天界
さわ子「人間になったんだから、立ち入り禁止の筈よ?」
いちご「動物の神にお願いがあって来ました」
さわ子「何?言ってみなさい」
エリ「澪達を姫子の夢に出させてあげたいんです」
いちご「感謝の気持ちを伝える為に」
さわ子「猫神、犬神」
さわ子「貴女達は神なのよ?神とは全体を見るもの」
さわ子「特定の人間や動物に肩入れすべきではないのよ」
いちご「お願いします、澪達は純粋に姫子に感謝の気持ちを伝えたいだけなんです」
エリ「動物の保護の仕事も今まで以上に頑張ります」
さわ子「駄目よ、猫神も犬神もまた私に逆らうつもりなの?」
いちご「そんなつもりでは…」
さわ子「姫子や澪達に差し迫った危機の時のみ神としての力を使ってよいと言った筈よ?今は差し迫った危機じゃないでしょう?」
エリ「でも!」
さわ子「でも、何?」ジロッ
エリ「私は澪達だけじゃなく、人間を慕う全てのペット達に同じように機会を与えてあげたいんです」
さわ子「そんな事が出来ると思ってるの?」
エリ「思ってます!」
さわ子「猫神、貴女はどうなの?」
いちご「私も犬神と同じ気持ちです」
エリ&いちご「私達は自分の考えは間違ってないと思ってます!」
さわ子「…」
いちご「お願いします」
エリ「お願いします」
さわ子「わかったわよ」
さわ子「但し、言った事はやり通しなさいよ?」
いちご「ありがとうございます」
エリ「ありがとうございます」
さわ子「早く行きなさい」
いちご&エリ「はい!」
トミ「何だかんだ言って最後は許すのかい?」
さわ子「…」
トミ「二人が可愛くて仕方ない癖に素直じゃないねぇ」
さわ子「私に反論されたくらいで自分の考えを安易に変えるくらいなら…」
トミ「くらいなら?」
さわ子「あの二人を後継者にしようなんて思いません」
トミ「ほっほっ、あの二人は昔のあんたそっくりだよ」
さわ子「…」
姫子家
いちご「許可が出たよ」
エリ「今から、姫子の夢に出るからね」
澪にゃん「猫神様、大丈夫だったのかにゃん?」
いちご「大丈夫だから心配しないで」
純にゃん「ありがとうございますにゃん」
梓にゃん「本当にありがとうございますにゃん」
律にゃん「き、緊張してきたにゃん」
紬にゃん「律にゃん落ち着くにゃん」
憂にゃん「やっと話せるにゃん」
唯にゃん「とっても、嬉しいにゃん」
菫にゃん「早く伝えたいにゃん」
直にゃん「うん、感謝してもしきれないにゃん」
エリ「じゃあ、行くよ」
姫子の夢の中
姫子「うん?これは夢?何だか不思議な場所…」
いちご「姫子、ここは貴女の夢の世界」
姫子「いちご?どうしたの?」
エリ「夢であり現実」
姫子「どういう事?」
いちご「今から、貴女を心から愛する者達が貴女に感謝の気持ちを伝えに来る」
姫子「誰だろ…?」
エリ「さぁ、入って来なさい」
澪純梓唯律紬憂菫直「こんばんはにゃん」
姫子「澪?何で言葉がわかるの?」
いちご「先ずは唯から行きなさい」
唯にゃん「姫ちゃん、私と憂を引き取ってくれてありがとうにゃん」
姫子「唯…」
唯にゃん「和ちゃんと別れる時、とっても寂しかったにゃん」
姫子「大事にされてたもんね」
唯にゃん「でも、姫ちゃんは私も憂もとっても大切にしてくれたにゃん」
唯にゃん「そして、和ちゃんにも会わせてくれるにゃん」
唯にゃん「私と憂にはご主人様が二人居て、とっても贅沢な猫にゃん」
唯にゃん「本当にありがとうにゃん」
姫子「こちらこそ、ありがとう唯」
エリ「じゃあ、憂」
憂にゃん「和ちゃんが泣きながら私達を引き取ってくれと頼みに来た時、和ちゃんを責めないでくれてありがとうございますにゃん」
姫子「仕方ないよ、彼女も辛かったと思うよ」
いちご「じゃあ、紬」
紬にゃん「私は姫子ちゃんに飼われて幸せですにゃん」
姫子「ありがとう、紬」
紬にゃん「皆と一緒に居れて毎日楽しいにゃん」
紬にゃん「そして、私をお姉ちゃんと呼んでくれる猫が出来たのにゃん」
姫子「うん?誰かな?」
紬にゃん「菫にゃんですにゃん」
姫子「そういえば、2匹は似てるもんね」
紬にゃん「こんなに楽しい毎日を本当にありがとうございますにゃん」
姫子「私も毎日楽しいよ、ありがとう」
いちご「次は律」
律にゃん「私も仲間と姫子に囲まれて毎日幸せにゃん」
姫子「うん」
律にゃん「澪にゃんとも毎日居れるから楽しいにゃん」
姫子「とっても仲良しだもんね」
澪にゃん「私が人間や飼い猫を信じれるようになったのは律にゃんのお蔭にゃん」
姫子「そうなの?律は凄いね」
律にゃん「これからも宜しくお願いしますにゃん」
姫子「こちらこそ宜しくね律」
エリ「じゃあ、菫」
菫にゃん「私は死にそうな所を貴女に拾われたにゃん」
姫子「大変だったもんね」
菫にゃん「最初は貴女の事が大嫌いだったにゃん」
姫子「そうだろうね」
菫にゃん「でも、貴女は私に優しく接してくれたにゃん」
菫にゃん「病気を治してくれましたにゃん」
姫子「私は獣医だからね」
菫にゃん「そして、こんなに素晴らしい先輩方と出会わせてくれたにゃん…」
姫子「菫…」
菫にゃん「だから…だから…本当に本当に…あ…りが…とうございますにゃ…ん」
菫にゃん「うぐっひっぐにゃん…」ぐすっ
姫子「よしよし」なでなで
エリ「じゃあ、直」
直にゃん「私は物心ついた時から菫にゃんと一緒に居ましたにゃん」
姫子「2匹は仲良しだもんね」
直にゃん「菫にゃん以外の猫は怖かったにゃん」
直にゃん「人間なんて、とんでもなかったにゃん」
直にゃん「でも、貴女は常に笑顔だったにゃん」
直にゃん「その優しさが笑顔が凍てついていた菫にゃんと私の心を溶かしてくれましたにゃん」
直にゃん「だから…感謝してもしきれないにゃん…」
直にゃん「本当に本当にありがとうございましたにゃん…」ぐすっ
姫子「良いんだよ、私は皆に思い切り遊んで楽しく毎日過ごして欲しいだけだから」
いちご「純、行きなさい」
澪にゃん「3匹で言わせて欲しいにゃん」
エリ「わかった、良いよ」
澪にゃん「私は虐待されて誰も信じられなくなってましたにゃん」
梓にゃん「私も虐待されて常に何かに怯える毎日でしたにゃん」
純にゃん「私は寂しくて泣いてばかりいたにゃん」
澪にゃん「そんな私達を初めて撫でてくれたのがご主人様でしたにゃん」
姫子「…」
梓にゃん「虐待の夢に怯えてた時」
純にゃん「寂しさで泣いてた時」
澪純梓「ご主人様は私達を抱き締めてくれたにゃん」
姫子「皆…」
澪純梓「私達に温もりと優しさを本当にありがとうございますにゃん」
姫子「うん」ぐすっ
いちご「貴女が事故に遭った時、命を懸けて祈りを3匹は捧げたの」
姫子「えっ?祈り?いちごは何者?」
いちご「私は猫神」
エリ「私は犬神」
姫子「か、神様だったの?」
いちご「一度、貴女を犬神と共に助けたの」
エリ「その時は記憶を消したから覚えてないのも当たり前だよ」
姫子「実は凄かったんだね…」
いちご「私達は人間の間、貴女を全力でサポートする使命がある」
エリ「神が二人も付いてるから安心して活動しようね」
姫子「うん、ありがとう」
姫子「澪、純、梓」
姫子「私が事故に遭った時、貴女達の夢を見た…」
姫子「ずっと貴女達は叫んでた」
姫子「こっちに来てはいけない」
姫子「早く戻れって…」
姫子「あれは夢じゃなくて現実だったんだね」ぐすっ
姫子「皆、おいで」
姫子「ありがとうありがとう皆」ぎゅっ
姫子「今の私があるのは貴女達のお蔭なんだよ」ぎゅっ
姫子「長生きしてね皆」ぎゅっ
澪純梓唯律紬憂菫直「にゃー暖かいにゃーん」すりすり
翌朝
姫子「う、うーん…」
姫子「夢か…でも、何だか凄く暖かい気分だな」
姫子「皆は?」
姫子「あはは、また猫団子してる」
姫子「ありがとう」
姫子「きっと夢じゃなかったんだね」
いちご「おはよう」
エリ「おはよう、気分はどう?」
姫子「気分はねーとっても最高だよ!」
おしまい
最終更新:2014年05月22日 22:30