カチャ

梓「こんにちはー」

唯「あーずにゃん!」ダキッ

梓「わっ、お疲れさまです唯先輩、今日も相変わらずですね」

唯「えへへ、それほどでもー」

梓「褒めてるわけじゃないですから……さ、おしまいです」グイッ

唯「むー」

律「今日も安定感ある放課後の一幕だなー、はっはっは」

紬「うふふ、梓ちゃんお疲れさま」

梓「ムギ先輩もお疲れさまです、ついでに律先輩も…?」

律「ん〜? ついでにとはどういうことかなというか何故疑問形かな?」

梓「いえ、澪先輩の姿がないので…」

律「ああ、澪なら…」


・・・


カチャ

澪「ん、梓?」

梓「み、澪先輩、どうして今屋上に出てきたのが私だって分かったんですか?」

澪「ああ、それはドアの開く音というか開け方でなんとなく…かな」

梓「ドアの開け方で…ですか?」

澪「うん、唯や律の場合はガチャッ、て感じで元気にドアを開けて入ってくるけど…」

澪「ムギや梓はカチャ、と静かに丁寧にドアを開けて入ってくるから」

梓「そう言われると確かにそんな感じしますね」

澪「それで、ムギと梓を比べるとドアノブを回してドアを開ける間が梓のほうがゆっくりだから…」

澪「だから今屋上に出てきたのが梓だって何となく分かった感じかな」

梓「でも、部室のドアと屋上のドアでは違うのでは?」

澪「それでも梓なら分かるよ、これでも梓のことはいつも見ているから」

梓「なっ、か、からかわないで下さい!///」

梓(ほんとはすごく嬉しいですけど…///)

澪「別にからかってなんてないけど…まあいいか、梓はどうしてここに?」

梓「だって部室に行ったら澪先輩だけいないので…それで律先輩から屋上に出てるって聞きましたから」

澪「だからってわざわざ梓まで屋上に来ることないぞ、まだムギが持ってきてくれたケーキだって食べてないんじゃ…」

梓「それでも、私は澪先輩のそばにいたいんです」

澪「え…?」

梓「! あっ、いやその…ほら、澪先輩が一緒にいないと練習にもきちんと移れませんから!」

澪「あ、ああそうか、そうかもだな」

梓(バカだなあ私…)

梓「そ、それでどうして一人で屋上に?」

澪「ん、ああちょっと…最近体重が少しばかり増えちゃってさ…///」

澪「それで甘いものは今摂らないようにしてるんだけど、みんなが美味しそうにケーキ食べてるのを見ると誘惑に負けそうだから」

梓「それでもしかして、皆さんが食べ終わるまで屋上に出て待ってるってことですか?」

澪「みんなには屋上に出て空を見上げながらならいい歌詞が思い浮かびそうだってごまかしてるけど…」

梓「もう、澪先輩は充分スリムじゃないですか。痩せすぎたらかえって危ないです」

澪「梓にそう言ってもらえるのは嬉しいけど…それでもな」

ビュウウ・・・

梓「きゃっ、風が」

澪「風出てきたし梓は部室戻りなよ、衣替えも近いけど今日は少し寒いしさ」

梓「い、嫌ですっ」

澪「梓?」

梓「澪先輩を一人にしたまま私だけ戻るなんて…そんなの嫌です」

澪「けど梓に風邪でも引かれたら困るし、そっちの方が私は嫌なんだ」

梓「なら…風邪引かないようにあっためてほしいです」

澪「え、それって」

梓「こんな二人きりの時でなければ澪先輩に甘えられないですし…だからその…」









澪「梓…」ギュッ









梓「んっ…あったかい」

澪「こうしてぎゅって梓のことしてあげるの、初めてだな」

梓「はい、すごく嬉しいです」ギュッ

澪(あ、抱き返してきてくれた…嬉しいな)

澪「お互いに抱き合うなんて恥ずかしいはずなのに…なんだろう、梓となら平気だ」

梓「どうして、ですか?」

澪「なんでだろう…な」ナデナデ

梓「んっ、澪先輩に頭撫でられるの気持ちいい…もっと…」

澪「私でよければいくらでもしてあげるよ、梓」

梓「え、今の口に出てました…?」

澪「うん、はっきりと」

梓「は、恥ずかしいですっ///」ポフッ

澪「梓、顔上げなよ」

梓「い、今顔真っ赤になってると思うのでもうしばらく澪先輩の腕の中にいさせてください…///」

澪「ふふっ、ならもう少しこうしてよっか」

澪(私ももうちょっと梓とこうしてたいし…)ナデナデ

梓「……はい///」


・・・


カチャ

梓「た、ただいま戻りました」

澪「ただいま」

律「おっ、二人とも戻ってきたな」

紬「おかえり澪ちゃん、梓ちゃん」

唯「おかえりー!」ダキッ

梓「ちょっと唯先輩、さっき部室に来た時にもう抱きついたじゃないですか」

唯「だって今日は外少し寒いからもう一度あっためてあげようと思って〜」スリスリ

梓「んもう、それなら心配無用……ですっ」グイッ

唯「むー、どうして?」

梓「あ、いやそれは…」

澪「屋上にいる時は私が梓を抱きしめてたから大丈夫だよ」

梓「み、澪先輩!///」

唯「えっ! 澪ちゃんいいなあ〜」

律「なぬ?」

紬「そ、それはグゥレイト! グゥレイトよ澪ちゃん!」

梓「ちょ、ちょっと正直に言いすぎです澪先輩///」

澪「いや、どうせごまかすの下手だからさ私…」

唯「となるとあずにゃん、澪ちゃんはやっぱりあったかくて柔らかかった?」

澪「な、何聞いてるんだ唯?」

梓「そ、それはやっぱりあったかくて柔らかくてすごく、落ち着きました///」

澪「梓もそんな正直に答えるなよ…///」

梓「私もその、ごまかすのは苦手なので…」

澪「もう、お互いごまかすのが苦手だな」

梓「ふふっ、そうですね」

澪「梓…」

梓「澪先輩…」









唯「うわーんりっちゃん隊長! 何か強力な『ぜったいしゅごりょういき』が展開されてて二人に近付けないであります!」

律「ちっ、あれはむしろセルフバーニングだな…下手に手を出せば火傷するぜ」

紬「えっとカメラ、カメラはどこかしら」タラ-

律「ムギ、とりあえず鼻血を止めような」

紬「あっ」


おしまい!



最終更新:2014年05月30日 07:14