別の日・・・

紬「銭湯に行きましょ!」

菫「銭湯…ですか?」

さぁ、また始まりました。
今度は銭湯をご所望らしいです。

紬「うん、銭湯!ところで銭湯ってお風呂屋さんの事よね?」

菫「よくわからないのにそんなに張り切ってたの…」

紬「うん、昨日お父様が言っていたの」

・ ・ ・

紬父『私が幼い頃はな、まだこんな暮らしじゃなかったんだ』

紬父『そりゃもう貧乏で貧乏で、部屋にトイレすら付いていない小さなボロアパートに4人で暮らしていたんだ』

紬父『その頃の楽しみといえば近所の悪ガキ共と暗くなるまで悪さをしてまわる事くらいだったが』

紬父『暗くなってからもう一つ、楽しみがあってな』

紬父『それが銭湯だ』

紬『銭湯…?』

紬父『あぁ。紬、銭湯は知らんのか?』

紬『はい…』

紬父『風呂屋だよ、風呂屋』

紬父『週に何度か、親父…つまり紬のお爺ちゃんに銭湯に連れて行ってもらってな』

紬父『そこで飲む瓶のフルーツ牛乳が楽しみで楽しみでしかたなかったんだ!』

紬『まぁ…!』

・ ・ ・

菫「なるほど。私も銭湯には行った事ないなぁ…」

紬「行ってみない?」

菫「私は構わないけど、つい最近お父様にお叱りを受けたばかりでしょう?」

紬「実はね、もう手は打ってあるの!」

菫「え…?」

・ ・ ・

キキー

斉藤「到着いたしました」

紬「おぉ〜!」

菫「ここが…」

紬父「銭湯だ!」

紬母「ふふ、張り切っちゃって」

紬父「それじゃ斉藤、車は頼んだぞ」

斉藤「かしこまりました」

紬「さ、行こ?菫」

菫「うん!」

ガラガラ

紬「こっちが女湯ね!」

菫「あ、待ってお姉ちゃん。靴は下駄箱に」

紬「あら、はいはい」

紬母「下駄箱のカギをかしなさい。持っておいてあげるわ」

紬「はい、お母様」

菫「ありがとうございます、お母様」

紬母「あらあら、今はそんなに畏まらなくてもいいのよ、菫」ナデナデ

菫「あぅぅ…///」

紬「ふふふ」

紬母「じゃああなたは一人男湯でゆっくりしてきてね」

紬父「くっ……」

紬父「おーい、斉藤!」

斉藤「はい」

紬父「一緒に入るか」

斉藤「喜んでご一緒させて頂きます」

・ ・ ・

カポーン

紬「わぁ〜!ウチのお風呂よりも広いわね!若干」

菫「古そうだけど、綺麗なところだね」

紬「それで!?どうすればいいのかしら!?」

紬「どこのシャワーを使えばいいのかしら!?」

紬母「どこでもいいから、まずはお湯に浸かる前に体を洗ってしまいなさい」

紬「はぁい!」

菫「あ、お姉ちゃん。椅子忘れてるよ」

・ ・ ・

アワアワアワ

紬「なんだか昔にタイムスリップしたみたい」

紬「とってもいい雰囲気だわ」

菫「よかったね、お姉ちゃん」

紬「うん、菫とお風呂に入るのは何年ぶりかしら?」

菫「そういえば…」

紬「小さい頃は毎日一緒に入ってたものね」

菫「そうだね」

紬「菫ったらすっかり大きくなっちゃって」

菫「ど、どこ見て言ってるのお姉ちゃん!」

紬母「うふふ、紬ったら」

キャッキャウフフ

紬父「いい湯だな、斉藤…」

斉藤「はい」

・ ・ ・

紬「なぁにこれ?電気風呂…!?」

菫「えっ…電気が流れてるの?」

紬「大丈夫なのかな?」

紬母「少し浸かってみたら?」

菫「うぅ…なんか怖い」

紬「私、ちょっと入ってみる!」

菫「え、入るの!?」

紬「ちょっとだけちょっとだけ」ソー

紬「きゃっ!」

菫「だ、大丈夫?」

紬「よくわかんなかった」

菫「はぁ……」

紬「もう一回」

紬「いたたた!?」

菫「やっぱり痛いんだ!」

紬「うーん…痛いというより…?」

紬「よくわかんない」

菫「えー…」

紬「ほら、菫もおいで」

菫「え、私はいいかな…」

紬「大丈夫、大丈夫」

菫「え、でもこれ…」チャポン

菫「うわっ…ピリピリきた」

紬「ね?思ったより平気でしょ?」

菫「え、う〜ん…」ソー

菫「あっ…!あんっ!だめ!これやっぱりダメ!」

紬「え〜…すぐに慣れるわよ、ほら」

菫「ちょ、お姉ちゃん!だめだってばぁ!」

紬母「うふふ」

キャッキャウフフ

紬父「………」

斉藤「………」

・ ・ ・

紬「楽しかった!」

菫「すこしはしゃぎ過ぎちゃったね」

紬「久しぶりの菫とのお風呂ですもの」ギュー

菫「お、おねえちゃ…///」

紬「あ、そうだ!」

菫「?」

紬「すみません」

番台の人「はい」

紬「フルーツ牛乳はありますか?」

番台の人「あぁ、そこの冷蔵庫にありますよ」

紬「あ、あった。でもひとつしかないわ。最後の一本かしら?」

番台の人「110円ね」

紬「はい」チャリン

紬「菫、フルーツ牛乳!」

菫「あ、おいしそう」

紬「はい、どうぞ」

菫「あれ、いいの?」

紬「これが最後の一本だから。あとでお姉ちゃんにも半分ちょうだい?」

菫「うん、ありがとうお姉ちゃん!」

・ ・ ・

紬父『おーい、そっちはもう済んだかー?』

菫「あ、お父様が…」

紬母「もう少し待ってちょうだい」

紬父『はやくしなさーい』

紬母「菫、紬を起こして」

菫「はい、お母様」

菫「お姉ちゃん?風邪引くよ〜?」ユサユサ

紬「んん…zzz」

紬母「あなたー?もう少しだから、先に外で待ってて」

紬父『わかった』

菫「もう、お姉ちゃ〜ん?」

紬「えへへ…菫〜zzz」

菫「まったくもう」

紬「菫、ありがとう…zzz」

菫「………」

お姉ちゃん、今日もお疲れ様。




・ ・ ・



・ ・ ・



・ ・ ・



紬父「寒いなぁ、斉藤」

斉藤「はい」



おわり