※リクエスト
じゃあ 律と澪の縁日での昔話とか





唯「こうやって会うのも久しぶりだねー、ムギちゃん」

紬「えぇ、夏の間はフィンランドに帰ってたから。はいこれお土産」

唯「えっ、何かな~」

紬「ふふっ、後からあけてみて。それでこっちはどうだった? 何か変わったことはあったかしら?」

唯「そうそう聞いてよムギちゃん。一昨日澪ちゃんを夏祭りに誘ったら断られちゃったんだ」

紬「うーん。それは……澪ちゃんにも用事があるだろうから仕方ないんじゃない?」

唯「私もそう思ったんだよ。でもさ、和ちゃんが一昨日お祭りで澪ちゃんを見たって」

紬「えーっと……」

唯「ねっ、酷いでしょ」

紬「澪ちゃん誰かと一緒だったって?」

唯「りっちゃんと一緒だったんだって。それなら私も誘ってくれてもいいのに」

紬「あぁ、それはね……」




唯ちゃんの誘いを澪ちゃんが断った理由は簡単。
二人だけで夏祭りに行く約束をしていたから。

二人だけで?

うん。二人だけで。




澪(唯が誘ってくれたのは嬉しいけど、今日は律と二人きりがいいんだ)

澪(ママに着付けてもらった着物、綺麗って言ってくれるかな…)

澪(そろそろ来てもいい時間だと思うんだけど…あっあれ)

澪「律、こっちこっち!!」

律「おっ、澪」

澪「遅かったじゃないか」

律「時間通りだろ」

澪「ううん。三分遅刻だぞ」

律「チェッ、細かいな」

澪「本当に律はルーズなんだから」

律「まぁまぁ、お祭りなんだから細かいことは抜きにして楽しもうぜ」

澪「それもそうだな。それじゃあ何から見て回ろう?」

律「澪は何が見たい?」

澪「私アレ食べたいんだ。リンゴ飴」

律「ほほう」

澪「それと焼きトウモロコシだな!」

律「私は粉物を食べたいな」

澪「お好み焼きとか焼きそばとかか?」

律「うん」

澪「じゃあさっそく見て回ろうか」

律「あっ、忘れてた」

澪「どうしたんだ?」

律「澪、着物で来たんだ」

澪「あぁ、どうかな?」

律「とっても似合ってるよ。じゃあ行こうぜ!」

澪「///」

律「澪?」

澪「な、なんでもない」

澪(タイミングずらして言うなんてズルいじゃないか

澪(こっちにも心の準備というものがあるんだぞ!)





きっとこんな感じで二人のデートは始まったの。

デートなの?

ええ。女の子が二人きりで出かけるんだもん。デートに決まってるじゃない。

そうなんだ。





澪「うん。やっぱり祭りといったらこれだな」

律「そうか~? 私はやっぱりこっちだと思うけど」

澪「お好み焼きは祭りじゃなくても食べられるけど、リンゴ飴は祭りじゃないと食べられないだろ」

律「そういうものかな」

澪「そういうものなんだ」

律「まぁ澪がそう言うならいいけどさ」

澪「ん? 今日の律はやけに物分かりがいいな」

律「そ、そんなことないぞ」

律(なんだか今日の澪は可愛く見えるんだよな…‥)

律(気のせい、だと思いたいが)




あれ、りっちゃんも意識してるの?

うん!

ほぼ両思いなんだね。

うん。そうだといいわ~。

えっ。

じゃあ、続けるね。

あっ……うん……。




律「あれやろうぜー」

澪「射的か。私はいいから、律だけやってこいよ」

律「んじゃあ、やってくる」

澪「うん」

律「おっちゃん、1回」

おっちゃん「500円だよ」

律「はい」つ500yen

おっちゃん「5回撃てるから、頑張って」

律「はーい」

澪「どれ狙うんだ?」

律「どれが欲しい」

澪「えっ」

律「せっかくだから狙ってやるよ」

澪「それじゃあ、あれがいい」

律「う~ん。あのぬいぐるみか~」

澪「無理なのか?」

律「ああ。あれは下で固定されてる気がする」

澪「それじゃあその二つ右の狼の置物は?」

律「うん。あれなら大丈夫そうだ」

澪「がんばれー」

律「おう、任された」


澪(片目を閉じて狙いをつける律、ちょっとだけカッコいい)

澪(あっ、撃った……揺れたけど落ちないか)

澪(また撃った。同じ場所を狙ったのか……でも落ちない)

律「う~ん。難しいな」

澪「無理なら他のでも」

律「いや、ここまで来たら引き下がれないから」

澪「……そうか」

澪(三発目……あっ、外れた。律、悔しそうだ)

澪(四発目……あたったのに、また揺れただけ)

澪(最後の一発……律、頑張れ)

律「ここだ!!」

澪「当たった……落ちそう、あっ、落ち…………………ない」

律「……」

澪「律?」

律「おっちゃん、もう一回」つ500yen

おっちゃん「あいよ」




りっちゃん意外と諦めが悪いからね~。

でも、それだけじゃないと思うの。

へっ。

澪ちゃんの前でカッコいいところ見せたかったのよ。

そうかな?

きっとそう!

(……あれっ、これってそもそもムギちゃんの妄想じゃなかったっけ?)




澪「ありがとう。宝物にするよ」

律「澪は大袈裟だな」

澪「2500円の置物だからな」

律「あぅ……」

澪「そんなに落ち込むなよ。ほら、鯛焼き奢ってやるからさ」

律「澪……ありがとー」ダキッ

澪「うわっ、唯みたいに抱きつくな!!」

律「やっぱり澪は優しいなー」

澪「そんなんじゃないぞ。ただ……」

律「ただ?」

澪「嬉しかったから」

澪「せっかくだからおみくじでも引いていくか」

律「いいぞ」

澪「大吉こい!」つ200yen

律「私はなんでもいいや」つ200yen

澪「……」

律「……」

澪「大吉だ!」

律「私も!!」

澪「ひょっとしたら大吉しか入ってないのかもしれないな」

律「あぁ、最近の神社だとそういうところもあるみたいだ」

澪「だとしても、ちょっと嬉しい」

律「うん」





和ちゃんは大凶だったって。

えっ。

珍しいからってわざわざ写メとって送ってくれたんだ。ムギちゃんも見る?

うん。

ほら、これ。

本当だ。私、大凶なんて都市伝説だと思ってた。

私も。

今度いい霊媒師さん紹介してあげようかしら?

えっ。

厄祓いが必要だと思うから。





澪「待ち人、遅れるがやがてくる。恋愛、勇気を持って一歩踏み出すことが大事」

律「恋愛、気づけばすぐそこにいる。一つの不注意が取り返しのつかない喪失につながる恐れあり」

澪「……」

律「……」

澪(勇気を持って一歩踏み出す……)

律(気づけばすぐそこにいる……)

律・澪「あのっ!」

澪「あっ、律からでいいよ」

律「いやいや、澪からで」

澪「うんと、じゃあさ。ちょっと葉桜でも見に行かない」

律「葉桜?」

澪「うん。春に花見に行っただろ。あそこだよ。今は葉っぱだけだけど、ライトアップされてて綺麗らしいんだ」

律「あぁ、いいよ」

澪「本当にライトアップされてるんだな」

律「うん。なかなか綺麗だ」

澪「でも、やっぱり花がないと少しさみしいな」

律「……」

澪「律?」

律「な、なんでもないよ」

澪「そうなのか?」

律「……うん」

澪「なぁ、律」

律「ん?」

澪「好きだ」

律「えっ」

澪「律のことが、好きだ」

律「あっ……うん……」

澪「……」

律「……」

澪「ご、ごめん! 変なこと言って。忘れていいから」

律「そうじゃない」

澪「えっ」

律「さっき言おうとしたんだ。桜の花は咲いてなくても、ここに花があるじゃないか、って」

澪「りつ……」

律「私には似合わないと思って言わなかったけど、私は澪のことそう思ってる」

澪「それじゃあ……」

律「あぁ、澪……」

澪(律の目がまっすぐ私の目を見つめてる。真剣そうな律。かっこいい)

律(澪の目、とっても綺麗だ。ずっと私のこと好きでいてくれたんだな……)



チュ


澪「なぁ、律」

律「なんだ」

澪「私、幸せだ」

律「……私も」

澪「ふふふっ」

律「なぁ、澪」

澪「なんだ」

律「手、繋がないか」

澪「うん」

律「……」ギュ

澪「……」ギュ





こうして二人の夏祭りは終わったの。

ふぅ……。澪ちゃん良かったねぇ。

ええ。二人が結ばれて本当に良かったわ。

うんうん。本当に良かったよ。

明日二人に詳しい話を聞かなきゃ。

(私の妄想なんだけど、いいのかしら……)





唯「という話を昨日してたんだ」

澪「///」

律「///」

紬「澪ちゃん、りっちゃん?」

澪「ち、違うぞ。そんなのでたらめだ。律は目があった瞬間ビビってキスなんてできなかったんだから」

律「おい、澪!」

澪「あわわわわ」

紬「ふふっ、だいたい合ってたみたいね」

唯「ねー」

澪「///」

律「///」

紬「あっ、そうだ。そのお祭りっていつまでなのかしら?」

唯「うーんと。確か今日までだったと思うけど」

紬「じゃあ唯ちゃん。二人で行かない? 私焼きそば食べてみたかったの~」

唯「うん。行く行く!」

紬「それじゃあレッツゴー」


ドタドタドタ


律「行ったな」

澪「……うん」

律「まったくムギには参るよ。なぁ、澪」

澪「……」

律「澪?」

澪「……今度はちゃんとして欲しい」

律「えっ」

澪「今度はムギの妄想みたいにちゃんと……して欲しいんだ」

律「///」



おしまいっ!



最終更新:2014年04月02日 12:09