□SCENE23‐琴吹邸内≪15の部屋≫
二人が入った部屋は、ただひたすらに広大な部屋だった。
直「……なんだろう、ここ」
直「菫、ここはなんの部屋なの?」
菫「広いだけの部屋だよ。琴吹家最大の部屋で、
学校の一つのクラスとその親族、知人が入っても大丈夫なんだ」
直「へー……。あっ、つまり第十五位の作品は、
大勢の人をなだれ込ませて琴吹家の広さを強調していた……」
菫「……」
直「……えっと、合計点は156点でした。内訳は以下の通りです」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:31点 … (1点 * 0 / 2点 * 2 / 3点 * 9 / 4点 * 0 / 5点 * 0)
冒頭:29点 … (1点 * 2 / 2点 * 1 / 3点 * 7 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
展開:32点 … (1点 * 2 / 2点 * 2 / 3点 * 3 / 4点 * 3 / 5点 * 1)
読後感:28点 … (1点 * 1 / 2点 * 4 / 3点 * 5 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
読みやすさ:36点 … (1点 * 1 / 2点 * 1 / 3点 * 4 / 4点 * 4 / 5点 * 1)
合計:156点
平均:31.2点
直「琴吹家に招き入れられた人が雪崩のように増えていって、
最終的にはここまでになるのか! という作品だね」
直「これも一レス系だから仕方ない部分が多いよね。
読みやすさは比較的高評価のようだけど」
直「あと気になったのは、展開の点数が大きく分かれているところかな」
菫「……そうだね」
直「菫……」
菫「ふんっ」
直「怒ってるところ悪いんだけど、次の部屋に案内してくれる?」
菫「直ちゃんデリカシーなさすぎるよっ!」
□SCENE24‐琴吹邸内≪14の部屋≫
直「ここが今度の部屋? ……なんだろ、この香り」
直の鼻腔をくすぐるのは、切ない色を含んだ甘酸っぱい香りであった。
菫「直ちゃん、一応言っておくけど私まだ怒ってるからね」
直「……そんなにあれを本気と捉えちゃったの?」
菫「うっ」
直「冗談を本気と捉えちゃったんだ?」
菫「も、もう! 早く次の順位発表するよ!」
直「人の気持ちは難しいなあ」
直「……ということで第十四位の作品は、
そんな難しい気持ちの中の代表、初恋をテーマにした!」
直「十六番手◆H2u4HYHizsさん:
聡「初恋」です!」
菫「……合計点は162点でした!」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:35点 … (1点 * 1 / 2点 * 1 / 3点 * 5 / 4点 * 3 / 5点 * 1)
冒頭:31点 … (1点 * 0 / 2点 * 4 / 3点 * 6 / 4点 * 0 / 5点 * 1)
展開:33点 … (1点 * 0 / 2点 * 3 / 3点 * 6 / 4点 * 1 / 5点 * 1)
読後感:35点 … (1点 * 1 / 2点 * 1 / 3点 * 5 / 4点 * 3 / 5点 * 1)
読みやすさ:28点 … (1点 * 1 / 2点 * 3 / 3点 * 7 / 4点 * 0 / 5点 * 0)
合計:162点
平均:32.4点
菫「珍しく田井中先輩の弟を主役に、一目惚れと失恋を書いた作品。
最後の胸にくる切なさが強烈だね」
直「そのこともあって、全体的には低い評価なんだけど、
読後感では比較的高い評価を得ているよ」
直「ただ、読みやすさでは最低点。
即興で書いていたみたいだから、ある程度は仕方のないことなのかもしれないけど」
直「そういえば菫の初恋の相手って誰?」
菫「と、唐突だね……」
直「気になって」
菫「……じ、じゃあ次の部屋に行こう!」
直「あ、逃げた! 待って!」
□SCENE25‐琴吹邸内≪13の部屋≫
菫「ふー……直ちゃんの足が遅くて助かった……」
直「ぜーはー……ぜーはー……」
菫「ついでに体力も全然無くて助かった」
直「こ、この部屋……は、なに……?」
四方の壁に貼られているのは、金髪の少女二人が並んで映る写真だった。
菫「あ、えっと。この部屋は私とお姉ちゃんの思い出が詰まった部屋だよ。
二人の成長記録といえばいいのかな」
直「二人の成長……」
菫「そう」
菫「そんな、私とお姉ちゃんの成長を微笑ましく書いた第十三位の作品は!」
直「ご、合計点は163点でした……!」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:34点 … (1点 * 0 / 2点 * 1 / 3点 * 8 / 4点 * 2 / 5点 * 0)
冒頭:30点 … (1点 * 0 / 2点 * 3 / 3点 * 8 / 4点 * 0 / 5点 * 0)
展開:28点 … (1点 * 2 / 2点 * 1 / 3点 * 8 / 4点 * 0 / 5点 * 0)
読後感:34点 … (1点 * 0 / 2点 * 2 / 3点 * 6 / 4点 * 3 / 5点 * 0)
読みやすさ:37点 … (1点 * 0 / 2点 * 1 / 3点 * 5 / 4点 * 5 / 5点 * 0)
合計:163点
平均:32.6点
菫「お姉ちゃんが私とどんな道を歩んできて、
一体どんな言葉を交わしてここまで来たのか、それを書いていた作品だね」
直「……ふー……」
直「冒頭と展開が低評価だけど、読後感で盛り返してる。
一方で読みやすさは比較的高評価……まあほのぼのにありがちな点数分布かもね」
菫「……あれ、十四位の人と一点しか違わないんだ!」
直「でもどこが評価されたか、そこは大きく分かれているよね?
それがこの採点方法の醍醐味ってやつだよ」
紬「楽しそうね、二人とも」
菫「あ、お姉ちゃん!」
直「さっきはどうも」
紬「なんの話?」
直(あれで誤魔化せると思ってるの……?)
紬「まだまだ先は長いけど、二人とも頑張ってね。応援してるから」
菫「うん、ありがとうお姉ちゃん」
紬「……二人のこと、応援してるから!」
菫「う、うん?」
直「菫、そろそろ次の部屋に」
□SCENE26‐琴吹邸内≪12の部屋≫
菫「ふう、いきなりお姉ちゃんが出てくるなんてびっくりしたよ」
直「私としてはさっきのあれで誤魔化せたと、未だ思ってる二人にびっくりだよ」
直「それで、この部屋はどんな部屋なの?
見た感じは普通の豪邸のお部屋って感じがして、特徴が少ないんだけど」
菫「貸し切りのお部屋。予約を取った人が利用できる、特別な部屋なの」
直「あ、つまり第十二位の作品は、
琴吹家に元々あった“予約必須”の設定を上手く使ったあの作品……」
菫「合計点は165点でした!」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:30点 … (1点 * 0 / 2点 * 3 / 3点 * 8 / 4点 * 0 / 5点 * 0)
冒頭:32点 … (1点 * 0 / 2点 * 3 / 3点 * 6 / 4点 * 2 / 5点 * 0)
展開:35点 … (1点 * 0 / 2点 * 2 / 3点 * 6 / 4点 * 2 / 5点 * 1)
読後感:31点 … (1点 * 0 / 2点 * 4 / 3点 * 5 / 4点 * 2 / 5点 * 0)
読みやすさ:37点 … (1点 * 0 / 2点 * 0 / 3点 * 8 / 4点 * 2 / 5点 * 1)
合計:165点
平均:33点
菫「そう……琴吹の人間でも、予約をとらないといけないのは同じ……。
当然、斉藤家の人間だって……! という作品だね」
直「読後感がやや低評価のようだけど、冒頭、展開では安定した評価という感じだね。
雰囲気が低いのは一レス系の宿命なのかな」
菫「一レスでいかに雰囲気を作れるかも、それを書く人の課題なのかも?」
直「その一方、読みやすさは比較的高評価で固まってるね。
これも一レス系の強みといえるのかもしれない」
直「ところでこんな発表のためによく部屋を貸せたね?
常に一杯なんじゃなかった?」
菫「この企画は何年も前から計画されたのものだから、
部屋の予約なんて済んでいて当然なんだよ」
直「へー」
菫「うん」
直「……」
菫「……」
直「……よし、次に行こう」
菫「あ、冗談なのに一つもツッコんでくれないんだね!?」
□SCENE27‐琴吹邸内≪11の部屋≫
直「今度の部屋は暖かいね」
菫「そうでしょ? そして、これを見てよ」
直の眼前を、桃色のなにかがひらりと舞う。
直「……まさか、これ」
菫「そう。桜だよ」
菫「というわけで綺麗な第十一位の作品は桜咲く風景が自然と思い浮かぶ!」
菫「合計点は168点でした!」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:41点 … (1点 * 0 / 2点 * 1 / 3点 * 4 / 4点 * 3 / 5点 * 3)
冒頭:31点 … (1点 * 1 / 2点 * 2 / 3点 * 6 / 4点 * 2 / 5点 * 0)
展開:33点 … (1点 * 1 / 2点 * 1 / 3点 * 6 / 4点 * 3 / 5点 * 0)
読後感:33点 … (1点 * 1 / 2点 * 1 / 3点 * 6 / 4点 * 3 / 5点 * 0)
読みやすさ:30点 … (1点 * 1 / 2点 * 2 / 3点 * 7 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
合計:168点
平均:33.6点
直「写真を撮りに出掛けた先輩たちと桜が、ともに美しく咲いている作品だね」
菫「中身の三要素、冒頭、展開、読後感では安定した評価が出ているね」
直「若干冒頭が低めに出ちゃってるけど、
この作品で特筆すべき点はやっぱり雰囲気の評価の高さかな」
菫「他の項目に比べて十点近くの差を出しているね」
直「雰囲気作りは上手くいったと言っていいね。
だから問題は読みやすさ。これが結構低評価になってる」
菫「この人は一番手としても作品を書いてくれた人だね! 感謝感謝!」
直「……それにしても桜かー……」
菫「桜だねー……」
菫「……はっ! わ、私は他の娘とは絶対しないことをするつもりはないからね!」
直「なんの話をしてるの?」
□SCENE28‐琴吹邸内≪10の部屋≫
直「あれ、ここの部屋、雰囲気違うね?」
菫「うん。だって琴吹家じゃないもん」
直「えっ?」
純「……人の家に勝手に穴開けおったのはお前らかー!」
直「あ、純先輩。こんばんは」
純「挨拶なんてしてる暇じゃないから! ねえ一体なんなの、この穴!?」
菫「というわけで隣の人がちょこっとしか出てきていないのに、
タイトルに何故か出てきてしまっていた第十位の作品は……」
菫「合計点は172点でした」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:37点 … (1点 * 0 / 2点 * 1 / 3点 * 6 / 4点 * 3 / 5点 * 1)
冒頭:38点 … (1点 * 0 / 2点 * 2 / 3点 * 4 / 4点 * 3 / 5点 * 2)
展開:33点 … (1点 * 0 / 2点 * 2 / 3点 * 8 / 4点 * 0 / 5点 * 1)
読後感:27点 … (1点 * 0 / 2点 * 7 / 3点 * 3 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
読みやすさ:37点 … (1点 * 0 / 2点 * 1 / 3点 * 7 / 4点 * 1 / 5点 * 2)
合計:172点
平均:34.4点
直「隣の純先輩のことは置いておいて、
ムギ先輩の家の色々な秘密に迫っていった作品だね」
直「冒頭が高評価なんだけど、展開、読後感と進むにつれて評価が低くなっているね。
特に読後感は他の作品と比べても、結構低めだよ」
直「一方で雰囲気と読みやすさでは比較的高評価で、十分な水準に達してる。
これは改善点が結構見えやすい結果といえるよ」
純「改善はいいから、私の家の修繕はどうしてくれるのかな?」
純が怒りを交えた疑問を呈すと、突如眼前に初老の男性が姿を現した。
彼は琴吹家に代々仕える斉藤家の最高責任者であった。
斉藤「その点は大丈夫です。我々が完全に元に戻しますので」
純「あ、そうですか……」
直「それじゃ次の部屋に行こー」
菫「うん!」
純「君ら先輩のことに無関心すぎないかね?」
□SCENE29‐琴吹邸内≪9の部屋≫
菫「次からはついに一桁に突入だね」
直「うん。そして九位は十七作品のちょうど中心。折り返し地点でもあるよ」
直「そんな折り返し地点ではあるんだけど……」
直の目に映ったものは、数えきれないほどのモニターと、
なにやら怪しい機械と、妙なコスプレをした紬の姿だった。
直(うわあ……)
紬「……そう」
紬「というわけで第九位の作品は、私が主導する謎の組織が活躍している」
紬「合計点は175点です」
■各部門の合計点と内訳
雰囲気:38点 … (1点 * 0 / 2点 * 0 / 3点 * 7 / 4点 * 3 / 5点 * 1)
冒頭:34点 … (1点 * 0 / 2点 * 3 / 3点 * 6 / 4点 * 0 / 5点 * 2)
展開:36点 … (1点 * 0 / 2点 * 2 / 3点 * 5 / 4点 * 3 / 5点 * 1)
読後感:30点 … (1点 * 0 / 2点 * 4 / 3点 * 6 / 4点 * 1 / 5点 * 0)
読みやすさ:37点 … (1点 * 0 / 2点 * 1 / 3点 * 5 / 4点 * 5 / 5点 * 0)
合計:175点
平均:35点
菫「お姉ちゃん率いる謎の組織ツムギュダーと、正義の味方が戦う様子を書いた作品だね」
直「冒頭から展開にかけて若干取り戻してるけど、読後感で評価を大きく低下させている。
あの終わり方はすっきりしなかったという人が多いってことだね」
直「一方で雰囲気、読みやすさは比較的高評価。
中身をもっと整えてあげれば、また評価は変わっただろうね」
紬「そういえばこの175点って、合計点の平均ね」
直「まさにど真ん中に位置している作品ってところですかね。
……で、そのコスプレに対して、私はどうすればいいんですか?」
紬「ツッコミちょうだい!」
直「菫、次の部屋を」
紬「しゅん」
菫「……そ、その格好変だね!」
紬「菫……!」
直(これでいいんだ……)
最終更新:2014年04月14日 08:05