律「高尾山? もしかして,大分県大分市にある高尾山自然公園のことか?」
唯「違うよりっちゃん。東京都八王子市にある高尾山のことだよ。」
律「なんだとー!?」
澪「高尾山か。小学生の時に行って以来だな。」
梓「私はこの前久々に行きました。」
紬「高尾山ってどんなところなのー?」
唯「ケーブルカーとリフトがあって,途中に寺がある山だよ。」
澪「大雑把すぎるだろ……」
梓「高尾山と言うのは,唯先輩が言った通り東京都八王子市にある標高599mの山です。東京都心から近く、年間を通して多くの観光客や登山者が訪れます。現在では,世界一登山客の多い山として知られており,ミシュランガイドでも最高ランクの“三つ星”の観光地に選出されています。」
唯「すごいね,あずにゃん。よく知ってるね。」
梓「たまたまテレビでやっていましたから。」
紬「私,行ってみたいわ〜。みんなと登山するのが夢だったの〜」
律「よーし,じゃあ今度の日曜日に行こうぜ!」
全員「おー!」
日曜日 京王線新宿駅
唯「うわー! すごい人がいっぱいいるね。」
律「こんなに沢山の人が高尾山に登るのか?」
梓「そもそも新宿駅は日本一の乗降客を誇りますからね。特に京王線新宿駅は,日本の私鉄でも最も乗降客の多い駅ですから。」
澪「私たちはどの電車に乗ればいいんだ?」
梓「調べましたら高尾山口行きの電車に乗ればいいらしいです。」
澪「高尾山口行きは,3番線か。」
紬「高尾山楽しみだなぁ〜」
唯「そうだね,ムギちゃん。」
律「おーい,特急の方が速いんじゃね?」
澪「でも,特急は京王八王子行きだぞ?」
律「だって,右端の方見てみろ。北野で各駅停車 高尾山口行きに連絡しますって表示されてるぞ。」
澪「北野から各駅停車だろ。だったらその後に発車する準特急の方が先に着くんじゃないのか?」
唯「澪ちゃん,なんか北野から先は各駅に止まるらしいよ。」
澪「何だと?」
梓「はい,京王線内では特急と準特急の停車駅は全く同じですので。」
澪「それじゃ準特急の意味ないじゃないのか?」
梓「いえ,北野から高尾山口までの間は準特急は各駅に止まりますが,特急はめじろ台と高尾にしか止まりません。」
澪「だったら特急 高尾山口行きに乗ればいいじゃないか?」
梓「今の時間帯は運転していませんよ。」
澪「何だと?」
梓「だから律先輩が言った通り,特急 京王八王子行きに乗った方が早く着きますよ。」
澪「仕方がない,これに乗るか。」
高尾山口駅
唯&律「やっと着いた〜」
澪「東京でもこんな田舎な風景に出会えるとは。」
梓「まだまだここはまともな方です。もっと田舎な所もあります。」
紬「高尾山のパンフレットもらってきたわ〜」
律「おお,サンキュー,ムギ」
唯「それじゃあ行きますか,りっちゃん隊長!」
律「おー!」
清滝駅
律「さて,どのルートで登るか……」
澪「いろんなルートがあるな。」
梓「基本的には1号路で行く人が多いです。慣れてくると6号路や稲荷山コースを使っている人も多いですが,楽に行きたいなら,ケーブルカーやリフトがお勧めです。」
澪「じゃあケーブルカーにしようかな。」
梓「そうですね,ケーブルカーは安全ですね。」
唯「リフトに乗ろうよ」
律「そうだー! リフト乗りたいー!」
澪「それじゃあ多数決にしよう。私はケーブルカー」
唯&律「リフトがいいー!」
梓「ケーブルカーがいいです。」
澪「ムギは?」
紬「リフトがいいでーす。」
澪&梓(まさかの裏切りー!?)
山麓駅
律「ふぅ,やっと着いた」
紬「ねぇ,このリフト二人乗りらしいわよ。」
唯「おお!」
澪&梓(二人乗りだとー!?)
澪(律と一緒に乗りたい律と一緒に乗りたい律と一緒に乗りたい……)
梓(唯先輩と一緒に乗りたい唯先輩と一緒に乗りたい唯先輩と一緒に乗りたい……)
唯「あずにゃ〜ん,一緒に乗ろうよ!」
梓「はい!」
律「さ〜て,澪は怖がりだからな,ムギ,一緒n」
澪「律,一緒に乗るぞ」グイグイ
律「いてて,分かったよ! 引っ張らないで!」
紬「ウフフ。素敵な予感になりそうね」
リフト移動中 唯&梓
唯「あずにゃん,どんどん登っていくね。」
梓「はい,そうですね。」
梓(唯先輩と一緒に乗れるなんて…… 私,もう死んでもいい!)
唯「あずにゃん,どうしたの?」
梓「にゃ!? い,いや,何でもないです。」
唯「そう? ならいいけど。」
梓「はい,大丈夫です。」
唯「あ,もう到着するよ。」
リフト移動中 律&澪
律「澪,なんで引っ張ったんだよ!?」
澪「だって,一人じゃさみしいからだよ。」
律「まだ2年のクラスのこと引きずってんのか? 和がいたじゃないか?」
澪「そうだけど,いつも生徒会の方に行ってたから。」
律「確かに和は忙しいけど,いいか。放課後ティータイムは誰も仲間はずれにするような裏切り者はいない。いつも一緒だ!」
澪「りつぅ〜」
律「ほら,もう到着するぞ。」
リフト移動中 紬
紬(いいわいいわ。カメラ持ってきてよかったわ)ハァハァ
紬(これよ。これが私の求めていたものよ!)ハァハァ
紬(新たなる百合王国の建国ね。)ハァハァ
紬(と,思っている間に到着か。)
山上駅
律「さて,後は山頂に向かって歩くだけだ!」
唯「はい,りっちゃん隊長!」
紬(素敵なものを撮らせていただきました。)ハァハァ
澪「ムギ,どうしたんだ?」
紬「あ,え,い,いや,何でもないわ。さぁ行きましょう。」
澪「お,おう……」
高尾山中腹
唯「見て見て〜。すごい景色だよ。」
律「お〜綺麗だな。」
紬「本当,すごいわ〜」
澪「怖くない怖くない怖くない怖くない……」
梓「澪先輩,大丈夫ですよ。」
男坂・女坂分岐点
唯「ここは女坂と行きたいところですが。」
律「あえて男坂に行くぞー!」
澪「ちょっと待て。私たちは女子だ。男坂の階段なんか登りたくない。」
梓「そうですよ,あんなきつい階段登るよりもゆったりな坂の方がましです。」
唯&律「えー」ブーブー
澪「それじゃあ多数決にしよう。私は女坂。」
唯&律「男坂がいいー!」
梓「女坂がいいです。」
澪「ムギは?」
紬「男坂がいいでーす。」
澪&梓(まさかの裏切りー!?)
男坂
律「ハァハァ,駄目,もう無理」
唯「私も駄目」
梓「だから女坂にしようって言ったじゃないですか。」
澪「そうなんだけど,ムギは?」
紬「しゃらんらしゃらんら〜♪」
紬以外(汗一つかかずに!?)
薬王院
唯「お寺に到着〜」
澪「へぇ〜 いろいろ売っているんだなぁ」
律「みんな〜 お参りしようぜ!」
澪「いいよ。」
紬「賛成〜」
梓「いいですね。」
梓(唯先輩と結婚できますように唯先輩と結婚できますように唯先輩と結婚できますように……)
澪(律と結婚できますように律と結婚できますように律と結婚できますように……)
唯「あずにゃ〜ん,なんてお参りしたの?」ダキ
梓「にゃ!? え,えーと……」
梓(唯先輩が私に抱きついてくれた。)
律「どーせ胸がおっきくなりますようにだろ?」
梓「それは律先輩の願い事じゃないですか?」
律「まぁ,いつこのようなことを言うようになったのかしら」
唯「本当は?」ギュー
梓(言えない,唯先輩と結婚できますようになんて,言えない)
梓「え,えっと,皆さんがもっと真面目に練習できますようにって」
澪「お,梓いいこというな。」
唯「えー,もっとお菓子食べたーい!」
梓(あ,唯先輩離れてしまった……)
律「そうだそうだー!」
澪「ったく,最近は1回しか合わせてないじゃないか。」
梓「そうですよ。ちゃんと練習しないとダメですよ。」
唯&律「ブー」
紬「ウフフ」
薬王院〜山頂
紬「しゃらんらしゃらんら〜♪」
澪「それにしてもムギはこんな道をよく平気で歩けるな。」
唯&律「もうダメ〜」
梓「先輩,あともうちょっとですからしっかりして下さい。」
唯「あ゛ずにゃ゛〜ん゜」ダキ
梓「にゃ!?」
梓(また抱きついてもらえた! よし!)
梓「よっこらしょっと。」
紬「!?」
紬(カメラセット!!)ハァハァ
梓「うわ!」
唯「あずにゃん,痛いよ〜。」
梓「すみません。」
澪「梓,いくらなんでも梓の体で唯をおんぶするのは無理だ。あとムギは嬉しそうに撮らない。」
梓「そうですね。」
澪「ほら,律に唯,あともうちょっとだから頑張れ」
昼食
紬「私,山の中でみんなと食事するのが夢だったの〜。」
梓「でも,自然の中で食事っていいですよね。」
澪「あ,今歌詞思い浮かんだかも!」
梓「どこに歌詞思い出すポイントがあるんですか?」
律「唯の弁当おいしそうだな。また憂ちゃんに作ってもらったんだろ?」
唯「ううん,今回は自分で作ったよ。」
梓「え,唯先輩自分で弁当作ったんですか?」
澪「唯が自分で弁当を作るなんて,どういう風の吹き回しだ?」
唯「今回高尾山に行くってことは憂に内緒なんだよ。」
梓「何で内緒にする必要があるんですか?」
唯「憂,高尾山にすごく行きたがってるんだ。でも,私たち放課後ティータイムの邪魔になったら困るかなって。」
唯以外「そんな事はない。(ありません。)」
唯「!?!?!?」
律「唯,外出に行くことに邪魔などない。むしろ大歓迎だよ。」
澪「むしろ人数が多いと楽しくなるじゃないか。」
紬「特に今回憂ちゃんすごく高尾山に行きたがってたのに,内緒にするなんて憂ちゃん可哀想じゃない。」
梓「そうですよ。私たち唯先輩の家でパーティーやってたじゃないですか。」
唯「みんな……」
律「次にこういう機会があったら私たちだけじゃなくて他の人も誘おう。」
梓「あ,でもさわ子先生はお断りですね。」
律「また変な衣装持ってくるもんな。」
澪「ひぃ!」
唯「ありがとうみんな。これからは憂や和ちゃん,純ちゃんも誘うよ。」
律「おう! いつでも大歓迎だぜ。」
紬「どんとこいです。」
紬(いっぱい誘えばもっといい展開が……)ハァハァ
澪「ムギ,どうした?」
紬「いや,何でもないわよ。さ,ご飯食べましょ。」
帰路
梓「さて,帰りはどのルートにしますか。まだ時間ありますし,歩いて帰ってもいいんですが。」
澪「そうだな,普通に1号路で帰るか。」
紬「そうですね。」
澪「何で敬語なんだ?」
麓
律「やっと戻ってきたー。」
唯「疲れたー。」
紬「お土産でも買いましょう。」
澪&梓「そうだな。(ですね。)」
紬「あれ,唯ちゃん買わないの?」
唯「うん,帰りの電車賃足りなくなるから。」
唯(憂に内緒だから土産買ったら絶対バレる)
澪「さて,土産も買ったことだし,帰るか。」
全員「おー」
平沢家
唯「ただいまー!」
憂「お帰りお姉ちゃん。」
唯「今日の晩御飯は何?」
憂「今日はそぼろご飯だよ。」
唯「わーい,そ・ぼ・ろ〜♪」
憂「ところでお姉ちゃん。」
唯「何?」
憂「高尾山は楽しかった?」
唯「」
憂「私に内緒で高尾山に行くなんて。何で私を連れていかなかったのかな?」ゴゴゴゴゴゴ
唯「う,憂,お,落ち着いて……」
唯(憂の笑顔が怖いよ)
憂「私は普段から落ち着いているよ。何で私を連れていかなかったのかな?」ゴゴゴゴゴゴ
唯「え,と,そ,それは……」
憂「それは?」ゴゴゴゴゴゴ
唯「そ,それは……」
憂「私は高尾山に行きたかったんだよ。なのにお姉ちゃん勝手に軽音部のみんなと行くなんて。梓ちゃんに用があったけど部室の前で高尾山に行く話聞いちゃったから。お姉ちゃんだったら『一緒に行く?』と聞いてくれると思ったのに結局聞いてくれなかった。私が高尾山に行きたがっていると知りながら。」
唯「だ,だって……」
憂「だってじゃないよね。すごく行きたがっているのに行かせてくれないなんて。めっ!」
唯「ゆるしてつかあさい!」
憂「じゃあ今度高尾山に連れていってね。」
唯「分かりました。連れていってあげます。」
憂「もちろん軽音部のみんなもね。」
唯「軽音部だけじゃなく,和ちゃんや純ちゃんも連れて行くから。」
憂「絶対だよ。約束破ったら何するか分かるよね。」
唯「ハイ……」
憂「風呂沸いているから入ってきな。ご飯まだできないから。」
唯「ハイ……」
バタン
憂「さて,お姉ちゃんにどんな復讐をしようかなぁ。」
終わり
最終更新:2014年04月06日 09:23