□SCENE20‐琴吹邸内某所
菫「結果発表ー!」
直「はっぴょー」
菫「ついに待ちに待った結果発表の時間です!
今回の企画では各部門ごとにランキングを発表して、最後に総合優勝作品を発表します!」
菫「初めての試みなので、色々心配ですが……」
菫「……でも頑張っていきたいと思います! はい!」
直「数値にミスが無ければいいんだけどね」
菫「有難いことに十七作品も集まったからね。さらに採点も十一人。
企画者としても嬉しい悲鳴をあげながら、数値を入力していたぐらいだよ」
直「でもその集計は私に任せっきりだったよね?」
菫「えっ」
直「菫はなにもしてなかったよね?」
菫(完全に任せっきりにしたこと怒ってる……)
菫「そ、そうだ直ちゃん! 私、美味しい和菓子持ってきたんだよ!」
直「和菓子一つで私の苦労は拭えないんだけど……」
菫(一層沈んじゃった……)
直「けど食べる」
菫(食べるんだ)
直「まずは雰囲気部門から発表するよ。菫、プロジェクターを」
菫「うん!」
天井から白いスクリーンが下りてくる。
そこに、直のパソコンと繋がったプロジェクターで、映像が映された。
直「雰囲気部門の平均合計点は37.1点だったよ」
菫「あれ、結構高いんだね?」
直「雰囲気の平均点は他の部門の中でも一番高かったよ。ちょっとこの数値を見て」
【37.1、34.3、34.8、33.2、35.7、175.0】
菫「これは?」
直「雰囲気、冒頭、展開、読後感、読みやすさ、合計点のそれぞれの平均。
これを見ればわかるように、雰囲気は他と比べてずば抜けているんだよ」
直「触れやすい空気の作りやすさ、それがけいおんSSの特徴でもあると、
このデータから言えるかもしれない」
菫「へえ〜」
直「でも全国の読者と比較すれば、十一人なんて人数は僅かなものだから、
全てに当て嵌めるのはよくないね。あくまで参考程度に、ってことで」
菫「わかったよ。じゃあ、順位発表しちゃって!」
【雰囲気部門ランキング】
11位 …… 十六番手◆H2u4HYHizsさん:
聡「初恋」
菫「というわけで雰囲気部門第一位は十三番手◆agqlNoYF4oさんでした!
おめでとうございます!」
菫「……それにしても、三位に四作品も固まってるんだね」
直「詳しい点数の内訳は、総合発表の時に言おうと思うよ」
菫「こうやって見てみると、上位は地の文ありの形式が多いのかな?」
直「雰囲気を作るのは地の文のほうが直接的にやりやすいからね。
勿論、会話で雰囲気を作ることも出来るから、台本形式が一方的に不利ってわけじゃないけど」
菫「なるほど……」
直「それじゃ今度は、冒頭部門。冒頭部門の順位はこんな具合になったよ」
【冒頭部門ランキング】
菫「よって、冒頭部門第一位は十二番手◆K0TON1AIBgさんでした! おめでとうございます!」
直「冒頭の一位は
コメディが取ると思ってたけど、その通りになったね」
菫「掴みは大切だもんね」
直「うん。きっとギャグはこう、掴みだよ掴み。ふんっ!」
直が唐突に菫の手を掴む。
菫「わわっ! どうしたの直ちゃん!」
直「掴みの練習」
直「次は展開部門のランキングを発表するよ」
菫「うん、お願い!」
【展開部門ランキング】
15位 …… 八番手◆6nSiQG3K46さん:
律「許嫁?」
菫「結果、展開部門第一位は十三番手◆agqlNoYF4oさんです! おめでとうございます!」
直「展開部門ってことは、読者に飽きを来させない展開を
用意してくれた作品ほど、上位に来ているんだね」
直「……飽きない展開か」
菫「どうしたの直ちゃん?」
直「そろそろこの結果発表も展開を変えようかな、と」
菫「あはは、確かに全部含めちゃうと長いもんね……。いつか飽きちゃうかも」
直「どうしようかなー……」
菫「うーん……」
直「……あっ、思いついた」
菫「ん?」
直「結果発表に飽き飽きしている皆さん」
直「実は今、菫はスクール水着を着用しています」
菫「直ちゃん!?」
直「よし、これで掴みはオッケー」
菫「嘘は良くないよ! 私、メイド服だよ!」
直(それはそれで……っていつも通りすぎるか)
直「次に読後感部門。結果はこちら」
【読後感部門ランキング】
菫「またまた一位は十三番手◆agqlNoYF4oさんです……って、これで三部門制覇!?
素晴らしいです、おめでとうございます!」
直「読後感は最終的な評価を決める、重要なポイント。
なにより読んで良かったと思われたいなら、ここを重視してもいいかもね」
菫「ところで展開部門とランキングが似通ってる作品が多いような?」
直「うん、丁寧な展開をさせてる作品は、最後もほぼ綺麗に決まるのかもしれない」
直「一方で大きく順位を伸ばした作品、落とした作品もあって、
一概にも言えないっていうのが本当のところだけど」
直「それと、この部門の平均点は他の部門と比べて最低点なんだ」
菫「雰囲気の平均点が37.1点なのに、こっちの平均点は33.2点だ!」
直「大きな課題の一つとして捉えてもいいかもしれないよ」
菫「じゃあ部門別最後だよ、直ちゃん! 読みやすさ部門の結果発表!」
直「んっ」
【読みやすさ部門ランキング】
17位 …… 十六番手◆H2u4HYHizsさん:
聡「初恋」
菫「読みやすさ部門一位は十二番手◆K0TON1AIBgさんでした!
こちらは二部門制覇ですね、おめでとうございます!」
菫「……これ順位の固まり方がすごいね」
直「うん。とはいえ悪い意味じゃないよ。
平均点も35.7点、部門ごとの平均点では上から二番目だし」
直「それより私が思うのは、この部門が地の文のものだけじゃなくて、
台本形式でも適用されているってことかな」
菫「確かに同じ台本形式でも差が出てるもんね」
直「読みやすさが指すものは人によって大きく違うと思うけど、
だとしても台本形式で度外視することなんて出来ない」
直「それがよくわかる結果といえるね」
菫「……よし。じゃあ今度は総合順位の発表だね?」
直「うん。細かい点数分布まできっちり展開していくよ。
ついでに菫のスク水も徐々に展開していくよ」
菫「展開するスク水ってなに!?」
直「卑猥なもの」
菫「えーっと、ここからは一つ一つ発表していきたいと思います」
直「おー」
菫と直の前には、「17」と書かれた扉が二人の道を塞いでいた。
菫「……それじゃ、お邪魔します」
□SCENE21‐琴吹邸内≪17の部屋≫
菫「突然だけどここは総合部門、十七位の作品の世界」
直「えっ」
菫「琴吹グループが総力をあげて作ったの」
直(……お金も時間もあるんだなあ)
そこに突如、菫と同様、金髪の少女が現れる。
直「あれ、あなたは……」
菫?「というわけで、総合部門第十七位の作品はそっくりネタを活用した……」
菫「そういうことなんだよ、直ちゃん」
直(やっぱり眉毛が違いすぎるような……)
直「あっ、合計点は145点でした。そしてこちらがデータです」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:32点 … (1点 * 0 / 2点 * 2 / 3点 * 8 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
冒頭:28点 … (1点 * 0 / 2点 * 5 / 3点 * 6 / 4点 * 0 / 5点 * 0)
展開:28点 … (1点 * 0 / 2点 * 5 / 3点 * 6 / 4点 * 0 / 5点 * 0)
読後感:26点 … (1点 * 2 / 2点 * 4 / 3点 * 4 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
読みやすさ:31点 … (1点 * 0 / 2点 * 3 / 3点 * 7 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
合計:145点
平均:29点
直「括弧内は点数の内訳を示しています」
菫「一レス系だからある程度仕方のない部分があるのかな」
直「限られた中でどれほどのものを仕上げるのか、その一発性が一レス系の良さであり、
同時に弱点でもあるんだね」
直「点数を見る限り、全体的に低評価といえるね。
特に読後感ではそれが顕著に表れているみたいだよ」
菫?「私は最後の菫のツッコミ、良かったと思うわ!」
菫「お、お姉ちゃん……!」
直(隠す気ゼロですか琴吹先輩……)
直「まあ、そうですね。菫が映えていた作品だったと思います」
菫「あ、そうだ直ちゃん」
菫?「どっちが菫でしょう!」
直「ほら次の部屋行くよ、菫」
菫「わわっ、ちょっと待ってよー!」
菫?「……面白いお友達が出来たのね、菫」
□SCENE22‐琴吹邸内≪16の部屋≫
直「今度はどんな部屋を用意したの?」
菫「えっと、確かねー……」
そう言いながら扉を開けた先に広がっていたのは、結婚式場であった。
直「ああ、なるほど……」
直「私と菫が結婚しろと」
菫「えっ、あ、そういうことじゃなくて」
直「大丈夫。菫を不幸になんかしないから」
菫「いや、ただそういう部屋にしただけで……」
直「菫は嫌?」
菫「そ、そんな……嫌ってほどじゃないんだけど……でも……」
直「まあ全部演技なんだけど」
菫「えっ」
直「というわけで第十六位の作品は、全部演技だったという衝撃展開で最後を締めくくった!」
直「合計点は152点でした」
直「詳細は以下の通りです」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:31点 … (1点 * 1 / 2点 * 0 / 3点 * 10 / 4点 * 0 / 5点 * 0)
冒頭:30点 … (1点 * 1 / 2点 * 2 / 3点 * 7 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
展開:30点 … (1点 * 2 / 2点 * 1 / 3点 * 6 / 4点 * 2 / 5点 * 0)
読後感:30点 … (1点 * 1 / 2点 * 4 / 3点 * 4 / 4点 * 1 / 5点 * 1)
読みやすさ:31点 … (1点 * 0 / 2点 * 3 / 3点 * 7 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
合計:152点
平均:30.4点
直「琴吹先輩のお父さんが田井中先輩に色々とどうなのかと思うこと等をするも、
結局は全て仕組まれていたことだった……という作品だね」
直「どの部門も高評価とはいえなさそう。
特に5点があるとはいえ、読後感に2点が集中していることがわかるよね」
直「最後の終わり方が評価を大きく分けたみたい」
菫「……」
直「菫?」
菫「……次の部屋行くよ」
直(怒ってる?)
最終更新:2014年04月14日 08:04