- 砂漠 -
梓「まさか登下校にラクダまで使ってるなんて・・・」 パッカパッカ
唯「びっくりだよね。ムギちゃん苦労してるんだなあ」ぎゅー パッカパッカ
梓「唯先輩? あんまりこっちに体重かけないでくださいよ」 パッカパッカ
唯「だってあずにゃんに掴まらないとふたりとも落ちちゃうよー?」にやにや パッカパッカ
梓「はぁ・・・オアシスまだかなー。って、おなか触んないのっ」ばしっ パッカパッカ
唯「あぅ! あずにゃんのいけずー」パッカパッカ
律「……いや、おかしいだろおい?!」
澪「律。後ろであんまり動くな、足場悪いんだからちゃんと掴まって」パッカパッカ
律「アッハイ」パッカパッカ
すうじゅうじかんまえ!
唯「それじゃあムギちゃんの家に、いこーっ!」
律「おおーっ!!」
梓「すみませんムギ先輩、いきなり流れで押し掛けちゃう形になって…」
紬「いっいいの全然っ!ぜんっぜん! 友達をうちに呼ぶなんてなかなか無いもの!」
澪「ムギ、ほんとに大丈夫?」
紬「大丈夫、澪ちゃんっ!
ああっでもね、ちょーっと時間かかるかも、そのね、うん・・・」てくてくてく…
<ピッ プルルルル
<サイトー?! イマカラ ワタシノ イウトオリ ジュンビ シテ! ハヤク!!
紬「うん!もう大丈夫! 私、先に行って支度しておくからっ!」
律澪((ほんとに大丈夫なのか・・・))
ぶろろん
律「げっ、本物のリムジンじゃん」
梓「わたし肉眼で見たの何年ぶりだろ・・・」
斉藤「皆様、迎えに参りました」
唯「わあーい! じゃあ私助手席!」ピョンッ
梓「ちょ、大人げないですって!」
澪「あのー、服ってこのままでよろしいんですか? 正装とかしないと…」
斉藤「お召し物はこのままで構いません。それよりも」
律「よりも?」
斉藤「パスポートの方をご用意いただく形になるかと」
澪「……Pardon?」
- 成田国際空港 -
律「私ら、友達の家に遊びに行くんだよな・・・?」
澪「そうだろ律。……たぶん。きっと。そう願いたい」
唯「さいどびじねす!」ビシッ
梓「あーもうイギリスの時から学習してないんですか!」
唯「にっぽん人はにほんごでいいんだよー!ぶーぶー」
梓「はぁ・・・あ、せっかくだし免税店みてこよっかな」
律「あいつら適応はえーな?!」
斉藤「それでは皆さん、こちらに」
澪「あのー、どのくらいで紬さんのお宅に着くんでしょうか?」
斉藤「そうですね……十数時間、」
澪「じゅうすうじかん?!」
斉藤「…か、数十時間かと」
律「その差はでかいって?!」
- Су́здаль -
梓「……さっむ!」ブルッ
唯「あずにゃんさむいよぉ」ぎゅー
梓「あっ……いや、今だけ許可します。冷えるんで。合理的に考えて、です」ぎゅ
唯「わぁい♪ ほっぴすべすべ」ちゅー
梓「なっ、そこまで言ってません!」バシッ
澪「ふふっ、いつもと同じ光景。まるで高校の帰り道みたいだ」ブルッ
律「落ち着けみおー?! ここロシア! 北半球のさらに北だからっ!?」
斉藤「ではここから、ツンドラ地帯を犬ぞりでの移動になりますので…」
律「あいつ通学中にどんな冒険してんだよ!?」
Prrr…
斉藤「おっと失礼」ぴっ
<ハイ、ヨテイドオリデス オジョウサマ・・・
<ツキマシテハ、 12カイ ノ オオソウジガ オワルマデ デスネ、
斉藤「……では行きましょう」
澪(苦労してるんですね…)
唯「えっ犬ぞり? そんなの初めて!」きらきらっ
律「お前らは状況を疑えー!!」
- الربع الخالي -
唯「あずにゃ…ふへぇ……あーじゅーいー・・・・・・」 パッカパッカ
梓「くっつかないでくださいよ…うぅ……」 パッカパッカ
律「……」
澪「……わ、わぁい。ふたこぶラクダに二人乗りなんて、はじめてー」
律「無理しなくていい、澪、状況を受け入れて楽になろう・・・」
斉藤「見えましたぞ、次のオアシスが! おっと」Prrr
ピッ
<シカシ オジョウサマ、 コレイジョウハ ゲンジツテキニ・・・
<ナッ ハナレノ ゾウカイチク ?! ハァ・・・ オオセノママニ
斉藤「……次のオアシスがっ!」カッ
律「斉藤さんも、無理なさらず…」
- กรุงเทพฯ -
律「まず何語だよこれ?!てかどこだよここ!」
澪「ムギの通学路だ。斉藤さんはそう言ってる」
律「私の知ってる通学路じゃねーよ…」
唯「うっわあたかーい!」のっそのっそ
梓「ラクダよりも安定感があって乗り心地良いかもです!」のっそのっそ パオーン
唯「ねえりっちゃんたちも早くゾウさんに乗りなよ! たのしいよ?」のっそのっそ
律「だから適応がはえーんだよお前らはっ!」
澪「今日だけで乗り物のレパートリーがだいぶ増えた…」
律「ムギの通学だけで2時間ドキュメンタリー撮れるわ、これ」
- 琴吹邸 玄関 -
紬「いらっしゃい、みんな♪ ここまで長かったでしょう?おつかれさまっ♪」きゃるーん☆
律「はぁ………………………………」
澪「ま、まあまあ! ムギだって部屋の片づけや支度もあったんでしょ?!」
紬「そ、そうよ! ごめんねりっちゃん、ちょーっと時間がかかっちゃって」
律「だからって通学に37時間はおかしいだろ?!」
紬「ひっ?! ば、ばれた?」きゃるーん
律「37時間て! 丸一日超えてんじゃん! 騙すなら他に何かあるでしょ?!」
澪「学校通えてないしな、この設定だと…」
紬「みんなごめん!ちょっと部屋のおかたづけと、あと驚かせたくって、」
唯「すっごーい! 玄関からシャンデリアがみえるよ?!」
梓「うわあ…トラのじゅうたんってほんとに敷くものなんだ・・・・」
律「無邪気だなあおい!」
澪「二人の将来が心配になってきた」
律(そんなわけで私たちはムギの家を案内され、夕食をいただいた)
律(渡り廊下の窓から私や唯の等身大フィギュアらしきものが見えたのは忘れよう)
律(トイレ行こうとしたら澪のファンクラブ会報が落ちてたのも忘れよう)
律(というかここ新築すぎるし洗面所にまだフィルム貼ってあったのも忘れよう)
律(ついでにソファーのクッションが猫耳梓のぬいぐるみだったことも…忘れ……)
律「忘れることばっかじゃねーか!」
澪「なんだいきなり! ……いや、気持ちは分かるけど。うん」
紬「それでね、いつもここでお茶をいれてるのよ♪」ちゃぽん
唯「わーすっごーい! ホンカクテキってかんじ?」きらきらっ
梓「わたしにも教えてくださいっ! 次の部員に飲ませてあげるために!」めもめも
律「……ま。楽しそうだしいっか。あいつらには隠し通せてるっぽいし」
澪「成長したなあ律も」
Prrrrr
梓「先輩、鳴ってます」
唯「あ、もしもし? お母さん?」
律(えっ今なんでつながったの? てかここ日本の携帯つかえんの?)
ぴっ
唯「う、憂がカゼひいて熱出しちゃってるんだって〜! 38度も!」
紬「ええっ?!」
律「うわっ重症だな」
梓「そしたら早いところ帰って、みてあげた方が」
澪「でも、ここからはさすがに遠いよな」
唯「うん・・・どうしよう・・・」
紬「唯ちゃん、それなら大丈夫!ここからなら駅までタクシーで15分だからっ!」
唯梓「「えっ」」
紬「あっ」
紬「……ああぁあーっ///」プルプル
律(どんまい、ムギ)
完
最終更新:2014年04月07日 23:03