だ」
赤シャツ「琴吹家? ってあの?」
黒服「あの…だ」
赤シャツ「どうしやしょうか…」
黒服「どうもこうもあるか…起きるのを待って平謝りするしかないだろ」
赤シャツ「だけどもったいなくないっすか?」
黒服「オジキも琴吹家には恩があるんだ」
黒服「琴吹の令嬢に手をかけてみろ。オジキに三枚に下ろされてイワシの餌にされちまうぞ」
赤シャツ「ひぃっ」
黒服「ふぅ…なんてやつがきたもんだ…」
紬「……あれっ」
黒服「お目覚めになられましたか」
黒服「もうしわけありません!!」ダッ
紬「ひっ…」ダキッ ダッ
目を覚ますと、突然黒服の人が土下座をはじめました。
わけがわかりません。
私は怖くなってしまい、唯ちゃんを担いで逃げました。
とにかく安全なところへ行こう。
幸い、すぐ近くに一件のホテルがありました。
私は迷わず駆け込みました。
紬「ふぅ……なんだったのかしら」
唯「ぐーーーーぐーーーー」
紬「ふふっ、よく寝てるわね」
唯「ぐーーーーぐーーーー」
紬「可愛いお顔」
唯「ぐーーーーぐーーーー」
紬「よしっ。ちょっとほっぺたで遊んじゃおっ」プニプニ
唯「ぐーーーー、はっ」パチッ
紬「起こしちゃった?」
唯「…もう朝?」
紬「もう…唯ちゃんったら」
唯「あれ……ここはどこ? 事務所にいたよね」
私は唯ちゃんに事情を掻い摘んで話しました。
紬「ひょっとして、睡眠薬がお茶に入ってたんじゃないかしら」
唯「うーん。考えすぎだと思うけど」
紬「そうかな?」
唯「でも、ムギちゃんがそう言うなら、あのバイトはやめておくよ」
紬「うん。それがいいと思う」
唯「それにしてもこのベッド変な形だねー。まんまるだなんて」
紬「あっ、このベッド回るのよ」
唯「本当!?」
紬「本当!! そのボタンを押してみて」
唯「えいっ」ポチ
紬「わっ、回ってる」
唯「メリーゴーランドみたい」
紬「どちらかと言えばコマじゃないかな」
唯「どっちでもいいよ。すごいすごーい」
紬「面白いホテルがあるのねー」
唯「あっ……」
紬「どうしたの?」
唯「たぶんここラブホテルだと思う」
紬「ラブホテル?」
唯「うん。友達から聞いたの。エッチをするためのホテルだって」
紬「エッチをするためのホテル……そういうのもあるんだ」
唯「///」
紬「///」
唯「なんだか照れちゃうね」
紬「うん」
唯「別にエッチするわけじゃないのに」
紬「えっ?」
唯「えっ?」
紬「なーんて!」ダキッ
唯「きゃっ」
紬「ふふっ、唯ちゃん柔らかい」
唯「もうムギちゃん、くすぐったいよ」
紬「ねぇ、今夜はここに泊まろうか」
唯「うん。いいよ」
紬「えっちなことはしないけど、こうやって」ギュッ
私は唯ちゃんの手を握りました。
唯ちゃんはそっと握り返してくれました。
唯「手、繋いで眠ろっ!」
紬「うんっ!」
その夜、私は夢を見ました。
とてもエッチで幸せな夢。
だから内容は秘密です。
次の朝起きると、手は繋がったままでした。
私が幸せを噛み締めていると、唯ちゃんが目を覚ましました。
二人で一緒に歯を磨いて、それからホテルを出ました。
あの夜の話を斎藤にしたところ、とても危険な目にあっていたようです。
実家に呼びつけられて叱られました。
唯ちゃんも、憂ちゃんにあの夜の話をしたところ、こっぴどく怒られちゃったみたいです。
唯ちゃんは夜のバイトを諦め、普通にバイトを続けることにしました。
そして二ヶ月後――
唯「むーぎーちゃん」
紬「あっ、唯ちゃん。今日は焼冷麺に挑戦してみたの」
唯「また? 前々回も前回も大失敗してたのに」
紬「ふふふっ。今回は自信作なの。とりあえず食べてみて」
唯ちゃんは恐る恐る箸を口に近づけ、パクリと一口、そして一言。
唯「……おいしい」
紬「でしょ」
唯「うん。絶対美味しく作るのはムリだと思ってたのに…」
紬「うふふ」
唯「ねぇ、ムギちゃん」
紬「なぁに?」
唯「じゃじゃーん」
紬「木の箱?」
唯「ムギちゃんにプレゼントします!」
紬「開けていい?」
唯「うんっ!」
箱を開くとそこには一本の包丁が入っていました。
なんとも気品のある、綺麗な包丁でした。
この手の物の値段は分からないけど、とてもよいものなのはわかります。
ひょっとしたら六桁に届くんじゃないかな。
紬「包丁ね」
唯「うん」
紬「とっても高かったんじゃない?」
唯「ちょっとね」
紬「でも、どうして?」
唯「私、いつもムギちゃんのところで御馳走になってるでしょ」
唯「だからたまには恩返ししたいなーって」
紬「そんな…私がやりたくてやってるだけなのに」
唯「じゃあ私もそうだよ」
紬「えっ」
唯「いつも私のために御飯作ってくれるムギちゃん見てたから」
唯「ムギちゃんのために何かしてあげたいなーって思ったんだ」
紬「唯ちゃん…」
唯「ねぇ、ムギちゃん」
紬「うん」
唯「その包丁で、ずっと私に御飯作ってくれる?」
紬「///」
唯「ムギちゃん?」
紬「……それってプロポーズ?」
唯「えっ?」
紬「えっ?」
おしまいっ!
最終更新:2014年04月02日 08:17