※リクエスト
唯が飲んだくれになってうだうだぐだくだ皆に絡む話とか
澪ちゃんが二十歳になってしばらくしたある日のことです。
私達4人にさわ子先生からメールが送られてきました。
「みんなで飲みに行かない?」
週末、ちょっぴりお洒落してみんなで駅前に集合。
さわ子先生に連れられて、行きつけだというお店へ。
こうしてみんなでお酒を飲むのははじめてだったので、とってもワクワクしてたんです。
それはみんなも同じようで、唯ちゃんとりっちゃんも上機嫌。
初めてお酒を飲むという澪ちゃんはちょっと緊張してたみたいですが、それでも楽しみにしていたみたいです。
この後、どんな惨劇が待ち受けているかも知らずに……。
最初は楽しかったです。
お店はほんのちょっと小洒落た感じで、店員さんの接客も丁寧でした。
私達の席はちょっとした個室みたいになっていて、落ち着いた雰囲気です。
まずはみんなビールで乾杯しました。
澪ちゃんが苦くて美味しくないといったので、すぐに梅酒にチェンジ。
梅酒のほうは随分気に入ったようで、美味しい、美味しいと繰り返していました。
料理も美味しかったです。
特に鶏の唐揚げは絶品でした。
私はレモンを絞ってからみんなのお皿に取り分けてあげました。
もちろん、りっちゃんの分だけ除けておくのは忘れません!
りっちゃんの唐揚げにレモンをかけると、本当に怖いんです。
肝心の味ですが、柚子胡椒で下味をつけているようで、とっても風味がよかったんです。
それでいてとってもジューシーで……また食べたいな。
美味しいお酒に、美味しい料理。
唯ちゃんと2人で軽くお酒を飲んだことはあったけど、こうやってみんなで集まって飲むのは本当にはじめてだったから。
楽しくて、なんだかふわふわして、とてもいい気持ちだったのを覚えてます。
最初の悲劇が起きたのは、みんなが唐揚げを食べ終わった後のことです。
自分のビールを飲み切り、更に澪ちゃんの残したビールを一気に飲み干したさわ子先生はいい感じに酔ってきました。
酔った先生はだんだん暗い話を始めました。
合コンに行っても全く成果が出ないこと。
知り合いがどんどん結婚してくこと。
最近両親がうるさくお見合いをすすめてくること。
そんな暗い話を嫌った唯ちゃんが、さわ子先生の後ろに回り込み、胸を鷲掴みしました。
唯「さわちゃーん、そんな暗い話しちゃ駄目だよ~」
さわ子「ゆ、唯ちゃん?」
唯「ほら、りっちゃんムギちゃん澪ちゃん、さわちゃんを楽しくしてあげよっ!」
そう言って唯ちゃんはさわ子先生の胸をくすぐりはじめました。
最初に悪乗りしたのはりっちゃん……ではなく私でした。
私はさわ子先生のお腹をくすぐりました。
先生のお腹は柔らかくて……とそんなことはどうでもいいんです。
紬「うふふ~私に任せて~」
さわ子「む、むぎちゃん? アヒャハヒャヒャ」
次に悪乗りしたのは意外なことに澪ちゃんでした。
澪ちゃんはさわ子先生の足の裏をくすぐりはじめました。
さわ子「澪ちゃん……なにを……」
澪「こんな感じでいいかな? こしょこしょこしょー」
さわ子「足の裏はだめええええ!!!!」
唯「うん。バッチリだよ、澪ちゃん!」
そして最後にりっちゃん。
りっちゃんはさわ子先生の耳に息を吹きかけました。
りっちゃんったらテクニシャン!
さわ子「り、りっちゃん!! 助けて」
律「……フー」
さわ子「ひゃん///」
さわ子「もうほんとに……んっ……ふくっ……ひゃっ……もうらめえええええええっ」
唯「この胸が……胸が……」
紬「お酒は楽しく飲みましょ~」
澪「先生の足の匂い……癖になるかも」
律「……フッ」
さわ子「……」
さわ子「……」
さわ子「……」
その後、どれくらいくすぐり続けたのか、何をやったのかはよく覚えていません。
ただ、私は覚えています。
すっかり果ててしまったさわ子先生が端っこのほうで隔離されていたのを。
その間も店の人は素知らぬふりをして料理やお酒を持ってきていたみたいです。
プロってすごい!
こうしてまず先生がダウンしました。
次の獲物に認定されたのはりっちゃんでした。
唯「りっちゃーん」
律「おう、ゆい」
唯「りっちゃーん!」
律「なんだ、唯」
唯「りっちゃーん!」
律「なんだってんだ、唯」
最初はこんな感じにわけの分からない絡み方をしていました。
でも途中から唯ちゃんが豹変したんです。
唯「えへへ~、りっちゃんむぎゅう」
律「おい唯……もうしょうがない奴だな」
唯「う~ん、肋が顔にあたって気持よくないや」
律「え」
唯「どうしてりっちゃんってこんなにおっぱいないの?」
そう言ったきり唯ちゃんは澪ちゃんに抱きつきました。
澪「お、おい、唯」
律「……」
紬「ね、ねえりっちゃん。唯ちゃんにも悪気はないのよ」
律「……わかってる」
紬「そ、それにね……唯ちゃんだってそんなに大きくないでしょ?」
律「……この前の健康診断」
紬「え」
律「唯の奴は+0.8だったんだ。私は……」
紬「だ、大丈夫よ。そんな微々たる変化。りっちゃんだってこれからまだまだ育つんだから!」」
律「私はー0.5だったんだあああああああああああああああああああ」
大きく叫んだ後、りっちゃんは隅にいってぶつくさ呟きはじめました。
もうこうなってしまったら私にはどうすることもできません。
かわいそうなりっちゃん……。
澪「嫌だ嫌だ聞きたくない」
唯「んふぅ。澪ちゃんはかわいいねぇ」
唯ちゃんの次のターゲットは澪ちゃんでした。
どうやら私がりっちゃんを慰めている間に、『怖い話』を聞かせたみたいです。
澪「お、お手洗い」
そう言った澪ちゃんはすがるように私を見ました。
どうやら1人では行けないみたいです。
私は澪ちゃんの手を引いお手洗いに連れて行ってあげました。
帰ってきてから唯ちゃんがまた澪ちゃんに絡もうとしましたが、そうはさせません。
私は唯ちゃんをむぎゅっと抱きしめました。
唯「ムギちゃん?」
紬「もう、唯ちゃん。そんなに澪ちゃんをいじめちゃ駄目よ」
唯「そーだね。じゃあ次はムギちゃんの番だね」
紬「え」
私は唯ちゃんに何をされてしまうのでしょうか?
不安も大きかったですが、少しだけ期待もしていました。
そんな私に向けて、唯ちゃんは一言。
唯「きもちわるぃ…」
それからのことはよく覚えていません。
唯ちゃんをトイレに連れて行って、口に指を突っ込んで吐かせてあげた気がします。
記憶がはっきりしたとき、私はさわちゃんの家にいました。
回復したさわ子先生がタクシーを呼んで私達を家に連れてきてくれたそうです。
さわ子「あの状態で寮に帰すわけにはいかないでしょ?」
苦笑いするさわ子先生の顔が印象的でした。
言い残すと先生は横になって寝てしまいました。
周りを見渡すと唯ちゃん達も寝ていました。
時計を見るとAM3:35分。
私は毛布を箪笥から探しだして、みんなに掛けてあげました。
毛布を掛けてあげると、唯ちゃんが目を覚ましました。
唯「あれ、ムギちゃん?」
紬「ちょっとまって、今みんなに毛布をかけちゃうから」
唯「え……ここ……あ、そっか」
紬「ええ、さわちゃんのお家」
唯「私……あ……」
紬「どうしたの唯ちゃん?」
唯「えっと……ムギちゃん。今日の私どうだった?」
紬「えっとね、唯ちゃん、正直に言ってもいい?」
唯「……お願いします」
死刑宣告を待つ囚人のように神妙な顔持ちなる唯ちゃん。
きっと今日やったことを思い出して、居たたまれない思いなのでしょう。
だから私はこう言いました。
紬「最高だったわ!」
唯「え、だって私……」
紬「唯ちゃんのおかげでさわ子先生に思う存分スキンシップできたし、かわいい澪ちゃんも見れたし」
唯「え……え……」
紬「……りっちゃんはちょっとかわいそうだったけど」
唯「だって私、ムギちゃんにも迷惑……」
紬「ごめんなさい。最後の方はあまり覚えてないの」
唯「そうなんだ……?」
紬「うん。そういえば唯ちゃん、今日はどれくらい飲んだの?」
唯「えっとね。ビールと、日本酒7杯、チューハイ4杯。ワイン2瓶だったかな」
紬「え、そんなに?」
唯「えへへ、飲んでるうちに気持よくなっちゃって……でも吐いたら完全に覚めちゃったよ」
紬「そう……」
唯「……これからはちょっとお酒を控えるよ」
紬「どうして?」
唯「こんな風に迷惑かけたくないし」
寂しそうに笑う唯ちゃん。
そんな唯ちゃんのために、私は冷蔵庫から缶を2つ持ってきました。
紬「じゃあ最後に一本だけ飲まない?」
唯「えっと……缶チューハイ?」
紬「うん。いいでしょ?」
私が頼むと、唯ちゃんはしぶしぶ手にとってくれました。
紬「カンパーイ」
唯「うん。乾杯……」
私達はゆっくりお酒を飲みました。
紬「これ、美味しいわ」
唯「うん。美味しいね」
紬「こんな美味しいものを控えるなんて勿体無いと思わない?」
唯「……」
紬「ね、お酒を飲んだら誰だって失敗するものよ」
唯「そうなの?」
紬「ええ、さわちゃんだって最初は散々だったそうよ」
唯「あ、なんだかわかる気がする」
紬「それに、私も……」
唯「え、ムギちゃんも?」
紬「うん。私もね、この前大失敗しちゃったの」
唯「詳しく聞かせて」
紬「それは……もっとお酒が入っている時にでもね」
実家で開いてもらった二十歳の誕生パーティー。
そこで私は斉藤に裸踊りを強要したり、菫にごにょごにょしたりと、酷い醜態を晒してしまったんです。
紬「失敗して、少し大人になって……それでいいと思うの」
唯「うん、でもみんなが起きたら謝るよ……」
ちょっと元気が出たみたいだけど、またちょっぴり暗い唯ちゃん。
紬「ね、唯ちゃん。来年のことを考えてみない?」
唯「来年?」
紬「ええ。来年は梓ちゃんと憂ちゃん、それに純ちゃんも加えて飲みに行くの」
唯「あずにゃんがいたら大変だ」
紬「きっと阿鼻叫喚ね」
唯「楽しみだね」
紬「ええ」
紬「だからね、またこうやって飲みにいきましょう」
唯「……うん!」
こうして初めての飲み会は唯ちゃんにとってほろ苦い想い出になってしまいました。
そのおかげで飲み方を覚えたようで、大きな失敗はしなくなりました。
本音を言うと、ちょっとだけ残念です。
ちなみに朝起きるとりっちゃんも澪ちゃんも見事に記憶がありませんでした。
唯ちゃんは素直に「ラッキー!」と喜んでいました。
さわ子先生のほうも唯ちゃんを特に咎めることはありませんでした。
それどころか頻繁に私達を飲みに誘うようになったんです。
もしかしたら先生はマゾなのかもしれません。
来年……梓ちゃん達はどんな醜態を見せてくれるのでしょうか。
すごく不安だけど少しだけ楽しみです。
梓「やってやるです!」
おしまいっ!
最終更新:2014年04月02日 12:04