※リクエスト
さわちゃんに監禁されて拷問されるムギちゃんの話をほのぼのハッピーエンドでお願いします






ピッピッピッピッ

紬「もしもし、斎藤? ええ、私よ」

紬「うん・・・うん・・・うん。先生のところだから大丈夫」

紬「それでね、誘拐ごっこをやるんだけど、迫真の演技でお願いしたいの」

紬「ええ・・・ええ、迷惑をかけるわ、斎藤」

紬「うふふ、じゃあよろしくお願いね」

紬(さわ子先生に監禁されてから二時間)

紬(土曜日の朝、偶然道端で酔い潰れている先生を介抱してアパートへ送り届けたら、「誘拐してやる」って)

紬(うふふ、何を要求するつもりだったのかしら)

紬(私の家のほうは・・・)

紬(さわ子先生がウコンドリンクを買いに行った隙に電話したので問題ないはず)

紬(もちろん逃げられるけど、そんな無粋なことはしない)

紬(だって、誘拐監禁なんてはじめてだから!!)

さわ子「ただいま~~~」

紬「あ、おかえりなさい」

さわ子「駄目でしょ、ムギちゃんは部屋のおくでジッとしてなきゃ」

紬「は、はい」

紬(人質をやるのも結構難しいのね)

さわ子「・・・ぷはーっ、男がなんだ! 結婚がそんなにいいのか!!」

紬「え、えっと」

さわ子「ちょっとムギちゃん聞いてよ、大学のときの親友がさ」

さわ子「結婚した旦那の愚痴を延々を聞かせてくるのよ」

紬「は、はぁ・・・愚痴ですか?」

さわ子「ええ、愚痴」

さわ子「でも、愚痴を語るときの表情がとても楽しそうなのよね」

さわ子「あの子、絶対自慢してるのよ。JJよ! 自虐風自慢ってやつよ! こっちが婚期逃したからって、調子にのって・・・」

紬「えっと、さわ子先生は結婚したいんですか?」

さわ子「そりゃあ、ね。・・・まわりの友達もどんどん結婚していくし」

紬「そうですか・・・」

さわ子「な、なによ、文句でもあるの!」

紬「さわ子先生こんなに綺麗なのに。髪の毛だってこんなにサラサラですし」サワッ

さわ子「・・・っ」ドキッ

紬「さわ子先生?」

さわ子「な、なんでもないわ。ふぅ・・・こうなったらまた飲むわよー」

紬「むっ、これ以上は体に悪いから駄目です!」

さわ子「むぅ・・・ムギちゃんの意地悪」

紬「駄目なものは駄目ですから」

さわ子「ぐぐぐ・・・」

紬「はい、かわりにお水をどうぞ」

さわ子「ごくごく・・・うん」

紬「他に欲しいものはありますか?」

さわ子「・・・ムギちゃんっていいお嫁さんになりそうよね」

紬「へっ」

さわ子「気が利いて、器量もいいし、おっぱいも大きいし」

紬「うふふ、そうですか」

さわ子「あ、余裕。嫌な感じ」

紬「さわ子先生も似たようなことをよく言われてそうですけど」

さわ子「あー、うん、どうだろう」

紬「・・・?」

さわ子「猫を被ってるときは、みんなそう言ってくれるのよ」

紬「あ」

さわ子「でも・・・」

紬「素を出すと・・・ですか?」

さわ子「ええ・・・」

紬「私は・・・好きですけど」

さわ子「え」

紬「素のさわ子先生は、快活で、自由で、でも優しくて、親しみやすいいい先生だと・・・私は思ってますよ」

さわ子「むぅ・・・」

紬「な、なんですか?」

さわ子「私、この子と結婚したい!」

紬「え、いきなり何を言うんですか」

さわ子「だってムギちゃんかわいいし、優しいし、お金持ちだし」

紬「う~ん、やっぱり駄目です」

さわ子「どうして?」

紬「この国で同性の結婚は認められていないので」

さわ子「認められていたらいいんだ?」

紬「さぁ、どうでしょう」

さわ子「むーっ」

紬「でも、ですね」

さわ子「・・・ん? あ、ムギちゃんポッキー食べる? さっきウコンと一緒に買ってきたんだけど」ボリボリ

紬「あ、食べます。それで、ですね」ボリボリ

さわ子「うん」ボリボリ

紬「私は誘拐された身ですから、命令されれば誘拐されてる間はお嫁さんにでもなります」ボリボリ

さわ子「うーん、1日お嫁さん的な」ボリボリ

紬「はい」

さわ子「そうねぇ、じゃあ、お嫁さんと一緒にお昼ごはんでも作りましょうか」

紬「はいっ!」

◇◇◇

さわ子「おいしかったね」

紬「さわ子先生、意外と料理できるんですね」

さわ子「『意外と』は余計よ。それにムギちゃんもじゃない。お嬢様なのに」

紬「うふふ、『意外と』ってつけてもいいですよ」

さわ子「ほんとにいい性格してるわ、ムギちゃんって」

紬「ありがとうございます。あ、そろそろ帰らないと」

さわ子「ね、ムギちゃん、また来てくれる?」

紬「そうですね、お休みの日に見かけたら誘拐してください」

さわ子「そしたら、またお嫁さんになってくれるんだ?」

紬「ええ、よろこんで!」

◇その頃の琴吹邸

菫「わははは、この子を返してほしくば、クイニーアマンとピロシキを要求します!」

斎藤「ぴ、ぴろしきだと」

菫「そうだ。外はカリッと、中はジューシーな極上のピロシキを要求します!」

斎藤「く、くそっ、この卑怯者め!」

菫「いいのか、この子の命は私の手の内ですよ」

斎藤「30分だ。30分待ってくれ!」

菫「よかろう。ロスタイムも5分与えます」

斎藤「・・・! ありがたい」

菫「・・・ぴーぴーぴーぴー」

斎藤「切れたか。お嬢様の安全のために早くクイニーアマンとぴろしきを用意せねば・・・」

菫「今回の練習はなかなかうまくいったね」

斎藤「そうじゃな、菫よ」

菫「それにしてもおじいちゃん。なかなか誘拐ごっこの電話かかってこないね」

斎藤「ふむ。しかし、いつかかってきてもよいように、万全の体勢を整えるのが我らの務め」

菫「そうだねおじいちゃん。もう一回練習しようか」


おしまいっ!



最終更新:2014年04月02日 11:58